第1話
「じゃあこれでいいんじゃな?」
「ああ、OKだ」
暗闇の空間で2人の男が話していた。1人は青年でもう1人は年をとった老人だった。
「しかし、なぜこんなことを?お前がやっていることはこの世界を掻き回すだけだぞ?」
「違うね。俺はスケベしかとりえのない変態主人公からヒロインたちを汚されないよう救済するだけだ」
老人は青年に忠告するが青年は口角を上げ、歪んだ笑みを浮かべながら自分の行為が間違っていないと正当化していた。
「まあいい。くれぐれも悪用するのではないぞ?」
「分かったよ。そんな心配するなって。じゃあな」
青年はどこ吹く風を吹きながら光の粒子となって老人の前から消えていったが老人のほうは青年が約束通り守るのかどうか疑問を感じていた。
「本当に大丈夫かのぉ。ま、主人公の力だけでよかったがこの力まで授けてしまったら一体どういうことになっていたかって……な、なんじゃ!?」
老人は本来先ほど旅立っていった青年に授けるはずの力が封じてあるだろう光の玉を見るとその光の玉は膨張しており今にも爆発しそうなほどの振動を放っていた。
「な、なんじゃこれは一体どうして○○○の力が……うわっ!」
老人は戸惑うと光は大きな光を放つ同時に大きな衝撃を生み老人を吹っ飛ばし、光の粒子となって先程の青年と同じく消えていった。
「どこへ行ったんじゃ!?あの力はあの世界には余りにも強大すぎる!!」
老人は魔法陣のようなものを展開し探索してみたがその力は発見できなかった。
「グス…ヒグッ…なんで…」
ある森で1人の男の子が泣いていた。その幼い体は傷だらけであり、先ほどまでに殴られたような形跡があった。
「なんで兄弟なのにあんなヒドイことをするの?」
この子が泣いている原因は双子の兄にあった。
この子の双子の兄は両親がいなくなったのを確認したら突然人が変わったかのように豹変し、罵詈雑言の嵐や殴る蹴るなどの暴力をふるってきた。
「お父さんやお母さんに言ったら更にヒドイ目に遭わせてやるっ、て言うしどうしたらいいんだよぉ」
少年はお腹をさすりながら森の奥へ進んでいくが何もない。しかし少年は何かに導かれるようにその森の奥へ進んでいった。一見すれば何の変哲もないただの森なのにだ。そう、普通の森だったら………
ニャー
「…ニャンコ?」
不意に猫の声が聞こえたのでその場へ行くと2匹の猫がいた。
「ひ、ヒドイ怪我!今すぐ治さないと……イタッ!」
「フシュー!!」
少年が怪我を負った白い猫を触れようとすると黒い猫が護るように庇い少年の手を引っ掻いたが、少年はそんなことを気にせずどうるか戸惑っていた。
「どうしよう………そうだ!」
少年はポケットに手を入れて魚肉のソーセージを取り出して猫に近づけさせた。
「ホラ、僕は君を傷つけたりなんかしないよ。だから安心して」
「ニャー?」
黒猫は敵意がないと察したのか少年の手に近づいてソーセージを食べた。
「ニャフ〜ン♪」
「えっと…落ち着いた?僕の家に来ない?その猫も怪我をしてるし、家にはお父さんやお母さんもいるからその猫ちゃんの怪我も治療できるよ?」
「フ〜ン?」
「えっとダメならダメでいいよ、気が向いたらでいいから……「ようやく見つけたぜ」え?ガッ!」
少年が後ろを向くと同時に何者かが殴り倒し、怒りの表情を浮かべながら2匹の子猫に近づいた者は明らかに人間ではなかった。
コウモリの羽を伸ばしながら濁った色の何かを纏っていた。それはまるでおとぎ話に出てくる'悪魔'のようだった。
「フシュー!」
「そんなに威嚇しても全然怖くねえな。さっさと俺の主のところに………あぁん?」
悪魔は足元に違和感を感じてその方へ見ると少年が悪魔の足にしがみ付いていた。
「ち、近づくな……その猫は怪我を……グッ!?」
「うるせえんだよ、クソガキ」
悪魔は少年が怪我をしているにもかかわらずゴミを払うかのように少年の頭をその大人の足よりはるかに大きい足で踏みつけた。しかし悪魔はその行為をやめなかった。
「オラオラァ!!さっさと離せよクソガキ君よぉ!勢い余って殺しちまうぜぇ!?」
「そろそろやめたらどうだ?」
(助かった!?)
少年は突然聞こえた声に対して希望が芽生え、その声の主に助けを求めようとした。
「お願いです!この猫たちを助けて……グハッ!?」
「黙ってろよ、クソガキちゃん?」
少年に帰ってきたのは腹の蹴りと罵倒だけだった。その蹴りで少年の体は紙飛行機のように吹っ飛び木々に叩き付けられた。
「やっと見つけたのかよ」
「遅すぎるぞ」
「だらしねえな」
次々とコウモリの羽を羽ばたかせながらやってくる者たちが現れた。おそらく悪魔の仲間だからこの者たちも同じく悪魔なのだろう。
「ようやくだ猫ども、さっさと駒を受け入れて俺たちと同じ悪魔になりやがれ」
「ニャン!ニャーン!!」
「ニャア!ニャーン!!」
猫たちは少年に泣き声を出すが少年は蹴られた衝撃で意識を失いかけていた。それを示すかのように少年は指をピクリと動かしていなかった。
「さぁてさっさと、悪魔に転生させて……ああ?」
「ハァ、ハァ、ハァ………」
悪魔が疑念に思ったのは少年が大怪我負っているにもかかわらず立ち上がっていることではなく、少年を見たら寒気を感じたことだった。
(このガキはなんだ!?どうして俺が恐れている!?)
「そろそろ殺してやるとするか」
そんな主の様子をつゆ知らず少年にトドメを刺そうとした。他の仲間たちは少年とその悪魔のことを見もせずに猫と自分の主の方へ視線を向けた。
ブシャッ!!
辺りに生々しい音が響き渡った。
悪魔と猫たちは少年があの悪魔に殺されて血が吹き出た音と思ったのだろう。現に猫たちは目を閉じて顔を伏せていた。
「おい、ガキの死体はどうする………なんだと?」
悪魔は仲間と少年の方へ見るが予想とは違った風景が広がっていた。
「…………」
少年に最後の一撃を与えようとした悪魔の頭部はなくなっており、次第に粒子となって消滅した。
「テメェ!あいつに何を……」
「………………」
少年は次に来る悪魔に手を向けて悪魔に光の玉を当てた。光の玉に当たった悪魔は光の粒子と共に泡のように消滅した。
「し、死ねええ!!」
他の悪魔たちも少年を黒い玉で殺そうと攻撃するが、少年の放つ光の玉がそれを飲みこんで悪魔たちを消滅させた。
「テメエ、光の
悪魔たちの主は少年に動揺しながら問うが少年は焦点の合ってない目を悪魔に向けるだけだった。
「くたばれええええ!!!!………あがぁ?」
悪魔は手下たちより遥かに強力な黒い玉を放とうとするが自分が倒れかたことに疑問を感じた。かろうじて残った意識で自分の体を見るとその体には穴が空いており、その穴から光が漏れ出した。
「な、なんなんだよ……お前は………」
悪魔が少年を尋ねる前に光と共に消滅した。少年はそのことを何も口に出さず悪魔の様子を最期まで見続けた。
「あれ、ここは?」
少年が目を開けると見慣れた天井が目に映った。そこは少年の家だった。
「「イッセー!目が覚めたの(か)!?」」
少年の父親と母親が名前を呼ぶと何で自分がこんなところにいるのかを聞くと
「「ニャー!」」
二匹の猫が少年の体に飛び込み少年の体に自分の顔を擦り付け、最初の警戒がなかったかのように少年に甘えた。
「その猫ちゃんたちに感謝しなさいよ」
「え?」
少年の疑問に母親が答えた。
「その猫がね私の服を咥えて引っ張ってね、何かなと思って付いて行ったら大怪我したあなたがいたのよ。母さんびっくりしちゃった」
「「ニャーン♪」」
猫たちは自分たちが助けたんだぞと言わんばかりに鳴き少年の体にくっ付いた。
「死ねばよかったのに絞りカスが………」
双子の兄は弟を忌々しそうに誰もが聞こえないように呟いた。本人にとっては。
「「ニャ………」」
猫の姉妹は聞いていた。兄の囁きを
いかがでしょうか?
次はドライグが主役です。