魔法少女リリカルなのはvivid~過去と未来と現代の交差~   作:ガイル

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平日は書いている暇もない。

土日は仕事の疲れでぐったり。

それでも何とか書いていきます。

では、十二話目入ります。


十二話“集団と集団の交差(後編)”

 「アクセルシューター弾幕集中」

 

なのはさんの周りにピンクの魔弾がどんどん集まって来る。その一つ一つが星の光りのように見えた。それは私を貫くために集まっているのだろう。それでも私は前に進んだ。

 

「シュート!!」

 

一斉にピンクの魔弾が私に向けて飛んでくる。私はそれを“旋衝破”で軌道を変えて避け続ける。

その間になのはさんの砲撃のチャージが完了していた。

 

「ファイア!!」

 

真正面から来られると威圧感のある砲撃が私に向かって放たれる。けど、私は臆することなくその砲撃にタイミングよく右拳のストレートを当てる。

 

「あらっ?パンチで相殺!?」

 

なのはさんは予想外な出来事にちょっと戸惑った表情を浮かべた。私の拳で砲撃がはじけ飛んだ事に対して少なからず驚いているのだろう。私はそのまま拳を握り直して、なのはさんの元へと走り出す。

そして、握り直した右拳の中段突きを放つ。

 

「っと」

 

それを難なくなのはさんはデバイスでガードした。そのまま連撃を続ける。だが、その全てがガードされ、時には避けられている。攻めている気がしない。

 

読まれているみたいに防がれている。だけどこのまま攻め続ければ……。

 

私の気迫の籠った左拳がなのはさんのガードを崩した。

 

開いた!右拳廻打入るッ!

 

なのはさんの顔面に向かって、右拳を打ち込む。それがなのはさんに当たった感触はあった。

しかし、すぐに違和感が右手から現れる。

 

「っ!?」

 

右手にはピンクのバインドでしっかりと縛られて、腕までチェーンバインドが巻かれていた。

 

捕縛盾!?誘われた!!

 

ガードが開いたのもここに導くためにワザとガードを甘くしていたのだ。

 

昨日ガイさんとなのはさんの一対一を見ていましたが、ガイさんは魔弾を避け続けてここぞっという所で攻めずに止まりました。この設置型バインドを予測していたのでしょうね。流石です。猪突猛進な私とは大違いですね。

 

なのはさんは少し離れてデバイスを構える。その矛先に魔力が圧縮しはじめた。私を打ち抜くための砲撃だろう。

 

「くっ……!!」

 

私は必死にバインドを外そうと力を加える。

しかし、ギシギシ言うだけで外れることはない。

 

ガシュっと乾いた音がなのはさんのデバイスから聞こえてくる。空の銃弾が放出され魔力が高まった。砲撃はもう放たれてしまう。

 

砲撃!?避けられない。防御!?無理……。

 

私は絶体絶命の中で様々な思考をフル回転する。

そして、一つの結論が導き出された。

 

「エクセリオンッ……」

 

私は足先から力を加えていく。

先ほどのオリヴィエとの戦いで使った技、拳から魔力の真空刃を放つ“覇王空破断(仮)”。昨日の“水斬り”から試行錯誤で作った技。

足先から下半身へ、下半身から上半身への回転の速度を作り出し、その力で拳を押し出す。

その技を作り出す工程の回転の力でブチブチとその力に勝てず音をたててチェーンバインドが切れていく。そのまま、一気に拳を前へ押し出し真空刃を作り出しなのはさんに向かって飛んで行った。

 

「!?」

 

なのはさんは思わぬ攻撃に驚き、デバイスの矛先を私から離した。

そして、避ける暇もなくそれをマトモに受けたようだ。

 

なのは:2500→2000

 

私自身も驚いていた。オリヴィエの時よりも魔力が安定して放つ事が出来た。この短時間でここまで安定度を高められた事に喜びを覚える。いや、もしかしたらオリヴィエの時は少なからず緊張していたのかもしれない。だから、なのはさんの時は心を落ち着かせて放つ事が出来た。

しかし、いまは模擬戦中。そんな事を考えていると、なのはさんからの砲撃が飛んできた。

私は考え過ぎていたので反応が遅れ、その砲撃を何とか紙一重で避けるが、後ろにはすでになのはさんが大きく振りかぶって、周りにピンクの魔球と一緒に魔力が放たれた。

 

「ストライク・スターズ!!」

 

先ほどの砲撃とは比べ物にならない大きな砲撃が私に向かってきた。私はそれを受け流そうとした。だが、全く効かない。そのまま、砲撃を受けながら地面に叩きつかれた。

 

アインハルト:2300→80

 

私は体をうまく動かす事が出来ない。ダメージがかなり大きかったようだ。

 

受け流すどころか完全にのみ込まれた。あれが本物の砲撃。

 

「びっくりしたぁ。打撃の威力でバインドを砕いちゃった」

 

なのはさんは驚いた様子を浮かべながらその表情は嬉しそうだ。なのはさんは私に止めを刺すためにデバイスを構え直そうとした。

 

「あいたーッ!?」

 

しかし、なのはさんの後頭部にオレンジの魔弾がクリーンヒットして涙目になり、私への止めの砲撃は飛んでこなかった。

 

「いっっ……たぁ~~!!この弾丸ティアナ!?」

 

なのは:2000→1100

 

なのはさんが後頭部を擦りながら飛んできた魔弾の方を振り向く。私からも確認できた。そこに居たのはティアナさんだ。ティアナさんの周りにはオレンジ色の魔球がパッと見で数える事が出来ないくらいの量がチャージしてあった。

 

「アインハルト、よくやったわっっ!おかげでチャージとシフトも完了!これが赤組勝利の篝火……クロスファイア・フルバーストッッ!!」

 

ティアナさんの周りにある魔球から魔力が解放され魔弾が四方八方に飛んでいく。味方への援護支援の魔弾だ。これで戦況は私たち赤組の方へ優勢に傾く。

なのはさんがティアナさんに注意を向いている隙に私の真下にピンクの魔法陣がされて視界が変わった。

 

「おかえり、アインハルト」

 

FBのキャロさんが視界に入った。

 

今のが召喚魔法。

 

遠距離からのモノの移動を可能に出来る魔法。その魔法で私は敵陣からここまで一瞬にして戻ってこれたのだ。

 

「すぐ直すからまた前線復帰宜しくね」

「あ……はいっ!!」

 

キャロさんのデバイスから温かい治癒魔法が私のから全体を包み込む。傷が少しずつ消え始める。

 

「しかし、アインは凄いな」

「え?」

 

私は声がした方を振り向いた。そこにはガイさんが私と同じキャロさんから治癒魔法を受けて待機していた。ヴィヴィオさんと対決後、FBまで下がっていたのだ。なのはさんとの対決に集中しすぎてすっかり忘れていた。

 

「あ、み、見ていたのですか?」

「ああ。なのはさんにあそこまで近づいて一傷を負わせる事ができるなんてな。アインは凄いと思うよ」

 

先ほどの戦いをガイさんは見ていたようです。ちょっと恥ずかしいです。

 

「俺だとなのはさんの元まで行けないんだよね。最初の時は近づけたがそれは本当にたまたまだと思う」

 

そう言いつつ、ガイさんは左手に持っている刀を見て、握ったり離したりして感覚を確かめている。

 

「いえ、ですが私も猪突猛進でした。バインドに簡単に引っかかってしまいました。ガイさんのようにもう少し状況を理解できるようにしていきたいです」

 

私も先ほどの戦いで反省しないといけない部分が多々ありました。そこを直していかないと次へと進めません。

 

私が言った言葉にガイさんは笑みを零して右手を私の頭に乗せた。

 

「自分の欠点を見つけられたのなら後はそれを克服していくだけだ。頑張れよ」

 

そう言って、私の頭を撫でてくれた。キャロさんもいるのに結構恥ずかしい。

 

「ま、また子供扱いですか……でも、あ、ありがとうございます……」

「まだ子供だしな。年下とかは関係ないし」

 

私はガイさんから視線を離し、まだ私を子供扱いしているガイさんにちょっとムッとなりながらもお礼を言った。きっと顔が赤くなっているのだろう。自分でもわかる。

 

「仲いいね、2人とも」

 

そんな様子をキャロさんが微笑みながらこちらに顔を向けてくる。

 

「ま、部屋が隣同士で付き合いがちょっと長いしな」

「……ふふっ、そうだね」

 

キャロさんが何かを思ったのかちょっと間を置いてガイさんの言葉を肯定し私の方を優しく見つめた。まるで応援しているような表情で笑っている。

 

何を応援しているのかはわかりませんが。

 

「……え?」

「ん?どうしたアイン?」

 

私は少し戦場の雰囲気が変わったことが気になり声を出してしまった。それをガイさんが拾ってきた。私はぶつかり合う音が絶えない戦場を見つめた。ガイさんもすぐに気付いた様子で戦場を見た。

 

「……戦場の流れが変わっているな」

「ええ」

「あ、ルーちゃんとリオちゃんがこっちに接近中!!」

 

戦場の流れが変わったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ありゃ、ノーヴェが攻めてくる」

「ほんどだ!!」

 

モニターにはノーヴェがスバルを振り切って私たちFB陣へ高速移動で近づいてくる。ノーヴェは今のうちにルーテシアとヴィヴィオと私を潰すことを考えているのだろう。

 

ヴィヴィオ:2600

オリヴィエ:1300

 

「私はまだダメージが抜けていませんね」

 

アインハルトとの対戦後、それほど時間は立っていないので回復する時間が少なく、あまり回復されていない。前線に立つにはまだLIFEが心もとない。

 

「フリージアさんはまだ待機してて下さい。ルールー!私はこんだけ治ってればもーへいき!」

「うん……アインハルトもガイさんも治療中だし、コロナのゴライアスもダウンしてるここが好機かな」

 

ノーヴェが映っているモニターの他に、コロナの作りだしたゴーレムがダウンしているモニターとガイとアインハルトが治療を受けているモニターが表示された。

 

ガイとアインハルトは何か話をしているようですね。

 

そして、ここに居ない青組のメンバーのモニターも表示してルーテシアが発言した。

 

「青組のみなさん!予定よりちょっと早いですが、作戦発動しますッ!」

 

「『『了解ッ!』』」

 

ルーテシアの合図で皆が動き始めた。

 

「フリージアさんもある程度、回復出来ましたら援護をお願いしますね」

「はい、ありがとうございます」

「じゃあ、いってきまーす!」

 

ルーテシアとヴィヴィオも戦場へと走り出した。私はこのFB陣から戦場全体を眺めた。

いたる所で金属のぶつかり合う音や魔弾を打ち出す音がする。

青組の作戦。それは2on1の状況を作り出すこと。

ヴィヴィオとスバルでノーヴェに。

なのはとエリオでフェイトに。

リオとルーテシアでキャロに。

状況が有利に傾いたら行う各個撃破作戦。ガイとアインハルト、コロナのゴーレムがダウンしている今が確かに好機。

 

このような作戦に私も参加できなかったのは残念です。今は治療に専念しませんと。

私は目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先ほどティアナさんから連絡があった。防衛をしながら戦闘箇所をなるべく中心に集めてほしいとの事。そこに集束砲で一網打尽にするらしい。

 

「ガイさんとアインハルトは防護バリアで守るからそこでじっとしててね!」

「ですが……」

 

キャロもティアナの作戦を遂行するため戦闘を中心で行うために前へと行くようだ。

俺たちの居るFB陣にはルーテシアとリオが来ていた。リオは大人モードになっており、身長も伸びて濃い紫色をした髪はロングヘアーでチャイナ服のような格好だ。

やはり女性は髪形で随分と印象が変わるモノだ。

 

「リオも大人モードになれたのか。驚いた」

「えへへ~、この模擬戦まで内緒にしたかったんだけど、お風呂の時にびっくりして大人モードになっちゃったんだ」

 

俺が驚いていたからかリオは八重歯を見せながら嬉しそうな表情を浮かべる。

 

しかし、お風呂の時にビックリして大人モードになってしまったという状況って一体……。

 

「青組メンバー、そう簡単に落ちたりしないよ!そうだよね、コロナ!?」

『そのとおりですっ!』

 

コロナが映っているモニターが現れた。後ろには倒れていたゴーレムが起き上がり始めた。

 

「じゃあ、ここから離れるけどある程度回復したら援護してね」

 

キャロはそう言って笑みを向けて、俺たちからルーテシアとリオから離すためにFB陣から戦場へと駆けだした。ルーテシアとリオもキャロを撃墜するために後を追った。俺たちはキャロの防護バリアで守られていた。

 

「怖い気配がする。この乱戦、意外と早く決着がつくかもしれません」

「アインハルトはよく気配を読めるよな。俺は大雑把にしかわからない」

 

そうですか?とアインハルトは当然のような事をしているのに質問され、ちょっと呆けた表情で俺を見る。

 

「まだまだ未熟です。もっと鍛錬を積んでしっかりと気配の読みや技を磨いて向上しませんと」

 

アインハルトは気配だけではなく他にも強い部分を持っているのにまだ上を目指したいようだ。その切磋琢磨の気持ちの持ちようは流石といえる。

 

「……なんか、負けてられない気持ちになるな」

「え?」

 

ボソッと言った言葉はアインハルトには何を言っているのか分からなかったようだ。アインハルトのその切磋琢磨な構えの姿を見ると自分はまだまだ未熟なのだなと思った。

 

「何でもない。少し話しすぎたかな。俺は大雑把にしか分からないが戦場の空気も変化したのが分かった」

「……そうですね」

 

俺は目の前にモニターを表示させた。2on1をしている皆の戦闘状況だ。

 

『はああぁぁぁ!!』

『っぐ!!』

 

最初に見たのはノーヴェVSスバル&ヴィヴィオの対決だ。

スバルの右ストレートがノーヴェのクロスしてガードしている上からぶつかった。威力がデカイからか空中へと飛ばされる。その上からヴィヴィオが回し蹴りを放っていた。

 

『リボルバースパークッ!!』

『ああっ!!』

 

ノーヴェ: 1800→240

 

2人の連撃にノーヴェのLIFEも0に近い。援護に行きたいが戦っている場所が相手のCGとFBの間の位置だ。とても今からでは間に合わない。

次に見たのはフェイトVSなのは&エリオの対決。フェイトさんの後ろにしっかりとなのはさんがついてきて魔弾を飛ばし続けている。それをうまく避けているが、このままではマズい。

 

『ソニック』

『ソニックフォーム』

 

フェイトさんと愛機デバイスであるバルディッシュの掛け声でフェイトさんの装甲がかなり薄くなり、ライオットの二刀流になった。ライオット同士は柄で魔力の紐で繋がっており魔力を均等にしているようだ。フェイトさんから聞いたことがある。

 

確か“新・ソニックフォーム”だったか?実物は見たこと無かったけど。

 

初めて見たが武装も軽くなって露出度が凄いと思うのだが。肩とか太ももとかほぼ晒してる状態だし。スピードを上げるといってもここまでやるとは。

 

「ガイさん……鼻の下が伸びてませんか?」

「マ、マジか?」

 

隣に居たアインハルトが俺の事を半眼で呆れたような表情で見てきた。よほど変な目で見ていたのだろう。

 

だが、今のフェイトさんの姿を見てちょっとドギマギしてしまうのが男ではないのか?

 

そして、その姿になったフェイトさんはスピードをさらに上げて、なのはさんの魔弾の弾幕を振り払った。

しかし、フェイトさんの上から壁走りして降りてきたエリオがストラーダを振り下ろしていた。

 

『あっ!?』

 

思わぬ奇襲にフェイトさんはそのままその攻撃を受けた。薄くなっていたバリアジャケットはおへその部分から破れ、胸が見えそうで見えないというギリギリの状態だ。

 

エリオ、それは狙ってやっているのか?

 

フェイト:1700→340

 

「うわぁ……」

 

俺は見えそうで見えないチラリズムなそれに魅入ってしまった。

 

『視姦ですか?』

「……ガイさん」

「あ、い、いや……」

 

その様子をプリムラとアインハルトはしっかりと見ていたようだ。アインハルトからは低い声が聞こえた。

 

やべぇ、アインハルトに見られてすっげぇ恥ずかしい!!それに、プリムラ。その使い方はまた間違ってるぞ。

 

「わ、悪い……」

 

俺は恥ずかしさを何とか抑えて謝りながらもアインハルトを見た。先ほどの呆れた表情から一変、少し恥ずかしそうな表情で右手を握って口に添えて視線を斜め下に逸らしていた。

 

「ガ、ガイさんは胸が大きい方が好きなのですか……?」

「あ、い、え、ええと……」

 

アインハルトからの思わぬ言葉に脳が動いてくれなかった。

 

アインハルトはこの戦いの最中に何を言っているのだろうか?

 

「な、なんでそんな事聞くんだ?」

「あ、い、いえ、そんな深い意味はありません。ガ、ガイさんはどんな大きさが好きなのかなと思いまして。ガイさんも男性なのですからそう言う事にも興味があると思います!!」

 

アインハルトは戸惑いながらも最後の方は早口に喋った。

 

「……ご、ご想像にお任せします」

「では、小さい方ですね」

 

何故か返事が即答で帰ってきた。

 

「……根拠は?」

「その方が……」

 

アインハルトは最後まで言葉が出てこなかったようだ。その先がものすごく気になる。

 

「ま、まあ、いい。大分話がズレた」

 

俺はアインハルトとの間に妙な雰囲気が出来てしまった事に戸惑いを覚えながらも話を戻すためにモニターを見た。最後の対戦状況だ。

キャロVSルーテシア&リオ。キャロが追い詰められつつあるが、何か作戦があるのか表情に笑みが見れた。

 

『アルケミック・チェーン!!』

 

キャロの魔法陣から魔力の鎖が現れて飛んでいき、ルーテシアとリオに飛んでいく。

 

『うっふふー♪当たらない当たらない!』

 

それを難なく避けるルーテシアとリオ。

 

『それはそうだよ、当てるためじゃなくて撃墜のための布石だから!』

『ナイスです、キャロさん!!』

 

そこに、ルーテシアとリオの真横からゴーレムが現れてコロナはその肩に乗っていた。

 

『ゴライアスバージブライトッッ!』

 

ゴーレムの左手が右手首を掴んでルーテシアとリオに右手を向けられていた。そのまま、右手は回転を始めた。

 

『ロケット・パーーーーンチ!!』

 

その右手は本体を離れてルーテシアとリオに向かって飛んできた。

 

『『へっ?』』

 

予想外な攻撃に2人は目を大きくして驚きそのまま……それが命中した。

 

ルーテシア:2200→0

リオ:1700→0

 

『撃墜成功ッ!』

『勝利のⅤッ!』

 

2人は勝利のポーズを取った。この状況で勝てたことが良かったのだろう。2人はとても嬉しそうだ。

 

『へうーっ!?』

『!!』

 

しかし、その勝利の余韻に浸っている隙にキャロの後頭部に一発のピンクの魔弾が命中し、コロナにはピンクのバインドで縛られた。

 

『はい、キャロ撃墜、コロナちゃん捕獲!』

 

先ほどまでフェイトさんを追っていたなのはさんがこちらに来ていたようだ。

 

キャロ:1700→0

 

キャロは先ほどの一撃でLIFEが0になった。

 

『えー!なのはさんいつのまに!?』

『勝ったと思った時が危ない時!!現場での鉄則だよ~!』

 

片目を閉じてにこやかに笑うなのはさん。

そして、そのレイジングハートを大きく振りかぶって構えた。

 

『ブラスター1ッッ!』

 

なのはさんの周りに複数のビットが現れ、レイジングハートとビットに魔力をチャージし始める。

 

「集束砲……か。ここまで届くのか?」

「わかりませんが、この防御バリアがあるからある程度はカバーできるかと」

「そうだといいが」

 

キャロがダウンしているのにまだこの防御バリアが展開されているのは術者から制御を離れ、独立行動の魔法なのだろう。とても俺にはマネできない。

そこに別モニターが表示された。映っているのはティアナさんだ。

 

『赤組生存者一同ッ!!なのはさんを中心に広域砲を撃ち込みます!コロナはそのまま!動ける人は合図で離脱をッ!』

『分割多弾砲で敵残存戦力を殲滅!ティアナの集束砲を相殺しますッ!』

 

先ほどのモニターに映っているなのはさんもティアナさんを注意を向けているようだ。

 

「しかし、集束砲同士がぶつかり合うってことは……」

『『スターライトーブレイカーーーッッ!!』』

 

2人の溜めていた魔力が一気に解放され、互いの砲撃がぶつかり合って大きな地響きと衝撃と魔力が戦場一帯に走った。地面は剥がれ、建物という建物は全て破壊された。

 

「だよな~、っと、ここまで衝撃が来るか」

「まるで最終戦争みたいです」

 

そのぶつかり合った衝撃の余波がここまで飛んできたが防御バリアがあるのでそれほど感じる事は無かった。

そして、その衝撃の余波が無くなり音も収まり、戦場は瓦礫の山と化した。俺は状況を確認するためにモニターを操作した。

 

フェイト:0

エリオ:0

コロナ:30→キャロが居ないので回復不可。戦闘不能。

なのは:0

スバル:0

ノーヴェ:0

ティアナ:110

ヴィヴィオ:1800

オリヴィエ:2000

ガイ:2300

アインハルト:1350

 

「あれ?ヴィヴィがほぼダメージを受けていない?フリーはFBに居たから集束砲は受けずにLIFEが残っているのはわかるんだが」

「スバルさんが守ったようですね」

 

そう言えば、スバルさんは特別救助隊に所属している。そこで身に付いたモノでヴィヴィオを守ったのだろう。

そして、そのヴィヴィオは速度を上げてティアナさんへと向かっていく。オリヴィエもヴィヴィオより少し遅れているがティアナさんに向かっている。

 

「よし、ティアナさんを助けに行くか」

「はい!!」

 

俺たちもティアナさんを助けるためにティアナさんの元へと移動を始めた。この模擬戦も終わりが近いようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティアナさん、行きますッ!!」

「来なくていいけど……ッ!!」

 

私はティナアさんの弾丸を避けて近づく。

そして、右拳を当てようとした。

 

「“覇王空破断(仮)”」

 

しかし、ティアナさんの前にアインハルトさんが来て私に向かって何かを放っていた。それは魔力の真空刃だった。さっき、なのはママに一撃を与えたモノ。それによってなのはママは一瞬動きを止めてしまった。あまり当たりたくはないけど、当たってもいいからティアナさんを倒そうと単発の“ソニックシュータ”を作った。

 

「はああぁぁあ!!」

 

だが、後ろから来たフリージアさんがそれを左手の手刀でそれを受け止め、右の中段突きをそれに当ててベクトルを180度変え、アインハルトにはね返した。

 

「!?」

 

アインハルトさんも帰ってくるとは思っていなかったのか驚いた様子だ。“空破断”を放った後の動作中だったので、避けることもガードすることも出来ない。

 

「ソニック」

 

そこに、ガイさんがアインハルトさんの前に来て黒い魔弾が二つ“空破断”に飛んでいき相殺した。

 

「ヴィヴィ。ティアナさんはやらせないよ」

「ううん、ティアナさんは撃墜したよ」

「え?」

 

私の言葉に疑問を持ったガイさんはティアナさんの方を見る。アインハルトさんもティアナさんの方を見る。

 

「ご……ごめん、ガイ、アインハルト。さっきのでもうやられちゃった」

「ええっ?」

 

ティアナ:110→0

 

2人とも驚いている。私のソニックシュータがティアナさんに飛んで行ったのを2人は見ていなかったようだ。2人が驚いてくれて私はちょっと嬉しかった。

 

「ヴィヴィオ。最後の対決です。気を引き締めましょう」

「はい!!」

 

私はちょっと浮かれていたようだ。フリージアさんに指摘されてたので気を引き締め直す。

 

「俺たちも気を引き締め直すか」

「はい」

 

ガイさん達もティアナさんの撃墜に驚いてはいたが気持ちを落ち着かせて私たちの方を見た。

状況は2on2だ。こんな状況は初めて。フリージアさんとの連携が重要だ。それでも、どんな事が起きるのか期待が高まってしまう自分がいる。ダンっと大きな音がした。それと同時にガイさんの姿が一瞬ブレた。

そして、いつの間にか目の前にガイさんが居て、左手にある鞘から刀を抜く瞬間だった。まったくもって速い。

 

速い!ガード!?間に合わない!?

 

私はその速さに全ての反応が遅れてガイさんの攻撃が当たるのは明らかだった。

 

「はっ!!」

 

けど、隣に居たフリージアさんが右ストレートを放ち、ガイさんの左手に持っている鞘に当たる。フリージアさんは先ほどのガイさんの動きが見えていたようだ。

 

「くっ」

 

その衝撃で刀を鞘から出す抜刀動作が出来ず、動きが一瞬止まった。私は今ならガイさんを狙えると思い左拳廻打を打つ。

それをガイさんはなんとか右手で受け止め握る。

 

「はああぁ!!」

 

そこにガイさんの真上より少し前にアインハルトさんが体を捻って垂直な右足の回し蹴りを私に放っていた。ガイさんはきっとアインハルトさんが落ちてくるギリギリに後ろへ下がってぶつかるのを避けるのだろう。

 

「!!」

 

私もそれを避けようとしたが、左手はがっちりとガイさんの右手で握られて動けない。私は慌ててしまった。慌ててしまい脳がうまく働いてくれない。ガイさんが下がったら私も下がればいいのだが、そのタイミングが分からない。そんな様子をガイさんは見て軽く笑っている。ガイさんは囮だったのだ。

 

「“聖連拳”」

「っつ!?」

 

しかし、突然視界からガイさんが消え、握られていた左手が自由になった。フリージアさんが何か衝撃を与えてガイさんが飛ばされたようだ。

私は自由になったのでアインハルトさんの回し蹴りを腕をクロスしてガードする。威力が大きすぎて私の立っている地面が少し凹んだ。

その間にフリージアさんがアインハルトさんに右拳昇打を放った。アインハルトさんはそれを無視して私に左掌手の中段突きを下から突き上げるように放った。それは私が右膝を上げて何とかガードするが大きく飛ばされた。

その後はフリージアさんの右拳昇打がアインハルトさんに当たるはずだった。

 

「!?」

 

けど、その拳はアインハルトさんを挟んで放物線に飛んできた黒い魔弾に当たり、動きが止まる。その間にアインハルトさんは私に追撃を行うために私に向かって走り出した。ガイさんは飛ばされても先の状況を読んで魔弾を撃っていたようだ。

 

凄いです、ガイさん。

 

ヴィヴィオ:1800→1200

オリヴィエ:2000→1800

ガイ:2300→1200

アインハルト:1350

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オリヴィエをガイさんに任せて、私はヴィヴィオさんに追撃して右ストレートを放った。それをヴィヴィオさんは両腕をクロスしてがっちりとガードする。

さらに、左拳廻打を放つがそれもサイドステップで避けられる。その後も攻め続けるが避けられガードされる。少し前にアラル港湾埠頭でやった人物と同一とは思えないほどだ。

 

相手の攻撃を覚えて対策する学習能力。速くて精密な動作。何より相手の攻撃を恐れずに前に出て打ち込める勇気。それらが重なって出来上がるこの子の戦闘スタイル。

 

私が右スレートを打つとそれを最小限の動きでヴィヴィオさんは避けて左拳廻打の横顔に当てた。

 

ヴィヴィオさんはカウンターヒッターだ!!

 

アインハルト:1350→750

 

とても重い一撃。その衝撃で私の体が左に傾いた。ヴィヴィオさんは更に右手を握って表情を硬くした。

 

「一閃必中!アクセルスマッシュ!!」

 

その右手はとても威力のある昇打。不思議な加速で飛んできた。それを私はまともに受けて意識を手放した。だが、手放す直前、私は左回し蹴りの反撃を行った。どうなったのかはわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はああぁぁ!!」

「はっ!!」

 

俺はあの黒い魔弾を飛ばした後、ヴィヴィオをアインハルトに任せて、オリヴィエと対決することにした。俺の鞘走りから抜刀した刀をオリヴィエは臆することなく右の手甲でガードする。

そして、互いに少し離れて俺は納刀した。

2on2が始まる時に使った突撃の加速。足に魔力を溜めこんで一気に解放して、その威力を利用した移動方法。魔弾二つ分の魔力を消費して行ったので、ヴィヴィオには一瞬消えたように見えたのだろう。オリヴィエには反応されたが。

そして、アインハルトに返された“空破断”を相殺するために二発、先ほど一発使ったので魔力は空に近い。魔弾を打つ魔力は無いし空も飛べない。

俺は今考えている劣勢の状況をやめて目の前に立っているオリヴィエを見た。

 

「アインの“空破断”を返したのも先ほど俺を飛ばしたのも技の一つか?」

「ええ、“旋聖破”と“聖連拳”です。“旋聖破”は受け止め、魔力で出来ているモノなら拳をブツけてベクトルを反対にして返す技。アインハルトの“旋衝破”のように受け流して返すのとは少し違いますが、似たようなものです。“聖連拳”は拳に魔力を込めて、一瞬のうちに三つの打撃を相乗して打つ拳です。威力はそれなりに高まります」

「……」

 

それなりに?かなりの間違いじゃないのか?あれをまともに受けた俺にとってはかなりの威力だと思ったんだが。

 

俺は開いた口が塞がらなかった。

これらの技の前には“聖王”が付くのだろう。近くにはティアナさんが居るからその言葉を付けないようだ。

 

「やっぱりフリーは強いな」

「まだまだです。それに本気を出すことがまだ出来ませんし」

 

あれで本気ではないと。このサーヴァントはどれほど強いのか分からない。俺が全力を出しても赤子の手を捻るようなモノだろう。

なら俺はいつもより多めに左に体を捻り、鞘を腰の後ろへと持っていき、立ち居合の構えをする。

 

俺の今の全力……オリヴィエにどこまで届くか。

 

オリヴィエも左手を前に出して指と指の間を閉じて手とうのようにして手首を上げ、体を右に少しひねって右拳を後ろに下げ構える。

辺りは静寂に包まれる。ヴィヴィオとアインハルトの対決も終わったようだ。音が聞こえない。そのどちらもこちらに援護に来ないという事は相討ちなのだろう。今は確認している暇はない。

 

「“天瞳流抜刀居合”……」

 

その静寂は俺の一言で解除された。

俺が次に行う動きはミカヤの戦闘スタイルである天瞳流抜刀居合だ。魔力をほぼ使う事なく、斬撃の威力を上げることのできる居合。俺の我流とは大違いで型もしっかり出来ている。

しかし、この型は俺にあまり合わない。波長が何か違う。それでもミカヤは俺の事をあの道場に置いて相手をしてくれる。あの道場は居合の練習をするのには最適の場所だ。行けなくなると困る。

一応、一つだけ天瞳流抜刀居合の技を使えるものがある。それを今、オリヴィエにブツけるために魔弾を一発も作る事の出来ない僅かな魔力を込める。バリアジャケットを維持する魔力だけは残す。

 

「“水月”」

 

ミカヤは“水月”を二連以上叩きこめる。流石は師範代だ。俺は一連だけだ。

俺が言った言葉と同時にオリヴィエが俺に向かって走り出す。その一歩が速い。常人には見えない速さだろう。だが、俺には見えた。

俺は腰を低くして上半身を少し屈めて、腰の回転を生かして鞘から鞘走りしてタイミングよくオリヴィエの腹部に目がけて抜刀した。いつもより大きく腰を捻ったのは腰の回転を抜刀の威力を高めるため。

居合は抜刀の瞬間こそ最速が完成する。静止した姿に勢いが秘められているモノだ。天瞳流抜刀居合はその最速を上げるために徹底して鍛えられた流派だ。腰の回転を上げるために魔力の力を使っている。それによって抜刀時の最速が底上げされている。その回転から生まれた威力は他の流派とは一線を画している。

 

「!?」

 

オリヴィエはいつの間に自分の懐に俺の抜刀している刀が襲ってきたのか分からなかったのだろう。腰の回転からすでに抜刀する時の速度は最速にたどりつき、鞘走りからの抜刀はその速度のまま放たれている。

腰の動きなので相手からは確認することが難しく抜いたと思った瞬間、目の前に己に傷をつけようとしている刀がある状態だ。

その刀はオリヴィエの腹部にクリーンヒットした。

 

「っぐ、“聖連拳・二撃”」

「!?」

 

しかし、それを食らってもカウンターを放ってきた。先ほどの“聖連拳”だ。それを両手で打ってきた。計六発分。動きは右拳廻打から左ストレートと二発しか殴ってないがその威力は六発分だ。

俺は抜刀したばかりなのでそれを避けるすべもなく、プロテクションする魔力も残されていないのでそれを胸部にマトモに受け、胸部の部分のバリアジャケットが破れ大きく飛ばされたが何とか地面に着地した。

 

「~~~っ!!」

 

凄まじい威力だ。まるで昨日のなのはさんの砲撃を受けたような衝撃だ。

そして、息が出来ない。肺の空気を全て排出されてしまい、取り込むのに時間がかかる。さらにビリビリとした痛みが胸部に残る。右手で押さえているがそれで痛みが消えるわけもない。

 

「っは、はあはあ……」

 

何とか呼吸をする事が出来た。肺に溜まった熱い空気を排出して、新鮮な酸素を取り込む。

 

「はあはあ」

 

息を整えるまでにもう少し時間がかかりそうだ。その間に右手でモニターを開いて皆のLIFEを確認した。

 

ヴィヴィオ:1200→0

アインハルト:1350→0

オリヴィエ:1800→100

ガイ:1200→0

 

ヴィヴィオとアインハルトは相討ちのようだ。それに先ほどの戦いでオリヴィエのLIFEを最後まで減らすことが出来なかったようだ。ちょっと残念だ。この戦いでオリヴィエの戦い方が少しわかった。

オリヴィエはカウンターヒッターに近いスタイルのようだ。本来なら俺の抜刀術を避けてカウンターして来たのだろう。予想外の抜刀の早さに体が追い付かずに当たったと考えられる。

 

『はい、試合終了~~!』

 

そこに別モニターからメガーヌさんとシスターの格好をした水色の髪に愛嬌のある幼気な風貌の少女が居た。確か名前はセインで元戦闘機人らしい。

 

『勝者は青組ですね~』

 

メガーヌさん言葉でこの模擬戦は幕を閉じた。

 

「はあはあ……負けたか」

 

ようやく息を整えることが出来た。俺は刃が黒く、そりが白い刀を持っている右手を見た。天瞳流抜刀居合は確かに凄まじい威力を出すことが出来るが、右手や腕への負担が大きい。未だにピリピリとした感覚が残っている。もともと天瞳流抜刀居合とは肌が合わない。

俺は納刀してバリアジャケットを解いた。何はともあれこの模擬戦は終わったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでは皆さん!」

「「「お疲れさまでしたー!」」」

 

構造物もほとんどが壊れた模擬戦場の場所でなのはさんが締めの挨拶をした。

そして、皆が雑談を始めた。俺もその一人だ。

 

「あ~、もう少しでフリーのLIFEを0に出来たんだがな」

「ですが、あの抜刀術は驚きました。あれほど早い抜刀術は見たこと無かったです」

「ま、あれはあまり使わないから。俺との肌が合わない流派だからな」

 

俺は片目を閉じて、右手をふるふると振った。未だにしびれが残っている。それにオリヴィエが本気になったらあれも簡単に避けられてしまうのだろう。

 

「あの流派ってミカヤさんの所のか?」

「ああ、そうだ。抜刀の最速を極めている流派だからな。その速さと威力は高い」

 

皆と雑談していたが、ふと、アインハルトを見ると表情を少し暗くして何かを思っているのか右手を握ったまま胸の前に置いて一点を見つめていた。見つめている先に居たのはヴィヴィオ達だ。いや、それは見ているだけで頭の中では何かを考えているのだろう。

 

「どうした、アイン。疲れたか?」

 

一点を見つめているのは疲れているのか何か思考中かのどちらかだ。思考中だと思うが、あえて外れの方を言ってみた。

 

「……いえ、この模擬戦をもう少しやってみたかったと思いまして」

「ま、確かにな」

 

アインハルトは先ほどの模擬戦では物足りなかったようだ。もっとやってみたいが一回きりの模擬戦だ。

 

ま、その意見には賛成だがな。

 

この模擬戦はためになる事が多かった。

 

「じゃあ、おやつ休憩と陸戦上の再構築したら2戦目行くからねー」

「2時間後にまた集合!」

「「「はーーーい!!」」」

 

俺とアインハルトとオリヴィエ以外はなのはさんとフェイトさんの言葉に返事を返した。

 

「え?え?」

「ん?」

「……二戦目?」

 

俺たち三人は疑問が残り頭の上には?マークが出ているのだろう。

 

「あ、あれッ!?言ってませんでしたっけ?」

 

そこにヴィヴィオが慌てて補足に入った。俺たちは頷く。

 

「今日一日で三戦やるんです!」

「休憩挟んだり、作戦組み直したりして!」

 

三戦やる。その言葉にアインハルトの表情が明るくなってきたのが分かった。よほど嬉しいのだろう。まあ、俺も嬉しいけど。

 

「よかった。もっとやりたかったんです」

「はいっ!」

 

ヴィヴィオも笑みを作って答えた。

そして、その後は二戦目と三戦目を行った。作戦を変えたり、メンバーをトレードしたり。この三戦でかなり鍛えられたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――宿泊ロッジ

 

「疲れた~」

「まったくです。これほどの鍛錬を行ったのは本当に久々です」

 

俺は温泉に入って部屋に戻った。戻るときにオリヴィエと偶然会って話をしたいとの事で部屋に入れた。俺も話があるので丁度良い。俺は椅子に座り、オリヴィエはベッドに座った。

オリヴィエは少し湿らせているライトブラウンの髪を全て下ろして、湯上りで頬が少し赤くなっている。オリヴィエの浴衣姿も何というか様になっている。オリヴィエには何を着せても似合いそうだ。元が良いからな。

 

「で、話というのは?」

 

俺は今考えていた事を脳の片隅に置いて、話を催促する。それを聞いてオリヴィエがちょっと戸惑ったような表情をしてきた。

 

「わ、私の戦いを見てどう思いましたか?」

「オリヴィエの?」

 

オリヴィエは少し緊張した面持ちで頷いた。今ここに居るのは俺とオリヴィエだけだ。フリージアとは言わず、オリヴィエと言うことにした。

 

「その……がっかりとかしませんでしたか?こんなにも実力が低いサーヴァントだったなんて」

「え?」

 

オリヴィエの言葉が理解しにくい。

 

今日の模擬戦を見て、オリヴィエの実力が低いとなぜ言えるのか?オリヴィエは……自分を過小評価しているのか?

 

「いや、俺はこれほどのサーヴァントが居るならとても心強いと思ったが」

「本当ですか!?」

 

ぐいっと、オリヴィエが立って必死な表情をしながら椅子に座っている俺に近づく。腰をおって俺に顔を近づけてくるから、胸元が少し空いて谷間が見える。

 

「あ、ああ……」

「良かったです」

 

オリヴィエはホッと一息ついた表情になって笑みを向け、再びベッドに座る。オリヴィエと暮らして少し経つがこういうところに羞恥心を持ってほしいと常々思う。

 

「……過小評価し過ぎだ。オリヴィエは強い。それは今日の模擬戦で物語っていることだ」

 

考え事を切り替えるのも大変だが先ほどの会話に戻した。

 

「ですが、私はガイとの魔力が上手く繋がっておりません。更なる実力を出すためにはガイの魔力が必要です。これでも色々と制限が掛っています。ガイの魔力がもっと上がれば嬉しいのですが」

「そう言えば模擬戦の時にも言っていたな」

 

まだ全力を出せないらしい。その原因はやはり俺の魔力の低さだ。それが原因で使える技も使えないのだろう。俺はその事に関して負い目を感じた。

 

「すまないな」

「いえ、気にしないで下さい。その分、私がしっかりと働きますので」

 

それは心強い、と俺は相槌を打った。

 

「それで、ガイの話というのは?」

「ああ、今日戦った時に使った技を詳しく教えてくれ。作戦を立てる時に役立てるからな。今は使えないが俺の魔力が上がったら使える技などがあれば教えてくれ」

 

ええ、とオリヴィエは言って先ほどの戦いで使った技の説明と他にある技の説明をした。

使った技を纏めてみると……。

 

聖王聖空弾………一発の魔弾を撃つ。だが、一発に件の魔弾とは比べ物にならない量の魔力が込められているのでスピードは速く威力は高い。

聖王聖連拳………魔力を帯びた拳で殴る。魔力によって一瞬のうちに三つの打撃を相乗して打つ拳。

聖王旋聖破………相手の技を手刀で受け止め、魔力で出来ているモノなら聖連拳とは異なる魔力を帯びた拳をブツけてベクトルを反対にして返す技。反射に近い。だが、投擲などの実像があるモノは受け止めれるだけで返す事が出来ない。

 

と、言った感じになった。他にも色々と知った。この三つが今の俺と魔力がほぼ繋がっていない状態で魔力をあまり消費せずに使える技らしい。

 

「時にガイ。“宝具”というのを知っていますか?」

「ほうぐ?」

 

オリヴィエが少し話題を変えてきた。俺はどういうものか分からなかったので首を横に振って知らないことをアピールする。

 オリヴィエはそれを見て、静かに頬笑みを溢して語り出す。

 

「“宝具”とは人間の幻想を骨子にして作り上げられた武装の事です。英霊は生前彼らが持っていた武器や固有の能力や特徴、あるいは彼らを英霊たらしめる伝説や特徴が具現化したもので、伝承由来通りの“宝具”があります」

「ふ~ん。ならオリヴィエも“宝具”を持っているのか?」

 

オリヴィエははい、と答える。

そして、柔らかい表情で悪戯っぽい笑みを浮かべて俺を見る。

 

「何だかわかりますか?」

「……“聖王のゆりかご”?」

 

オリヴィエと言えば、歴史上では聖王家で最後に“聖王のゆりかご”に乗った人物で、敵戦力を壊滅的なまでに追い込んだと言われている。

 

「ええ。ですがこれは多大な魔力を消費してしまいますので本当に必要な時にしか使わないでしょう」

「……」

 

でも、“聖王のゆりかご”が宝具だとはな。なのはさんに聞いた話だが、ゆりがこを起動させるには聖王家の奏者自身が制御ユニットにならなければならないモノだと。あまりいい話ではないな。

 

俺は立ち上がってオリヴィエに近づく。

 

「それは……なるべく使わないで行きたいな。出来れば使わないでほしい」

「ガイ?」

 

俺はオリヴィエの両肩を両手でガシっと押さえてオリヴィエを見る。オリヴィエはそんな俺を見て首を傾げた。

 

「ゆりかごを動かすのにオリヴィエ自身が制御ユニットにならないといけないんだろ?」

「……そこまで知っていましたか」

 

俺の言葉を聞いてオリヴィエは俺から視線を離して、少し悲し表情をして笑みを溢す。

 

「“聖杯戦争”中に自分が犠牲になればいいという自己犠牲な考えないでくれよ」

「ですが、マスターを守りたい気持ちはあります。たとえ自分が犠牲になっても……」

「だから、その考えをやめろ」

 

俺ははあ、とため息を吐いて、オリヴィエの肩から手を離す。

 

「そんな事をして残された者の気持ちを考えた事があるか?クラウスの時もそんな考えをしてゆりかごに乗ったのか?」

「えっ……ど、どうしてそのことを?」

 

オリヴィエは俺がクラウスとの出来事を知っている事に驚いている。

 

まあ、夢で俺の脳の整理ではなく、魔力が少しだけ繋がっているオリヴィエに繋がってオリヴィエの脳に記憶されているモノを見ただけだが。

 

「夢で見た。俺とオリヴィエは少なからずとも魔力で繋がっているからな。オリヴィエとクラウスの最後の会話の所を見た」

「……」

 

オリヴィエは何も言わず、顔を伏せた。

 

「悪い、勝手にオリヴィエの記憶を見て。だが、残された者の気持ちも忘れないでほしい」

「……ええ、そうですね。ガイの言う通りです」

 

オリヴィエは何を思っているのか表情では理解できない。いつも明るい性格な彼女なだけに考えて寡黙になるとまるで別人のようだ。

 

この話はオリヴィエにとってはタブーなのかも知れないな。

 

「なんか暗い話になっちゃったな」

「そうですね」

 

とても微妙な雰囲気が部屋を覆っていた。正直気まずい。オリヴィエと居て、気まずいと思ったのはこれが初めてだ。

俺はどのようにしてこの雰囲気を打ち破ろうか考えていた時……。

 

『ガイさん』

 

そこにモニターが現れて、少し表情の硬い笑顔のヴィヴィオがベッドに寝転がって映しだされた。俺はヴィヴィオがこの雰囲気を打ち破れそうだと思ったので、ヴィヴィオと話をするために声をかけた。

 

「ん?どうした?」

『良かったら私たちの部屋に来ませんか?今日の模擬戦の話をしているので、ガイさんから見た感想でいいのですが、私たちの動きや技などがどんなものだったか教えてください』

 

ヴィヴィオの後ろには、リオ、コロナ、アインハルトがベッドで困ったような表情で横たわっていた。

 

「皆さん大丈夫ですか?」

『う、腕が上がりません……』

『起き上がれないです』

 

子供たちはどうやらオーバーロードのようだ。アインハルトも体をプルプルさせている。そんな子供たちの様子を見ているとなんか微笑ましい。後先考えずに一生懸命やって今の状況になっているのだから。

 

『あ、フリージアさんもいたのですか?』

「ええ、ガイと少し話をしていました」

『じゃあ、フリージアさんもどうですか?フリージアさんの戦闘スタイルも参考にしたいです』

 

何というか、今の2人には一子相伝という言葉が合っている気がした。師であるオリヴィエから弟子であるヴィヴィオに技を引き継がせる。ヴィヴィオは少し特殊だけど聖王家の家系であることには違いない。今は高町家の家系だけど。

 

「ああ、フリーも連れてそっちに行くよ」

『はい、待ってますね』

 

ぎこちない笑みを浮かべてモニターが消えた。かなり疲れているようだ。

 

「子供たちは元気だな」

「そうですね。あの笑顔を守りませんと」

 

まったくだ、と俺は相槌を打ってヴィヴィオ達の居る子供部屋に移動することにした。先ほどの気まずい雰囲気は無くなった。その事に俺は子供たちに感謝してちょっとホッとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「え?あの砲撃を逸らしたのは偶然なんですか?」

「ああ、冷静な表情を浮かべてはいたが内心はビクビクしていたぐらいさ。あんなのをまともに受けたら一発で落とされると思ってな」

 

俺とオリヴィエは子供部屋にやってきた。モニターに映っていた通り、ヴィヴィオ達はベッドで横になって必死に体を起こそうとしているのだが、筋肉に乳酸が溜まりすぎたのか動かすたびに悲痛の表情を浮かべて蹲る。

なので子供たちは寝ながら会話をしている。

 

「でも、ガイさんとフリージアさんの対決も凄かったですよ」

 

子供たちの中でも特に疲れた様子を見せないルーテシアは椅子に座って、モニターを表示させた。映っていたのは俺とオリヴィエが対決しているシーンだ。

俺が“水月”を抜く瞬間から始まっていた。

 

「あんなに早い抜刀術、見たことありません」

「フリーも同じこと言ってたな」

「はい」

 

天瞳流抜刀居合がそんなに珍しいモノだろうか?ミカヤからは代々から伝わる流派と聞いていたから昔からあると思ったが。

 

「だが、当たったはいいが、フリーの反撃が来るとは思わなかった。意外とタフなんだな」

「一応、鍛えていますから」

 

オリヴィエは意地悪な笑みを浮かべて答える。だいぶ前に俺が言った事を真似てきたようだ。

 

「そういえば、アインハルトはこういう試合って初めてだよね。どうだった?」

 

ルーテシアが話を変えてきた。アインハルトは何とか体を起こせるまでに回復したようベッドから起き上がった。

 

「はい……とても勉強になりました」

「スポーツとしての魔法戦競技も結構熱くなるでしょ」

 

他の子供たちも何とか体を起こしてアインハルトの言葉を聞く。

 

「はい……いろいろと反省しましたし、自分の弱さを知ることもできました。私の世界は……見ていたものは本当に狭かったと」

「今日の試合が良かったんなら……この先こんなのはどうかなって……」

 

ルーテシアはそう言いながら皆の前にモニターを表示させる。映っているのは野球場のようなドーム状の球場に似た場所で歓声の声が聞こえてきた。

 

「これは?」

「コロッセオみたいな場所ですね」

「DSAA(ディメンション・スポーツ・アクティビティ・アソシエイション)公式魔法戦競技会。出場可能年齢、10歳から19歳。個人計測、ライフポイントを使用して限りなく実践に近いスタイルで行われる魔法戦競技」

 

ルーテシアの説明に俺とアインハルトはモニターに釘づけになった。

 

「全管理世界から集まった若い魔導師たちが魔法戦で覇を競う、インターミドル・チャンピオンシップ」

「私たちも今年から参加資格があるので……出たいねって言ってたんです」

「そうなんです!」

 

アインハルトに子供たちが更に説明を加えた。アインハルトはモニターからヴィヴィオ達に振り向く。

 

「全国から魔法戦自慢が続々集まって来るんです!」

「数は少ないですが格闘型の人も!」

「自分の魔法、自分の格闘戦技がどこまで通じるか確かめるのにはすごくいい場所だよ。ちなみに今年は私も出る!!」

 

グッと右拳を掲げてガッツポーズをとるルーテシア。それを見て、ヴィヴィオ達が喜ぶ。アインハルトは皆の言葉を聞いて顔を俯いていた。何を考えているのだろう。

俺もこの競技は初めて聞いたので、考える事は多い。顎に手を置いてモニターを見つめていた。

 

「はぁい。みんなー。栄養補給の甘いドリンクだよー」

 

そこに扉を開ける音がしてそちらに視線を流すとエプロンを着た、なのはさんとメガーヌさんがジュースの入ったコップを子供たちの人数分持って入ってきた。

アインハルト以外の皆はそれを喜びながら受け取る。

 

「あら懐かしい。インターミドルの映像?」

「そー、今、アインハルトとガイさん、フリージアさんに出場の勧誘してたの」

「え?俺もだったの?」

「私もですか?」

 

どうやら俺やオリヴィエも誘われていたようだ。そういえば、オリヴィエの年齢はいくつなのだろう。まあ、オリヴィエ・ゼーケブレヒトという名の戸籍がこの世界に存在していないので身元証明が無いから出れないだろう。俺は参加資格はあるから出れなくはない。

 

「ガイさんは出れますけど、フリージアさんはお幾つなのですか?」

「私は21ですね」

 

まあ、そのくらいだろう。俺より年下なのもおかしいし、30を超えているような容姿でもない。

 

「すいませんがフリージアさんは出れないですね」

 

参加資格がないからかルーテシアは申し訳ななそうな表情をして謝った。

 

「いえ、お気になさらずに」

 

オリヴィエは特に気を悪くした様子もなくモニターに映っている映像を見ていた。

 

「どう、アインハルト?出たくなってきた?」

「あ……その……」

 

アインハルトはモニターを見てから、心ここにあらずな様子で考え事をしているような感じだ。そこにルーテシアが声をかけてきてどうやって返すのか戸惑っていた。

 

「アインハルトさん!」

 

そこにヴィヴィオが隣か表情を硬くして急接近してきた。

 

「大会予選は約2カ月後先の7月からですから……私もまだまだ鍛えます。だからもっともっと強くなって、公式試合のステージでアインハルトさんと戦いたいです!」

 

そのまっすぐな気持ちにアインハルトは困った表情を消して一度目を瞑り、そして、表情を凛々しくしてヴィヴィオを見据える。

 

「ありがとうございます、ヴィヴィオさん。インターミドル……私も挑戦させていただきたいと思います」

「はい!!」

 

アインハルトの良い返事にヴィヴィオは嬉しそうだ。

 

「ガイさんも出場するのですか?」

 

そして、その見据えた瞳はヴィヴィオから俺に向かれた。

 

「俺?」

 

コクンと頭を縦に一回振って頷く。他の子たちも俺に視線が集まってきた。だが、俺には“聖杯戦争”というモノがある。それは多分もうそろそろなのだろうとも思っている。

インターミドルは二カ月後先だがそれまでに“聖杯戦争”が終わるかはわからないし、俺が生きている保証もない。

 

生きている保証……か。

 

「……悪いな。その時期はちょっと野暮用が入って出れなさそうだ。出場はしないでおくよ」

「ガイさんは出ないのですか?」

 

俺の言葉にアインハルトは悲しそうな表情で少し暗くなってしまった。ヴィヴィオ達もそんな表情だ。

 

「ガイさんとも公式試合で当たりたかったです」

「ああ、悪いな」

 

俺はそう言ってヴィヴィオの頭を撫でてやった。俺の心境を分かっているのかオリヴィエは表情を硬くして悲しげな瞳を俺に向けていた。

 

「では、もし時間が空いたら参加してくださいね」

「……ああ」

 

俺は少し遅れながらも返事をした。

 

「……」

 

なのはさんが何か言いたそうな表情で俺の事を見ていたが、すぐに視線を逸らして子供たちと会話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 子供部屋を後にした俺とオリヴィエは俺たちも別れて部屋に戻り、冷蔵庫に入っているペットボトルのミネラルウォーターを一口飲んで、窓の外を見た。雲1つない夜空がいくつもの星の輝きに覆い尽くされて、幻想的な光景だ。都会で滅多にお目にかかれない夜空だ。

 

「……少し外に出るか」

 

俺はその光景をもっとみたく部屋を出る事にした。だが、その行為は先ほどの考えていたものをなるべく考えたくない様子にして、別の思考をするために行っている。自分自身でも分かっていた。

外に出て俺は見上げた。夜空がより一段と鮮やかに見えるようになった。周りからは虫の鳴き声が程良いボリュームで静かな雰囲気が周りに漂っている。

今は少し夜風が吹いていて、肌に冷たい空気が当る。

 

「はあ……」

 

生きている保証。

先ほど考えていた思考が頭に浮かんでしまい、ため息が漏れた。どれだけ他の事に思考を集中させても不安なモノは頭に浮かび上がってしまう。人間とはそのように出来ている。

そして、無意識でも先ほどの事を思考してしまう。“戦争”というモノが始まるのだから命がけだ。“誰もが不幸にならない世界”。そのような夢を叶える為にこの戦いに参加する。

しかし、もしかすると先ほどのように楽しく雑談を出来る事は永久に無くなってしまうのかもしれない。

皆の居る場所が何か眩しく感じてしまった。そこに戻れるのか、それもと永遠に……。

 

「また大きなため息だね」

 

と、思案していると後ろから優しく労わるような女性の声が聞こえてきて、今、思考していたモノが中断されて後ろを振り向いた。

 

「なのはさんですか」

「うん、高町なのはさんだよ」

 

冗談混じりな言葉を吐きながら優しい笑みを零して俺の隣へと近づき夜空を見上げた。

 

「いい夜空だね~。とっても幻想的だよ」

「そうですね」

 

俺もつられて再び夜空を見る。やはりその星一つ一つが輝いてとても綺麗だ。

 

「……ねえ、ガイ君」

 

俺は名前を呼ばれたのでなのはさんの方を向く。なのはさんは見上げながら言ったようだ。視線は夜空に向いていた。

 

「ガイ君の考え事って、前に私とヴィータちゃんとの会話で話す事が出来ない内容の事?」

 

なのはさんは決してこちらに顔を向けることなく夜空を見上げ続けて言葉を投げてきた。

それは少し前になのはさんとヴィータさんと話をした時の内容だ。

なのはさんは前回もため息をしていた俺と今回が被って見えたのか、同じ内容なのだろうと思っているのだろう。

 

「……ええ」

 

俺は静かに頷いて夜空を見上げた。

 

「それってフリージアさんとも関係するの?」

「……なぜ、フリーが出て来るのですか?」

 

なのはさんからの思わぬ人物が出てきたので、言葉を絞り出すのに少し時間がかかった。

 

「フリージアさんが来た時とガイ君の悩み事はここ最近に起きた事だからね。フリージアさんがうちに来たのはガイ君が悩み事を始めた後だからいつ来たのかは分からないけど、ちょっと関係性があるかなっと思って」

「……」

 

俺は絶句してなのはさんを見た。この人の洞察力と推察力は流石だ。ポジション上、必要不可欠だからかなり鍛えられたのだろう。

 

「いえ、フリーは関係ないです」

「……ふ~ん」

 

多分、このような嘘を言っても、なのはさんにはすぐ嘘だと見破られてしまうのだろう。

しかし、なのはさんは分かっているような表情をしているがそこから先は言ってこなかった。

 

「で、やっぱりそれは今も話せない事なの?」

「はい。心配してくれてとても嬉しいのですが内容は話す事が出来ないのです」

 

そっか、と言ってなのはさんは見上げることをやめて、俺の方を向いた。その表情は優しい笑みだった。

 

「前にも言ったけどヴィヴィオ達を悲しませるような事はしないでね」

「……はい」

 

俺が返事するとなのはさんはよし、と言って手を組んで大きく腕を伸ばす。

 

「んっ、と。それじゃ、そろそろ戻ろう。あんまり夜風に当たってると風邪ひいちゃうよ」

「はい」

 

なのはさんには迷惑ばかりかけてしまった。

 

いろいろとご迷惑を掛けた分として今度、お礼を込めて何か送ろう。

 

俺となのはさんは宿泊ロッジへ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『まあ、ガイさんの参加申請書も出しておくんだけどね』

 

ガイさんが私たちの部屋から出て行った後、ルールーはガイさんの参加申請もしておくと言って部屋を後にした。

そうしてくれると私も嬉しい。もし、ガイさんが大会に出てきてくれたら私も皆も大喜びだ。

 

「んっ……」

 

そんな考え事を終えてそろそろ意識を手放そうとした時、ゴソッと私の隣でアインハルトさんの動く音がした。

 

皆、寝ていると思ったけど、アインハルトさんも考え事をしていたのかな?それとも何かの拍子で起きてしまったのかな?

 

そして、ベッドから降りる音がした。ギシッと音がしたので窓際の椅子に座ったのだろう。確かあそこにはフリージアさんが昨日置いていった覇王の回顧録の本があった気がした。

パラパラと捲る音がする。それを読んでいるのかただパラパラしているのかは音だけではわからない。

 

「クラウス……私はそこで戦ってきていいですか?いつかあなたに追い付いて、いつかあなたを追い越して、あの日のオリヴィエより強くなって私たちの悲願をかなえるために……」

「……」

 

私はアインハルトさんに背を向けるようにして横向きに寝なおして目を開けた。やはりアインハルトさんは覇王の悲願を忘れていたわけではないようだ。

 

「あ……ガイさん」

「!?」

 

私は反射的に体を動かそうとして、何とかその衝動を止めた。

 

アインハルトさんがいきなりガイさんの名前を言うからびっくりした。

 

そして、アインハルトさんの動く気配がして静かに部屋を出て行った。私も起き上がって窓の外を見た。確かにガイさんが居た。その表情はここからだと良く分からない。

 

「あ……なのはママ」

 

そこになのはママが来て何かを話しをしている。少し離れた所の茂みにアインハルトさんが居た。

 

どんな会話なのか気になっているのかな。

 

「まあ、私もだね」

 

私も部屋を出て外へと出た。アインハルトさんとは反対側の茂みに隠れてガイさんとなのはママの会話を聞く事に。

 

「前にも言ったけどヴィヴィオ達を悲しませるような事はしないでね」

「……はい」

 

私たちを悲しませるようなこと?なんだろ?

 

「んっ、と。それじゃ、そろそろ戻ろう。あんまり夜風に当たってると風邪ひいちゃうよ」

「はい」

 

そう言って、2人は宿泊ロッジへと戻った。

私もアインハルトさんが戻る前に部屋に戻らないといけないので、2人の後を追うようにして宿泊ロッジに入って、部屋に戻りベッドに入って目を瞑る。

少しして、アインハルトさんも戻ってきて私の隣に横になったようだ。

 

それにしても私たちを悲しませるような事をって何だろ?ガイさんが私たちに何かをして悲しむこと……ガイさんが居なくなることかな。皆はそれで悲しくなると思う。

 

「ガイさん……オリヴィエ……」

 

アインハルトさんから何か聞こえた。ガイさんとオリヴィエ。

 

2人の名前が出てきたがどのような関係があるのだろう?

 

「あの二人なら……きっと……」

 

そう言った後は、アインハルトさんから静かな寝息を立て始めた。

 

「ガイさんと……オリヴィエ?」

 

アインハルトさんの口から出てきた2人の共通点はいったい何なのだろう。今の私には分からないことだらけだ。

いろいろと考えているうちに意識が遠くなり始めた。眠気が襲ってきたのだ。私は意識を手放す前にアインハルトさんの方を向いた。アインハルトさんはとても美しい寝顔で眠っていたが、なぜかその目からは涙が滲んでいた。

そして、一滴の涙が頬をつたって零れ落ちた。何かを思っているのか何かの夢を見ているのかはわからない。

 

「アインハルトさん……」

 

それを見て、私は静かに意識が薄れていって眠りについた。




戦闘シーンの描写は難しいですね。

まだまだ筆力が足りないかな。

しかし、技名が全て漢字だと厨二病的な感じであまり好きじゃないんだが、アインハルトの技名が覇王~なのでオリヴィエも聖王~じゃないといけませんよね。

だが、自分の好きな技は

超究武人覇斬.ver5(FF7AC
トランザム(ガンダムOO

とか、ね~w

自分が粒子化する技が好きですね。

厨二乙w

何か一言感想がありますと嬉しいです。

では、また(・ω・)/
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