山猫の砲撃手   作:中澤織部

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ちょっと書き直して新たに投稿しました。
機体名とか一部展開とか変わったりしますので、改めてよろしくお願いします。


序章 始まりの音色(散弾バズーカ)

リンクス戦争の終結以降、企業によって大地はその多くが汚染され、企業の重役達を含む人々は遥か遠くの空に浮かぶ航空プラットホーム『クレイドル』に居場所を改め、大地に残された人々は辛うじて汚染の少ない地域に住んでいた。

企業間の戦争はその形を大きく変え、ネクストに変わる主戦力としてアームズフォートが開発され、酷く混迷を極めていた。

そんな世界情勢と違い、大地よりも広い海はどこまでも穏やかであった。

そして、汚染と共に荒らされる大地から遠く離れた海の上に、一隻の船が航行していた。

船は寸胴に近い形状の輸送艦で、船体には企業連管理下の傭兵機構『カラード』の所属を示すロゴが記されており、その真横には白地で『No.31』というナンバーが入っていた。

カラード所属のリンクスなどに対し、個人単位で貸し出されるこの輸送艦の内装は、三つほどの区画に分けられている。

3つある区画は、所有者であるリンクスが所有するネクストを格納する第一区画と、その弾薬や予備パーツを収納する第二区画、そして輸送艦の船員やネクストの整備士にリンクス本人とその関係者が住む居住区画に分けられており、リンクスへのサポートを万全なものとしている。

その内、居住区画に存在する一室で、気だるげな声が響いた。

 

「あーあ、何でこんな依頼が来るのかねぇ」

 

そう言いながら、青年『加藤勇季』は年期の入ったパイプ椅子に座りながら、すっかり温くなってしまった炭酸飲料を喉に流し込んだ。

温くなっても強く炭酸が残るそれは、第三区画に置かれた冷蔵室に山積みにされていたもので、クーガー社で新設された食品部門が販売する新製品となるコーラ飲料らしく、キャッチコピーは『君の味覚にVOB!!』だそうだ。

刺激的で爆発するような炭酸の強さは、成る程癖になる代物と言えるだろう。

 

「……貴女がGAを懇意にしすぎたからじゃないかしら」

 

彼の愚痴にそう答えたのは、小柄ながらに豊かな胸や引き締まった身体に艶のある、ブロンドの髪をショートヘアにした女性。雰囲気や佇まいからおしとやかで柔らかさが感じられる彼女は、勇季と同じように温くなったコーラに口をつけた。

 

「そうは言うがメノ、俺はオーメルやインテリオルの依頼も受けてるんだぞ」

 

「そうは言うけれどね、GAの内情からすればあり得ることだったでしょ?」

 

そう言うと、彼女、『メノ・ルー』は視線を壁に掛けられたディスプレイに視線を向け、勇季もそれに倣った。

壁に掛けられたディスプレイは大型の物で、映し出された画面には世界を支配する巨大企業の一角であるGAのロゴと依頼文が表示されていた。

依頼の内容は、数ヵ月ほど後に行われる企業連主催の大規模な公開カラードマッチに関するものだった。

内容は解りやすいもので、

 

『今回行われる企業連主催の公開カラードマッチにおいて、我がGA社製商品の実演とPRを兼ね、登録されたばかりの新人リンクスである加藤勇季にGA側としての出場を依頼する』

 

と言う旨のものだった。

通常兵器郡の規模では圧倒的な戦力を保有し、専属のリンクスもいるにはいるGAではあるが、ネクスト開発やコジマ系技術などの分野では他社の後塵を拝しており、GAが総出で推し進めているNSS計画と並行し、有望な若手リンクスの囲い込みや勧誘も率先して行っていた。

今回の依頼はつまり、自社の製品の優秀さをアピールすると同時に、若手を囲うことでGAの戦力が充実していると他の企業に向けてアピールすることを目的にしているのだろう。

それだけならばよくある依頼として受けるのだが、メノが心配しているのは依頼の報酬に関する、

 

『報酬は、カラードマッチの最終的な成績に応じて支払われる』

 

という部分だ。

簡単に言えば、歩合制のようなものだ。適当にやってもそれなりに貰えるが、結果によってはより多額の報酬と名声を得る。

まだ若く、野心あるリンクスならば、千載一遇の好機と受け取るだろう。

しかし、ランダムで決まる対戦表によっては何処まで勝てるかどうかは解らないし、何より勝ちすぎた場合も他の企業や組織に睨まれ、引き抜きや妨害を受ける可能性が高く、そうなってしまえば今後の活動に支障が出る。リスクの高さもそうだが、未知数の部分が多すぎる

 

「でも大丈夫なの? 波風を立たなくするなら、中堅辺りに収まるぐらいじゃないと」

 

それなりにうまい着地点をさりげなく提示する辺り、メノも依頼を受ける気だったのだろうか。

 

「まあ、やれるだけはやってみるさ」

 

勇季は苦笑混じりにそう答えると、依頼を了承する主旨の文を、依頼主のGAの仲介人へと返信する。

無事に送られたことを確認すると、勇季はディスプレイを消して椅子から立ち上がりながら、メノへ視線を向けた。

 

「なあ、メノ」

 

「ええ、解っているわ。シュミュレータなら準備してある」

 

苦笑混じりに答えるメノに、勇季は感謝しながらメノと共に部屋を出た。

カラードから傭兵であるリンクスに貸し出される輸送艦は、外見こそ小型タンカーのような武骨な形状をしているが、船内を歩けば似ても似つかない構造なのだと理解できる作りをしている。

船の全体と比較すれば、決して広くはない船内の通路を歩きながら、勇季は側を歩くメノに対し、内心深く感謝していた。

 

……俺が此方に来てから、何から何まで世話になっちまってるよなあ。

 

加藤勇季の生まれは、かつて国家解体戦争以前は日本という名で呼ばれていた極東の経済大国であり、国内の巨大企業『有澤重工』によって滅ぼされた。

それは日本だけでなく、世界中のあらゆる国々はそのことごとくが文字通り解体され、その首謀者たる六大企業によって統治されることになった。

勇季は国家解体戦争直前の生まれで、リンクス戦争時には有澤重工のノーマルACのパイロットとして、命からがらに戦争を生き残ってきた。

レイレナード陣営の壊滅によってリンクス戦争が終結すると、彼は有澤重工から戦功が多かったことと、戦時中に行われた検査でそれなりのAMS適性が検知されたことが重なり、暫くの間だが休暇を貰うことが出来た。

そして深刻なコジマ汚染に対するクレイドル建造計画が大々的に報じられ、世界情勢はリンクス戦争後の新たなる体制に移行しつつあった時期のこと。

勇季は休暇中に立ち寄ったとあるコロニーの路地裏で座り込んでいた女性、メノ・ルーと出会った。

みすぼらしく、とても満足な食事も摂れていなさそうだった彼女を助けた彼は、彼女の事情を知り、GA最高クラスのリンクスであるメノ・ルーが生存していたという事実に驚いた。

リンクス戦争の契機となったハイダ工廠粛清の際に撃破されたという話を聞いた彼は、彼女が死んでいたものと思っていたからだ。

事情を聞くと、ハイダ工廠の戦闘で“あの”アナトリアの傭兵と戦い、撃破されながらも奇跡的に生還したメノは心身ともに大きく傷付き、ネクストに乗れなくなってしまったらしい。

その上、戦えなくなった負い目からリンクス戦争の最中にGAから逃げ出したとのことで、GAは軍の士気を下げぬよう、表向きには生死不明の扱いになったそうだ。

加藤勇季も、企業にはあまり良い感情は抱いてはいなかった。

そんな理由だったからだろうか、自分が近々リンクスになることを思いだした彼は、彼女にとある提案をした。

 

「君がよければの話だけど、俺の専属オペレーターとして協力して貰えないか?」

 

リンクスというのは立場上、扱い難い存在だ。

加藤勇季はリンクスとしての知識などほぼ皆無だった。だからこそ、彼女にオペレーターとして助けてもらう代わりに、その見返りとしてGAなどの各企業から受けるであろう追求に対し、彼女を庇い助けることを提案した。

勿論、それが上手く行くかは分からなかったし、戦えなくなった彼女をまた戦場に関わらせるのもどうかと思ったが、彼女はその提案を受け入れてくれた。

それからというもの、勇季は様々な問題に関わりながらも晴れてリンクスとなり、メノとは公私共に助け合うパートナーという関係になった。

新参故に、ランクは未だ末席の31……、いや公開カラードマッチの前後にまた新しいリンクスが加わるらしいから、実質下から二番目となるだろう。

何にせよ、今回の依頼内容のカラードマッチの結果によっては、色々と環境も変わるかもしれない。

奇跡ともいうべきであろう彼女との出会いに感謝しながら、勇季は到着した先であるシュミュレータ室に入り、メノと共に向かい合う形で設置されたシュミュレータを起動させた。

シュミュレータは疑似的にではあるがAMSを接続し、ネクスト登場時と同じ感覚で仮想空間内で戦闘シュミュレーションを行える代物だ。

ネクストはその特性上、頻繁に動かすことが出来ない代物であるため、リンクスにとってこういった設備は有り難い。

勇季は予め登録されていた自身の機体データを選択し、設定をオーダーマッチ形式にし、ステージもオーダーマッチではよく使われる旧ピースシティエリアを選択。

暫くして、自身の機体が仮想空間内の旧ピースシティに出現し、機体の名前が表示される。

 

――――――『ローザ=ファルチェ』――――――

 

その名前が、GAやオーメルを初めとする各種企業のパーツで組まれた、四脚型のネクストの名前だった。

機体の読み込みと共にメノもセッティングが完了したようで、直後に戦闘開始を意味するアラートが仮想空間に鳴り響いた。

仮想上の打ち棄てられた都市において、ネクスト戦が開始された。

 

 

 

 

 

「ここだ……!!」

 

俺のネクスト、ローザ=ファルチェが右腕に装備されたアサルトライフル『MRーR102』で射撃し、メノの駆る重量級ネクスト『プリミティブライト』に攻撃を与える。

 

「そこはもう少し、こう……!!」

 

それに対し、メノは敢えて実弾防御重視である自分の機体の装甲でライフルの弾を受け、左手のガトリングガン『GAN01-SS-WG』でこちらを削りにかかる。

メノの機体と比べると、こちらは装甲がやや薄めで、削りあいで叶うことはない。

とっさにそう判断した俺は、ライフルの代わりに右側背部に装備した有澤重工の名作グレネード『OGOTO』を選択。

放たれた超火力のグレネードは、プリミティブライトの装甲を穿ち、APを抉りとる高いダメージを与えた。

しかし、それに対してメノの臆することなく、背部武装の大型ミサイル『BIGSIOUX』を発射。フレアを射出するタイミングが遅れた俺は、咄嗟にQBによる回避を選択する。

直撃は免れたが、結果としてAPは大きく削れた。

 

「まだまだね……、このままじゃ勝てないわ」

 

メノの放った言葉に、俺は心の中で大きく頷く。

メノの乗機であるプリミティブライトはリンクス戦争時におけるGA標準の重量二脚機体。

ネクストの機体も武装も、今では新型の普及と更新によって変わりつつある現状、プリミティブライトよりも硬い重装甲タイプは生まれつつある。

加えて勇季の操縦するローザ=ファルチェは、頭部はオーメル社製の『HDーJUDITH』にローゼンタール社製コアパーツである『CRーHOGIRE』を使用しており、腕部は旧レイレナード製の『03ーAALIYAH/A』脚部は旧GAE製の『GAEN01ーSSーL』という、機動力や実弾防御に向いた中量四脚機体だ。四脚による安定性を利用した射撃機体ではあるが、武装の関係によりとかく頑丈な機体には勝てない欠点を持つ。

リンクスとして、メノ・ルーは強い。

けれど彼女は既に前線を退き、リハビリもこなしてはいるが動きもかつてよりはたどたどしいものだという。

このままでは、例え勝てても下位のリンクスを相手に勝てるだけで、ランク20から上には勝てないような相手が来るだろう。

渦巻く雑念を脳内で処理しながら、GAか宣伝用に供与された左手の新型バズーカ『GAN02ーNSSーWBS』を静かに構える。

GAが推し進めているNSS計画の中の一環として開発されたこのバズーカは、弾薬を散弾のように撃ち出す珍しい類いの武器で、今回の依頼を仲介された際にサンプルとしてデータ上のものが供与されており、依頼文の備考に依頼が完了した際には、実物を無料で提供すると約束された品だ。

今回の依頼では、宣伝も兼ねて嫌でも多用しなければならない為、データ内だろうと慣れておく必要がある。

勇季は気持ちを落ち着かせると、バズーカの照準を合わせ、向こうで此方に向かってくるメノの挙動から次の動きを予測、彼女の動くであろう方向に砲身を向け、トリガーを引いた。

新型の散弾バズーカが火を吹き、プリミティブライトに向かって散弾が撃ち出された。

 

 

 

 

 

「お疲れ様、勇季」

 

数十分後、疲労でシュミュレータに寄りかかるように座り込んだ勇季の頬に、メノが良く冷えたスポーツドリンクを当てた。

疲労で火照った身体には、ひんやりとしたペットボトルの感触が程よく染みる。

シュミュレータ内での対戦の結果は、加藤勇季の惨敗であった。

幾度も対戦を繰り返したものの、後半からプリミティブライトのAPを半分ほどは減らせたとしても、そこで弾切れするか相手のミサイルやガトリングに削られるかのだちらかで、結局勝つことはなかった。

 

(勝てるのか? こんな有り様で……)

 

まだ訓練しなければならない必要性はあるが、今日の訓練はここまでにしておく。

続けたいのは山々だが、疑似的なものとはいえ、AMSを使用するシュミュレータは長時間使いすぎると、肉体的な疲労と精神的な負荷といった悪影響が出てくる。

ほんの数時間程度が一般的な限界値であり、少しでもそれを超えると危険域になるため、基本的には無理をしない程度でのシュミュレータ時間が提唱されており、訓練といえどもそれは徹底されていた。

 

「それじゃあ、私は先にシャワーでも浴びてくるわ」

 

メノはそう言うと、片足を庇うような所作でシュミュレータ室から出ようする。

リハビリを続けているメノだが、ハイダ工廠の事件以降、彼女はAMSを使用すると右足を満足に動かせなくなるという後遺症を患っていた。

勇季は立ち上がるとメノの元に向かい、腕を彼女の細い腰に回し、やや抱き寄せるようにして支えた。

 

「……有り難う」

 

彼女の感謝の言葉に、彼は無言の笑みで答える。

後遺症もある彼女を訓練に付き合わせてしまっているのは勇季であり、だからこそ、彼はできる限りのフォローをするのは当然の話だと考えていた。

シャワー室の前まで行くと、メノは勇季の方を見て、

「御免なさい。まだ足の調子が悪くて……」

伺うような口調は、あることを示唆していた。

 

「その、一緒に浴びる?」

 

「そりゃあ勿論」

 

勇季は迷うことなく答えた。

後遺症の残る足で濡れたタイルの上を歩くのは危険だし、そういった意味でパートナーでもある自分が支えるのは当然の話だ、と勇季はそう考えていた。

異性の裸……という問題はあるにはあるが、彼女とは随分な付き合いの長さだし、今更言うほどの事ではない。

 

「……馬鹿」

 

小さい声でメノが呟いたが、勇季はそれを上手く聞き取れなかった。

シャワー室に入ると、勇季はまずメノを脱衣所に設置されている椅子に座らせると、彼女の着ていた服に手を掛けて、気付いた。

メノは基本的に、シュミュレータを使用することも考えて動きやすいスポーツウェアを着ているのだが、体型にフィットするスポーツウェアは、彼女の小柄な体型には不釣り合いな程、グラマラスでたわわな部分をより強調する。

しかも、今は汗で張り付き、彼女の身体のラインがより目立っている。

勇季も一応は男だ。

異性としての魅力を最大限に強調させた彼女の姿に、欲情しない男はいないだろう。

 

「どうかしたの?」

 

位置的故に自然と上目遣いで問うてきたメノを見た勇季は、気持ちを押さえられず、彼女の唇に自分のそれを重ねた。

 

「……っ」

 

突然の行為にメノは戸惑うが、しかし、彼女はそれを受け入れ、十数秒ほどしてから唇を放した。

 

「もう、いきなりそんな……」

 

そう口で言うメノの反応は、満更でもないようだった。

 

「それじゃあ、続きはシャワーの後、か?」

 

薄く笑みを浮かべながら問う勇季に、彼女は無言の笑みで自分の服に手を掛けた。

お互いに衣服を脱いだ後、二人で熱めのシャワーを浴びながら、勇季はメノの身体に触れた。

梳くように撫でた彼女のブロンドの髪は、普段は繊細で優美な美しさをしているが、一度濡れると艶かしさが増しているように感じる。

つい、髪を撫でるついでに彼女の身体を引き寄せてしまう。

小柄で華奢な印象を与える彼女の肢体は、つい抱き締めたくなってしまう程に愛らしいものだった。

一方のメノも、勇季の胸板に顔を埋めるようにして寄り掛かった。

 

「やっぱり、貴方と居ると落ち着く……」

 

小さい頃の俺だったら、こんな生活をするとは夢にも思わなかっただろうーー、と勇季は思った。

シャワーを浴び終えた勇季とメノは、タオルで身体に残った水気を拭いながら、脱衣所で代えの服を用意し忘れていたことに気づいた。

 

「やっべ……、何か服とかあったっけな」

 

何かないものかと普段はクリーニングをし終えた服を置いていた場所を探したが、結局見つかったのは下着のみだった。

 

「別に、今更下着だけでも大丈夫じゃないの?」

 

「いや、下着というにはシチュエーションが……」

 

勇季の言葉に、メノは呆れたような視線を向けてきた。

……慣れてきたといっても、やはり解り会えないこともあるものだ。

二人は唯一用意できた下着姿のまま、自室に行って簡単な食事を摂った。

合成食品は味気の無いものばかりだが、勇季にとって食事とは腹が満たせればそれでいいものだが、元々上流階級の出であったメノには、それが少々不満らしい。港に着いたら町へ買いにでも行くとしよう。

 

「ねぇ勇季。今日はもう一緒に寝ましょう?」

 

食事の後、メノがそう誘ってきた。ふと時計を見れば、もう夜の十一時を過ぎていた。勇季とメノは寝室の方へに赴き、同じベッドで横になった。

ダブルベッドサイズより少し小さめだが二人で寝るには十分なサイズのそれは、一般の人間では味わう機会のない、ゆったりとした高級なものだ。

ベッドの上で仰向けに寝た勇季の足に、メノの細い足が絡み付く。胸板を這う彼女の手指を見て、勇季は諦めたような気持ちになった。

 

「……あー、これは寝かせてくれないかな?」

 

何となく聞くと、彼女は、普段なら見せることの無いだろう悪い笑みを浮かべて答えた。

 

「勿論、寝かせるつもりはないわ」

 

そう言ってメノが寝室の灯りを消し、部屋は暗闇に包まれた。

暫くして、暗く僅かな月明かりに陰影を浮かばせたベッドの上で、メノは勇季の腕に抱きつくようにして眠っていた。

勇季もメノの穏やかな寝顔を見届けると、自身もゆっくりと目を閉じて、明日のための眠りにつく。

メノの首から下げられたロザリオだけが、夜闇の中で月明かりを反射していた。

 

 

 

次回 カラード公開マッチ(前編)




次回はオリジナルイベント、公開カラードマッチです。

簡単に言うと、企業の人気取り目的の見世物で、模擬弾(当たったら死ぬ)などを使ったショーと考えていただければ幸いです。
基本的に、リンクス達のランクもこのイベントで変動することもある手前、大体やる気満々です。
※例 ダンとかカニスとか辺り
また、そこら辺気にしていない人物は適当に流したります。
※例 テレジアさんとか王小龍とか

そういうトコも含めて、一部リンクスの出番を流したりしますが、出してほしいリンクスは、コメントなどでリクエストしてください。
出来るだけのことはしますので。


それでは、また次回もお楽しみに

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