親馬鹿な加賀さんが着任しちゃいました   作:銀色銀杏

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今年最後の投稿です、コミケ行きた~い。
けど何処の本屋行ってもカタログがな~い。
後三日なのにどうしよう、、、


祝!夕立改二記念!

これでキス島での暁の仇をとってやる、、、いくぞ夕立!!


初戦
《旗艦大破!》
旗艦の夕立改二が大破しました、鎮守府へ撤退します。

あっれぇ~?(;゜∀゜)





六、最強の親、抜錨ス

side瑞鶴

鎮守府を出て十分程

 

 

 

「一体どうなってんのよ!?」

 

大海原に響く声、艦載機からの通信を理解するのに数秒を要した。仲間が怪訝な顔で振り向くのも構わずに私は先を促す。続いた報告に遂に私は言葉を失った。

 

「瑞鶴さん、どうしたのです?」

「偵察に飛ばした艦載機の報告によると、、、敵艦は軽空母三隻、空母一隻、重巡二隻です。内空母はeliteの個体です!」

「!?」

 

目に見えて動揺が走る、私だってまだ驚きが収まらない。提督の予想では潜水艦を主力とした艦隊ではなかったのか?それにこの周辺でeliteの個体が見つかったなんて情報は来ていない。

皆がうろたえる中で旗艦である霧島が指示をだした。

 

「落ち着いて下さい!あくまで潜水艦が主力であるという可能性が大きかっただけです、こういう時のために私達戦艦や空母が配備されたんです!」

 

霧島の的確な指示により一応は冷静になった、急いで各自の行動をとり始める。駆逐艦は電探による確認、空母は艦載機発進の用意、戦艦は砲撃用意である。

 

「敵艦隊との距離およそ十キロ!この速度だと三分程で接触します!」

「相手に気づかれる前に艦載機発進!偵察及び攻撃を開始して!」

「了解!」

 

腰につがえた矢を弓に構え、引き絞る。これが実戦での初の発艦だ、私は斜め上に向けて矢を放った。

放たれた矢は少し飛んだ後、たちまち数機の艦載機に変わり飛んで行く。

 

 

今ここに瑞鶴の初陣にしてかなりイレギュラーな戦闘が始まった。

 

 

 

side加賀

 

「空母艦隊か、、、まさか本当に来るとはな。」

 

そう漏らす提督、しかし事態は切迫している。ここで悠長に話している暇など無い、しかし今から私が全速力で出撃して到着するまで持つかどうか、、、いや、やるしかないのか。

 

「加賀、軽空母三隻と空母一隻対瑞鶴では航空戦で互角にまで持ち込めないのか?」

「無理よ、もしも私なら互角あるいは優勢まで持っていけるでしょうけど。それは私の艤装だからこそ、瑞鶴の艤装の搭載数では足りない。」

 

即答する、しかもこれは艦載機の練度を無視した場合である。まだ着任して間もない娘の艦載機の練度が高いとは思えない、もしも同じ状況だったら私でも制空権を失ってしまう。

 

「今すぐ出るわ、艤装とカタパルトシステムの準備をお願い。」

「ソレなんだが、いいモノがあるぞ、、、?」

 

ニヤリと不敵に笑う提督に若干、いやかなり不信感があるが背に腹は代えられない、私はそれをすぐに準備するように言った。

 

 

そして三分後

 

 

「これはどういう事かしら、、、」

 

若干苛立ちを含んだ声で呟く、鎮守府中に四つある抜錨ハッチのどれでもないハッチ、いわゆる隠しハッチに私はいた。

 

『大丈夫!それはウチの明石が作った試作機、名付けて《スクランブルシステム》!!説明はさっき言った通りだ。』

「本当に大丈夫なのかしら、コレ、、、?」

 

そう言って私は下を見る、すると私にコレ呼ばわりされたモノが表れる。

私の腰から下、つまり下半身をすっぽりと覆った縦長の艤装、そして横についている巨大な燃料タンクとバーニア。しかもそれらは私の下半身を覆ったものだけではなくそのさらに先にもついていた、さながらソレはまるでバーニアのスカートを着ているようだ。

 

「スクランブルシステム、ねぇ、、、」

 

このシステムは提督曰く「スクランブルシステム」と言うそうで、なんでもここの明石が既存のカタパルトシステムの艤装のスピードをなんとか制御できるようにしようとした結果、逆にとんでもないスピードを誇る化け物ができたらしい。

 

『お前の使うヤツは試作第一号機だ、今回はデータ採集の為に最高速度で行くぞ。』

「要するに体のいい実験台ということね、、、」

 

なお、私の体には艤装が既に装着されている。もちろん弓も持っているが、いかんせん下半身を固定されているのでバランスがとりづらい。鎮守府からの遠隔操作があるので大丈夫だとは思うが。

なんでもこのシステムはデンド〇ビウムというモノを参考にしたらしい、将来は武装も着けたいそうだ。

 

『加賀さん、帰投したら感想お願いします!!』

「、、、生きて帰ってこれたらね。」

 

これを製作した明石からの言葉が終わると同時に目の前の隔壁が開いていく、やがて全て開き終わり蒼い海原が見えた。

 

「今いくわよ、、、」

『進路上に障害無し、エネルギー充電率九十八%、バーニア温度上昇、目標座標入力完了、いつでもいけます。』

『加賀、発進から五分で自動パージされるからそのまま進行して援護に向かえ。』

「了解、一航戦加賀、抜錨!!」

 

刹那、視界がぶれ冗談ではなく本当に一瞬だが意識が飛んだ。再び目を覚ますと周りはもう大海原だった、懐かしい潮の風やカモメ、流れる雲を見ながら遠い昔に思いを馳せる、、、、、、暇があればどれだけよかったことか。

 

「~~~~~ッ!?」

 

想像以上だ、まさかこれ程とは。昔だがカタパルトシステムを使っていて、ある程度のスピードに慣れている私でも目を開けていられない程のスピードだ。恐らくカタパルトシステムの二、三倍のスピードがある、確かにこれなら間に合うだろう。

 

「間に合いなさい、、、!」

 

 

 

加賀は一陣の風となり戦場へ向かう―

 

 

 

鎮守府内

 

「なぁ明石、あの簡易艤装は使用後はどうなるんだ?」

「そのまま深海棲艦に向かうように設定してあります、あれほどの質量ですよ、当たったら大☆爆☆発です!」

 

(どうしよう、、、あれ使ってよかったのか(汗)?)

 

今さら後悔しても後の祭りである。

 

「で、加賀に渡したって言う新装備は大丈夫なのか?」

「大丈夫だ、問題ない。」

 

不安だ、、、と呟きながら提督は海を見つめていた。

 

 

 

side瑞鶴

 

「間もなく接触!航空戦用意!!」

「了解!!」

 

旗艦である霧島からの指示を受けて艦載機をだす、しかし皆の表情は重い。そうだろう、まだ艦載機の練度や数でも劣っているのに加えて私は初陣だ、航空戦には期待は出来ない。

それでもダメ元で艦載機を飛ばして出来るだけのことはやってやる!

見えた、正面にうっすらとだが敵艦隊が見えた。私は雪矢を構えて放つ、同時に敵艦隊からも何かゴマ粒のようなものが放たれた。それらは段々と大きくなり私が発艦させた艦載機とぶつかった。

 

「嘘、でしょ、、、」

「やはり厳しいですか、、、!」

 

結果は散々な物だった、始まってものの数秒で私の艦載機は殆どが落とされた。そして敵機はそのまま私達の方へ向かって来る。寸前、漣が指示をだす。

 

「駆逐艦全員!敵艦隊へ突っ込むわよ!!」

「さ、漣さん対空は、、、?」

「この数よ、やるだけ無駄。兎に角敵艦隊に突っ込んで撹乱させるわよ!」

 

言うが早いが言葉通りに突っ込んでいく漣、それについていく形で突撃する電と雷。その後ろ姿を見ながら霧島は指示を飛ばす。

 

「榛名、私と砲撃用意して!瑞鶴はなんとか隙を作るから艦載機の発艦用意して、全部艦爆で!」

「わ、わかりました!」

「り、了解!」

 

私達が準備を完了するのと駆逐艦が敵艦隊に突っ込んだのはほぼ同等だった、もう陣形も何もあったものではないが気にしてはいられない。兎に角私は隙を待った。

 

「漣、突貫しま~っす!」

「なのです!」

「撃ち方始めぇ~!」

 

漣達が敵陣の中で攻撃を始めると予想通りに敵艦隊の陣形は乱れていくが、さすがは空母elite個体である。何と重巡と共に軽空母を庇ったのだ。

これは予想外だった漣達は軽空母の艦載機の全機発艦を許してしまう、慌てて攻撃対象を変更したが時既に遅し。今度は軽空母が重巡と共に空母eliteを守り始めたのだ。

 

「ゴガァァァァァ!!!」

「なんてヤツら、、、!連携が上手すぎる!」

「ッ!かすったか、これはメシマズですわ~」

 

雷、漣が小破状態に陥る中で遅れて戦艦からの援護が来た。その砲撃により重巡一隻大破、軽空母一隻轟沈したが既に軽空母の艦載機は全て発艦しているので意味は無い。それどころか逆に脅威と感じたのか艦載機の群れが霧島、榛名に殺到した。

 

「きゃああぁ!!」

「クッ!やられましたが計算通り、今です!」

 

その言葉に答えるより先に矢を放つ、私は二人から離れた位置で戦況を確認していた。ここまでは霧島の計算通り、後は私がどこまでやれるか、、、

 

「残りの艦載機全機発艦!!」

 

霧島に言われた通りにその殆どを艦爆で構成した残りの艦載機が全て飛び立っていく。

 

「!!」

 

敵艦が上を見上げるが、もう遅い。艦爆から切り離された爆弾は狙い違わずに落ちていく、辺りに爆炎が立ち上る。

 

「グギャアアアァァ、、、!」

「全艦、一斉射!」

 

敵艦隊から戻ってきた駆逐艦と共に一斉射を放つ、確実に全弾命中した。敵が挙げる断末魔の悲鳴の中、私は張り詰めていた空気が霧散するのを感じた。意外と呆気なかったな、と思ながらも初陣を勝利で飾れて嬉しく思った。

 

「帰投します、全艦警戒を厳に」

 

と言ってもやはり勝利した直後、皆は「勝利の余韻」というモノに浸っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それがいけなかった。

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォンン!!!!

 

「!?」

 

突如辺りに鳴り響いた轟音、突然のことに驚いた私達は一斉に後ろを振り向く。

 

「、、、、、、!」

 

鋭い目をした敵旗艦が此方を睨む。

 

「馬鹿な、、、!直撃のはず!」

 

しかし続けて起こる事態に私達は更に言葉を失う、何と重巡二隻も共に健在だったのだ。確かに一隻は大破していたがそれは戦艦の援護の傷であって一斉射の傷ではない、ならば何故無事なのか。

その答えはすぐに示される、空母と重巡の手から黒いモノが落ちる。それは軽空母()()()モノであった、何と敵艦は全て艦載機を放ち用済みになった軽空母を文字通り()に使ったのだ。

 

「なん、、、だと、、!」

「分が悪いです、撤退しましょう!」

 

敵艦隊は残り三隻とは言え重巡一隻と空母eliteはほぼ無傷、対して此方は大破一隻、中破一隻、小破三隻で無傷なのは私だけ。しかも私は艦載機がもう無い、数でごり押せなくもないが無傷のelite個体を前にそれは危険すぎる。最悪の場合、誰かが轟沈する可能性だって十分にある。

 

「グギャアアアァァ」

「なっ!全艦回避!!」

 

まるでそれを嘲笑うように敵艦は艦載機を発艦させる、慌てて回避を始めるが既に遅かった。敵の無慈悲な爆撃が次々と命中していく。

 

「きゃあ!?直撃ってマジすか!」

「電、危ない!!」

「あっ、、、!」

 

敵の急降下爆撃が電に直撃するコースをとる、私は半分反射的に動いた。結果、寸前で電の前に立つ。

 

ドムッ!

 

「きゃあああぁぁぁ!!」

「瑞鶴さん!」

「本格的に不味いね、、、!」

「いまそちらへ行きます!!」

 

咄嗟に飛行甲板を盾替わりに使って最悪の事態は避けたが、中破状態のダメージを負ってしまう。流石に普段飄々としている漣が焦りを見せ始める。

少し離れた所から霧島を始めとした面々が駆け寄って来るのが見えた。

しかし焦っていて視界が狭くなっていたのか、それとも混乱した状況のせいで確認が遅れたのか、誰も気がつかない内に敵機は瑞鶴の直上に迫っていた。

 

「―――瑞鶴さん!直上!!」

「!!」

 

誰かが気がついたがもう遅い、瑞鶴に向かって爆弾が切り離される。駆逐艦の速力でも追い付かない、私も避けようとするが上手く体が動かない。

 

――あぁ、もう少し早く気付いたらなぁ、、、

 

迫り来る危機を目の前にして出てきた感想はとても呆気なかった、それでも本能が、意識が、そして何より自分自身が生きようと必死にもがく。

 

――まだ夢も叶えていないのに、こんな所で、、、死ねない!!

 

しかし現実は無情だ、敵機から放たれた爆弾は遮るモノもなく真っ直ぐに私の方へ落ちてくる。

それを見て私も悟った、ここまでなのかと。まだ初陣なのに、なにもしてないのに、、、

 

――ここまでなの?まだ初陣なのに、私、カッコ悪かったなぁ、、、母さんと父さん、ゴメン。やっぱり私は艦娘に向いていなかったのかもね。

 

落ちてくる爆弾、私はせめて最期まで目を閉じまいとじっと爆弾を見ていた。

 

 

 

「!」

 

 

 

 

艦隊の誰もが目を閉じる、敵空母は愉悦の笑みを浮かべながらとても冷たい目を瑞鶴に向けていた。

誰もが瑞鶴の最期を覚悟した。

 

だがこの世にはこんな諺がある。

 

「親より先に逝く子供なんて私が許さない」

            (by加賀)

 

 

 

この時その場にいた全員、無論敵艦隊さえもが瑞鶴に気をとられ過ぎていた。そのため、誰もが後ろから迫る大きなバーニア付きタンクに気がつかなかった。

 

そしてその後から迫ってきた一隻、いや一人の艦娘の姿にも、、、

 

 

 

その艦娘は矢を構えた、何の変哲もない艦載機に変わる訳でもない文字通り「ただの矢」を。

もしこの場面を端から見ていた者が居れば目を疑っただろう、何故ならその艦娘は落ちていく爆弾をピンポイントでしかも百メートル以上離れた位置から狙撃しようとしていたのだから。

砲撃でも弾のブレを正確に推測しなければ出来ない、それにしても難しい芸当だ。それを風の強い海上で風の影響を受けやすい矢でやろうなどと、それは最早無茶や無謀を通り越して絶対不可能と言える。

 

 

 

 

――だが

 

 

「、、、、、、」

 

 

無茶、無謀、絶対不可能を「可能」にする、それくらいのことが出来なければ彼女は「伝説」とは言われない。

 

ヒュッ、、、

 

そして矢は放たれた。と、三つの事が同時に起こった。

まず矢が爆弾を射ぬいた。

次にバーニアが重巡二隻にぶつかりどちらも轟沈した。

そして敵の艦載機がバーニアの爆発の余波で全て撃ち落とされた。

これらの事が終わり、煙が薄くなる、、、

 

 

 

 

今私は何が起こったのかわからない、爆弾が着弾する前に急に爆発して思わず目を閉じた。そして目を開けて見たら、敵の重巡が消えていた。そのかわり、私の目の前には見知らぬ艦娘が背を向けて一人立っていた。

 

「貴女は、、、誰?」

「、、、、、、」

 

その艦娘は振り返ることも喋ることも無く手に持った矢を構えた。

 

 

今ここに伝説が再臨した。

 

 

誰にも聞かれない声でその艦娘「加賀」は言った。

 

「頭にきました、死にたい船―と言っても一隻ですか。とりあえず、沈んで下さい。」

 

「伝説」による蹂躙が始まる――

 

 

 

 

 




皆さんこんにちは、大和です。
もう年末ですね、クリスマスはどう過ごしましたか?

提督「やめて、何も言わないで。」

はぁ、、、また提督は落ち込んでるんですか?
いい加減にクリスマスになったらトラウマがフラッシュバックするその癖、どうにかなりませんか?

提督「クリスマス、ぼっち、、、うっ、頭がぁ!」

提督は放っておいて次回予告をしますね

ついに娘の前に姿を表した加賀さん、はたしてこのピンチをどう切り抜けるのか?
、、、実は一番心配なのは正体がばれることだったり。

次回 加賀参上

それでは皆さん良いお年を~

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