魔法少女リリカルなのはvivid~過去と未来と現代の交差~   作:ガイル

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すいません、今回はちょっと短いです。

一気に進めても良いのですが、ここは一回切ったほうが良いかと思いまして。

聖杯戦争も少しずつ進めませんとね。

では、6話目入ります。


六話“理想郷と理論の交差”

 ―――柳洞寺 山門

 

「秘剣……」

 

アサシンは空中で私と剣を交えた後、階段の上段に着地して後ろ向きから下げていた刀を静かに、そして流れるようにして刃を上にして顔の横まで上げて私を視て構える。

私はその流れを魅入るように視てしまったため追撃の機会が無くなった。

アサシンはこの日本の昔の侍。初めて会った時は敵である私にサーヴァントのクラスと真名を堂々と名乗り上げてきた。真名は佐々木小次郎。

しかし、物語世界において実在しない架空の人物であり彼を演じるのに最も適した無名の剣士の亡霊が佐々木小次郎という架空の英霊の殻を破った存在にすぎない。蒼く長い髪をポニーテイルで縛り蒼い瞳、蒼い服というべき袴。蒼が特徴的な侍である。

さらにあの異様なほどに長い刀。あまりに長尺な武器は小回りが利かず攻守ともに致命的な支障をきたすもの。懐に飛び込みさえすれば一気に突き崩せるのだがその一歩が踏み出せない。アサシンとはこれで二度目の対決だがあの長刀をここまで使いこなすのは流石と言える。その長刀が今狙っているのは階段の下段に居る私の首だ。

私は風王結界を外してあるエクスカリバーに魔力をこめる。エクスカリバーがそれに応じて眩い金色の光を刀身から光らせた。

 

「だああぁぁ!!」

 

私はアサシンに向かって、大きな一歩を踏み出した。

 

「燕返しぃぃ!!」

 

アサシンも私の首を取るために大きな一歩を踏み出す。互いの一歩が互いの射程圏内に入る。アサシンは一瞬にして三つの太刀筋を放った。

私の頭上から股下までを断つ太刀筋。

対象の逃げ道を防ぐ円の軌跡の太刀筋。

左右への離脱を阻む払いの太刀筋。

その全てが私に向かって放たれる。防御も回避も不可能だと瞬時に判断できた。ならば私はその太刀筋と太刀筋の間からその太刀筋を放ったアサシンに向かってエクスカリバーを振り上げる。

私達は互いの剣を振り斬った。お互いの剣の衝撃が凄まじく空気が一瞬だが激しく振動した。

そして静寂に包まれる。私のエクスカリバーがアサシンの胴体に一太刀入った触感を感じ取っていた。それによって三つの太刀筋は消えて私が斬られることはなくなったのだ。

その結果はすぐに現れた。アサシンの体に入れた太刀筋から血吹雪が舞った。致命的な傷だというのにアサシンはそれを特に気にすることなく静かに構えを解いた。私も構えを解いてアサシンを見る。

 

「ゆけっ……」

 

アサシンは小さく呟くように言った。

このアサシンはキャスターのルール違反によってこの山門を拠り所にされてしまったサーヴァントだ。既に死んでいるキャスターがマスターとなってサーヴァントを召喚することは、“生者のみが死者は甦らせられる”という原則に違反するため、強引に土地を依り代にして“マスターが存在しない”状態で召喚したのだ。

私はアサシンの横を進み、そして足に力を入れて一気に山門を潜った。アサシンは魔力が尽きて実態を維持できなくなって消えるのだろう。私はそれでもあのような戦士と最後まで戦えたことに誇りを持った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――柳洞寺

 

私が柳洞寺に到着した時にはギルガメッシュがシロウに向かって、後ろの次元から複数の武器を飛ばしたところだ。

 

「離れていてください、シロウ!!」

 

私はシロウの前まで加速してエクスカリバーで放たれていた複数の武器を一閃した。

魔力同士がぶつかったので大きな土煙が舞い上がる。私はそのまま土煙の中へ入りギルガメッシュに向かってエクスカリバーで横振りした。ギルガメッシュはそれを避けて複数の剣や槍の矛先が次元から現れている場所へと後退する。

 

「後は私が!!」

 

私はギルガメッシュの方を見てエクスカリバーを構える。

金色の髪に真紅の瞳。灰色のズボンに第二ボタンまで開けたYシャツ。その上にズボンと同じがらの上着を羽織っている。服装だけを見れば一般人に見えるがその中身は古代の英雄王ギルガメッシュでありサーヴァントだ。

柳洞寺の敷地内はかなり荒れていた。コンクリートは粉々に割れ、至る所に武器が散乱している。中には折れている武器もあった。シロウもギルガメッシュも互いの武器をぶつけ合っていたのだろう。

 

「いや、俺一人で十分だ。セイバー」

「シロウ!!」

 

私はギルガメッシュに警戒をしつつ、後ろに居たシロウに注意を向ける。

 

「それよりも聖杯を止めている凛の事を頼む!!」

 

私はシロウの方をチラリと見た。薄い赤のかかった短髪に薄い黄色い目。ジーパンと半袖のシャツを着ているが、所々に刀で切り裂かれていた。左手で右の腕を掴んでかなりボロボロ状態だったが、それでもその目は諦めていない。

正直、シロウの事は不安ではあったが聖杯を止めている凛も心配だ。私は葛藤の中、決断した。

 

「ご武運を」

 

私はシロウに向き一礼してその場を去った。今はマスターである凛をサポートするために。

正直、私でもギルガメッシュに勝てる算段は立っていない。それほど強力な相手だ。だが、シロウにはあの固有結界が……アーチャーと同じ固有結界が使える。それはギルガメッシュと渡り合えることのできる術。なら私はシロウを信用して、私は凛のサポートに回ることにした。

 

柳洞寺の裏手に回るとそこは異様な光景だった。異様な形をした巨大な肉塊みたいのが柳洞寺の池を埋め尽くしていた。

 

これが聖杯というのだろうか?私はこれを求めるために聖杯戦争に参加した?

 

私はこれのために世界と契約してここまで来たというわけだ。これが何でも望みを叶える聖杯とは思えなかった。心の中に絶望の波が押し寄せてくる。私はそれを必死に否定してこの肉塊を凝視する。

肉塊は脈を打っているのかドクンドクンと動いている。その肉塊の中に見知った顔が誰かを担いで歩いていた。

 

「凛!!」

 

今はマスターの凛だ。黒い髪を黒いリボンでツインテールに縛り翠の瞳。黒いニーソックスに黒く短いミニスカート。胸元に十字の紋章が付いている赤い服を着ている。

私は凛へと駆け寄ろうとした。

 

「駄目よ!!その泥に触れちゃいけない!!」

 

凛は必死になって私の行動を止めようとした。私はその言葉を聞いて黒い泥に入ることをやめた。

 

「ですが……」

「こいつはもうすぐ弾けるわ。その前に宝具でぶった切っちゃって!!」

 

宝具を使ってこの不気味な肉塊を破壊する。凛が言ったのだ。それに従おう。凛を担いでいる人物はたぶんシロウの親友、信二だろう。聖杯の触媒にされてしまったのか今は意識が無い。

 

「では、早く外へ!!池に出てしまえば後は私が!!」

 

私はエクスカリバーを構えた。凛はそれを見て移動して見えなくなる。しかし、少ししても凛は出てこない。肉塊の塊に道を遮られているようだ。

 

玉砕覚悟でこの泥に入って凛を助けるべきではないだろうか?

 

そう考えていた矢先のこと、頭上から幾度の武器があの肉塊に目掛けて飛んで行き肉に突き刺さっていく。

 

「あれは……」

 

あのように武器を飛ばしている人物は2人しか知らない。1人は先ほど居た人物、ギルガメッシュ。もう1人は元々凛のサーヴァントだった……。

 

「アーチャー……いえ、英霊エミヤ」

 

そう、アーチャーだ。アーチャーがこの複数の武器を飛ばしている。彼はシロウの理想を追い求めて英雄となった人物。

アインツベルンの城でシロウと死闘を繰り広げていたがその戦いの決着後にギルガメッシュが横槍を入れて消えてしまったと思っていた。だが、まだ生存していたようだ。

私はニヤリと笑ったのが自分でも分かった。アーチャーも凛の事が心配していたのだろう。凛が肉塊から現れた。アーチャーの武器が凛の脱出路の道を作ったのだ。

 

「セイバー!!お願い!!」

 

稟はそう言いながら肉塊の外へ出て、池へと落ちる。私はエクスカリバーに全魔力を注ぎ込んだ。凛の魔力なら問題なく打てるが今はシロウにも分け与えている状態。シロウは固有結界を発動しているのが凛を通して分かる。

だから、私がこれを放ったら魔力が無くなってきっとサーヴァントの肉体が維持できなくなるだろう。

 

でも、構わない。

 

私はエクスカリバーが金色に輝いたのを確認した。放つ準備は万端だ。凛はすぐに池から出て芝生に転がり込んだ。

 

「“エクス……」

 

肉塊には未だに武器の雨が降り注いでいる。アーチャーが動かない様に攻撃しているのだろう。私は大上段構えでエクスカリバーを構えた。

 

「カリバー!!」

 

そして、それを縦振りで放った。“勝利された約束の剣(エクスカリバー)” 私の切り札。広域を両断する光を放つ。見た目はビーム砲に近いが、攻撃属性は斬撃に近い。それが肉塊の中心に向かって放たれた。大きな音と衝撃があたり一面に駆け巡る。蒼い光と黒い光。それら入り混じる。

そして、黒い孔が現れたが瞬く間に蒼い光に包まれて消えた。あれが聖杯の正体だろう。

私の体には魔力が残されていなかった。“約束された勝利の剣(エクスカリバー)”は膨大な魔力を消費した。サーヴァントとしての肉体を維持できるだけの魔力はない。凛の魔力を使って生存は出来るが、それでは今闘っているシロウに十分な魔力が届かない。

 

今、私が居る必要はない。後はシロウと凛に任せよう。

 

私の髪を縛っていたシニヨンのようにしていた紐が解けて髪がはらけた。

 

「セイバー!!」

 

私を呼ぶ声が聞こえる。私は微笑みながら凛を見た。今にも泣きそうな瞳で私の事を見上げてくる。私は凛を見つめながら静かに笑った。凛の泣きそうな表情、それがこの世界で見た最後の光景。

そして、視界は闇に閉ざされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上下左右の感覚もあいまいな浮遊感がくる。このまま再びあの丘に戻るのだろう。カムランの丘の麓に。

私はサーヴァントとしての契約から解放された後、“英霊の座”ではなくこのカムランの丘へと連れ戻される。まだ、この場所で果てるという運命を全うする直前にあるからだ。

私は現世での死を得て正規に英霊となった上で召喚されたサーヴァントではなく死ぬ直前に“世界”と契約し、死後の魂を守護者として差し出す代わりに聖杯を手にする手段を取り付けた。

契約は聖杯の取得をもって執行される。なので、私は聖杯を手にしない限り何度だろうと朽ち果てるはずのカムランの丘の麓に呼び戻されるだろう。我が子の心臓を貫いたままで。次なる戦いに呼び招かれるまでの永遠にして刹那の時間、安息という名の攻め苦のなかで。

しかし、今回の聖杯戦争で聖杯がどんなものか知ってしまった。あれは願いを叶える為の願望機ではない。前回の聖杯戦争では切嗣が強制的に二回連続で令呪の命令を私にさせて“約束された勝利の剣(エクスカリバー)”で聖杯を破壊した。必死に令呪の命令に抵抗しようとしたが無理だった。

あの時、切嗣が聖杯を破壊しようなど考えていたのか分からなかったが今なら解かる。あれは存在してはならないもの。この世にあってはならないものだったのだ。

 

『果たしてそうかな?』

「……え?」

 

暗闇の中から渋くて低い声が聞こえた。それは一瞬あの神父の言峰のような声だと思ったが違う。こちらはもっと意味深い低い声をしてる。その言葉を聞いたからから暗闇が晴れて、薄暗い四角い部屋に出てきた。

 

「こ、ここは?」

 

私は戸惑っていた。本来は聖杯を手にすることが出来ずカムランの丘の麓に戻るはずだった。次なる戦いに向けての。

しかし、ここは四角い部屋だと視覚で分かる。カムランの丘の麓ではない。

 

『なに、そう戸惑う事ではないだろう』

「!!」

 

戸惑っていた私の目の前に何か四角い液晶のようなモニターが現れた。あれはテレビというモノの画面に似ている。だが私には何が起きているか分からない。

 

『まあ、私の事は“管理者”とでも言ってくれ』

 

正直この人物の名前などどうでもいい事だが今は少しでも情報が欲しい。

 

「ここはどこですか?管理者」

『今は君では理解しうる場所だ。順に説明していこうか』

 

私が来た事の無い場所?英霊の座か?ですが、まだ“世界”との契約は成立していない。

 

私はその言葉で考え込んでしまう。

 

『君は聖杯を欲しくはないのかね?』

「聖杯……だと?」

 

考えていた私に管理者は聖杯の話を持ちかけてきた。

しかし、先ほど聖杯戦争をしてきたばかりではないか。あの後はどうなっていたかはわからないがギルガメッシュを倒してシロウと凛ならきっと良い道へと進んでくれるはずだ。

 

『あの正体は“この世の悪のすべて(アンリマユ)”だ。冬木の聖杯は聖堂教会に観測された第七百二十六個目の聖杯候補だ。“願望機”としての役割も確かに持っており儀式の完成によってもたらされる膨大な魔力を用いれば大抵の願いは叶えることが可能だ。しかし、第三次聖杯戦争においてルールを破って召喚されたあるサーヴァントが原因で聖杯が溜め込む“無色の力”は汚染されて“人を殺す”という方向性を持った呪いの魔力の渦と化すようになり、それ以降、冬木の聖杯は人を貶める形でしか願いを叶えられない欠陥品になってしまっている』

セイバー「……」

 

私は愕然としたが納得もした。先ほど聖杯は良いモノでは無いと考えていた。管理者の説明を聞くと悪い方向へ持っていく聖杯だったのだ。今まで求めてきた聖杯が実は人を貶める物でしかないものであると。

そのサーヴァントによって破壊されてしまった聖杯のために切嗣がマスターだった第四次聖杯戦争、シロウがマスターだった第五次聖杯戦争、管理者の言っている事があっているとしたらこの二つに参戦していた私はこれを求めて戦っていた事になる。

私が償う罪と終わらない罰を終わらせるために参戦していた聖杯戦争は無意味だった。

 

いや、シロウたちと出会ったのは無意味ではなかったが、本来の目的である理想には届かない。

 

 複雑な思いが私の心中を駆け巡る。

 

『確かに冬木の聖杯は欠陥品だ。だが、それ以外の聖杯が存在して“無色の力”のままでがあるとしたら?』

「え?」

 

このモニターに出ている管理者が他にも聖杯があると言ってきた。モニター越しも暗くて人物が特定できないが渋く低い声は印象に残る。管理者の言葉を信用しているわけでは無いが私はモニターに釘付けだった。あれ以外の聖杯が存在すると。

 

『ここの世界、この星のミッドチルダに存在する。すでに2人のマスターが登録された』

 

……ここの世界?

 

私は管理者が言った言葉に疑問が残った。

 

「ここの世界……とは?」

『ああ、ここの世界は地球というものは存在しない。いわば別世界と言える』

「別……世界?」

 

私は話がついていけなかった。

 

ここの世界がシロウたちが居た世界とは違うと言うのか?同じ世界での時間軸の超越ならサーヴァントによって二回行われたからわかる。ですが、世界そのものが違うと?私が契約した世界とは違うと?

 

『やはり理解に苦しんでいるようだな』

 

そんな様子をモニター越しから笑っているのか管理者の体が少し揺れているのがわかる。

 

「ええ。私の理解を明らかに超える出来事です」

 

笑われている事に屈辱を覚えたがこの状況下では少しでも情報が欲しい。この状況下を知っているのはこのモニターに映っている管理者だ。逆上されて話を止められたら困る。

 

『例えるとすると地球という地図があるとする。その地図があればその地図内で迷う事無く目的地へ行けるだろう。だが、ここは地図の外側に位置する。地球という地図では歩けない。歩いてみても全く違う所へ出てしまう。ここの世界ではここので地図が必要なのだ』

「つまりは私が居た“世界”の範囲外の世界だと?」

『まあ、君の主観的から見るとそのようになるだろう』

 

少し理解できた。ここの世界は地球が存在する世界とは違うのだ。私は外側の世界に出てきてしまったようだ。

 

「何故私はここに出て来たのですか?」

 

少し疑問が解けたが新たな疑問も浮上する。私がここに出てきた理由だ。

 

『“ワームホール理論”というのを知っているか?そこから少し繋がっている』

「ワームホール理論?」

 

私は首を傾げる。聞いたこともない単語が出てきた。それと私がここに居る理由とどう関係しているのだろう。

 

『ワームホール理論。二つの穴があり、それはトンネルで繋がっている。そのトンネルは通過時間ゼロで通り抜けられる。二つの穴がどれだけ離れていてもな。しかし、ワームホールのトンネルは超重力が掛っており開通すると同時に潰れる。なので、かかる重力を無効化するためには工夫が必要だ。それがこの“エクゾチック物質”だ』

 

管理者は手のひらに物体を乗っけて見せてくる。薄暗くても蒼く光っており宝石のような形をしているのがわかる。

 

『これはマイナスの重さを持つ質量で重力に反発する。エクゾチック物質を注入してワームホールを安定させれば瞬間移動は可能でもある』

 

小難しいこと言っているが用はそれがあるからトンネルが安定してその“ワームホール”を通ることが出来ると管理者は言っている。

 

 マイナスの重さ?それを地上に置いたら浮くのでしょうか……想像出来ませんね。たぶん違うと思いますけど。

 

 実際に管理者の手のひらに置いてあるエクゾチック物質は宙には浮いていない。

 

『この世界と地球のあった世界にも繋がっている“ワームホール”が存在する。時空管理局の船はまた別のやり方で移動しているがそこは省略する。理論で行くと開通していてもトンネルが塞がったままだ。ここを通るためにはこの“エクゾチック物質”が必要となる。そして、私はワームホール空間にこれを繋げたことによって世界と世界は繋がった。そして、私は見た。“英霊の座”をな』

「なっ!!」

 

英霊の座を生身の人間が見たというのか。あそこは肉体を持っていては行くことのできない神秘の場所だ。この人物はここを見たという。

 

『まあ、偶然ではあるがな。繋がった場所が“英霊の座”だったというのは。そこで面白い人物が居た。それが君だ』

 

その人物はモニター越しの暗闇の中、腕を私に向けているのがわかった。

 

『君はセイバーのクラスで存在していたかのように見えた。しかし、それはただの抜け殻でこれから入る予定の中身が聖杯戦争に参戦している。確かに聖杯戦争中はそうなるだろう。だが、聖杯戦争が終わって“英霊の座”に戻るかと思えばあの丘へと戻ったではないか』

「……」

 

管理者はどこまで私の事を知っているのだろうか。私が参戦していた戦いを見ていたと。そして、第四次聖杯戦争で敗北した私があのカムランの丘の麓で我が子の心臓を貫いたまま次なる戦いに呼び招かれるまで、その時間軸の中で停止していたことも知っているというのか。

 

『君はサーヴァントとして召喚されていたはずなのにまだ死んでいないではないか』

「ええ、私は聖杯を手にして死ぬという契約を“世界”としている。聖杯を手にした暁に契約が執行される。私は聖杯を手に入れるまで何度も同じ時間軸で止まっているあの丘へと戻る」

 

私は世界との契約の内容をその人物に伝えた。相手からいろいろと情報を得ているのだ私も何か情報を渡さなければ感じが悪い。

 

『ああ、そうさ。君の契約は確かに面白い。だから、今度は……』

「!!」

 

突然、私の目の前に赤い円の紋章が現れた。

 

「これは……サーヴァントの召喚の紋章!!」

 

私もあの紋章から現れたことがあるから分かる。これはサーヴァントの召喚儀式の紋章。

 

ここにサーヴァントが現れる?そのサーヴァントと私を戦わせようと言うのか?

 

『案ずるな。君は今回の聖杯戦争では……』

「っぐ!!」

 

私の右手の甲が痛みを訴えて光りだしたので右手の甲を見る。それは瞬く間に刻まれた。令呪だ。その三画はサーヴァントを使役するための絶対の命令権。それが無いとサーヴァントを使役することが無理に近い。

 

それが何故私の体に刻まれた?

 

『君は今回の聖杯戦争ではマスターだ』

「な、なに?」

 

衝撃の事実だった。過去二回、サーヴァントとして戦った私が今度はそれを使役するマスターになるのだ。私は驚きを隠せず表情に出てしまった。それを見たからか管理者は少し愉快そうに話を続ける。

 

『別に不思議なことではなかろう?“生者のみが死者は甦らせられる”という原則に反してはいない』

 

確かにそうだ。死者が死者を蘇られたことによってルール違反をしたキャスターに召喚されたアサシンは拠り所をであるあの山門でしか存在出来ず、存分に戦えなかったのだから。

 

『ここに飛んでくる前、君の体に魔術回路を組み込ませてもらった。マスターから魔力を供給されていた体であったし組み込む事は容易かった。ただし、その体はやはり魔力で維持されている。魔力が尽きたら再びあの丘へと戻ることになる』

「まて、それでは“世界”との約束が違う!!私は死ぬ直前に“世界”と契約して死後の魂を守護者として差し出す代わりに奇跡を生み出す聖杯を手にする手段を取り付けた!!」

 

これでは“世界”との契約が違ってくる。死後の魂を守護者として差し出すのはサーヴァントとして使役されることを意味する。それはいまだ生きながらえている私が過去二度、サーヴァントとして参戦した裏付けにもなる。

だが、マスターとなってしまうとこの因果律は破綻してしまう。

 

『別に間違っていない。死後の魂を守護者として差し出すのはあくまで死んでからだ』

「で、ですが……」

 

管理者の言っていることに私は戸惑う。

 

『それに“世界”はこの世界には存在しない』

「あっ……」

 

管理者のその言葉に私は鈍器で頭を叩かれたような感覚に襲われた。ここは別世界。私と契約した“世界”は存在しない。存在するのはここの世界。その契約自体が存在していないのだ。

 

『ワームホールを繋げることによって君をこちらに招き入れることも出来た』

 

なので、この世界では“世界”との契約は成立しない。契約の存在自体が無いのだから。

しかし、負けて魔力が尽きて消えれば再び英霊の座に戻る。そして、私のことを見失っていた“世界”が私を見つけ再びカムランの丘の麓と聖杯戦争のループに飛ばされるのだろう。

世界と世界は干渉しあえない存在だからここの世界に“世界”は干渉できない。

管理者と討論をしているうちに召喚の紋章から1人の男性が召喚された。見た目はかなり身長が高い。

 

『君は三人目のマスターだ。七人のマスターが揃った時、今回の聖杯戦争は開始される』

「ま、まて、私が聖杯戦争に参加するなど一言も……」

『君は聖杯の奇跡が欲しいのではないか?』

「……」

 

私が今まで求めてきた理想。だが、その理想のために従者や盟友、第四次聖杯戦争で円卓の騎士の一人、“湖の騎士”サー・ランスロットにも怨まれたこともわかった。

 

それだからか、自分は王にふさわしい器ではなかったと感じ新たに王の選定をやり直すために聖杯を……それを叶えるために聖杯という奇跡の代物を追い求めてきた。

 

私が聖杯戦争に参加しない理由はないのは当たり前だ。しかし……。

 

「こんな事をして貴方に何のメリットがあるのですか?」

 

目の前に映し出されたモニターの人物の真意が分からなかった。切嗣みたいに言葉をまったく交わさないわけではないので、少しは話せる人物だと思うが。

 

『……すべては運命だよ。セイバー』

 

その人物の渋くて低い声が一瞬戸惑ったかのように思えた。

しかし、それは次の言葉では再び渋くて低い声で戸惑いもない口調だった。

 

『では、君は三人目のマスターだ。そして、そのサーヴァントのクラスは?』

「……ランサー。真名は“ゼスト・グランガイツ”」

 

戸惑っていた私の代わりに召喚されたサーヴァントが管理者に答えた。




セイバーはUBWルートから参戦しました。

そのほうが、士郎とフラグを立てずにガイとの………はやりませんけどねw

そのほうが、今後の話が面白くなるんじゃないかなと。

佐々木小次郎との対決は最後だけ書きたかっただけですw

一応“生者のみが死者は甦らせられる”という理論を出しておきたかった訳でもありますが。

セイバーがマスターです。

セイバーがマスターです。

大事なことなので二度言いましたw

しかし、簡単に魔術回路を組み込む管理者っていったい何者だw?

感想が一言ありますとやる気につながる………かもしれないですw

今後もこの小説を読んでくれれば幸いです。

では、また(・ω・)/
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