魔法少女リリカルなのはvivid~過去と未来と現代の交差~ 作:ガイル
時間がなかなか取れなくなってきたから、週に一回のペースで更新できるか出来ないかですかね。
楽しみしている方(いないと思うがw)、更新が遅くなってしまって申し訳ありません。
このぐらいのペースになります。
では、七話目入ります。
―――マンション
「んっ……」
俺はいつもの起きる時間に脳が覚醒し始めた。最近は日が昇るこの時間帯に起きるのが習慣づくようになった。休日は遅くまで寝ていてヴィヴィオに怒られてしまったけど。
今日は祝日だが同居人がいるので朝食を作るためにここ数日はこの時間に脳が覚醒する。久々にベッドに寝たからか横向きで眠っていた体にダルさが無いのがわかる。俺は目を開けた。
「すーすー」
俺は目を閉じた。目の前にあり得ない光景が広がってたからだ。俺は確かめる為にもう一度目を開けた。
「すーすー」
二度見ても光景が変わることがなく俺の表情は引きつっていた。俺が寝ているベッドにオリヴィエが俺の方に寝顔を向けて規則正しい寝息をたてて寝ていた。シングルベッドに俺とオリヴィエが1枚の毛布で寝ている状態だ。密着状態に近い。昨日のオリヴィエは俺にベッドを譲ってソファーで眠っていたはずだ。
なんで俺の寝ているベッドで寝ているんだ?
疑問は残るがそれよりも今のオリヴィエの姿がマズい。俺の渡した縦ラインの青縞のパジャマを着ているのだが、第2ボタンまで外しているため胸元が肌蹴て白いブラがチラリと見えている状態だ。俺はダメだと思いつつもオリヴィエの胸元の白い生地に目がいってしまう。
『また視姦ですか?』
「……」
プリムラからまた痛い言葉をまた貰ってしまった。俺はオリヴィエの胸元から視線をズラして起き上がり毛布から出て、なるべくオリヴィエを見ない様に毛布をかけ直した。
「なあプリムラ。なんでオリヴィエはベッドで寝てんだ?」
『夜中にベッドに移ったのを確認しました』
「ほう」
プリムラの話だとオリヴィエは夜中にこっちへ移ってきたらしい。理由は分からないか。
「……起きたらオリヴィエに聞くか」
俺はオリヴィエの綺麗な寝顔を見てベッドから降りた。オリヴィエはやはり美人だということを朝から再確認された……羞恥心の足りなさも再確認された。そのおかげで完全に目が覚めた。あまり良い起きかたではないが。
「……朝飯作るか」
俺はオリヴィエの白い生地の光景を何とか頭から切り離してキッチンへと移動した。
『マスター、メールが届きました』
キッチンに入って冷蔵庫を開けようとした俺の前にモニターが現れた。
差出人………アインハルト・ストラトス
件名………朝食
本文………ガイさん、おはようございます。あの、もし良かったらですが今日の朝食は私の手料理でよろしければ食べに来ませんか?一昨日から食事のお世話になりましたのでそのお礼をしたいのです。
アインハルトからのメールだ。食事のお誘いだった。
「……ああ、なるほどね」
俺はメールの文面を見て、どうしてお誘いの話が来たのか予測して納得した。
昨日は帰り道に壮大な量の殺意が背中越しから感じて冷や汗をかいた。その時に隣にいたアインハルトはマンションに帰ってから事情を聞いてきたが聖杯戦争の事なので話すことが出来なかった。
それが原因なのか仲間外れにされたと思っているのか帰り際に見えた寂しげな表情が忘れられない。このお誘いはアインハルトに何回か食事を作ったお礼と昨日の事について聞く機会を設けたいのかもしれない。
いや、もしかしたら昨日の事は何でもなく、ただオリヴィエに会って話をしたいだけかも知れない。
「ま、仕方ないか」
アインハルトの好意も無碍に出来ないので俺は部屋を出て隣人のドアの横に付いているインターホンを押した。少ししてはーい、という声と共にアインハルトが出てきた。
「あ、ガ、ガイさん」
「おはよう。メール返すより口頭で返す方が早いと思ってな。ご馳走になるよ。アインの手料理楽しみにしてる」
俺は笑顔で答えた。いきなり俺が来たからかアインハルトは戸惑っていた。
「え、あ、あの……」
「んじゃ、少ししたらフリーと行くわ」
俺は伝えるだけ伝えて部屋に戻った。
「あ、ガイ。おはようございます」
「あっ……」
部屋に戻ると、ベッドにいた胸元を肌蹴たままのオリヴィエが起きたところだ。俺は入った瞬間、180°転回して視界からオリヴィエの姿を消した。
「とりあえず羞恥心を養え」
「ガイは純情ですね~」
そう言って、後ろから来ていたパジャマの肌蹴る音がした。おそらく脱いでいるのだろう。俺はパジャマを脱いでいるオリヴィエの想像を必死にかき消して、まだ少し早くなっている心臓を何とか抑えて質問を投げかけた。
「な、なあ、オリヴィエ。何でベッドで寝ていたんだ?」
「……さあ?」
少しの間があったが戸惑いのない普通の声が返ってきたのでオリヴィエ自身も分かっていないらしい。
『寝ぼけていたのでは?』
「寝ぼけてソファーからベッドに来るか?」
首に掛けてあるプリムラが言ってきたがそれに疑問で返す。するとプリムラは続けてこういった。
『音声を聞いたものだと“ベッド~”とか言って、マスターの寝ているベッドに入っていましたが』
「……そこまでしてベッドで寝たかったんだな、オリヴィエ」
「……え?」
オリヴィエはベッドで寝たかったらしい。それが寝ぼけて行動に移ってしまったと。俺の納得の言った声を聞いたオリヴィエは少し戸惑い気味な間の抜けたの声を発していた。
「悪かったな、オリヴィエ。今度から好きなだけベッドで寝ていいから」
俺がベッドで寝るたびに寝ぼけてベッドに入られてしまっては困る。オリヴィエの羞恥心の無さに寝不足になりそうだ。これからはオリヴィエにベッドを譲った方がいい。
「ガ、ガイ!!何か勘違いをしています!!」
しかし、オリヴィエは否定した。俺を呼ぶ声と共に後ろから足音が聞こえどんどん大きくなってきた。
そして、オリヴィエが俺の背中部分の服を両手で思いっきり掴んで抗議した。
「ち、違うのか?」
俺は背中からのオリヴィエの気迫に少し戸惑いながら聞いた。たぶん今のオリヴィエの姿は先ほどパジャマを脱いだから下着姿のままなのだろう。俺は振り向く勇気が無い。
「私はベッドで寝たいなどと思っておりません!!ソファーが“硬い”などと思っていません!!」
「……」
オリヴィエの発言の中に本音を混ざっていたのが分かった。おそらくオリヴィエ自身は無意識に本音を言ってしまったのだろう。
それなので俺はちょっと嘘を言ってカマかけてみた。
「……プリムラがオリヴィエは“軟らかい”ベッドで寝たがっているような事を言っていたが」
「そ、それは……それです!!」
認めた!?
オリヴィエは一瞬戸惑ったが開き直ったようだ。やはり柔らかいベッドで寝たいようだ。しばらくの間はオリヴィエにベッドで寝てもらうようにしよう。朝起きて毎日オリヴィエが半脱ぎな状態で眠っていたらいつか男の理性が崩壊しそうだ。
「あ、あのガイさん。食事の用意が……」
そこにドアを開けてドア越しからひょこっと顔だけを覗き込んできたアインハルトが俺らの光景を見て固まった。無理もない。確認はしていないがオリヴィエは下着姿で俺の後ろに居て必死に何かを言っている光景なのだから。
「あ、あの、そ、その……ごゆっくり!!」
何を思ったのかアインハルトは顔を真っ赤にして思いっきりドアを閉めた。
「……これは勘違いされたかな」
「何のことです?それよりも……!!」
アインハルトの部屋に入りずらくなった。オリヴィエが後ろから必死に抗議をしている声を聞きながらアインハルトの部屋にどうやって入るか俺は心の中でため息を吐きながら悩んた。
「アインの部屋ってトレーニング器具がいっぱいあるんだな」
「……」
「しかし、女の子の部屋って初めて入るけどアインの部屋は質素な感じだな。シンプルでいいよね」
「……」
「可愛い服が多いのに部屋は質素というギャップが……」
「ガ、ガイさん!!」
俺は座っているアインハルトに顔を向けた。顔を真っ赤にして俺の方を見ている。先ほどまでは俺達が来た時は顔を真っ赤にして伏せていた。俺に声をかけるために顔を上げたのだろう。
アインハルトに目撃された後、結局俺はアインハルトの部屋に入ることになった。アインハルトの好意を無碍には出来ない。オリヴィエは着替えてアインハルトの隣で座っていた。俺は入ったときからアインハルトにどう接していいか分からず、部屋の中を立って見回って会話になるモノを探していた。
「あ、あの、ご飯出しますので座っててください……」
言葉の最後の方は俺の顔を見る事が出来なくなって、アインハルトは立ってキッチンへと逃げて行った。
「アインハルトはどうしたのでしょうか?」
「……はあ」
俺はアインハルトの部屋を色々見たのも悪いと思うがアインハルトの誤解をどうやって解いてもらうか分からず、ため息しか出ない。答えが出ない。俺はアインハルトの言われたとおりしぶしぶテーブルの前に座った。
部屋のことを褒めてもダメだよな……誤解を解くには……どうすれば……。
俺が思考の渦にさまよっているうちに料理が運ばれた。アインハルトも朝食は簡単に作っているようだ。トーストで焼いた食パンにベーコンエッグ、コーンスープに野菜サラダ。アインハルトは料理を運んでいる時も頬を少し赤くしながらチラチラと俺の事を見る。
そして、全ての料理がテーブルに並べられてアインハルトはテーブルの前に座った。
「「「いただきます」」」
俺らは食パンにバターを塗って一口食べた。バターの風味が口の中に広がり、それをパンが吸収されて歯ごたえを感じさせてくれる。まあ、食パンにバターはベターだが。
「……」
アインハルトは食べながら俺の事を見ている。目線を合わせると頬を赤くしてサッと視線を逸らす。居心地が悪そうだ。
「美味しいですよ、アインハルト」
「……ありがとうございます」
隣に居たオリヴィエが微笑みながら評価した。高評価を貰ってアインハルトは居心地の悪さは少しは無くなったようだ。
ここ……アインハルトの部屋なんだがな。
「なあ、アイン」
「は、はい?」
アインハルトは俺を再び見る。ちょっと戸惑っている様子だ。今、思うのも変だがやっぱりアインハルトのこういう表情は見ていて面白い。
しかし、今はアインハルトの誤解を解かないといけないので面白がっている暇はない。
「さっきの出来事は誤解だからな。変に理解しないでくれよ」
「私がガイさんの部屋を覗いた時のですが?」
俺は頷く。アインハルトはそれを見て少し驚いた様子だ。
「あの光景を見たらガイさんとオリヴィエで付き合っていると思ったのですが」
「あ……やっぱりそう思っていたか」
やはり変に思われていたようだ。
しかし、俺とオリヴィエが付き合うと誤解されていたとは……まあ、あの状況は確かにそう思うだろう。俺とオリヴィエが付き合う……金がかかりそうだ。
俺とオリヴィエが付き合った光景を軽く想像したがすぐに家計簿に火がつく気がして想像を打ち消した。
「いえ、私は……私には……」
そこに食事をしていたオリヴィエが食べかけのパンを置いてこの会話に横槍を入れてきた。俺とアインハルトはオリヴィエに視線を向ける。オリヴィエは目を瞑って胸に右手を当てる。
「クラウスとの婚約の儀を行う予定でしたので、私の生涯の伴侶はクラウスです。ガイではありません。アインハルトも記憶の継承があるのですからそう言う事は知っていると思ったのですが」
「あ、え、ええと、そ、そうでしたね」
「……」
その声は迷いもなく透き透って俺の中へ何の抵抗もなく浸透するとても綺麗な音だった。
しかし、それが浸食した後の俺の胸には少し寂しさが残ったのが分かった。
まあ、俺ではオリヴィエに釣り合わないのは分かっていたが。これが身分の違いというモノだろう。
「ですから、アインハルト。そこの話を誤解しないでください」
「え、ええ……そう言われると、私の中の“覇王”の血から嬉しさが込み上がってきます」
そう言って、自分の胸に手を当て目を瞑るアインハルト。
「……とりあえず、誤解は解けたのか?」
「はい。変に誤解して申し訳ありません」
アインハルトは目を開けて俺を見て頭を下げた。
「ま、解けたならいいか」
俺はその光景を見て、誤解の話を終わりにするためパンにガブリついた。
「あ、ガイさん。今日、空いていますか?もしよろしかったら特訓に付き合ってほしいのですが」
「もぐもぐ……んっ、っと。悪い。今日は用事がある。今日じゃなければ時間が空いた時に特訓の付き合いはしてやるよ」
俺は食べたモノを飲み込んでアインハルトに返答した。その返答にアインハルトは少し表情を暗くしてしまった。
しかし、今日はヴィヴィオにお願いして無限書庫へ行くと約束した。そんな表情はしてほしくはなかったが約束を破棄することは出来ない。
「……わかりました。では、また後日に」
「ああ、悪いな。後で特訓の付き合いをしてやるから」
そう言って俺たちは食事を再開した。
「オリヴィエは無限書庫に行くか?」
俺とオリヴィエはアインハルトの部屋から出て自室に戻ってきた。洗濯物はオリヴィエに任せて俺は部屋を掃除していた。
洗濯物を干しているオリヴィエがこちらを向かず、はい、と言って返事した。俺の洗濯物とかも干してもらっているので変な感じはするが俺がするよりかはマシだ。
因みに今オリヴィエが干しているのは俺の下着だ。対した抵抗もなく軽く水を切って俺の下着を干してくれているのが妙に恥ずかしかった。
「そこは本が豊富なのですよね?」
「……ああ。無いものは無いと言われているからな。いろいろと調べるモノがあるからそこへ行こうと思ってな。ヴィヴィとも約束したし」
「ヴィヴィ?」
俺の言った言葉にオリヴィエは反応してこちらを向く。
「名前は高町ヴィヴィオ。オリヴィエ、君の複製体だ」
「私の……」
オリヴィエは自分のクローンが居ることに驚きと戸惑いと不安が目に出ていた。それらの感情の奥にあるオリヴィエの気持ちを察することは難しい。
オリヴィエは少し俯いて俺から視線を逸らす。
「……会ってみるか?」
俺は聞いてみた。様々な感情を晒し出しているオリヴィエが自分のクローンの事をどう思っているのか気になったから。それと同時にそれに力になれたらなってやろうとも思った。
「……ええ、会ってみたいです」
その表情に驚きと戸惑いと不安はなく凛々しい表情だった。気持ちが決まったのだろう。どのような気持ちかはわからないが。
「んじゃ、カラーコンタクトして行けよ。オリヴィエだとわかると困るのだろ?」
「そうですね。髪型も少し変えておきましょう」
そして、俺はオリヴィエを連れて無限書庫に行くことになった。
―――なのは宅
俺とオリヴィエは昼前になのはさんの家の前にやってきた。ヴィヴィオと合流するのはなのはさん宅と決まっていた。無限書庫に行く前にここに寄ってヴィヴィオを連れていかないと無限書庫に入ることが出来ない。
オリヴィエは紅いカラーコンタクトに髪をツインテールをして帽子をかぶっていた。これならパッと見ただけではオリヴィエとは思われないだろう。
しかし、やはり容姿が良かったせいか道中、視線が集まっていたのが分かった。俺は隣で歩いていたが俺の方にも視線が集まっているのが分かった……殺気も含めて。
「……はぁ」
思い出しただけでため息が出てしまった。
「どうしました、ガイ?」
隣に立っていたオリヴィエが純粋な表情で俺のため息を聞いて声をかけてきた。
「いや、何でもない」
今後の私生活にもオリヴィエの容姿に対して何か対策を練らないと大変かもしれないと、移動中に考えてしまった。
それはともかくとして俺は考えを切り替えて、インターホンを押した。
「はーい」
少ししてその声のその声の持ち主、なのはさんがドアを開けて笑顔で出迎えてくれた。
「あ、ガイ君。こんにちは」
「こんにちは、なのはさん」
俺も笑顔で答えた。
「あ、今日はヴィヴィオと無限書庫に行くんだよね?」
「ええ、お昼ごろにこっちで合流する予定です」
そっか、となのはさんは言って俺から視線を外した。その視線は俺の隣に立っていたオリヴィエだ。
「そちらの方は?」
「私はフリージア・ブレヒトと言います。よろしくお願いします」
オリヴィエは微笑んで礼儀よく頭を下げた。王族育ちだからか社交辞令はしっかりとされているようだ。1つ1つの仕草に優雅さを感じた。
「あ、は、はい。私は高町なのはっていいます。よ、よろしくお願いします」
それを見て、妙な風にあてられたなのはさんも慌てて頭を下げて挨拶をした。
なのはさんが慌てている……珍しい場面にでくわしたな。
2人は頭を上げる。そして、なのはさんは俺へ視線を向けて悪戯な頬笑みを見せてきた。
「ガイ君の恋人?」
「い、いえ」
今度は俺が慌てた。そういえばオリヴィエとの関係をどのようにしておくのか考えていなかった。マスターとサーヴァントの関係……そのように言ってもわかるはずもない。
「私とガイは主従関係の仲でありますよ」
「……へぇ……」
「……!!」
今、俺の体が一瞬震えた。この周りの大気の空気が5℃くらい下がった気がした。いや明らかに下がっている。その原因はなのはさんだろう。オリヴィエの言った言葉に何を感じたのか、頬笑みをこちらに向けているが体から放たれているオーラはどす黒いものを感じる。あれがこの周辺の温度を下げる発生源なのだろう。
「……どういう事かな、ガイ君?」
「え、え~と……」
なのはさんのオーラに圧迫され俺は少し後ろへと下がった。なのはさんの頬笑みが怖い。
その原因となったオリヴィエは何も分かっていない様子だが、こちらもなのはさんの気迫に圧倒されて冷や汗をかいていた。
「あ、ガイさん!!」
そこに今の空気に合わないぐらいの元気な声が後ろから聞こえた。振り返るとそこにはピンクのジャージ姿のヴィヴィオが走ってきた。
かなりの練習量をしてきたのだろう。体から湯気が出ているのが肉眼で確認できる。俺の前で足を止めて息を整えて俺に笑みを向けて顔を向けた。
「や、やあ、ヴィヴィ」
「あっ……こ、この子が……」
俺はなのはさんのオーラに圧倒されている状態なので、普通に喋ることが出来なかった。
しかし、隣に立っていたオリヴィエはヴィヴィオの顔を見て驚きを隠せていなかった。左目が紅で、右目が翠というその虹彩異色の瞳が自分の複製体だという事を裏付けていることだと分かったからだ。俺がヴィヴィと言ったのもその裏付けの一つなのだろう。
「あ、ヴィヴィオ。お帰り~。ノーヴェの訓練キツかった?」
「なのはママ~、ただいま~。キツかったけどいい訓練になったよ」
ヴィヴィオはなのはさんに視線を移して2人で笑って会話していた。いつの間にかなのはさんからのどす黒いオーラは無くなっていた。
「で、こちら方はどちら様ですか?」
ヴィヴィオは今度はオリヴィエに視線を移した。オリヴィエは自分の複製体に会った事で未だに戸惑いを隠せなかった。
「あ、わ、私は、フリージア・ブレヒトといいます」
戸惑いつつもオリヴィエは何とか自己紹介をした。先ほどのような優雅さはななかった。
「初めまして。私は高町ヴィヴィオっていいます。よろしくお願いします」
ヴィヴィオは笑って挨拶をして頭を下げた。オリヴィエもつられて頭を下げた。
俺はそんな2人を見て戸惑いを隠せないでいた。複製母体と複製体の接触。2人の正体を知っている人がいたら俺みたく戸惑うこととなるだろう。
そして、ヴィヴィオは頭を上げてマジマジとオリヴィエを見つめた。
「わ~、フリージアさんって綺麗ですね」
「あ、ありがとうございます」
ヴィヴィオが目を輝かせていた。
ヴィヴィオはオリヴィエだと分かっていない様子だ。フリージアがオリヴィエ・ゼーゲブレヒトだとバレる事はないようだ。オリヴィエだと思われてはいけない。何処から情報が漏れるか分からないからその点は大丈夫そうだ。
「ガイさんとお知り合いなのですか?」
「そ、そうです。私とガイは……」
そう言って、俺へと視線を向ける。先ほどの失言で大気の温度が下がったのが分かったからか俺との関係の発言を言わない事にしたようだ。
「……この前、ストライクアーツで知り合った。俺よりも実力は上だ。ヴィヴィオも後で対戦してもらうといいぞ」
ヴィヴィオ「本当ですか!?」
俺はその短い時間の中で必死の頭の中を高速回転させて出来上がった嘘をついて誤魔化した。親戚とも言いたかったが親の顔も知らない俺がそんな事を言うのも変だ。
「では、フリージアさん。今度、対戦しましょう!!」
「え、ええ、わかりました」
ヴィヴィオは満面の笑みをオリヴィエに向けた。オリヴィエはそれを見て最初は戸惑ったが微笑んで答えた。
「それじゃあ、お昼にしようか。ガイ君たちも食べる?」
「あ、はい。頂けるのなら」
なのはさんはどす黒いオーラを見せる事は無くなって頬笑みをこちらに向けた。
『さっきのフリージアさんが言った事、すごく気になるんだけどな~ガイ君』
「……」
しかし、なのはさんからの念話が頭に響いた。先ほどの事について追及されそうだ。今はどす黒いオーラは無いけどなのはさんの頬笑みが怖い。
「ちょっと人が多いからガイ君には手伝ってほしいんだけど」
「……はい、手伝います」
キッチンで質問攻めにあう事が分かっていたが、その笑みをこちらに向けられると否定もできない。
「それじゃあ、入って入って。フリージアさんも。ヴィヴィオはシャワー浴びてきなよ」
こうして昼飯をなのは宅で頂いた……キッチンでなのはさんからかなりの質問攻めにあったが。
テーブルで俺となのはさんの料理を食べ終えてお茶を頂いていた頃、インターホンが鳴った。
「私、出てくるね」
私服に着替えたヴィヴィオが小走りで玄関へと向かった。少しして、足音が増えて戻ってきた。
「こんにちは、なのはさん、ガイさん!!」
「こんにちは~」
ヴィヴィオに迎え入れられてリオとコロナがやってきたようだ。
「いらっしゃ~い」
「よう、リオとコロ」
「2人ともこっちだよ~」
そして、ヴィヴィオがソファーに誘導して2人はソファーに座った。
「あちらの方々は?」
隣で座っていたオリヴィエが聞いてきた。
「ん?あれはヴィヴィの友達だ。頭に黄色いリボンを縛っている子がリオ・ウェズリー。クリーム色の髪をツインテールにしている子がコロナ・ティミルだよ」
「そうですか。ヴィヴィオのお友達ならご挨拶をしませんと」
オリヴィエは立ち上がって、ソファーに向かった。入れ違いでヴィヴィオがこっちにきた。
「なのはママ~、ジュースある?」
「うん、ちょっと待っててね」
なのはさんも立ち上がってジュースを取るためにキッチンの冷蔵庫を開けに行った。
「初めまして、フリージア・ブレヒトといいます」
「綺麗……」
「う、うん……」
後ろではオリヴィエの容姿にリオとコロナが言葉を現せていないようだ。2人もヴィヴィオと同じ感想を抱いていた。
「ヴィヴィ。リオとコロも連れていくのか?」
「うん、ガイさんが無限書庫に行きたいって言ったら私たちも行きたいって言ってきたから誘ったの」
まあ、賑やかになるには構わない。2人もフリージアの事をオリヴィエだとは思っていないだろう。
俺も椅子から立ち上がってソファーへと移動した。リオとコロナはうっとりとした表情でオリヴィエを見ていてオリヴィエは困惑していた。
「あ、ガイ」
オリヴィエは俺に顔を向けてホッとした表情を浮かべた。俺が来たから2人からの熱い視線を離せると思ったのだろう。
「フリーも座りなよ」
「はい」
俺とオリヴィエはソファーに座る。
「リオとコロは無限書庫に行った事あるのか?」
「え、あ、う、うん。行ったことあるよ」
オリヴィエを見てうっとりしていた2人は俺の声で現実に戻ってきたようだ。まだ顔が赤いが。
「私がコロナとヴィヴィオに出会ったのも3年生の学期末の時の無限書庫だもんね」
「うん」
2人はお互いを見て笑った。これほど仲がいいから幼馴染かと思ったけどつい最近らしい。それでもすぐに仲良くなったこの2人は相当息の合う友達なのだろう。いや、この2人だけではなくヴィヴィオも含んで3人は仲がいいのだろう。
こいつらを見ていると和むのはその仲の良さにあてられたからだろうな。
「へぇ~、そうなんだ。友達は大事にしないとな。俺は無限書庫に初めて行くから分からない事があったら教えてくれ」
「うん、いいよ」
「はい」
2人は笑ったまま俺の顔を向けて承諾した。
「はい、ジュースだよ」
そこにヴィヴィオが2人のジュースを持ってきた。2人はヴィヴィオにお礼を言ってジュースを貰う。
「ガイさん。聞きたい事があります」
「ん?なんだ?」
コロナが一口ジュースを飲んで再び俺に顔を向けた。その表情はやや真剣さが窺えた。
「ガイさんとフリージアさんってどんな関係なのですか?」
「……」
またこの質問をされてしまった。俺はどうやって答えるか悩んでしまった。
―――時空管理局本局 管理局データベース“無限書庫”
「うお……」
俺は無限書庫に入って敷地が視界に収まりきれないほどの膨大な広さに開いた口が塞がらなかった。奥の終着点が見えない。
「す、すごいですね」
オリヴィエも戸惑いを隠せていない様子だ。これほどの広さに膨大な量の情報が眠っているのだ。聖杯戦争の情報も見つかると思い期待を持てた。
「初めてくる人には驚いちゃいますよね」
俺とオリヴィエの隣に居たヴィヴィオが俺らの事を見て苦笑しながら言った。リオとコロナもヴィヴィオの近くに居る。
リオとコロナにもオリヴィエとはストライクアーツで知り合ったと言った。特に疑問を持っていない様子だったのでオリヴィエだとバレる事はないだろう。
「ガイさん、ここで何を調べるんですか?」
「まあ、いろいろとな……っと、ここは無重力か」
俺の体が自然と浮かんだ。重力という力が無くなってちょっとした力で行きたい方向へと飛んで行けるようだ。飛行とはちょっと違った感覚だった。
宇宙に放り出された時はこのような感覚なんかな。
「え、わ、わわわ!!」
オリヴィエも体が浮いた。初めての経験なのかかなり慌てていた。オリヴィエは空戦の経験がないのだろうと思った。
「フリージアさん。良かったら一緒に同行しますよ?」
「え、ええ。お願いします」
「あ、じゃあ私も」
ヴィヴィオとリオは笑ってオリヴィエに近づいて、少し落ち着いたオリヴィエは2人を連れて無限書庫の中へと入って行った。
「ガイさん、もしよかったら私が一緒に探し物を探しますよ?」
「ん?ああ、お願いしようかな。ここの書庫広すぎて見つけるのが大変そうだしな」
俺はコロナと一緒に無重力の中で探し物を探し始めた。
―――30分後
「……全く無いな」
「そうですね」
俺は調べ物をコロナに頼んだ。
“聖杯”というキーワードで探す物をお願いしていたのだが持って来てくれた本のタイトルは“聖杯伝説”“聖書の聖杯”“アーサー王の聖杯探求”などとこの世界のモノではない情報が多い。
これらの本が語られてきた世界は管理外第97世界の地球という所だ。管理者もその世界で“聖杯戦争”が行われていたと言っていたのだから世界観は間違っていない。
しかし、“聖杯戦争”の内容の情報が全くない。類似していたものでもこの世界で“聖王戦争”というものが存在していたらしいが意味は全く違ってくるのだろう。ここまで“聖杯戦争”というものが厳禁に秘匿されているとは思わなかった。
コロナが一生険命 “聖杯”というキーワードの本を探して持って来てくれているのだが俺が探しているモノじゃないとわかる度に寂しい表情をしてしまう。
「ガイさん、ごめんなさい。お役に立てなくて」
「いや、コロはよく探して来てくれてる。俺が1人だったら調べ方も全く分からずにこういう本も見つけることは出来ないさ。だからそんな寂しい表情しないでほしいな。コロがいてくれて本当に助かってるよ」
俺はそう言って、寂しい表情をしているコロナの頭を撫でてやる。
「あ、ありがとうございます。そう言ってくれますと嬉しいです」
撫でられて嬉しいのか、コロナは頬を赤くして俺の事を見上げて微笑んでくる。
やっぱり、ヴィヴィオもコロナもリオも笑った方がいい。寂しい表情をされてしまうと何とかしてやりたいと思ってしまう。
俺はコロナの頭から手を離した。
「でも、ガイさんはいったい何を調べているのですか?聖杯というキーワードだけではあまり抽象的で大雑把な調べ方になってしまいます」
「ん~、まあ確かにそうなんだけどね」
聖杯戦争とも言えず、なんて言おうか考えた。なのはさんとヴィータさんにもこの事は話していない。
「ゴメンね。ちょっと言えないかな」
俺は素直に頭を下げて謝った。どう言い訳してもコロナを納得できるような話は出来ないと分かったから。
「いいですよ。ガイさんのプライベートまで土足で踏み込むわけにもいきませんから」
俺が頭を上げてコロナを見ると落ち着いた表情で俺を見ていた。
コロナはあの三人の中で一番落ち着きのある少女だ。ヴィヴィオとリオが突っ走っていくのをコロナがストッパーのような感じで存在している。
そして、どんな時も一歩下がって冷静に対処している。それが性格に繋がっているしコロナの優しい部分なのだろう。俺はそう思っている。
「悪いな、ほんと」
なので、今はこのコロナの優しさに甘えることにした。聖杯戦争を一般人に教えることはできないのだから。
「わっ!!」
「う、うわっ!!」
コロナと話し終えた時、オリヴィエが逆さまになって上から俺の視界に入ってきたので俺は驚いた。この無重力空間の中では上下左右の平衡感覚が全くない。オリヴィエが逆さまに見えるが、実際は俺が逆さまに居るのかもしれない。無重力なのでスカートも捲れることはない。
「ガイ、驚きましたね♪」
「いや、そりゃあ、な」
オリヴィエは悪戯な笑みを向けて俺の驚いた顔を見て満足していた。
「フリージアさんって結構お茶目なんですね」
「うん。それに話を聞いていて面白かったです」
そこに、さらに視界にヴィヴィオとリオも入ってきた。
確かにヴィヴィオが言ったようにオリヴィエがこのように遊び心というか純粋に遊んでいることに驚きを得ていた。
王族でもそんなこと関係ないってことか……。
「フリーは何を探していたんだ?」
「ええと、オリヴィエの回顧録とかを探していました。読んでいましたが結構感慨深いものですね」
自分の記録だし感慨深くなるだろ。アルバムを見ているようなものだ。それに後の者たちがどのように評価をしているのかも気になるのだろう。
「しかし、この無重力空間ってのは面白いですね」
「ああ、空を飛ぶのとはまた違う感覚だよな」
オリヴィエは未だに上下逆さまだ。手足を軽く動かしてこの無重力の中の動きをうまくこなそうとする。
「ですが、この中を動くのにはまだ慣れませんね」
「ま、慣れだよな」
オリヴィエが動こうとして力を入れた。
「え、わ、わわわ!!」
「っと」
オリヴィエが力の加減を間違えてそのまま俺の方へ向かってきた。俺はオリヴィエを何とかキャッチした。
「す、すいません、ガイ」
「あっ……」
だが、上下逆さまにキャッチしたのでオリヴィエのスカートの中の白い生地が丸見えだった。
「あっ」
「えっ」
近くに居たヴィヴィオとリオも俺がオリヴィエのスカートの中を見える事に気付いた。
「わ、悪い」
「ガイ?何を謝っているのですか?」
俺はオリヴィエのスカートから視線を外して、少し離れた。
やはりオリヴィエの羞恥心の無さは困る。下着を見られてもオリヴィエは平然としているのだから。
「ガイさん……顔がニヤけてますよ」
「マ、マジか」
ヴィヴィオからジト目で見られてしまい事故とはいえ、ちょっとショックだった。
「そ、そんなに見たいですか?」
「……え?」
しかし、怒っているのかと思ったヴィヴィオはスカートの裾を握って頬を赤くして俯いていた。今にもスカートを上げようとしている。
「い、いやいやいや!!ヴィヴィ!!落ち着け!!」
それは流石に不味い。
小さい子に何をさせようとしてんだ!!
俺はヴィヴィオを宥める為にヴィヴィオの肩を掴んでそこから先への行動を抑制する。
「で、でも……み、見たいですよ……」
「いいから落ち着け」
俺は肩に掴んでいた手をヴィヴィオの頭に乗せて撫でた。ヴィヴィオは頬を赤くしたまま俺へと見上げる。
「俺が悪かった。だからそんな事は絶対やっちゃダメだぞ」
「……はい、分かりました」
ヴィヴィオは納得のいかないような表情をしていたが素直に俺の言う事に頷いてくれた。
しかし、ヴィヴィオがこんな行動に出るなんてどういった心境で行ったのだろうか?
「私はもう少し調べ物を探してきますね」
その行動の元凶となったオリヴィエは俺たちから視線を離して無重力に身を委ねて移動した。
「……はぁ……さて俺も、もう少し調べるか」
「引き続き手伝いますね」
「私も手伝います」
「わ、私も」
俺の調べモノに3人は手伝ってくれるようだ。その気持ちは純粋に嬉しかった。
俺たちは無限書庫から出て本局の廊下を歩いていた。結局“聖杯戦争”というものは見つからなかった。
「調べモノは見つからなかったですけど諦めないで下さいね」
ヴィヴィオが俺に笑顔を向けてきた。調べモノが見つからず落ち込んでいると思ったのか俺に気を使ってくれたのだろう。
「無限書庫に調べモノが無いものとはな。その事実に驚いたよ」
俺はむしろ“無限の知識の倉庫”といわれていた無限書庫に“聖杯戦争”の情報が無いという事に不安と驚きの感情が入り組んでいた。
それほどまでに聖杯戦争ってのは隠蔽されているってことかも知れないな。そんなものに俺は片足を突っ込んでいる状態だ。もう少し情報を……。
「……ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
「じゃあ、ここで待ってますね」
ああ、と俺はリオの言葉に相槌を打って皆と離れた。本局に来たのなら調べる物はまだあった。俺はプラグのある場所を探した。
そして、少し歩いた先に広場があり壁際に何台かのモニターがあった。その下にプラグがあり俺は十字架状態になっているプリムラの下の部分のカバーを取り刺し込んだ。
端末機能も付いているので本局からデータベースへ潜り込めることも出来る。それ相当のリスクも背負う。いわゆるハッキングという行為だ。
『何を調べるのですか?』
プラグに刺し込んでいるプリムラが聞いてきた。
「上層部の管理局員の名簿一覧表が欲しい」
『プロテクトが厳重に付いています』
モニターにエラーが表示された。
……やはり調べることはできないか。どうするか……。
あまり長いことプリムラを差しておくと足が付いてしまう。最後に俺はもう一つだけプリムラに命令した。
「じゃあ、管理外第97世界の地球生まれの地球出身の管理局員の人を探してほしい。名簿じゃなくてもいい。地球から来たという記録が残っている物があればいい」
『了解しました。少しお待ちください』
モニターにはプリムラが動かしているのからか黒い画面にものすごい量のプログラムが流れてきた。
そして、1つの画面が出てきた。プログラム化されているのでプログラム言語を学んでいない俺の目では読めない。
『該当する人物が複数出てきました。コピーして私の中に保存しておきますか?』
「ああ、頼む」
了解しました、と言ってプリムラは処理を行った。その作業も5秒で終わる。
『終わりました。足は付いていないと思います』
「と、信じたいね」
俺はプリムラをプラグからとり首にかけ直した。幸い周りには誰もいないのでここに居たと分かるのは監視カメラに映し出されている守衛の部屋だけだ。監視カメラから見ても位置からして俺は後ろ向きで何をしているか分からないし、こんな本局の所で本局のデータをハッキングをしている人物がいるとは思われないだろう。灯台下暗しというやつだ。
「俺が読めるように言語化しといてくれ。帰ってから見る」
『了解しました』
このデータが得られただけでも本局に来たかいがあった。管理者が管理外第97世界の地球での“聖杯戦争”を知っているのなら管理者が地球の出身である可能性がある。
帰って確認しておこう。管理者のプロフィールでも分かれば聖杯戦争という代物が少しは分かるかも知れない。
俺は来た道を戻り、皆と合流した。
―――なのは宅
なのはさんの家に戻るとなのはさんとフェイトさんが出迎えてきてくれた。
「ガイは何を調べていたの?」
「え、ええと……いろいろです」
無限書庫に行ったメンバーはソファーに座ってちょっと遅いおやつを食べていた。本局に行った時間は約4時間ぐらいだ。今の時間は4時半。まだ家に帰るのは早いとリオが言ってきたのでヴィヴィオの提案でなのはさんの家へ行くことに。
そして、俺の隣に居たフェイトさんが今日の話を積極的に聞いてきた。ヴィヴィオ達と一緒に行きたかったのかもしれない。
「はじめての無限書庫はどうだった?」
「開いた口が塞がりませんでした。あの広大な広さに驚きを隠せませんでしたよ」
「そうなんだ」
フェイトさんが微笑んで笑ってくれた。
「……」
俺はついついフェイトさんを魅入ってしまう。フェイトさんを見ると心臓が少し早く動いているのがわかる。頬笑む仕草や紅茶を飲む仕草。1つ1つが魅入ってしまう。
俺はこの人の事が好きなのだろうか?自分の気持ちが分からない。
「むっ」
「ん~」
「……」
俺の視界には入らないが子供3人の視線が俺を見ている気がしてならない。
「ん?どうしたの?私の顔をじっと見て?」
「あ、い、いえ、なんでも無いです!!」
俺はフェイトさんから視線を外して、誤魔化すようにテーブルに置いてあるお菓子を手にとって食べた。その時に3人と目が合った。3人はすぐにそれぞれ別の方向へ視線をそらした。
「ガイ、なのはのキャラメルミルクが甘くて美味しいです」
「あ、フリージアさんも美味しいと思いますか?なのはママのキャラメルミルクは格別ですよね」
そうですね、とオリヴィエは言ってオリヴィエとヴィヴィオは微笑んだ。2人とも遺伝子レベルは一緒なのだから好みも似ているのだろうか。
「フリージアさん。そう言ってくれると嬉しいな」
なのはさんは高評価を貰って嬉しかったのか微笑んだ。
「……ん、いい時間ですね。俺はそろそろ失礼します」
壁に掛けてある時計を見る。5時過ぎ。帰るにはちょうど良い時間帯だ。
「あ、では私も」
俺とオリヴィエは立ち上がった。
「あ、ガイ君とフリージアさんご飯食べていく?」
いえ、と俺は言って断った。帰ってからいろいろとやることがある。主にハッキングしたデータの整理をしたい。
「送って行こうか?」
「いえ、大丈夫です。では、失礼します」
「失礼します」
「またね、ガイさん。フリージアさん」
俺とオリヴィエは皆に挨拶されて、なのはさんの家から出て行った。
「ガイさん、フェイトさんにメロメロだったね」
「そだね~」
「フェイトママがライバルだと勝てないよ」
私達はガイさんとフリージアさんが出て行った後、雑談をしていた。なのはママとフェイトママは夕飯の準備をするためキッチンへ。リオとコロナは夕ご飯を食べていくようだ。
「それにあのフリージアさんって人も美人だしガイさんと仲がよさそうだし」
「ライバルがいっぱいだよ~」
「そうだね」
私達はテーブルに突っ伏してため息をついた。ガイさんの周りには魅力的な女性が多い。私達のような子供は恋愛の対象になってないのかも知れない。
「でも、ガイさん……今日は何か隠し事をしているような感じがした」
「あ、ヴィヴィオも思った?」
「え?え?」
私とコロナはガイさんの異変に気付いた。リオは目を点にして首を傾げている。リオだけ気づけなかったのだろう。
「私達とは一歩下がって離れている……まるで赤の他人と一緒に無限書庫に訪れたような感じ」
「うん」
「ガイさんのプライベートがあるからじゃないの?」
そうかもね、と私はリオの言葉に相槌を打って再び溜息をした。
「ガイさんの力になれたら嬉しいのに。私達はまだまだ力が無い子供だね」
私の言葉に2人は頷いた。
しかし、コロナが頷いた後、こう言った。
「でも、これから頑張って力をつけて行くんだよね?」
「うん!!もちろん!!」
それを聞いた私は即座に頷いて満面の笑みを2人に向ける。今がダメならもっと力を付けていけばいい。それだけなのだ。
「そのためにも来週に行われるアインハルトさんとの対決に頑張らないとね」
そう、来週は再びアインハルトさんとの対決。私の中の全てをぶつけないとね。
私は思考を切り替えた。アインハルトさんに勝てるように頑張らないと。リオとコロナが笑って私の方を向いてくれたので私はガッツポーズをして微笑んだ。
―――マンション
「プリムラ。データの言語化は出来たか?」
『はい、閲覧しますか?』
俺は頷いた。すぐに目の前にモニターが現れた。
「何かを調べていたのですか?」
「管理者が誰なのかを調べてた」
俺はモニターを操作して、コピーしたファイルのデータを開いた。顔写真と共に詳細が掲載される画面が出てくる。
『該当した人物は4名ですね。陸士108部隊のゲンヤ・ナカジマ。時空管理局武装隊、戦技教導隊、教導官の高街なのは。時空管理局特別捜査官の八神はやて。そして、時空管理局本局、元帥のNoName』
「ノーネーム?」
俺はプリムラの言った言葉にオオム返しで聞いてしまった。最後に出てきた人物に疑問を持ったからだ。プロフィールの詳細もほぼ真っ白で何も特徴が無かった。他の3人はこの管理局に所属するまでの経緯やその後の経歴などが事細かに掲載されている。
しかし、このノーネーム……そのように記録が残されているのだろうか?にしてもこの詳細はおかしい。経緯や経歴が無い。生まれたての赤ん坊のようなプロフィールだ。
『名前が無いのか、これが名前なのかはわかりません』
「バグで詳細を表示できないのか?」
『いえ、この者のプロフィールは確かにこれでした。バグのようなプログラムはこの中に存在しません』
「……」
この元帥以外の人物なら知っている。皆、機動六課に繋がっていた人物だ。しかし、この元帥は全く知らない。というよりもこのプロフィールを見て誰がこの人物へたどり着けるのだろうか。元帥と言ったら栄誉元帥のラルゴ・キールではないのか。
「このノーネームはラルゴ・キール元帥なのか?」
『いえ、ラルゴ・キールは別の所に記録が残っています。このノーネームと同一人物である可能性は低いです』
そうか、と俺は言って考えた。
地上本部をも掌握することが出来る人物ならこのくらいのランクは必要だろう。表には出てきていない元帥が存在するのだろうか?発表していない人物。それとも上層部のほとんどがこの聖杯戦争を知っているとしたら、結局、俺は手のひらで踊らされているだけだろう。
「とりあえず、管理者は元帥レベルの人物だという事が分かっただけでも今日の情報収集に意味はあったかな」
俺は今日の行動に結論をつけてモニターを閉じた。聖杯戦争についてほんの……ほんの少しだけ前進した。
「ガイ。情報になるかどうかはわかりませんが、面白い物を無限書庫から見つけてきました。」
「ん?何の情報だ?」
俺がモニターを見終わるまで静かに対面に座っていたオリヴィエを見た。部屋に戻ってきたオリヴィエの目はカラーコンタクトをはずして虹彩異色の目に戻し、髪形をシニヨンのようにした。いつもの姿だ。そのオリヴィエの手には一冊の本があった。
「“アーサー王の聖杯探求”です。タイトルに書いてあるアーサー王ではありませんが、その側近の騎士たちが聖杯を求め続けている本です。もし、この聖杯が“聖杯戦争”の聖杯と同じものだとしたらアーサー王や円卓の騎士たちがサーヴァントとして現れるかもしれません。ここら辺の人物の情報を調べておいてもよろしいかと」
その本はコロナが見つけてきてくれた本だ。なるほど。オリヴィエが言っている事は理解できる。
現れるサーヴァントを予測しておくことも大事だという事だ。準備は万端にしておいた方が良い。俺は本を手に取り黙読した。確かに人物名と特徴なども載っている。
例えば、円卓の騎士の1人であるガウェイン卿。彼の武器はアーサー王が所持していた“勝利された約束の剣(エクスカリバー)”の姉妹剣であると言われている武器、“転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)”を所持してる。
アーサー王の聖剣は星の光を集め、ガウェイン卿の聖剣は日輪の熱線を集めると言われている。
太陽の騎士……とも言われており、正午において最大限に力を発揮させる。それならば昼に戦わず、夜に戦えばよい。そうすれば太陽の恩恵を受けれないガウェイン卿との戦いがやり易くなる。
「へ~、戦争の情報収集ってのは重要なんだな」
「そうですよ、ガイ」
オリヴィエは即答して微笑んだ。
「なら、アーサー王の騎士たちの情報も集めておくか。ついでに歴史に登場した重要人物なども調べておくといいかもな」
「はい、手伝いますよ」
俺は聖杯戦争が始まるまでは出来る限り情報収集を行った方が良いと分かった。始まってからでは遅い。準備は万端にしておかなければ。
「オリヴィエ。聖杯戦争は頑張ろうな」
「ええ、参加したからには勝ちに行きます」
グッと拳を前に突き出してきた。俺はそれに自分の拳をぶつけた。殺し合いになるのは必須だろう。
だが、俺はオリヴィエが居ると安心できた。オリヴィエの事を信用しているからだろう。
聖杯戦争の開始の時間が刻まれていく中、オリヴィエとの絆も少しながら繋がった気がした。
ピンと来た方、流石です。
私はFateのエクストラをプレイしましたw
あれはなかなか面白かったですね。
アーチャー使えるのが良かった^^
と、まあ、最初から本文の話から脱線してしまいましたw
ほのぼのな一日にしました。
しかし、未だにヴィヴィオとアインハルトの対決すらいっていないというね………orz
何か一言感想がありますとありがたいです。
では、また(・ω・)/