自室へと戻るとそのまま布団に入り眠りについた。
そこまで疲れていないと思っていたのだが、ベットに入り目を閉じるとすぐに寝てしまったようだ。
窓から外を眺めると、日が昇ろうとしていた。
「ふぁ……、シャワーを浴びてくるか……」
口調が戻っていることにすら気付けない半覚醒状態のまま浴室へと向かった。
シャワーを素早く済ませ、着替えも終わらせ王城へと向かう。
このくらいの時間に歩いて向かうのがちょうどいい時間だったりするのだ。
というのもこの時間であれば住人に話掛けられず遅れずに済み、更にイースタクト国の街並みを散歩感覚で味わえるという約得なのである。
「あっちにいた時は学校がある日の昼は時間を潰すために歩いているだけだったし、最低でも1年は楽しめそうだ」
楽しむためにも今回の戦いは絶対に勝たなければならないが、と心の中で呟きながら街内を歩く。
王城前で警備している門兵へ挨拶をすませシルヴィの寝室へと向かう。
「シルヴィ様おはようございます」
扉をノックし声を掛け起きているかを確認する。
従者であろうが、友人であろうが、婚約者であろうが勝手に入って来られたら怒るのは当たり前だ。誰にでも自分だけの空間というものがあるのだから。
「カズトさんもう少し待ってください、今着替えているので」
2分ほど経ち、扉からシルヴィが顔を覗いてくる。
「おはようございます、カズトさん。今日も1日よろしくお願いします」
「おはようございますシルヴィ様。はい、本日もよろしくお願い致します」
お互い挨拶を交わし食堂へと向かう。
「そういえばシルヴィ様、国民の方にはどのようにお伝えするおつもりなのでしょうか?戦が始まるまで3日を切っている状況でございますし、早めに伝えておいて荷物を纏めさせるのがよろしいかと思うのですが」
昨日一昨日といい、修行するために丘に向かう途中までに会う住民たちには慌ただしさを感じなかったのだ。
「そのことでしたらすでにお伝えしてあります。ですが、ほとんどの人たちは自分の居場所は自分たちで守る、とこちらの話を聞かなくて……。皆様の安全のためにも私ももっと早いうちから魔法の知識を蓄えておきたかったと後悔しています……」
悔しそうな表情を浮かべているが、そういう思考になるのがこの世界では常識なのだろうか。
もし日本で戦争なんかが起きたら生活に必要になるであろう物と金目になるかもしれにあ物をある程度集めて逃げるであろう。
と言っても日本とこちらでは身の回りにある危険の度合いが違い過ぎるので比べるのもおかしい話なのではあるのだが。
朝食を食べ終え、今日も学院へ向かう。
戦の前ではあるが登校はするようにとフローリアから言われていた。
仮に言われてなかったとしてもシルヴィ様のために学院へは向かいますが。
そして今日の夜いよいよ兵を率いて出陣する。
和人自身は十字騎士団と戦うためシュバルン国の兵士の中にいなければ戦いに参加する。
初の実戦が多くの命を背負っている、そのことを思うと少しだが震えてくる。
これまでは失敗しても自分の身、もしくは家系に危険が及ぶだったのだが、もし失敗すれば何百以上の命がどうなるのか分からない。
頭で理解するのは容易いのだが、いざ考え出すと震えが少なからず出てきても仕方ないだろう。
学院に着くとどこか落ち着きがなかった。
「やはりこれから戦が始まるかもしれない、と分かると不安になってしまいますよね……」
どこか悲しそうな声音でシルヴィは生徒たちを見ていた。
こういう時どういった言葉を掛ければいいのか分からずもどかしさを感じながら教室へと向かった。
教室へ入ると同時に生徒たちが寄って来た。
聞こえてくる内容は大体がシュバルン国との戦いについてだった。
学生でも戦いに赴く恐怖などを克服しているものだと思っていたので少しだけ安心したのは内緒である。
昼になり、ディオとエリスと一緒の4人で昼食を取っていた。
「それでカズトは出るのか?」
「……?」
一瞬何のことだか分からず顔を向けるだけになったがすぐに何となくだが聞きたいことは理解した。
「出る、というのは何に対してでしょうか?戦争に対してであれば今日の夜に出陣いたしますよ。もちろん私もですが」
とても学生のする話ではないな、と心の中で思いながらも効かれた質問に答える。
ディオも予想していた答えだったらしく、やっぱりなと小さな声で言っていた。
「カズトさん、私は応援することくらいしかできませんが頑張ってください」
エリスが申し訳なさそうな表情を浮かべながらこちらを見ていた。
「ありがとうございます、エリスさん。そう言っていただけるだけでも十分でございます。それよりも皆さまこういったお話をするよりも楽しいお話をして昼食を取った方が気持ちが良いというものですよ」
素直に思ったことを口にし、その後すぐに話題を変え昼が終わった。
授業が終わりシルヴィと共に帰ろうとした時フローリアが現れる。
「坊やたち、この後のことを相談したいから一緒に向かっていいかい?」
「私は構いませんわ。カズトさんは問題ありますか?」
「いえ、私も問題はございません。こちらとしても大変参考になるお話だと思っておりますのでこちらからお願いしたい程でございますよ」
ちらりと廊下を見ると生徒たちが壁に寄っていた。
一人は学院長、一人は王女ともなれば当たり前のことか?
目立つのは仕方がないが、人混みに紛れたりする心配がないことは嬉しいし良しとしよう。
考えるのを止め、二人の後ろをついていった。
予定としては次回で敵と戦う直前まで投稿できればなと思っています。