Fate Zero After ##   作:焼肉大将軍

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精霊降し

 少し時は遡り、デパート屋上。

 マドカが戦車から落下する瞬間、彼女の半身は青白い炎に包まれた。マドカの魔術『精霊降し』である。これによって落下の衝撃に耐えた彼女は、跳ね起きると同時に地を蹴り跳んだ。

 同時に飛来した五つの短剣が彼女の影を射抜く。

 内一本が肩を掠め、マドカの白肌を赤く染めた。

 

「イッタいわね!! 乙女の柔肌に何て事すんのよッ!?」

 

 語気を荒げる彼女の顔には焦りがあった。

 その眼前に白面が浮いていた。アサシンである。

 勝ち目が無い。それは直ぐに理解出来た。

 アサシンは戦闘能力に秀でたクラスでは無いし、眼前の英霊のステータスは殆どがEかD。しかし、それでも英霊、超常の存在である。マドカを殺すのにそれほど時間は掛かるまい。ライダーが戻るまで数秒か、数分か。

 持ち堪える。

 マドカが意思を定めると同時に、彼女を覆っていた炎が一層強く燃え上がった。その意思を、

 

「諦めろ」

 

 押し潰すかの様な声が響き、同時に影が跳ぶ。

 空中より投擲される三つの短剣を前に、マドカは全力で踏み込む。狙いは『神威の車輪』に拠って砕けたコンクリート片。爪先が一片の巨大なコンクリートの塊を跳ね上げる。それはマドカを覆い隠す程のコンクリートの盾だ。

 短剣がコンクリート片に減り込んで止まり、ほっとしたのも束の間に、前方に跳ね上げたコンクリート片がマドカに向って落ちてきた。アサシンがコンクリート片に着地したのだ。

 

「舐めんじゃないわよッ!!」

 

 マドカの右腕が燃え上がり、突き出された右拳がコンクリート片を粉砕する。と、同時に、アサシンは跳んでいた。その手の短刀が煌き、マドカの腕が反射的に上がる。

 しかし、防御に意味は無い。アサシンの狙いは腕の動脈と神経、その切断だ。

 炎と鉄の煌きが交差する。アサシンの振るった短刀がマドカの肘から手首を這う様に滑り、そして止まる。同時に、彼女の足がアサシンの白面を下から蹴り上げた。

 蹈鞴を踏んで後退するアサシンと飛び退くマドカ。彼等の間に少し距離が開く。

 動く標的の橈骨動脈と正中神経を正確に狙ったアサシンの一撃は見事と言う他無い。しかし、彼の失敗はマドカを生身と見た事だ。彼女の半身は人形で出来ている。そして、『精霊降し』によって炎を宿した時のその強度は鋼鉄を誇る。また、神経も動脈も通っていないとなれば当てが外れたのは当然と言えよう。

 しかし、次は無い。

 そうと分かってしまえば、アサシンにとってマドカを解体するに然したる問題は存在しない。

 アサシンは両手の短刀を逆手に握り、だらりと腕を垂らして前傾に構えた。無造作な、獲物を狙う野生の獣を想わせる所作。そこにはライダーやランサーに見られる様な圧倒的な闘気も、殺気の奔流も存在しない。無機物の様な静けさと絶対的な死があるだけだ。

 恐らく、マドカがアサシンの放つ殺気を感じ取った時には、その首が宙を浮いているに違いない。

 マドカが更に距離を取ろうとして、背後から声が掛かり、

 

「随分粘るもんだ」

 

 狗城の拳が迫る。

 マドカは弾かれた様に振り返り、弧を描いて顔へ迫る裏拳を咄嗟に腕を上げて受ける。

 衝撃に腕を包んだ炎が揺らめき、鋼鉄を誇る筈の腕が軋みを上げる。狗城が無造作に振るった裏拳は正に鉄槌の如し。マドカはその衝撃に逆らわず、咄嗟に後方に跳び退く事で威力を殺そうとして、不意にその体勢が崩れた。

 跳び退こうとするマドカの足に、狗城の踵が掛かっているのだ。踏み込んだ足を相手の足に絡めて体勢を崩す、中国拳法における梱鎖歩と呼ばれる技である。

 咄嗟にマドカは狗城の袖を掴み、倒れようとする身体を持ち堪える。

 

「素人が」

 

 失敗を悟った時にはもう遅い。袖を掴むマドカの腕を狗城が取った。瞬間、膝が折れる。崩しに拠って前のめりにつんのめったマドカの顔を、待ち構えていた狗城の左の掌打が迎え撃つ。咄嗟に顔を庇った左腕の防御を跳ね除け、強かに打ち込まれた掌がマドカの顎を意識と共に跳ね上げた。

 一瞬の暗転の後、白く明滅し、揺れる視界。脳震盪に拠ってマドカの意識はそこで途切れた。

 

 

 

 狗城が止めの一撃を繰り出すべく腕を振り被り、同時に、アサシンが彼等へと跳び掛かる。

 元より敵同士。アサシンはどちらの獲物も逃がすつもりは無かった。

 先程ランサーのマスターを助けたのは、戦闘を継続させ、ライダーのマスターを殺すべく手を貸しただけの事。邪魔なサーヴァントがいないとあれば、ここは暗殺者の狩場に過ぎない。

 その時、マドカの口が動いた。

 

「『憑鬼装』」

 

 同時に、強烈な前蹴りが狗城の腹を貫いた。衝撃に狗城は後方へと跳ね飛ばされ、欄干に背中から打ち付けられる。反動でマドカは逆方向へ跳び、欄干の上へと着地した。

 結果、獲物が左右に跳んだ事でアサシンの襲撃は空振りに終わる。

 

「ぐ、これは、奥の手って奴か? ま、結果的に助けられたな」

 

 口角から流れた一筋の血を指先で拭い、立ち上がりながら狗城は眼前の敵、一人と一体を見据えて笑みを浮かべる。不敵な笑みは彼の形相と相まって凶相を作り出す。

 狗城に然程のダメージは無い。蹴り込まれる瞬間、咄嗟に後方に跳び退き威力を軽減し、吐納で極限まで強化したその鋼の様な腹筋で耐える。先の蹴り、彼で無ければ即死だった筈である。しかし、最も気に掛けるべきは、その威力ではない。

 先の一撃には起こりが無かった。先程までの大振りの拳打とは大違いの、洗練された一撃である。何より、狗城の掌打は確実に彼女の意識を刈り取った筈なのだ。

 何らかの魔術と見て間違いあるまい。

 狗城は欄干の上に立つマドカを見る。青白い炎が全身に纏わり憑き、何処か遠くを見る様な目で妖艶に笑う彼女の姿は如何にも尋常ではない。

 とはいえ、最大の問題は狗城とマドカに挟まれた形で沈黙するアサシンに違いなかった。

 ランサーは何をやっている? アサシンの隙を突いて令呪を切るべきか。

 狗城がそこまで考えた時、大きくデパートが揺れた。この場の誰も与り知らぬ事ではあるが『神威の車輪』の着弾であった。一瞬、ではあるが、その場の誰もがそちらに意識が逸れた。否、ただ一人、意識を失っているマドカを除いてだ。

 この時、マドカは確かに気を失っていた。

 しかし、彼女の全身の魔術回路は澱みなく魔力が循環し、半身を覆っていた炎は今や全身を覆っている。そして、その炎に操られる様に、彼女は跳び上がった。

 『憑鬼装』――マドカが『精霊降し』を使った状態で意識を失うと、人形部に憑依させていた悪霊、魍魎の類は彼女の全身へと浸食を開始する。身体の支配権を乗っ取りに掛かるのだ。この習性を利用し、いざという時自動的に、自らを人の限界を超えた超人と成す魔術である。

 問題は本人の意識が消失しているが故に、制御が全く効かないと言う事だ。

 跳び上がったマドカが腕を振ると同時に、その腕に絡み付いていた炎が幾つもの炎弾と成って狗城、アサシンへと降り掛かる。しかし、遅い。

 狗城とアサシンは炎に呑まれる事無く、その隙間を縫って駆ける。狗城はアサシンを見据えながら距離を取り、アサシンはマドカへと迫る。その時である。空中で炎がその形を変え、怨霊と成って彼等へと襲い掛かったのだ。

 

「ぐ、うぁあぐおおおおおおおおお!!」

 

 避けた筈の炎に巻かれ狗城は身を捻ってのたうちながらも、咆哮と共に渾身の力で全身を振るい、放った発勁で炎を振り払う。耐熱仕様のコートと耐火のアミュレットが無ければ焼け死んでいたに違いない。その頬から左目にかけてが焼け焦げ、炎の明りが幽鬼の如き形相を更に凄絶に浮かび上がらせる。

 

「やってくれたな。殺すッ!!」

 

 狗城は言うと同時に殺気を指に込め、空中へと向ける。気弾に拠る狙撃の構えだ。

 一方、その視線の先、空中にて、向い来る怨霊の炎を切って跳び上がったアサシンはマドカと相対していた。

 

「うふふ、あはははははっはははっははは」

 

 狂った様に笑いながらマドカが炎を放つ。炎は怨霊と成って膨れ上がりアサシンへと迫る。それを銀の輝きが一撃の下に両断した。相手は英霊。怨霊を切り払う等訳は無い。しかし、その時にはマドカはアサシンへと接近を終えていた。

 炎の噴射による高速落下である。そして、怨霊を切り払った一瞬の隙を突き、マドカの振り下ろした拳が真っ直ぐにアサシンへと突き刺さる。

 完璧なタイミングだった。

 しかし、相手は英霊。今のマドカが超人ならば、敵は魔人とも言うべき存在。

 直撃と見えたマドカの拳を、アサシンは掴み取っていた。マドカがその手を振り払う間もなく、アサシンの短刀を握った腕が翻る。最早、その一撃をマドカに防ぐ術は無い。

 ナイフの銀光が真っ直ぐにマドカの首へと走り、不意に弾けた。

 アサシンの手から血飛沫が舞い、ナイフが落ちる。流れ弾であった。狗城がマドカへと放った気弾が、攻防の一瞬、彼らが縺れ合った為にアサシンの手の甲に命中したのだ。

 これは狗城が激昂し、狙いが逸れた為であったが、彼はアサシンへの着弾を見て即座に冷静さを取り戻す。アサシンを討つこれ以上無い好機であった。

 

「運が無かったな。逃さんッ!!」

 

 狗城の指が空を切る。と、同時にアサシンの右手の甲へと撃ち込まれた気弾が、血流に乗って移動を開始する。狗城の放つ気弾は撃ち込まれた箇所より血流に乗って対象の各部を巡り、内部より爆破する浸透勁。対象が如何なサーヴァントとは言え、心臓を潰されては死ぬしかあるまい。

 しかし、無論、ただ死を待つだけのアサシンでは無い。

 即座にアサシンは掴んだマドカの腕を引き、体勢の崩れたその腹部へと膝を叩き込む。咄嗟に防御した腕が圧し折れ、マドカの身体がくの字に折れる。吐血とくぐもった呻きをその場に残し、彼女の身体はその衝撃にデパート屋上から地上五十メートルの空中へと弾き飛ばされた。同時に、アサシンの跳ね上げた脚、その大腿部に取り付けられた鞘から、一本の短刀が滑り出る。

 

「な、何だとッ!?」

 

 狗城が驚愕の呻きを上げたと同時に、宙に鮮血が舞った。

 空中にて短刀を掴み取ったアサシンが、躊躇無く自らの手首を切り落したのだ。

 気弾が体内を巡る前に撃ち込まれた腕を自切する。対魔力スキルを持たないアサシンに出来る、最も単純で確実な対処法だろう。しかし、言うは易し、行うは難し。

 即座に自らの腕を切断し、戦闘を続行するアサシン。その判断力、胆力は恐るべしと言わざるを得まい。もし手を切り落すのが数秒遅れていれば、気弾は腕から全身へと巡り、最早対処のしようも無くなっていた筈である。

 切り落された手とナイフが地面に落下し、次いでアサシンが舞い降りる。その漆黒のローブが揺らめき、その白面の奥、アサシンの血走った目が狗城を射抜いた。

 

「邪魔を――」

 

 その背後より、アサシンの言葉を遮る形で炎が襲い掛かった。蹴り飛ばされ、地上へと落下しつつあるマドカが放った怨霊の炎である。しかし、背後より襲った炎も、アサシンを捉えるには至らない。反転するアサシンに従ってローブがはためき、その手の短刀が弧を描いて炎を両断する。

 炎はアサシンを捉えるには至らなかった。

 しかし、その視界、意識を奪うには十分過ぎた。

 

「六大開拳八大招式・裡門頂肘ッ!!」

 

 その隙を、狗城が突く。

 その踏み込みは巧夫の極致。凡そ十メートルの距離を一歩で潰し、懐に跳び込むと同時に跳ね上がった狗城の肘がアサシンの腹へと打ち込まれる。片手を失い、炎を切り払ったばかりのアサシンにその一撃を防ぐ術は無かった。アサシンの身体が衝撃に宙を舞い、背中から激突した欄干をぶち抜いて、デパート屋上から空中と放り出されると、彼は成す術も無く落下していった。

 

「紙一重、命があるだけ儲け物か。まぁ、良い。とっととライダーのマスターを追え、アサシン」

 

 それを見送り、嘯いた狗城の足ががくりと折れる。その膝に一筋の朱色の線があった。そこから溢れた血が服を紅く染めていた。先程アサシンに一撃を入れた瞬間に受けた反撃の痕である。

 つくづく、怪物。

 狗城は渋い顔で一息吐いて煙草を銜える。

 それから傷の処置をするべく懐に手を伸ばし、反射的に振り返った。

 轟音と共に近付いてくる強大な魔力の畝り。

 そちらを見据えていた狗城が起き上がろうとして、足に奔った痛みに気を取られた。その直後、跳び上がった蒼い影が欄干を超えて屋上へと着地する。狗城のサーヴァント、ランサーである。その影がそのまま狗城へと向って、一直線に奔った。と、同時に、彼が駆け抜けたデパート屋上の一角が砕けて宙を舞う。

 コンクリートの床面を爆砕して奔った稲妻が、現れた威容を殊更に巨大に見せた。否、それに渦巻く強大な魔力の波動こそがそう錯覚させるのだろう。

 蒼影の軌跡を追って、猛進する二頭の雷牛に牽かれた戦車。

 ライダーの駆る宝具『神威の車輪』である。

 狗城が視線を傷口から戻した時には、視界は稲光を纏う巨大な雷牛で埋まっていた。

 それは如何ともし難い、死だ。しかし、笑いたくなる様な絶望的な光景は直ぐに掻き消える。狗城が腹部に衝撃を感じると同時に視界は回転し、コンクリートを映したかと思えば、夜空で埋まる。彼が空を仰いでいると自覚する前に、彼の身体は宙を舞っていた。

 

 

  #####

 

 

 一方、落下するアサシンは空中で体勢を整え、下方を落下するマドカへと相対していた。

 共に身動きの取れぬ空中、ではない。マドカの纏った炎が大きく膨らみ夜空に青い髑髏を描き出すと、それは鎌首を擡げた蛇の様にアサシンへと奔った。

 炎がアサシンへと喰らいつく瞬間、炎が闇に消えた。消失したのではない。アサシンが纏っていたローブを脱ぎ滑らし、炎を覆い隠す形で放り拡げたのである。見る間に漆黒のローブは炎に呑まれて焼け爛れ、同時にアサシンは跳躍した。

 ローブが炎に蹂躙される一瞬に、上昇気流を受けて気球の様に拡がったそれを足場に壁面へと跳躍したのである。更に彼は回避の瞬間、自ら傷を焼く事で切断した右腕の止血を施していたのであった。

 そのままアサシンは壁面を駆け下り、マドカへと迫る。

 一発、二発と続けて放られた炎弾が空を切り、デパート壁面へと着弾して、闇夜に大輪の炎の華を咲き誇らせる。しかし、アサシンを捉えるには至らない。この恐るべき暗殺者は壁面の小さな起伏や窓枠を蹴る事で方向を変え、追い縋る炎を避けながら恐るべき速度で壁面を駆け下っているのだ。二人の距離は次第に詰まり、地面が迫る。

 

「うふふふ、あはははあははははっは――」

 

 マドカの身体が猫の様に空中で反転し、彼女は道路上に伸びた街灯のポールへと着地する。衝撃にポールが圧し折れて、一瞬マドカの体勢が崩れた。と同時に、

 

「――殺った」

 

 アサシンが壁面を蹴って、マドカへと真っ直ぐに跳んだ。

 ナイフが空中で瞬き、街灯の明りを反射して煌きを空に残す。その美しい輝線は魔術師であるマドカに反応すら許さぬ速度で真っ直ぐにその首へと奔った。

 死。

 ぱっと咲いた血の華が彼女の頬を濡らしたが、悪霊に憑かれた今の彼女には分からない。

 しかし、そこに痛みが無かったのは間違い無かった。

 マドカの白くか細いその首に刃が食込むその刹那、横合いから飛来した大鉈がナイフを振るうアサシンの腕を切り落としたからだ。

 

「がッ、な、なにッ!?」

 

 苦痛と驚愕とに呻きながら、アサシンは弾かれた様に距離を取る。

 切断された腕が宙を舞い、飛来した大鉈はビルの壁面に埋まった。

 大鉈の飛んで来た方向を睨むアサシン。最早両手を失った彼に勝機等存在しまい。それでも霊体化しないのは英霊としての矜持か、それとも逃げ切れぬと悟ったが故の諦念か。

 否、彼は諦めて等いなかった。離脱の瞬間に拾い上げていた切断された左腕を、右の肘関節で挟み込んで切断面を器用に合わせる。ただそれだけで、アサシンの切断された左腕の指がぴくりと動いた。それだけではない。その腕の表層で揺らめく魔力の残滓。

 蛭だ。腕の上で蠢く大小無数の蛭がアサシンの腕に噛み付いていたのである。

 蛭は人を噛んで血を吸う事から害虫として忌避される一方、古来より医療に用いられてきた生物である。その唾液は血液の凝固を妨げ、漢方においては滋養強壮の効能を持つ。そして、昨今、接合した四肢の端部を蛭に血を吸わせる事で、その再生を促すという治療法が発見されている。

 その応用、魔力に拠って産み出された魔蟲を利用したマキリの再生魔術の効果であった。切断面の両側から腕に噛み付いた蛭。魔力を蓄え肥え太ったそれを起点に、大量の魔力がアサシンの腕を行き交っているのである。僅か数秒、アサシンの腕は既に握力が回復しつつあった。

 

「姿を現せ。何者だ?」

 

 アサシンが裏路地の闇の中に問う。それに応えるかの様に、

 

「ほう、腕が癒着した様だな。一体、どういう手品だ?」

「分からないけど、そのせいで逃げなかったのなら、失敗だったわね」

 

 街路地から顔を覗かせたのは二人。

 彼等は連れ立って表通りに歩み出ると、そのままアサシンと相対する。太刀を佩いた偉丈夫と大鉈を手にした少女、バーサーカーとそのマスター、金剛地武丸である。

 

「いざ尋常に、とは言えんが、来るが良い。暗殺者とはいえ英霊。戦って死ね」

 

 武丸はそう言うと、凄絶な笑みを浮かべた。

 

 





アッサシーン。
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