親馬鹿な加賀さんが着任しちゃいました   作:銀色銀杏

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とりあえず二話目を無事に仕上げられました!
劇場版艦これ早く見に行きたいなぁ、、、予定が空いてないけど。
スパロボ新作発売が待ちきれない!


二、着任in横須賀鎮守府

side 瑞鶴

 

「いよいよ今日から、、、夢が叶う。」

 

私はその言葉をかみしめるように呟く。今日は自分にとって記念すべき日になる事だろう。ようやく夢に向けて、第一歩が踏み出せるのだから。ここまで来るのにどれだけの苦労をしたことか。親に大反対されながらも無理矢理に反対を押し切って進むと決めた道、その為に艦娘養成学校の狭き門を潜り抜け、卒業して、ここまできたのだから。母さんたちにあんな啖呵をきった以上、絶対に成し遂げなければならない。

 

「よーし!やってやるんだから!!」

 

まずは配属先に着いたら「建造」を受ける、これは在りし日の艦艇の魂をその身に宿す儀式だ。これを受けて、艤装をつけることで艦娘となる。

 

「『瑞鶴』かぁ、、」

 

「瑞鶴」、これが私の適正艤装の名であり、これからの私の名前でもある。建造後、自分がどのようになるのかには少し興味がある。しかし、いま最も気になるのは――

 

「提督さん、どんな人なんだろう、、、」

 

提督、それは艦娘を指揮する立場の人間である。そのため高度な状況判断能力がいるだけでなく、先天的な適正も必要だと言う。まぁつまり、私水華―もとい、もうこれからは瑞鶴のほうがいいか、の直属の上司である。これは大変重要なことだ、もし配属先の提督が艦娘をこきつかう、いわゆるブラック鎮守府の提督ならば即座に憲兵に報告しなければならない。そうでなくとも、提督の存在が艦娘のコンディションに大きな影響を与えるのは本当だ。

 

「どんな人かなぁ、、、、」

 

そんなことを考えている少女を乗せて、電車は進む。

 

目的地は、瑞鶴が配属された「横須賀鎮守府」だ。

 

 

 

 

 

遡ること数時間前、瑞鶴が家を出た少し後。

 

side美加(加賀)

 

 

娘が出てから少し、私は旅支度を整えて夫と共にある人物を待っていた。だが――

 

「、、、遅いな。」

「そうですね。」

 

来ない。約束の時間はもう過ぎているというのにくる気配すら見せない、そろそろ表に出て探そうかと思った時、

 

ピンポーン

 

と玄関のチャイムがなった、私と夫は玄関の戸を開け、きた人物を見た。

 

「よっ、二人共~この前の相談以来じゃん♪」

 

そう言って家に入ってきたのは夫の親友である。夫であるT督とは訓練学校からの付き合いで、T督が軍を若くして退役した後も実績を積み重ね、今では少将となりあの横須賀鎮守府の提督である。

 

そう、娘が着任する予定の鎮守府である。

 

「まぁ、外で話すのもなんだ、中へ入れ。」

 

T督のその一言で私達はリビングへ、そして早速例の計画について話し出す。

 

「それでだ、T督さん。あの話、本当にやる気なのか?」

「当然だ、娘のためなら例え火の中水の中だ。」

 

そう、私達の計画には彼の協力が必要不可欠なのである。別に私達は「娘を頼む」とか「説得してくれ」とかそういう事を頼む為に彼を呼び出した訳ではない。

私達が彼を呼び出した本当の目的、それは――

 

 

 

「お前の奥さん、美加さんをもう一度『加賀』としてウチの鎮守府に入れる。か、よくもまぁこんなことを思い付くなぁ。」

「まあな、もともとカイタイカッコカリ状態だったし。それにあの強さだからな、先輩に話したらすぐにOKが出た。」

 

そう、元々一時退役扱いだった私がもう一度前線へ復帰するためだ。そしてこれが「娘の夢を見守り、陰ながら応援しよう大作戦」の実態。つまり私が再び加賀となり、娘を陰ながらサポートするのだ。

 

「しっかしなぁ、どうにも納得できない。自分の親だぞ、普通気づくでしょ。」

「いや、それはない。艦娘の正体と容姿は国家の最重要機密の一つだ、私達は娘には海軍の大本営の事務課で出会ったってことにしてる。それに、もう一度艦娘に戻ったらかなり若返る、流石に気づかないだろう。」

「若返り、ですか。思えばもう十五年も経っているんですね。」

 

思い出話に花が咲く、まだ私が現役だった頃の話だ。しかしずっとそんなことばかりもしていられない。

 

「じゃあ、そろそろ行くか。しかし、本当にいいのかT督さん?もうかなり奥さんとあえなくなるぜ。」

「ああ、かまわんさ。この家を無人にするわけにはいかんしな。」

「ならいいんだが、、、たまには連絡してやれよ、でないと俺が寝取っちまうよ?」

「やめとけ、そんなことをしたらどうなるか、一番よくわかってるのはお前だろう。それに一応はお前よりかなり年上なんだからな。」

 

他愛のない言葉をかわし、私は荷物を持つ。提督は何としても娘より早く鎮守府へ帰らなければならないし、私は一時退役しても弓道の訓練などは怠らなかったが(娘には趣味と言っていた)それでも艦娘に戻った後、暫くは勘を取り戻す為に訓練をしなければならない。その為、私が横須賀へと行くのは少し後なのだ。提督と私は玄関で見送りに来たT督と別れた。別れ際、T督はこんな言葉をかわした。

 

 

「またな美加、いや『加賀』。二度目の前線、楽しんで来い。そして娘は任せたぞ。」

「ええ、任しておいてください。」

 

そうして私は二度目の艦娘としての生活を始めることとなった。

 

 

 

 

 

キィィィィ、、、パタン

 

 

 

 

「さて、、、俺も動くか。」

誰も聞いていない中、T督は一人呟く。心底楽しそうな笑顔で。

 

 

 

そして話は現在へと戻る

 

side 瑞鶴

 

 

「ここが横須賀鎮守府、、、、、」

 

家から色々な交通機関を使って三時間半ほど、私は支給された地図を頼りに横須賀鎮守府の前に立っていた。第一印象は「デカイ」の一言だ、養成学校の教本に載っていた写真を見たことがあるが実際に見るとではまるで違って見える。まぁそんなことは置いといて、と思ったが。

 

「まずは、、えーと、、、、どうすればいいの?」

 

わからん、とりあえず誰かに話しかけて見るか、、、と思っていた矢先だった。

 

「あの~。」

「ひゅい!?」

「今日から新しく配属された子がいると聞いたんですが、、、貴女ですか?」

 

後ろを振り返って見るとそこにはとても綺麗な女性が立っていた。髪を頭の後ろで一つにまとめており、和風の日傘を差した人で、同性の私でも一瞬見とれてしまった。と、思い出したように返事をする。

 

「は、はい!本日付けでここに配属されました!」

「やっぱり!私ここの鎮守府の提督の秘書艦を務めています『大和』と申します。どうぞ宜しくお願いします。」

 

「大和」、どこかで聞いたことがあるな~と思っていた私は三秒後にその答えに行き着き愕然とする。

 

「大和って、、、あの大和さんですか!?」

「ええ、私をご存知なのですか?」

「当たり前です!知らない人なんて居ませんよ!!」

 

「大和」それはかつて日本が誇る超弩級戦艦の名であり、いま目の前にいる艦娘の名前でもある。この大和型は現在世界で確認されているどの艦娘よりも高性能なのだが、その数はたった二隻である。その理由は二つ、まず一つは運用コストの重さである。大和型は超高燃費なので、数が多いとたちまち資源を食い尽くしてしまうのだ。しかし大和型の数が少ない本当の理由は、二つ目の艤装適正者の数だ。大和型の艤装適性が有り、尚且つ実際に艤装を装備できるほど高い適性を持つ者は現在何と二人しかいないのである。その為艦娘の最後の切り札とされていたのだ。その存在が今、目の前にいる、、、

 

「お会いできて光栄です!!」

「いえ、そこまでの事はしていませんよ。///」

 

実際に会った彼女はとても落ち着いていて、とても素敵な人だった。すごい人だなぁと感じていたが、本題を思い出た。

 

「わざわざ迎えに来てくれたんですか?」

「はい。初めてここに来て戸惑うかもしれないと思いまして。」

 

凄い、やはり歴戦の艦娘。振る舞いの端々からも気品と優雅さが窺える。それに新人である私のためにここまでしてくれる。と、密かに憧れを抱いていると、、、、

 

「え~っと、、、」

「『瑞鶴』です!よろしくお願いします!」

「はい!では瑞鶴さん、私についてきてください。まずは建造を受けてから提督に挨拶です。」

「わかりました!」

 

大和さんに連れられて私は鎮守府の中へ入って行った。

 

 

side加賀

 

瑞鶴が鎮守府へ入って三十分後、鎮守府正門前にて。

 

 

「どうだ?この門の前に立つのも久しぶりだろう?」

「ええ、本当に、、、」

 

私は娘と同じルートを通ってここに来ていた。私はこれから再建造をされた後、一週間の訓練を行い編入されることになっている。一週間もの間訓練をするのは、一時退役しても毎日鍛錬は欠かさなかったが流石に艦娘になった後では勝手が違うからだ。まぁその他、まがいなりにも「白加賀」とも称される身なのであまり無様な事も出来ないからというのもある。

 

「じゃあ俺はこれで行くけど、、もし娘と会ったらどうすんだ?」

「大丈夫ですよ、少なくとも一週間は会いませんし。それにもし会ったとしても仲良くはしないつもりです。」

「へぇ~お前ほどの親バカが珍しいな、、ってやめろ悪かったから無言で拳を構えるな!」

 

私は今回娘を近くで見守る為に次のルールを自分に課した。

一、自分の正体はなるべく秘匿する

 

一、娘とは決して仲良くしない、甘やかさない

 

一、もし娘と同じ艦隊に所属したら何が何でも娘を守る

 

以上の三つである。

個人的には二つ目のルールが一番辛いのだが、これにはちゃんとした理由が有る。正体がばれないようにというのももちろんだが、結局は自分の実力で生き残れるかが決まるので、娘を厳しく徹底的に指導していくつもりだからである。

 

「それではこれで。」

「ああ、一週間後を楽しみにしているよ。」

 

そう言って私は工房へ行こうとしたが、その前にやることがある。この横須賀鎮守府には私の現役時代からの古参が五人ほどいるというので、そこへ挨拶と口止めへ行くのだ。その一人で秘書官の大和にはもう話を提督を通じて通してあるので心配ない、最初は親友である赤城さんの部屋だ。部屋の前でノックをする。

 

「はぁーい、どうぞ。」

 

中では驚いたことに、赤城さんの他に日向、高雄という私の現役時代からの戦友がさらに二人もいて何やら話していた。同室なのだろうか?とにかく中に入る。

 

「久しぶりですね。」

「ああなんだ、加賀さんですか少し待っててくd、、、、って、え?加賀さん?」

「はい、お久しぶりです赤城さん。」

「えぇぇぇぇぇ!!!」

 

室内に響きわたる赤城さんの絶叫、なのに二人は落ち着いていた。とりあえず赤城さんを落ち着かせることに。そして数分後、、、

 

「びっくりしました、、まさかまた加賀さんに会えるなんて、、けどどうして?それに日向さんに高雄さんもこのことを知っていたんですか?」

「いや、提督から近々とても驚くことがあると聞いていたが、、なるほど加賀の復帰か。」

「ええ、本当に驚きましたわ。」

 

私は皆に事情を説明し、協力してもらうことを快く約束してくれた三人にお礼を言い部屋を出た。残る最後の一人金剛に会おうとした時、事態は起こった。

 

 

「すいません、まさか工廠が一杯だったなんて、、」

「いいですよ!あと五分くらいなんですし、それにこうして鎮守府をみて回れたんですから」

 

十字路になっている廊下の角から忘れもしない娘の声、そしてもう一人は大和だろうか。と、そこまで考えた私は思った。

マズイ、かなりマズイ。

このままでは娘に見られなぜ私がここにいるのかということになる、そうすれば私の計画は始まる前に終わってしまう。何とかしなければ、、、、、!!!

 

 

こんなところでは、、、終わらせない、、、!

 

 

 

瑞鶴から廊下の角まで残り十メートル

 

 

 

           

            

 

 

 

 

 

 




加賀さん、いきなりのピンチです!
このあとの展開どうしよう((((;゜Д゜)))
行き当たりばったりほど恐いものは無いですね、、、
ではまた次回

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