魔法少女リリカルなのはvivid~過去と未来と現代の交差~ 作:ガイル
にじファンで読んでくださいました皆様お久しぶりです^^
こたびは魔法少女リリカルなのはvivid~過去と未来と現代の交差~に足を運んでくださいましてありがとうございますm(_ _)m
なのはとFateの作品が好きでしたので、このようなクロスを考えて脳内構築を文章に書きとめようと始めました。
注意はしていますが誤字、脱字があるかもしれないのでご理解のほうをお願いします。
こんな作品を長い眼で読んでいただければ幸いです。
読者の皆様が興味を引けるような筆力になりますようがんばります。
14話目から文法を少し変えています。
・台詞の時の名前の削除
・……や!!などの統一化
途中から変わって読みづらいかもしれませんがよろしくお願いします。
追記2013/8/25~
第一章
・一話目から台詞前にキャラクターの名前を無くす修正し始めました。
・一部台詞などをわかりやすくするために修正し始めました。
では、一話目入ります。
一話“出会いと運命の交差”
「あなたが私のマスターですか?」
“それ”はこちらを見て静かに答える。マンションの一室に突然現れた女性。第一印象としては綺麗な女性。顔が整っており、その優しいそうな瞳は左右の色が違く、左眼が紅で、右眼が翠。背は低い方だが、その全体から漂うオーラは周りの空気を静まり返すほど張りつめている事が見てわかる。
服……ではなく、白と青を強調した騎士甲冑を着けて、ライトブラウンの髪は後ろでシニヨンの様に縛っている。そんな女性が今、俺の住んでいるマンションの一室のダイニングで赤い術式の書かれている魔法陣の真中から突然現れたのだ。
「……はい?」
俺はキッチンで料理を作っている最中だった。そこに、いきなりダイニングで目を焼くような眩しい閃光が発したのだ。驚いて目を瞑り、しばらくしてから目を開けると“それ”はそこに立ってこちらを見ていた。
その色の違うオッドアイはエプロンを付けず、黒いTシャツで黒いジーパンを履いて料理をしていた自分のことを映し出しているのだろう。
俺は頭に?マークを浮かべていた。
―――798航空隊 隊舎
俺の名前はガイ・テスタロッサ。798航空隊に所属している二等空士であり魔力ランクはC-。時空管理局に所属してから七年が立つが、未だに二等空士の魔力ランクC-。
時々思う。自分は魔導師には向いていないんじゃないかって。それでも辞表を出さすに所属し続けているのは努力を怠らないで精進していけばきっと成果は出るだろうと思っているからだろう。
同期に入った連中はどんどん昇格していくが。
「はぁ……」
俺は798航空隊の隊舎の横にある日の当たるベンチにコーヒーの入った紙コップを手に持って座って雲のない晴天の空を眺めていた。
隊舎の周りは芝生でひき詰めており手入れが行き届いている。そこに何個かベンチがあり、その一つに座っている。ここで先ほど考えていた事が大きなため息に繋がった。
「そんな大きなため息、どうしたの?」
そこに相手を優しく労わるような女性の声が後ろから聞こえてくる。
「あ、高町教導官」
振り向くとそこに居たのは高町教導官だった。
栗色の長い髪をサイドテールで結び、左手に紙コップを持ち笑顔で自分に寄ってくる。
この人の名前は高町なのは。四年前のJS事件を解決に導いた、機動六課のエース。あの大きな事件で高町教導官は大きな傷を負ったと聞いたが、二年前からご指導いただいた時から怪我をしているような素振りを一度も見せたことがない。
完治したのだろうか?まあ、訓練中に怪我が悪化して、高町教導官が倒れたりもしたら困るけどね。
高町教導官がこちらに歩いてきたので立ち上がる。高町教導官は俺が立ったのを見たからか右手を軽く振って俺の行動を止める。
「あ、いいよ。座ってて。隣いいかな?」
「え?あ、はあ。よろしいですが」
高町教導官は笑みを絶やさす、ありがとうと一言言って俺の隣に座った。立ちあがった俺も少し戸惑いながらもベンチに座る。
そして、高町教導官は紙コップに口をつけて一口飲んだ。黒い液体だったがおそらくコーヒーだろう。
「ふ~、やっと一息つけた~」
高町教導官の表情が少し緩んだように見えた。昼休みに入っても仕事をしていたのだろう。かなりのハードワークなんだと思う。
「で、何かあったのかなガイ君?そんな大きなため息ついて」
高町教導官はこちらに顔を向ける。
「あ……いえ、さほど大きな問題ではありません、高町教道官」
そう答えたのだが、高町教導官は目を瞑って首を振った。
「あ、いいよ。今はお昼休みだし“なのは”で」
「公私混合はよろしくないかと」
「あんまり頭が硬いとこの先大変だよ~」
高町教導官は悪戯な笑みを浮かべて、にゃははと笑う。
そう、俺は高町教導か……なのはさんとは知り合い。二年前になのはさんが戦技教導官としてこの798航空隊の指導教導官になったのが初めての出会い。
訓練初日になのはさんとヴィータ教導官が部隊全員と模擬戦を行うと言われ、皆呆気に取られていたが流石はJS事件を解決した機動六課部隊のエース達。戦術を作ろうが戦略を練ろうが束になっても2人に傷1つ付ける事が出来なかった。
それでも俺は最後まで立ちあがって2人に挑み続けた。当初の魔力はDだが、魔力ランクは低くても、体術や動体視力、反射神経などを徹底的に鍛えているため状況を素早く飲み込み、赤やピンクの魔弾を避け続けて、設置型バインダを避け、2人に近づいた。
そして、2人のプロテクションにやっと一太刀与える事が出来た。その時2人は驚きの表情だったのを確認して砲撃で記憶が刈り取られた。
『魔導師としてガイ君は才能あるよ。どんな時も諦めないで向かってくる不屈の心を持っているしね。これからもよろしくね』
その後になのはさんから言われてそこから二年の月日が経ち今に至る。
この出来事だけじゃあ、ここまで気軽に話せる人にならないがきっかけはもう一つあった。それはまた後に。
ヴィータ教導官も一緒にやってくることもがあるが、今日はなのはさんだけのようだ。
「わかりました。“なのはさん”でいいですか?」
「はい、よくできました」
なのはさんは名前を呼ばれて嬉しかったのか満面の笑みを向け、俺の頭を撫でてくる。正直恥ずかしい。
「あ、あまり子供扱いはしないでください……」
俺は羞恥心からなのはさんを視界から外す。
「ああ、ごめんね。そんな年じゃないもんね」
なのはさんは笑いながら本当に分かっているのか、からかう様な口調の軽い声で言って俺の頭に乗っけていた手を離して、再びコーヒーを飲む。俺も照れ隠しのため手にある紙コップに入っているコーヒーを飲む。
ぬるい……。
考え事していたからか、時間がたち生ぬるくなっている。コーヒーの味わいが無くなっていた。
「で、そのさほど大きな問題ではないことに対して大きなため息をしているガイ君は何をしているのかな?」
そして、軽い口調から元に戻したなのはさんは振り出しの話に戻してきた。仕方なく俺は説明した。
「時空管理局に入ってから七年経って、もう18歳です。ここ最近は魔力ランクも位も上がらず、C-の二等空士で留まってます。なのはさんに才能があると言われましたけど、ちょっと不安になりまして。俺には才能がないのかなと」
俺は雲のない空を見上げた。なのはさんは隣で一生懸命聞いてくれているようだ。表情が真剣さが表情に出ているのが分かる。何も言わずに耳を傾けてくれているので俺は話を続ける。
「それに同期の奴らもどんどん昇格していきますからね……凹まない理由がありませんよ」
「……そっか。でも、諦めちゃダメだよ」
なのはさんの言葉には今まで挫折に近い経験をしてきたような重く深みのある凛としたモノが含まれていたからか真っ直ぐ自分の胸に突き刺さった。
俺はそれを聞いてなのはさんの方へ顔を向ける。表情も瞳も悲しそうというというがぴったりな顔だった。
「諦めたらそこで成長は止まっちゃうからね、どんな時も諦めない事が大切だよ」
ぐっと拳を俺の方へ向けた。その瞳は先ほどの悲しみは無く、決して諦める事のない強い目をしていた。
「なのはさんにもそんな経験が?」
「うん……私も辛い現実を突き付けられて諦めたくない夢を諦めなければならい時があったんだ」
「……」
なのはさんは一度言葉を区切ってこの晴天の空を見上げる。その横顔は先ほどの真剣さは無く、静かに笑みを溢していて表情から感情が読み取れない。
何の話をしているのだろう?JS事件の事か?それともまた別の?
そう考えているうちになのはさんは話を続ける。
「でも、諦めきれなかった。諦めたくなかった夢があった。だから私は頑張ったんだ」
「……教導官になるのが夢だったんですか?」
「うんっ」
俺の問いに即座に答えて空を見上げていたなのはさんは笑顔になってこちらをみる。その笑みは心の底から本当に嬉しいと思っているように嘘偽りもない表情だった。
「……そうですか」
俺はそれを見て、まだ諦めるには早すぎると思った。なのはさんのように頑張ってみようと思った。俺もなのはさんに笑みを返した。
なのはさんが俺に拳を向けてくる。俺もなのはさんが差し出している拳に俺の拳をぶつける。
「まだ、頑張ってみます」
「“まだ”じゃない、“もっと”だよ……“まだ”じゃ“いつか”挫けちゃうよ。だから、もっと頑張って」
なのはさんから一言貰って満面の笑みをもらった。そして付け足す。
「それに、ガイ君は魔力値がC-だろうと、それを補っている部分が多いよ。もし、魔力値がB以上になったら私も勝てないかも」
そんなことないですよ、と俺は言った。なのはさんはふふっと笑い、紙コップに残っている残りのコーヒーを飲み終えて立ち上がる。
「さ、午後からは厳しく行くからね」
座っている俺を覗き込みながら言った。
「……お手柔らかにお願いしますよ」
俺も立ち上がり、俺達は演習場へ移動した。この話で俺の中でもっと頑張らなければならないと感じながら。
「本日の指導ありがとうございました!!!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
演習場で本日の訓練が終わり、戦技指導官であるなのはさんに一同は礼をする。部隊の皆のバリアジャケットはかなりボロボロだ。服の所々に大きな穴や破れた後、焦げてたりもしている。指導が厳しい事がよくわかる。
「はい、皆さんもご苦労さま。しっかりダウンして疲労を取ってください。それではお疲れ様でした」
対してなのはさんのバリアジャケットは何一つ傷が付いていない。やはり流石は元六課のエースというべきか。
俺も一生懸命近づこうとしたが今日は一太刀を浴びせる事が出来なかった。
最初の時と何が違っていたのだろうか?
「「「お疲れ様でした!!!」」」
そんな事を考えつつ最後に礼をして皆は隊舎へ歩を進めていく。
「あ、ガイ君」
俺も隊舎へ戻ろうとするとなのはさんに言葉を掛けられた。俺は歩を止めてなのはさんの方へ振り向く。
「今日もあそこへ行くの?」
「はい、やらなければ鈍りますから」
「そっか。それじゃあ、あの子の事よろしくね」
なのはさんは両手をくっつけてお願いするようなポーズを取って少し屈みながら苦笑している。
「ええ。わかりました」
俺は踵を翻して隊舎へ戻った。
―――中央第4区公民館 ストライクアーツ練習場
ストライクアーツはミッドチルダで最も競技人口の多い格闘技であり広義では『打撃による徒手格闘技術』の総称でもある。
俺はデスクワークを終わらせて、ここにやってきた。
ストライクアーツは4年前に始めた。4年前のJS事件の時にガジェットの大群を止めようと必死に街を守っていたが、魔力値の低さからガジェットを止められず何機も街へ流れてしまった。
一生懸命訓練にも励んで、これでどんな敵からも街を守れると思っていたがその幻想は簡単に打ち砕かれた。
俺には決定的に魔力が足りていない。ならそれを補う何かを鍛えよう。そう考えて始めたのがこれだ。今では結構な実力が付き有段を貰っている。
まあ、これの実力が上がろうと、魔法のサポートや魔弾を避けるのに使うぐらいだからあまり意味はないけど。本当に戦うための補佐的なモノだよな。
「あ、ガイさん!!」
考え事をしていると後ろから元気な声で俺を呼んでいる声がした。俺は振り向くと、そこに居たのは動きやすい運動服を着た小さな女の子が三人いた。
「よ、ヴィヴィにコロにリオ。来たか」
頭に黄色いリボンを縛って濃い紫色をした髪をショートカットにしている黄緑色の瞳をして八重歯が目立つリオ・ウェズリーと、クリーム色の髪をツインテールにしてキャンディの形をしたゴムで結んでいる青色の瞳で大人しそうな雰囲気を持っているコロナ・ティミル。
そして、声をかけた張本人であるライトブラウス色の髪を両サイドでちょっと縛るツーサードアップ風にした髪型に、左眼が紅く右眼が翠の虹彩異色の高町ヴィヴィオ。
3人は笑顔でこっちに向かって走ってきた。ヴィヴィオはなのはさんの愛娘なのでなのはさんからよろしくと言われたのはこのヴィヴィオの相手をする事だ。
「こんにちは、ガイさん!!」
「こんにちは!!」
「こんにちは、ガイさん」
元気いっぱいの3人組みだ。見ているこっちは微笑ましくなる。
「ガイさん。今日もよろしくお願いします」
ヴィヴィオが明るく話を掛けてくる。
「んじゃ、やるか」
「「「はい」」」
俺はここに来るとこの三人組と組手をやることが多い。
一年前にストライクアーツの有段を取った頃、ここでちょっとしたイベントが行われた。
来た人全員の対戦をシャッフルして、トーナメントを行うものだ。
身内どうしてやることが多いストライクアーツは交流を増やしていこうという考えのもと、当日にスタッフの人に言われたので会場内はどよめいていたが、いつも適当に相手を選んで組手をしている俺にとってはあまり関係がなく、軽い気持ちでトーナメントに参加した。
ここは民間の人が利用している事が多いので有段者はあまりい無く、それほど苦戦せずに決勝まで上り詰める事が出来た。
そして、決勝戦、対戦相手を見た時は驚きを隠せなかった。左眼が赤く右眼が緑の虹彩異色の小さな女の子、ヴィヴィオだったからだ。小さな女の子がここまで勝ち上がったことに疑問が残る。
しかし、開始前に女の子はなのはさんが使っていたレイジングハートに似ているデバイスを持っていてそれを使い、なのはさんと同じサイドテールをした女性になった。たぶん、代役のデバイスだったのだろうとあの時思った。
それを見たため、疑問は晴れてその女の子はなのはさんと関係のある子供なのだろうという推測へたどり着いた。
そして、試合はギリギリ勝つことが出来た。
それがきっかけで女の子……ヴィヴィオと通信端末のアドレスを交換して、組手をしたい時にはメールをするようになった。
名前を聞いた時、推測していたもは確信へと変わった。なのはさんの養子の名前と同じだったのだから。それなのでなのはさんとの交流も少しずつ増えていき、気軽に話せる仲なった。
これが前の時に言っていたもう一つの理由だ。ヴィヴィオと知り合ってから、コロナやリオ、ヴィヴィオの師匠であるノーヴェとも知り合った。そんな出会いがあって今の俺がここに居る。
俺たちはまずは体を解すためストレッチを始めた。
「でも、やっぱり有段者であるガイさんとこうやって一緒に練習できるのはいいですね」
リオは八重歯をちらちらと見せながら笑みをこぼす。なんとも愛らしい。
「お前たちは結構レベル高いし素質もあるからな。組手の相手として申し分ない」
「あ、ありがとうございます」
コロナは褒められたからか俯いて顔を赤くした。こういう表情も愛らしい。
「私たちはガイさんから見れば強いのですか?」
ヴィヴィオは首をかしげながら疑問を聞いてきた。
「ああ。判断力と状況把握力があるのがわかる。正直、ここに居る奴らよりも3人の方が強いと俺は思っている。コロナは初心者クラスと言ってたが実力者として申し分ない」
俺が褒めてばかりいたからか3人は笑顔になっていた。リオなんかは瞳に星が輝いている。
子供は褒めてやれば成長するからな。そうしなくても十二分に強いけど。
こういう話をしているうちにストレッチは終わった。筋肉の緊張が少し取れた感じがする。俺はもう一度、腕をクロスして腕の筋を伸ばした。
「んじゃ、軽く組手するか」
「「「よろしくお願いします」」」
3人は礼儀正しく頭を下げた。
「お手柔らかに」
それを見て俺も礼を3人にして組手を始めた。
「今日も楽しかったです!!」
「こっちもいい運動になるよ」
ストライクアーツの練習が終わり、俺たちは中央第4区公民館から帰路を歩いている。
最近は連続傷害事件がこの付近で発生しているらしく、この子達と練習したら帰りは家まで送るようにしている。組手をしてもらって帰る時間が夜になるのだから送るのは必要なことだろう。
俺と練習して遅れたから夜の暗い道で傷害事件に会いました、だと申し訳ないからな。
いつもはノーヴェもいるのだが今日は仕事が忙しくて来れないらしい。そういう連絡が来ていた。
「今日も家まで送ってくださいましてありがとうございます」
コロナが頭を下げて礼を言う。
「気にするなコロ。最近ここら辺も物騒だからな。子供達だけで帰らすわけにもいかないだろ。組手をしてもらっているんだからその分のお礼だ」
「ありがと、ガイさん♪」
ヴィヴィオは嬉しそうな口調で言った。表情も笑っている。他の2人も同じような表情だ。
「っと、そうだ。ほれ」
俺は先ほど缶ジュースを買ったのを思い出した。それを鞄から取り出す。オレンジと書かれている黄色い缶ジュースだ。
「冷たいから美味しいと思うよ」
「貰っていいんですか!?」
リオの目がこの缶ジュースを見て輝いている。
「ああ。今日のお疲れさんのジュースだ」
「ありがとうございます」
「わあ、ありがと」
3人に缶ジュースを渡す。皆はさっそく蓋を開けて一口飲む。よほど喉が渇いていたのだろう。そして、笑顔になった。
「「「ありがとうございます」」」
こっちこそ元気いっぱいな笑顔を見せてくれてありがとう、だよ。お前らの笑顔を見ていると和むからな。
俺は笑顔で答えた。そうしているうちにリオの家へ着いた。
「じゃあ、コロナ、ヴィヴィオ、ガイさんまたね~」
リオは元気に手を振って踵を翻し、家の玄関に入って行った。
そして、少し進むと今度はコロナの家に着く。
「では、ごきげんよう、ヴィヴィオ、ガイさん」
コロナは一礼をして家に入った。
「最後はヴィヴィか」
俺たちはヴィヴィオの家に向かって歩き出す。
「あ~あ、ガイさんともっとお話ししたいな~」
「俺よりかはなのはさんと話していた方がヴィヴィの為になると思うぞ」
「……そういうわけじゃないんだけどね。コロナもリオもきっとガイさんともっと話をしたいと思うよ。私もコロナもリオもガイさんの事、尊敬しているよ」
ヴィヴィオは一瞬悲しい表情をしたかと思ったが、すぐ笑顔になり俺を見上げる。
「俺はただのC-の二等空士だ。時空管理局に勤めてから七年経った今もこの地位でこのランクの低ささ。尊敬できるモノはないと思うが」
そう言ったが、ヴィヴィオは目を瞑り首を振って否定した。
そして、光彩異色の目を開いて俺を見上げる。
「ガイさんはとても優しいです。ガイさんには魅力的なもの……と言うと変ですね。尊敬できるモノ?うん、尊敬できるモノがガイさんにはあります。私が保証します。ですからそんな自虐的な事を言わないでください。こっちまで悲しくなっちゃいますから」
ヴィヴィオは最後に笑顔になった。流石は親子と言う所か。思いやりが人一倍強い。なのはさんにも励まされた。
なのはさんから聞いた話だが、子供であるヴィヴィオはJS事件の時に利用され聖王のゆりかごのカギとなってゆりかごを飛ばした張本人だ。ヴィヴィオは“最後のゆりかごの聖王オリヴィエ”のクロ-ン体“聖王の器”であり、古代ベルカ王族の固有スキル“聖王の鎧”を保持していた。
古代ベルカ王族は自らの体に生体兵器“レリックウェポン”としての力をつけていたとされ、拉致された後スカリエッティによってレリックを体内に埋め込まれ、古代の戦船“聖王のゆりかご”の制御ユニットとして組み込まれしまった。
そこを機動六課が総力を上げてヴィヴィオを助け、ゆりかごは大気圏突破後宇宙で待機していたクロノ提督の船によって破壊された。
今、目の前にいるヴィヴィオは“聖王のクローン”としての自分の生まれも受け入れており、それを気にする事はもう無くなっている。
「ああ、ありがとヴィヴィ」
俺はヴィヴィオの生い立ちをなのはさんから聞いていたのでヴィヴィオの強い言葉に説得力を感じた。その言葉を信用しようと思う。
全く、なのはさんもヴィヴィオも如何してこうも強い気持ちを持てるんだかな。そして、俺の尊敬できる的なもの……なんだろうね。
俺はそう考えつつヴィヴィオの頭を撫でてながらお礼を言った。
「あ、ありがとうございます……」
何故かヴィヴィオは顔を赤くして礼を言ってきた。
「なぜ礼を言う?礼を言うのは俺だが?」
「そ、そだね!!私、何してんだろ!!」
ヴィヴィオは俺から視線を離し少し早歩きをして俺より前へ進んだ。子供の小さなコンパスサイズの足で歩いているとは思えないほど速さだ。俺も少し早く歩かないと置いていかれそうになる。
そして、ヴィヴィオの家ことなのはさんの家へ到着した。
高級住宅を思わせる庭付きの一戸建てでありここになのはさんとヴィヴィオは住んでいる。コロナとリオも高級住宅を思わせるような家だったがヴィヴィオの家もかなり大きい。
2人で暮らしているのに二階建の家は意味ないのではないか?とここに来るたびに思ってしまう。
「あ、ヴィヴィオ。おかえり~。今帰りなの?」
後ろから何時間か前に聞いた声がしたので振りかえる。そこには肩からバッグを下げて仕事帰りのなのはさんが立っていた。
「うん、ガイさんに送ってきてもらった」
ヴィヴィオは笑顔で答える。なのはさんはそっか、と言って俺の方に笑顔を向ける。
「ありがとね、ガイ君」
「いえ、練習相手になってもらってますから。このくらいはしないと。最近はここら辺も物騒ですからね」
俺は適切に答えた。
物騒な夜道になっているというのに子供1人で帰らすわけにもいかないしな。
「では、俺はそろそろ帰ります」
俺は挨拶もそこそこに終わらせて帰ろうとした。
「よかったらご飯食べていく?その方がヴィヴィオも喜ぶし」
しかし、後ろからなのはさんの言葉が聞こえてきて、食べていかないかと誘われた。
俺は物心がついたときから孤児院で生活していた。孤児院を出てからはずっと1人暮らし。だから俺は家族で食べる暖かな食卓に入りたいと思っていた。
なのはさんはそれを知っているからか来るたびに食べていく?と聞いてくる。なので家族の居るなのはさん宅に食事に誘われると断れない自分がいる。俺は振り向いた。
「……お言葉に甘えてもいいですか?」
なのはさんとヴィヴィオは俺の言葉を聞いて満面の笑みを向けてくる。その2人を見ていると夜も遅いというのにそこだけ明るく見えてきてしまう。
「それじゃあ、腕を振るって料理作らないとね」
「私も手伝う。ガイさんに食べてもらいたい」
2人はやる気満々で料理を作るようだ。
そんなに張りきらなくてもいいのに。でも、ありがとうございますだな。
俺は心の中でお礼を言いながらなのは宅に招かれた。
―――なのは宅
「何か手伝いましょうか?」
「ううん、大丈夫だよ。ガイ君はお客様なんだから座って待っててね」
なのはさんはキッチンで料理をしている。今は野菜を炒めている最中だ。隣でヴィヴィオがお肉を切っている。
なのはさんから何もしなくていいと言われたので俺はソファーに深く座り目を瞑った。
なのはさんの空戦実技にデスクワーク、ストライクアーツなどを一日でしているのだ。体に疲れが溜まっていないわけがない。
視界から入る情報は膨大な量なので脳では常に処理を続けている。それなので目を瞑ることで脳に情報を送ることを減らすことが出来るので少しは楽になる。そのかわり暗闇の世界が広がってしまうが。
それでも、なのはさんとヴィヴィオの話し声や食欲をそそる香ばしい匂いがしてくるので目を瞑っていても飽きる事がない。
と、そこにインターホンの鳴るチャイム音が部屋に響いた。
「ん?誰だろう?」
「私が見てくるね」
ヴィヴィオが出ていく音がするのがわかる。そして、少しすると戻ってきた。
「なのはママ~。フェイトママが来たよ~」
「あ、そういえば今日ご飯を食べにくるって言ってたっけ。忘れてた」
ヴィヴィオの声が弾んでいたのが聞いているだけで分かった。来てくれた人が大好きな人なのだろう。
フェイトさんが来る?
俺はその名称に反応して目を開けた。俺にとってもその人は気になる人物だ。
「こんばんは、なのは」
開くと同時に同時にフェイトさんが視界に入る。薄赤の瞳に長い金髪の髪を腰当たりで縛って、スタイルがかなり整っていて優しいオーラがフェイトさんの全体から溢れているのが何となくわかる。
「あ~、ごめんね、フェイトちゃん。今日来るってこと忘れてた」
「え?ひ、ひどいよなのは……」
フェイトさんはかなり落ち込んでいるのが見て分かった。忘れられたのだから仕方ないといえばしかたない。
そんな事を考えているとフェイトさんがこちらに顔を向いてきた。
「あ、ガイ。こんばんは。久しぶりだね」
さっきの表情とは一変、優しげな頬笑みを向けてくる。
「こんばんは、フェイトさん。久しぶりです」
フェイトさんが声をかけてきたので立ち上がる。
この人の名前はフェイト・テスタロッサ・ハラオウン。時空管理局の執務官をしている。テスタロッサが俺と同じ苗字なので、どこか遠い親戚で繋がっているんじゃないかなってちょっと思っている。
フェイトさん自身はそんなこと考えていないと思うけど。
それと時空管理局内で30歳以下の男子局員を対象に取った非公認の結婚したい人ランキングアンケートで堂々の一位を飾っているという噂が流れていた。容姿も美貌も包容力も備えているフェイトさんなら一位になるのも納得いっていた。
「今日はご飯食べに来たの?」
「はい。なのはさんのご厚意に甘えさせて頂きました」
「そっか。ねえ、もし良かったら私かなのはの家に来ない?1人暮らしはいろいろ大変だと思うよ」
フェイトさんも俺がマンションの一室で一人暮らしているのを知っている。孤児院から出てきたことも。
そのためか、フェイトさんと会うたびにこのように言ってきてくれる。
「私の家も別にかまわないよ」
なのはさんも笑みを浮かべながらこの会話に入ってきた。
「え?ガイさん!!ここに住むんですか!?」
ヴィヴィオもその純粋無垢な瞳に期待を込めて俺の事を見つめながら話に入ってきた。
正直に言えば、こんな美しい女性の方々と一つ屋根の下に暮らせるのは男としては嬉しいだろう。
「気持ちは嬉しいのですが、御二方のご迷惑になるわけにはいきません。今の生活でもしっかりとやっていけますのでこのままで」
しかし、俺はその申し出を断った。やはり赤の他人が他の家に上がりこむなんて事は迷惑極まりない。
そして、断ったことによりヴィヴィオが悲しい表情をしてしまった。
あんまり子供の悲しい表情はみたくないな。
「この~、断るなんて何事だ~」
なのはさんが冗談っぽく俺の頭に拳を軽くぶつける。全てが本気で言っているわけでもないが半分本気で言っていたのだろう。
「それなら困ったときには何でも言ってね。力になることがあれば協力するから」
フェイトさんは再び優しい頬笑みを向けてくれた。それを見ていると脈が少し早くなるのがわかる。正直、俺はフェイトさんの事が好きなのかもしれない。
「……本当に困ったことになったら、どちらかの家に居候としていてもいいですか?」
その言葉にヴィヴィオは明るい笑みを浮かべた。
「もちろんですよ!!ね、なのはママ?フェイトママ?」
なのはさんとフェイトさんに同意を得ようとしているヴィヴィオは本当に嬉しそうだ。
子供はやっぱり笑っていないとな。でも、その嬉しさは何処から来ているのだろうか?
「そうだね、私もフェイトちゃんも大歓迎だよ」
「うん♪」
ヴィヴィオの問いに2人も微笑んで肯定いた。
ここに居る人、皆、お人好しなんだな。
「ありがとうございます」
俺はそう思いながらも感謝の気持ちでいっぱいだった。こんな一兵士のためにここまでしてくれる人たちが居ることに。
―――なのは宅 玄関前
「ごちそうさまでした。料理美味しかったです」
玄関前に俺は立っていた。玄関にはなのはさんとフェイトさんとヴィヴィオがお見送りするために居る。
「気をつけて帰ってね。最近ここら辺で連続傷害事件が出ているから」
「送って行こうか?」
「いえ、大丈夫です」
フェイトさんは過保護すぎるような気がしてならない。
俺は18だぞ……まあ、フェイトさんから見ればまだまだ子供かもしれないが。
「ガイさん。またね~」
ヴィヴィオが手を振ってくる。俺も手を振った。
「では、失礼します」
俺は温かい家族と食事に満足したのを含めて一礼をして町の夜に歩きだした。
―――マンション
俺が寝食をしている部屋は三階の一室だ。階段を上って、二つ目のドアが俺の部屋だ。俺は鍵を鞄から出してドアを開けた。
「ん?」
開けたと同時に隣のドアが開いた。
そして、その中から1人の少女が出てきた。
「よう、アイン。これから出かけてくるのか?」
「あ、ガイさん」
ドアから出て来たのは碧銀の髪を特徴的なツインテールに結い、左の大きな赤いリボンが印象的なな少女。この子も虹彩異色で左眼が薄蒼で右眼が紫。
名前はアインハルト・ストラトス。隣同士という事なので、ちょくちょく話をしている。
「今から出かけるのか?夜は連続傷害事件の犯人がまだうろついているかも知れないぞ」
「い、いえ、きっと大丈夫だと思います」
アインハルトは少し戸惑いながらも俺の言った事にきちんと否定して答えた。
何処からそんな根拠が出てくるのだろうか?
「何処かに行くなら一緒に行こうか?まだ危ないし」
その言葉にアインハルトは首を横に振った。
「いえ、気持ちは有り難いですが大丈夫です。こう見えても私は強いですよ」
グッと拳を握る。可愛らしい服を着ているのでギャップが激しい。
「そう。なら気を付けて行けよ」
「心配してくださいましてありがとうございます」
アインハルトはそう言ってぺこりと頭を下げた。
「それじゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
俺は部屋に入ってドアを閉めた。
「……ガイさん、あなたともいつか一戦を交えるかもしれません」
私はガイが入って行ったドアをしばらく見つめた後、階段を下り始めた。
ガイさんに嘘つてしまいました……心が少し痛いです。ですが、これも悲願の為!!
グッと表情を険しくして私は夜の街へと出かけて行った。
『マスター。メールが一件届いています』
「おう、プリムラ。教えてくれてありがとな。開いてくれるか?」
『了解しました』
風呂上りに、机に置いてあった十字架のデバイス……プリムラからメールが届いている事を知らせてくれた。クロスしている部分に核があり、説明もしたからか点滅している。
プリムラがメールを開いて、濡れた頭をタオルで拭いている俺の前にモニターが現れる。
差出人………高町ヴィヴィオ
件名………明日の用事
本文………明日はお暇でしょうか?もし良かったら、コロナとリオを連れてガイさんのマンションに遊びに行きたいです。
「明日は休日か。予定もないしな」
あの三人組と知り合ってから、何度かこの部屋に遊びに来ることがある。趣味であるピアノ以外はあまりモノを置いていないので遊ぶ物はあまり無いのだが、それでもあの三人組は来るたびに喜んでいる。
俺はモニターを操作して返信のメールを作った。
件名………Re:明日の用事
本文………特に予定はないからいつでも大丈夫だよ。
簡単に書いて、返信した。そして、1分もしないうちにプリムラからメール受信を知らせてくれた。
差出人………高町ヴィヴィオ
件名………Re:Re:明日の用事
本文………ありがとうございます!!明日楽しみにしていますね!!お昼ごろお伺いします!!
メール呼んでいるだけでも元気なヴィヴィオを想像出来てしまう。俺はその内容を読んで苦笑してモニターを閉じた。
そして、ベッドに座ると体の気だるさがどっと現れて重く感じだ。
「ん、いい感じに疲れもたまってるし寝るか」
『おやすみなさいませ、マスター』
プリムラがおやすみを言ってきた。1人暮らしだと言う人が居ない。それは確かに寂しいがデバイスが挨拶をしてくれるのだけでも随分と寂しさが減る。
「……おやすみ、プリムラ」
そのことに感謝しつつ、俺はベッドで横になって目を瞑った。疲れが溜まっていたからかすぐに意識が闇の中に落ちていった。
―――なのは宅
「コロナとリオに送信っと。クリスお願いね」
私の部屋にはふわふわと空中を浮いている物体があった。私の専用デバイス“クリス”。
首に青いリボンを付けた見た目は小さいウサギの形をしているが、術式はベルカ主体のミッド混合のハイブリッドという高性能なデバイスである。
デバイス自身が動けるというおまけ付き。クリスは先ほどのガイさんとのやり取りの内容を編集してコロナとリオにメールを送信中だ。両腕を上げて、ジッとしている。
そして、送信が終わったのか両腕を下げて私に近づいた。
「ありがと、クリス」
その言葉にクリスは軍隊のようにビシッと敬礼した。それを見た私は笑ってベッドに移り、横になった。
「明日は久々にガイさんの家だ。えへ~……楽しみ」
私は少し顔が赤くなっているのがわかり、笑顔が絶えなかった。
―――翌日 昼
「ガイさんの家についたね」
「そうだね」
「入ろう」
コロナとリオと近くの公園で待ち合わせして歩いてやって来たのはガイさんが住んでいるマンション。
たまに来るけどここにガイさんが住んでいると思うとちょこっと緊張しちゃうよね。
私達はガイさんの住んでいるマンションの三階に上がって階段から二番目のドアの前に立っていた。札にはガイ・テスタロッサと書かれている。
私がインターホンを押す。しかし、出てこない。
「出てこないね」
「寝てるのかな?」
「もう一回押すね」
しかし、2度押しても出てくる気配がない。
「ん~、何処かに行ったのかな?」
「とりあえず連絡してみようよ」
そうだね、と私は言ってクリスに頼もうとしたとき、
「「「ひゃう!!」」」
いきなりおなかに低く響く音がドアから聞こえてきて私達はびっぐりした。
音の発生源はどうやら目の前にあるドアからだ。内側から何かがぶつかったのだろう。
「な、中で何があったの?」
私達3人は恐怖からの行動で少しドアから離れた。
「ガイさんに何かあったのかな!?」
「わ、わかんないよ!!」
「ど、どうしよう」
私達は慌て始めた。
もし、ガイさんに何かあったら大変だ。だけど、このドアを開けて部屋の中を調べたいけど怖いよ……。
そんな不安な事を考えていると先ほど何かがぶつかったドアが開いた。私達はビクッと体を震わせてゆっくり空きだしたドアを凝視して警戒した。
中から現れたのは、寝起きなのか頭がぼさぼさで、まだ少し寝ぼけている瞳を擦りながらこちらに顔を向けているガイさんが立っていた。
ガイさんの顔を見たことによってホッと安心感を得ることが出来て警戒を解いた。
私の早とちりだったことに恥ずかしかったですが、ガイさんになんとも無くてよかったです。
「ん、ヴィヴィ達か……ああ、だからこんな激しく起こされたのか。ったく、もう少し優しく起こしてくれ」
『約束したのですからちゃんと起きて下さい。私は何度もアラームを鳴らしたのに全く起きませんでしたよ』
ガイさんの胸には首から下げているデバイス……プリムラが核を点滅しながら不機嫌そうな言葉でガイさんを叱っていた。
「悪い、3人とも少し待っててくれ」
そう言って、一度ドアを閉めた。
「「「……」」」
私達3人は過ぎ去った嵐を見ているような表情だった。
一体なんだったのだろう?
心の中に残ったのは疑問だけだった。
「悪いな、来てもらったのに寝てて」
「ほんとです。お客さんが来るのだからちゃんと起きていてください」
4人はテーブルを囲んで座っていた。俺は戸棚にあったお菓子とお茶を用意して3人を上がらせた。俺は寝巻きから着替えて黒いTシャツで黒いジーパンだ。
「先ほどの音はいったい何だったのですか?」
コロナが先ほどの音について聞いてくる。俺もその時は寝ていたから分からなかったがその原因は分かる。
「あ~、たぶん俺がドアにぶつかった音だ。目が覚めたら玄関だし、後頭部が痛かったし」
『しっかりと起きて下さい。でないと今度はもっと強力な………』
「わかったわかった。ちゃんと起きるからこれ以上強力なのはやめてくれ」
まあ、俺がこんな時間まで寝ていたのが悪い。ヴィヴィオ達に迷惑をかけた。ヴィヴィオは怒っているのかさっきから頬を膨らませている。
「ヴィヴィ、本当にゴメン」
俺は不機嫌なヴィヴィオに頭を下げる。無駄な言い訳をせず謝ることぐらいしかできない。
「私は今日ガイさんの家に行くのを楽しみにしていたんです。それなのにガイさんはぐっすり眠っているし……」
うん、全面的に俺が悪い。約束したのに寝ていたのだから。
珍しくヴィヴィオは怒っている。膨らんでいる頬はなかなか縮まらないし、少し眉間にしわを寄せている。
本当に今日を楽しみにしていたんだな。でも、やっぱりあまりヴィヴィオには怒ってもらいたくないな。この子達にはやっぱり笑顔が一番似合うし。
「どうしたら機嫌を直してくれる?」
怒っているヴィヴィオを鎮めるためにも直接聞いた。ここで何かをしてヴィヴィオの機嫌を直しておきたい。
「……何でも言ってもいい?」
ヴィヴィオは俺の言葉を聞くと不機嫌な表情から弱気な雰囲気を晒しだして脈ありのような発言をしてきた。
「俺に出来る範囲のことならな」
「……ん……て」
ヴィヴィオは俯いて小さな声で言ったので聞き取れなかった。
「ん?なんて言った?」
ヴィヴィオは顔を上げた。よく見ると、顔が少し赤い。
「きょ、今日1日、お兄ちゃんって呼んでいい……?」
「え?」
「ふえ?」
先ほどの怒った表情ではなく、今にも逃げ出したいくらいに顔を赤くして不安げな表情を浮かべるヴィヴィオ。その言葉を聞いたコロナとリオは驚きの表情をする。
「え?」
脳が先ほどの言葉を分析できなかった。俺はヴィヴィオに怒られるような事をしたので何でも言う事を聞くことにした。当然、何か罰を受けるのだろと思っていた。
しかし、実際にヴィヴィオが言ってきたのは俺の事を1日お兄ちゃんって名称に変更するとだけだ。
思考がようやく動き始めた。明らかに変である。
「それで、ヴィヴィは機嫌が直るのか?」
「うん、お兄……ちゃん……」
「………」
今のはちょっとマズかった。ヴィヴィオの純粋の瞳が頬を赤くして上目使いでお兄ちゃんと呼んできたのだ。不意打ちにもほどがある。正直言えばすっごく可愛い。
「……呼んでもいい?」
「あ、ああ」
俺がヴィヴィオの二回目の問いに了承すると、ヴィヴィオは不安から一変して満面の笑みを見せつけた。よほど嬉しかったのだろうか。
「それなら私もお兄様と呼んでもよろしいですか?」
「私も兄さんって呼んでもいいですか?」
これに乗じて2人も俺の名称の変更に意見を述べてきた。こんな時間まで寝てしまい迷惑をかけたのはヴィヴィオだけではないので否定するつもりはなかった。
「ああ、構わないよ」
こうして今日1日、この子達の兄役を務めることとなった。
ヴィヴィオ達がカードゲームを持ってきてくれたのでそれを使って遊ぶことにした。
簡単にルールを説明すると初手5枚で猫のカードを使ってキャラやクライマックスカードを買ったりして、エンド時に手札を全て捨てて、新たにデッキから5枚カード引く。
デッキが無くなったら捨て札のカードをデッキにするので、捨て札を蓄えていき、他の人と対戦をして勝てば勝利カードをもらう事が出来るゲームだ。
それによって先に7枚勝利カードを揃えることが出来れば、このゲームの勝ちとなる。
対戦の時も対戦専用の山札のカードがあり、お互いにそれを1枚づづ引いてそこに書いてある能力修正を対戦しているキャラに付ける。
ここで変なものを引いてしまえばキャラが優秀でも負けてしまう事もある。
「それじゃあ、ヴィヴィオ。勝負!!」
「負けないよ、リオ!!」
キャラ的にヴィヴィオの方が優秀である。リオが先に対戦専用の山札を引いた。内容は竹刀だ。能力修正により数値が上がった。
「やるね、リオ。でも私も負けないよ」
ヴィヴィオも対戦専用の山札を引いた。内容はウニ。能力修正により数値が下がっだ。
「あ、私のキャラが勝った」
「え~、何であそこでウニなんて引くの~」
結果としてリオがのキャラがヴィヴィオの能力値の下がったキャラを上回ったのでリオの勝ちだ。
勝利カードがリオに1枚手に入った。
「あと1枚で私の勝ちだね」
リオは八重歯を見せながら笑っていた。現状、リオ6枚。ヴィヴィオ4枚。コロナ5枚。俺4枚だ。リオにリーチが掛っている。
「次は俺か。じゃあ、リオに対戦を申し込もうかな」
「いいですよ兄さん」
「……」
今まで“ガイさん”と言われ続けたので名称が変わるとどうも調子が狂う。
「……キャラはリオの方が有利か」
「これなら私の勝ちだね、兄さん」
リオは勝利を確信していた。俺は対戦専用の山札から1枚引いた。内容はウニ。先ほどヴィヴィオが引いたカードと一緒だ。キャラに能力修正により数値が下がった。
「あ、お兄ちゃん。それ引いたら最悪だよ」
どうもこの“兄”と言う言葉は聞くだけで背中がむずむずしてくる。
「でも、まだ大丈夫だよ、お兄様。リオが何を引くか分からないもの」
「いやいやいや、私の勝ちだよね兄さん」
そう言ってリオは対戦専用の山札からカードを1枚引いた。
皆して“兄”と呼びすぎではないだろうか?ワザとか?ワザと言って俺を悩ませたいのか?これが本当の寝坊した罰なのか?
俺は先ほどの3人のお願いごとに縦に首を振ったことに早くも後悔した。
「私が引いたカード、それは……うなぎ……パイ?」
リオが引いたカードの内容はうなぎパイだった。能力修正……大幅ダウン。
「ん?そうなると俺の数値が下がったキャラでもリオのキャラに勝てるのか」
能力修正の値をつけてキャラを見比べた。俺のキャラが勝っていた。恐るべしうなぎパイ。
「な、なんでこんなカードが入ってるの?これ引いたら勝てないよ」
リオが涙目になって抗議した。
「バトルがこのゲームの醍醐味なんだって。最後までやらないとわからないって書いてある」
ヴィヴィオが説明書に書いてあるものを読んでくれた。確かに分かっている勝負で勝負しても面白くない。ランダム要素があるからこそゲームというのは盛り上がる。
「なら、負けてたまるか」
リオはさっきの負けた試合とヴィヴィオの言った説明書の事を頭に入れ、それをバネにやる気を出した。
「盛り上がってきましたね。お兄様」
「……そうだな」
またしばらく“兄”を言われ続けるのだろう。そう思うと少しため息が出た。
「楽しかったです、兄さん」
玄関には3人組みが靴を履いている最中だった。結局あのカードゲームはやる気をMAXにしたリオが勝ってしまったのである。
「私はうなぎパイを2回も引いちゃったよ、お兄ちゃん」
逆にヴィヴィオはあれからここぞっと言う場面でうなぎパイを2回引いて勝負に負け、結果はビリ。
「私は可もなく不可もなくですね、お兄様」
コロナは三位。特に引いたものはあまり能力修正されるものが無かったので、ある意味安定の戦いが出来た。
「やっと“兄”の言葉に慣れてきた」
俺は初めてにしては好成績の二位。ただ、名称が変わったので慣れるまでが大変でカードゲームどころではなかった。三人は俺に何か話すたびに“兄”の名称を言ってくるのだ。慣れるまでが本当に大変だった。
そして、カードゲームの後は雑談したり、俺がピアノを弾いてあげた。皆がしっかり聞いてくれて弾き甲斐があった。
なんだかんだで夕方になってしまった。
「送らなくて大丈夫か?」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。まだ暗くないからすぐに帰れば」
「そっか」
コロナとリオが先にドアを開けて出ていった。
「あ、そうだ。お兄ちゃんに渡すものあったんだ」
「渡すもの?」
ヴィヴィオは何かを思い出したかのように鞄から何かを取り出す。
「はい、プレゼント」
ヴィヴィオが鞄から取り出したのはピンクの包み紙でラッピングされた包みだ。箱の上でリボン縛りをしている。明らかにプレゼント用だ。
「ん?貰っていいのか?」
「うん、いつも私達三人にいろいろなことに付き合ってくれて、ありがとうの気持ちをプレゼントにしたんだ」
ヴィヴィオは頬笑みを向けてくる。
「っふ。ありがとな」
こういう気持ちの籠った贈り物は貰うだけでも嬉しい。今の俺はきっと無意識に笑みを溢しているだろう。
俺はヴィヴィオの頭を撫でた。ヴィヴィオは嬉しそうだ。
「ま、まだ明けてもないのに喜んでくれるんですか?」
「贈り物は気持ちが大事だからな。ヴィヴィの言葉を聞いて物より気持ちで嬉しくなったよ」
「そ、そうですか。喜んでもらえてなりよりです。それじゃ、またね“ガイさん”」
「ああ。またな」
ヴィヴィオもドアから出て行った。最後のケジメなのか俺の事は“お兄ちゃん”と言わず“ガイさん”と戻して言ったのだろう。
俺は鍵を閉めて、部屋に戻る。
「なんだかんだで楽しかったな」
『マスターが楽しそうでなによりです』
机の上にあるデバイスであるプリムラが点滅しながら無機質な言葉で言ってくる。
「ヴィヴィからのプレゼントか……何が入っているんだろうな……まあ、何が入っていても気持ちが籠っているから嬉しいけどね」
そう言いながら、ピンクの包み紙をほどいていく。どんな物が入っているのか。そう考えるだけで気持ちが浮き立つ。
そして、包み紙を解くと箱が現れた。それを開けると、少し太い金属製の輪っかみたいな物が入っていた。
「……これはブレスレット?」
全体が銀色でライオンのレリーフが刻まれている。大きさ的に腕にはめれるサイズだ。そう考えるのが妥当だろう。
「へえ、カッコいいな」
俺はすぐにこのブレスレットが気にいったので、早速付けてみる。見た目ほど重みもなくすんなりと腕に収まる。
「うん、これは素敵なプレゼントをありがとう、だな。ヴィヴィ」
俺は心も満たされて満足したので、ブレスレットを外してテーブルに置いて、俺は夕飯の準備を始めるのでキッチンへ向かった。
「人からモノを貰うってのは嬉しいんだな」
『嬉しそうでなによりです、マスター。』
「ああ、嬉しいね」
そして、鼻歌を歌いながら冷蔵庫を開けて、夕飯の献立を決めて料理を作り始めた。
「今日は気分がいいし少し奮発だな」
冷蔵庫から取り出したのは、冷凍されている牛ステーキた。いい日にはこういうものを食べたくなる。
「たれを作るか」
それを自然解凍しながらたれを作りはじめた。しかし、事態は急変した。
『マスター!!未知の力があのブレスレットから溢れてきています!!』
プリムラが異様なほど大きい警戒音を出しながら、ブレスレットから未知の力が溢れ出して来たことを知らせてきた。
「え?」
ヴィヴィオから貰ったプレゼントから未知の力?どういう事だ?
俺はプリムラから聞いた言葉が気になりブレスレットのあるダイニングへ目を向けようとした。
しかし、それは突然やってきた目が焼けるほどの閃光に遮られて目を向ける事が出来なかった。
「っく。何が起こってるんだ!!」
『測定不能です。危険です。近づかないで下さい』
「だが、俺の部屋に予測不可能なことが起きているのは放っておけないだろ!!」
プリムラに近づくなと言われても俺の住居に変な事が起こると不味いので解決のために恐る恐る目を開けると、先ほどの閃光は無くなっていた。
が、今度は違うものがあった。
「……」
女性だ。視界に入って来たのは1人の女性だった。
第一印象としては綺麗な女性。顔が整っており、その優しいそうな瞳は左右の色が違く、左目が紅で、右目が翠。背は低い方だが、その全体から漂うオーラは周りの空気を静まり返すほど張りつめている事が視てわかる。あれは戦いで培ったオーラであろう。
服……ではなく、白と青を強調した騎士甲冑を着けて、ライトブラウンの髪は後ろでシニヨンの様に縛っている。赤い術式の魔法陣が足もとにあるのも確認できた。
その女性がこちらを向いて語りかけてきた。
……いったい何が起こっている?
突然の出来事に俺は思考が全く追い付いていなかった。
「あなたが私のマスターですか?」
「……はい?」
何が何だかわからなかった。閃光がいきなり発したと思ったら今度は騎士甲冑をつけている女性が居るからだ。この状況を理解を出来る人はこの瞬間はいないだろう。
つい先ほどまでは日常であるヴィヴィオ達と遊んでいたのにいきなり非日常に連れていかれてたような感覚だ。
「あ~、えっと……君は誰?」
俺はそう言って右手の人差し指でその女性を指そうとした。
「え?」
しかし、俺が気になったのは女性ではなくその手の甲に刻まれた紅い紋章。いつの間に刻まれたのか分からなかった。
「あなた様が私のマスターですね。何なりとお申し付けください」
女性はその紋章を見て俺の事をマスターだと言い出してきた。そして、相手に敬意を表するように片膝をついて頭を下げた。
……理解の範疇を越えている。一体何がどうなっていやがる。
「マスター?いったいどういう意味だ?それに君は誰だ?」
正直、整理が追い付かない。ただし、一つだけ印象に残り一番気になる点があった。突然現れた騎士甲冑の女性の目、虹彩異色。左眼は紅で右眼は翠のその瞳はまるで……。
「はい。私の名は……」
女性は顔を上げた。
“オリヴィエ・ゼーゲブレヒト”と申します。
書き出しの部分に戻るのにだいぶかかってしまったorz
結局はぜんぜん話が進んでいないって言うね………。
筆力がまだまだだなと実感しました。
次回はアインハルトが絡んでいく予定です。
しばらくはほのぼのが続きますかね。
原作がほのぼのですからねw
vividとfateはライトとダークですからここを入り混ぜていきたいですねw
一言感想がありますと嬉しいです。
では、また(・ω・)/
追記
主人公の設定です
ガイ・テスタロッサ
18歳
798航空隊 所属
二等空士
魔力のランクはC-
容姿はミッドガルにしては珍しく、ツンツンな黒い髪に黒い瞳。身長は175cmと一般男性の平均に近い。
運命を切り開くと言われている花言葉として
デバイスはプリムラと名前を付けられた。
デバイスはベルカ式。
日本刀のようなしなやかな刀で鞘も付いていることからガイはこのデバイスを抜刀術として使う。
物心がついた時には孤児院に居て、親に纏わる話は一切知らない。孤児院の園長曰く
「朝に孤児院の玄関の前で毛布に包まって泣いていた。」と言っている。本人は親の事に関してはあまり気にしていない。
孤児院は11歳の時に出て、798航空隊に所属。そして、4年前のJS事件によって11歳まで住んでいた孤児院が破壊され、園長や孤児たちは瓦礫の下に埋もれて、遺体となって現れた。
ガイは悲しみ、その事故から「魔法で誰もが不幸にならない世界を作る」と決める。
最初の頃の魔力のランクEと低かったが、7年間、努力をし続けてを通じてようやくC-までに成長。現在は管理局航空戦技教導隊の高町一等空尉の下で訓練されている。
ストライクアーツや居合などもやっており、魔力ランクは低くても、体術や動体視力、反射神経などを徹底的に鍛えているため状況を飲み込みやすくしぶとく戦う。ストライクアーツでヴィヴィオとも知り合って、たまに高町家にごはんを食べに行くこともある。
マンションの3階の一室に住んでいる。
趣味はピアノを弾く事。
口癖………お手柔らかに