大長編ジータちゃん ~ルリアと小さなカリオストロ~   作:コモリモリオ

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第5話

 ☆【episode5 1/4】

 

 機転を利かせた

 騎空団の仲間達の手を借りて、

 

 ルナールを人質に取った

 二人組の幽世の者を

 討伐したジータ達。

 

 残る幽世の者はこれで二人だ。

 

 ルナール

「さっきはごめんなさい。

 随分と迷惑を掛けてしまったわ…。」

 

 平謝りに謝りを重ねる

 ルナールを食堂で待機する

 仲間の元に預けてから、

 

 朝食の時間が終わっても

 いまだ姿を見せない

 ヴィーラを探す事になった。

 

 プチカ

「だが、そのまえにいちど

 かりおすとろのようすを

 いむしつにみにいくか。」

 

 ビィ

「そうだな!あいつが

 良くなってたら一人で全部

 なんとかしてくれそうだしな!」

 

 プチカ

「ま、そうだな………。

 しょせんおれさまはさぽーとだ、

 それならそのほうがはやい。」

 

 ジータはプチカの

 少し寂しそうな言い方が気になり、

 プチカに何か声を掛けようとしたが、

 

 プチカは不機嫌そうな様子を隠さず、

 じっとジータを睨んだかと思えば

 ビィを急かして先に進んでいく。

 

 カタリナ

「話は聞いたぞ。

 無茶をしないでくれ、ジータ。」

 

 医務室に辿り着いた一行を

 カタリナが迎える。

 

 ジータとルリア、

 二人分の命を賭けた話には

 心を痛めた様子である。

 

 プチカだけではなくカタリナにも

 叱られた事で、今更ながら

 罪の意識をジータは覚える。

 

 カタリナ

「ところで君がプチカか。

 職人芸の人形に勝るとも劣らず…。」

 

 カタリナ

「いや、そんなものと

 比べるのも失礼だったかな。

 うむ、実にかわいいなあ!」

 

 プチカ

「ありがとう☆ かたりなさんっ。」

 

 カタリナ

「カリオストロはまだ寝込んだままだが、

 幽世の使徒の数が減ったからか

 目に見えて良くなったように思える。」

 

 カタリナ

「今まで後手に回っていたが

 グランサイファーの警戒網は

 ようやく機能し始めた。」

 

 カタリナ

「人に化ける厄介な相手とは言え

 賊の二人くらいは

 すぐに見付けてみせよう。」

 

 ビィ

「そいつは頼もしいぜ!」

 

 カタリナ

「うふふ、そうか。

 ビィくんもかわいいぞ!」

 

 ビィ

「お、おう!」 

 

 微妙に噛み合わない

 ビィとカタリナの会話に

 今は心安らぐ思いのジータだった。

 

 ☆【episode5 2/4】

 

 カタリナ

「私も船内の様子が気になっていてな。

 この医務室には室内にも周囲にも

 既に十分な人手が足りている。」

 

 カタリナ

「そろそろこの目で確認したい。

 一緒に着いていこう。」

 

 医務室を出るとカタリナは

 ヴィーラの部屋がある方向を見つめ、

 その凛々しい眉をひそめた。

 

 カタリナ

「ヴィーラなら、

 例え寝込みを襲われたとしても

 敵に後れを取るような事は無い。

 

 そうならないように鍛え上げたつもりだ。

 だから大丈夫だとは思うが、

 どうにも心配だな………。」

 

 カタリナ

「もし怪我でもして

 動けなくなっているようなら、

 私が助けにいかねばなるまい。」

 

 ビィ

「そんなに気になるならだったらよ、

 オイラ達で様子を見に行ってみようぜ。」

 

 ルリア

「ノックをしても返事が無いそうですけど、

 ルナールちゃんの時と違って

 中に人が居る感じでもないらしいですよ。」

 

 カタリナがこめかみに手を当てて

 何かを思い出したように語りだす。

 

 カタリナ

「ああそうだ、忘れていたよ。

 ヴィーラは昔から私の部屋の中で

 私が戻ってくるまで待っている事がある。」

 

 カタリナ

「私は朝から医務室にずっと居たし、

 食堂では一度偽者騒ぎも起こっていた。」

 

 カタリナ

「幽世の使徒たちが何か起こすにしても

 いまさら私に化けたり、

 私の部屋の中を荒らしたりはしない筈だ。」

 

 カタリナ

「だから、私の部屋は

 警備上の盲点になっていたな。

 ヴィーラは間違いなくそこに居るだろう。」

 

 ビィ

「カタリナが留守にしてる部屋なのに、

 間違いなくヴィーラが居るっていうのも

 なんか変な話だなぁ。」

 

 しかし、カタリナの言う通りなのだろう。

 一行はヴィーラの居るらしき

 カタリナの部屋へと向かった。

 

 ☆【episode5 3/4】

 

 ジータ達一行が

 カタリナの部屋まで近付くと、

 タイミングが悪かったのか

 

 通路の奥へと去っていく

 ヴィーラの姿が見えた。

 

 カタリナ

「ヴィーラ、無事だったか!」

 

 慌ててヴィーラを

 追い掛けていくカタリナ。

 

 プチカ

「おい、まてよかたりな!

 へやのかくにんもせずに

 ひとりでさきばしりやがって!」

 

 プチカの制止の声は

 疾風のようにヴィーラを追い掛ける

 カタリナには聞こえなかったようだ。

 

 プチカの制止から少し遅れて

 バタバタとカタリナの部屋の中から

 音がしたかと思うと、

 

 強い勢いで

 カタリナの部屋の扉が開け放たれた。

 

 ヴィーラ

「お姉さま!戻っていらしたんですか!

 でも何故、遠くで声を掛けただけで

 中に入られないのです?」

 

 幽世の使徒に完全に

 してやられた事に気付いたプチカが

 カタリナに警告の怒声を飛ばす。

 

 プチカ

「かたりな!きけ!そいつはわなだ!

 ほんものはこのへやのなかにいた!」

 

 キィン!

 

 激しい金属音と共に

 カタリナの悲鳴が聞こえた。

 

 カタリナ

「くっ、一体何をする!?

 そうか、貴様はヴィーラの姿を盗んだ

 幽世の使徒か!」

 

 どうやら通路の奥に曲がった先で

 カタリナが襲われているらしい。

 

 機会をうかがっていた幽世の使徒に

 カタリナだけが誘い出されて

 騙し討ちにあってしまったようだ。

 

 ヴィーラ

「お姉さまに何て事をおおおおおお!」

 

 シュヴァリエの力を借りた

 ヴィーラが暗い残像を残しながら、

 

 誰よりも早く

 通路の奥へと飛び出していく。

 

 地面に倒れたカタリナへと

 幽世の使徒が振りかぶった剣を

 ヴィーラは迎撃した。

 

 ヴィーラ

「人の姿を借りるこのゴミ虫め!

 ゴミ虫は人に姿を見せたりせず

 自分の巣へと帰るがいい!」

 

 ☆【episode5 4/4】

 

 ヴィーラは剣戟一閃で

 幽世の使徒の剣を打ち砕くと、

 

 返す刀で幽世の使徒の

 身体を次々と貫いていき、

 瞬く間に決着が付く。

 

 息の根を止めてもまだ許せないのか、

 絶命した幽世の使徒に

 なおも剣を突き立てんとするヴィーラ。

 

 カタリナ

「もういい、ヴィーラ!

 確かに卑劣な相手だったが…、

 我々は騎士だ、相応しい行いがある。」

 

 ヴィーラ

「そんな!お姉さまは優し過ぎます!

 こんな奴は一寸刻みにしても

 飽きたりません!」

 

 カタリナ

「私はそんな姿のお前を見たくない!」

 

 ヴィーラ

「!」

 

 その手に握る剣を取り落とさんばかりに

 ヴィーラは落胆する。

 

 カタリナ

「すまないが、足を挫いてしまったらしい。

 私の為と思うならそんな真似をするよりも

 肩を貸してくれないか、ヴィーラ。」

 

 ヴィーラ

「は、はい…。

 これでよろしいですか、お姉さま。」

 

 カタリナ

「ああ、すまない、

 このまま医務室まで頼む。

 今日は本当に助けられてばかりだな。」

 

 ヴィーラ

「お安い御用ですわ、お姉さま!」

 

 先ほどまでの鬼気迫る様子はなんだったのか、

 借りて来た猫のようなしおらしい声で

 ヴィーラはカタリナに話し掛ける。

 

 ヴィーラ

「あの、私を嫌いにならないでくれますか?」

 

 カタリナ

「何を言う、嫌いになどなるものか。」

 

 どうやらこの場は丸く収まったらしい。

 

 カタリナの見事な

 ヴィーラへの手綱さばきに

 思わずビィが呟く。

 

 ビィ

「あのさ、大きな声じゃいえないけどよ。

 誰にでもヴィーラがあんな感じなら

 オイラももう少し楽なんだどな。」

 

 ビィ

「でも、カタリナみたいに

 しないといけないならやっぱり

 いつも通りでいいのかなあ。」

 

 ビィの言葉に何と答えたものか、

 無言でカタリナ達の後をついていく

 ジータ達であった。

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