親馬鹿な加賀さんが着任しちゃいました   作:銀色銀杏

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お、ま、た、せ、しました~!
遅れた理由を簡単に言いますと

赤点×3教科

筆者( ;∀;)

親(# ゜Д゜)

先生(# ^∀^)


こんな感じ…… です、はい。正直笑い事じゃないので、これから投稿が不定期になります……すいません。
ですが、この章は完結させますのでご安心を!
せめてこの物語が完結するまで、筆者が留年しないようにがんばります!
では、新章をとうぞ!



第三作戦 フレートガールズ・パニック!
二十四、瑞鶴、高校行くってよ


東京決戦から一週間後、東京

 

人々はついこの間までの危機など忘れ、すっかり日常に戻っていた。何時もどおりの光景、何時もどおりの喧騒、そこに何時もは居ない人物が一人。

 

「どうしてこうなった……?」

 

彼女――瑞鶴は一人語散る、その呟きは雲一つない青空に吸い込まれ、行きかう人々には聞こえない。

 

「まさか高校に行くなんて……」

 

瑞鶴は歩道で一人つぶやく。人々は絶え間なく且つ忙しく歩いている、それも当然今は朝。彼女はそこを普段の勝気な性格が嘘のようにトボトボと歩いている、某戦艦の言葉を借りるなら「空はこんなに青いのに…」と言ったようなかんじだ。

その瑞鶴の服装も普段の弓道着風の服装でもなければ、私服姿でもない。駆逐艦娘が身に纏うようなセーラー服を着ている、もちろんサイズは違うが。その制服はら○☆すたの制服に似ており、場所が場所ならばコスプレと思われているだろう。

だが残念(?)なことにこれはある学校の正式な制服だ、よって着ないという選択肢は存在しない。

 

「はぁ~~~~」

 

どうしてこうなったんだっけ?、瑞鶴は頭の中で再度愚痴りながら事の始まりを思い出す。

あれはそう、東京決戦から数時間後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡ること一週間前

 

唐突な長期休暇を全体に言い渡した後、提督は詳しくは追って伝達する、とだけ言い残して去っていった。

全艦娘が混乱する中で、瑞鶴は大和から執務室に来るようにと言われた。

 

「まぁ、色々言いたいことはあると思うが――」

「当たり前ですよ!?長期休暇の件は執務室で話を聞いていたので納得ですが……休暇中の過ごし方は自由なのでは?」

「まぁ、その点も含めて最初から説明する」

 

と、提督は暫定執務室であるテントの中で話を始めた。

まず、彼は簡易的な机から封筒束を取り出す。その封筒の束は表に「休暇願い」と書いてあった。

 

「これは各筆頭艦娘からの休暇願いだ、一般の艦娘からも出ている」

「それはもう聞きました、私は何故高校に行かなければならないんですかと言う話をですね……」

「最後まで聞け、この休暇願いの数が全体の三分の一を越えてな、艦娘全員に長期休暇を与えたんだ」

 

約二ヶ月の長期休暇、艦娘からしたら願ったり叶ったりである……が、勿論有給休暇ではない。普段ならば出せなくはないのだが、艦娘達の給与も鎮守府の復興費用に消えた。

ただでさえ大規模作戦で倒した数の分の給与を用意しなければいけないのに、有給休暇などだした日には破産確実だ。

短い間の無給休暇ならば不満が残る、ならばその不満が残らないほどの長期休暇を与えればいいのだ。

 

「……それを踏まえてもう一度聞きますが、それとこれに何の関係が?」

「お前、漢字書けないだろ?」

「まさかそれだけの理由で!?」

「じゃあこれはなんだ?お前の鎮守府内のテスト結果だが?」

「うっ!」

 

提督が出したのは鎮守府内で定期的に行われるテストの結果、艦娘に成ったからと言って勉強しなくてもよいと言うわけではない。むしろ学生から艦娘になる方が割合的に多いのだ、なので鎮守府ではおよそ高校二年生位の学力を目安としたテストを行っている。

 

「まぁ流石は国内配属組だな、英語、数学二分野、その他教科もほぼ満点。……ただ一つを除いてな」

「………………」(((((゜゜)

「おい、逃げるな。」

 

提督は再び懐に手を入れると一枚のテスト用紙を取り出す、因みに提督のポケットが猫型ロボットみたいだと思った人は忘れるように。

そしてそのテストにはデカデカと書かれていた、

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………「十点」と。

 

言っておくがこれは百点満点である、決して五十点満点ではない。ちなみにこのテストの平均は六十点である、まぁよくある点数だろう。

しかし、瑞鶴がとったのは十点。記述はもちろんの事、選択はおろか漢字などの知識問題さえ間違っている。とれた十点は記述の部分点、それも狙ったかのようにきれいに一点ずつばらけている。

 

問 次の漢字を書きなさい

 

こううん   辛運

せっち    設直

ぐうぜん   遇然

 

……つまりあれだ、その、弁明のしようがない。

 

 

「つーわけで、お前には高校に行ってもらう。」

「一人でですか?」

 

もう断ることは諦めたようで、素直に疑問を口にする……わけもなく、誰かを道づれにしてやるという気持ちが瑞鶴にはあった。

提督も人数には迷っていたようで、悩みながら口にする。

 

「なるべくお前が目立たないように、キャラが濃いやつを二、三人ほど連れていきたいんだよなぁ……」

「でもそんな濃いキャラなんてそうそういるはずが……」

 

ガチャ

 

「提督、明石さんからの報告あがったよ」

 

と、その時時雨が書類を持って入ってきた。それはもう示し合わせたかのようなタイミングで、完璧に。

 

「…………」

「…………」

「ど、どうしたのさ提督?」

 

自分が入ってきたその瞬間に会話が止まり、なおかつ注目されるという異常事態。明らかに不穏な空気を感じた時雨、その感覚は耳に入ってきた言葉によりさらに加速する。

 

「薄幸、ロリ巨乳………」

「僕っ娘、クーデレ………」

「…………」

 

グルッ……ダッ!

 

「あ、逃げた」

「まてぇ!時雨、なぜ逃げる!」

 

なにか本能的な危機を感じ取ったのか視線が合うや否や踵を返して逃げ始める時雨、それを追う提督。艦娘の身体能力なら普通の人間などすぐに撒けるはず、なのに振り切れない、やはり提督は人間であるかどうかが怪しくなってきた。

 

「待て時雨、悪いようにはしない!」

「提督がそう言っていいことなんて今までなかったよ!」

「なぜ信じられない!おれはそこまでのことをしたか!」

「いや、普段の活動や指揮は逆に信用しかしてないよ!」

 

なら何故、と提督が続けようとした瞬間であった。走りながら時雨は顔を後ろに向け、「でもね」と続けた。

 

「秋雲と明石さんと共謀して、僕をコ○ケのエロ同人の主人公にするのはどうかと思う!」

「仕方ないだろ!あれメチャクチャ売れたんだぞ!三百以上だったんだぞ!」

「そのお礼にって自分が主人公のエロ同人を渡された僕は、どんな反応をすればいいんだ!?」

「………×××ーでもしてろ!」

「この……変態が!」

 

卑猥な口喧嘩を繰り広げながら、鎮守府内を走り回る二人。当然ながらこの猥談は周囲の艦娘達に全て聞かれており、それで弄られた時雨が提督を殺しに行くのはまた別の話。

やがて、痺れを切らしたかのように提督が叫ぶ。

 

「もういい!行け、川内!」

「ドーモ、時雨サン。川内=サン、デス」

「アイェェェェ!?川内、川内サンナンデ!?」

「捕縛!」

「ふんぬっ」

「うわぁぁぁぁ……」

 

川内のキンバク・スキルによって縛られた時雨の姿は……ヒワイ!カメのように縛られて身動きの取れない時雨が必死に動くたびにナワは肢体に食い込み、更に体の凹凸を際立たせて………

 

(以下自主規制)

 

「と、いう訳だ。」

「なんで僕が瑞鶴の尻拭いを……」

「是が非でも行ってもらうぞ、何しろお前暇なんだから」

「でも!」

「ドラム缶背負って四六時中輸送任務とどっちがいい?」

「提督、どこの学校に行くんだい?いい友達はいるかな?」

 

流石の変わり身の早さを見せる時雨、断っておくが彼女は見た目通りの年齢ではない。正確にはわからないが本人によると大学は卒業してしているらしい、よって二十代前半と判断できる。

だがしかし時雨は駆逐艦、見た目は非常に幼く見えるがあくまでパッと見た感じ。身長も高校一年生の小さいほうと言い張れなくもない、それに身長に見合わない立派な胸部装甲も持っている。

断じてそれが理由ではないが、それでも時雨は(なし崩し的にではあるが)瑞鶴と高校に行くことになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は再び戻る

 

「時雨さ――――」

「時雨でいいよ、敬称を付けられたことが無いし。それにどうも慣れないんだ」

「じゃあ時雨、どれくらいできるの?その……勉強」

「そうだね、少なくとも小学生レベルの漢字を間違えるほど馬鹿じゃないよ。」

「うぐっ…………」

 

自然と毒を吐いていく時雨、若干巻き込まれた恨みもこもっている。

と、二人の横からは色々な声が聞こえる。

 

「何だあの二人……めっちゃかわいい!」

「あの子達、お人形さんみたいね!」

 

ザワザワ……

 

何故かは解らないが艦娘とは皆美人である、それこそ地域のミスグランプリにでもなれそうなほどには。それ故に大衆の目に晒されれば十人中十人が「美少女、美人」と答えるだろう。

 

「時雨~もう私帰りたい……」

「そんな君のために僕は付き合わされているんだけど……」

 

とぼとぼと歩いていく二人、鎮守府から電車を乗り継いで五十分。そこから徒歩で十分ほど、立派な校門の前につく。

そこには「海安(かいあん)学園」と書いてある、その門の大きさは二人の身長のゆうに二倍はあろうかという門であった。

海安学園、国内有数(艦娘養成学校を除き)の進学校の一つ。

国公立大学の合格者を多数排出、またその後の就職や人生も国家公務員から芸能人まで多岐にわたる。そのため倍率はかなり高い、だが倍率の高さにはもう一つの理由がある。

それは艦娘養成学校から落ちた時の保険、つまり滑り止めである。

勿論滑り止めになるほど低い学校ではない、この学校は艦娘採用試験の合格率が全国トップなのだ。

艦娘採用試験の難易度はどの資格試験よりも難しいと言うのがもっぱらの認識であり、事実合格者は百人に二、三人くらいだ。

 

「でも合格率の高さの理由があんなのだとはね……」

「本当に上手いこと考えたよ」

 

全国トップの艦娘採用試験合格率を誇る理由は単純なものだった、ただ単に校長及び理事長がかつての海軍関係者なのだ。

もちろんそんなことを口外すれば機密漏洩ですぐさま捕まるだろう、しかしわざわざそんなことを言う必要はないのである。

艦娘採用試験の内容を把握している以上、カリキュラムを違和感の無いように調整しているのだ。もちろん授業内容も調整することにより各々の持つ適正を伸ばすことができる、そもそも適正は案外簡単に伸ばすことができ、学校の授業を「対艦娘採用試験専用カリキュラム」にしてしまえば合格することなどさして苦労はない。

 

「けど、その校長が天下りの罪滅ぼしなんてね」

「もう海軍って大丈夫なのかしら……?」

 

そんなこんなで警備員のチェックを通過、無事に学園内に入る二人。

二人は一応同じクラスに所属する手筈になっている、まぁ今回の目的はあくまで瑞鶴の国語力を上げることであり、そこまで警戒する必要もない。

 

「僕達のクラスは1ーAだね、偽名はもう覚えた?」

「確か……私が寺牙 水華で、時雨が――」

雨寺 時美(あまでら ときみ)だね」

 

瑞鶴の方は本名であるが、時雨は解らない。そこは気にもしないし、聞きもしない。この手の話題、つまり艦娘になる前のプロフィールについてはタブーとしている人もいる。安易に聞かないのは常識、それくらいは艦娘になって日の浅い瑞鶴でもしっている。

無事に職員室で先生と対面、とても優しそうな女の先生だった。因みに瑞鶴達が艦娘であることを知っているのは事前に話を通した校長のみであり、勿論担任の先生は知らない。

長期休暇のような扱いとは言え、解体はされていない。つまり瑞鶴達の身体はまだ常人を遥かに越えた膂力を持っている、別に解体されても格闘技などの武術の経験は積んでおり、その辺の有象無象には負けない。

そうこうしている内に、朝のHR。教室の手前で待っていてくれ、と言われ挨拶を考えながら待っていた。

 

「えー、皆さん。今日から急遽転校生がくることになりました」

 

 

ザワザワ……ザワザワ……

 

クラスに走る激震、それもその筈ここは全国有数の進学校。当然編入試験も難しく、また受けようとす者もいない。何よりここは私立、加えてこの時期に転校生などとは、完全に常軌を逸している。

完全に検討違いの期待を一身に浴びた二人を、担任が呼ぶ。

 

「転校生のお二人!どうぞ!」

 

ガララッ

 

「な、なんだあれは……!」

「かわいい……!」

「俺生まれて初めて三次元に興味を持った……」

「…………惚れてまうやろ~」

「はいはい、そこまで。では水華さん、自己紹介を」

 

先生に言われて自己紹介をする瑞鶴、予め経歴は頭に叩き込んである。

 

「えー、水華と言います。神奈川から転校してきました、趣味は―――――」

 

こうして瑞鶴の自己紹介はつつがなく終わる、終わったのだが……

「では次に、雨寺さん。……雨寺さん?」

「ちょっと……雨寺?ねぇ雨寺!」

「…………………………………」

 

怪訝な顔をした担任と瑞鶴、そしてクラスメイト。普段と同じくポーカーフェイスを保ったまま固まったように見える。

担任とクラスメイトの位置からでは見えないほどの変化、それこそ顔見知りである瑞鶴がすぐ隣りにいて多少解った程度。

滅多に感情を表に出さず、出しても少しかすぐ収まる程度の時雨が――狼狽えている?

明らかな異常事態、動向は明らかに開き、完全に正気を失っている。まるでそう、幽霊にでもであったような――。

ここで瑞鶴は初めて時雨が何処を見たかを考え、そちらへと視線を動かす。

そこに座っていたのは――――「ただの女生徒」

ただ異質なのは、髪が白い、ただそれだけである。

 

 

ここまで時間にして三秒、だが瑞鶴にとっては何分間にも及んだ気がした。そして、気がつけば。

 

「――と言うのが僕の経歴です、これからも宜しくお願いします」

 

時雨の自己紹介は終わり、先程までの動揺がまるで無かったかのように思える。

いや、実際に思い違いだったのか?

瑞鶴がそんなことを考えている内に、二人の席は指定される。

予想はしていたが席は別々、まぁ文句はない。それより時雨か注目していたあの生徒、何処かで見たような気がするが気のせいか。

その間も、担任の話は続く。

 

「なんと、今日から二ヶ月限定で副担任がつくことに成りました!」

 

おや、奇遇なことで。と思う瑞鶴、そしてもう一人の新人物の発表に再びざわつくクラスメイト。

またもや担任が呼びにいった、その時であった。

 

 

 

 

 

何かが、瑞鶴の頭を貫いた。

 

 

 

 

 

 

物理的な話ではない、感覚の話だ。それは決してよい感覚ではなく、背中がざわつく感覚。まるでそう、何処かの宇宙世紀の新人類にありそうな感覚だ。

そして、得てしてその感覚は正確であり、それを瑞鶴は数秒後に知る。

 

ガララッ

 

入ってきたのは切れ長の目、サイドテール、そして青っぽい服装という出で立ちの女。

 

「どうも、この度副担任になりました、一美と言います。」

 

 

 

 

 

つまり、どういう事かと言うと

 

 

 

親馬鹿な加賀さんが、学校で、教鞭をとっちゃいました

 

もっと簡単に言えば

 

 

親馬鹿、学校に降臨

 

である。

 

 




今回の艦娘

神通
彼女は姉である川内の実力を改めて目の当たりにする、その上で来たのは山。
駆逐艦の指導もほっぽらかしてただ己を鍛えるのみ、姉を再び越える。それを魂に刻み、神通は今日も修行に励む。

次回「かん☆むす」

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