「邪魔だ!退け!」
ベルは次から次へと来るモンスターを切っては捨てるを繰り返していた。
「いったい何体いるんだ!」
ベルはどこからともなく湧いてくる様なモンスターの数に終わりがあるのかと思った。
「ベル、急がないとおのお嬢ちゃんが危ないぜ。」
「わかってる。でも見つからないんじゃ………」
ザルバとベルがそんな話をしていると向こうからヘスティアが開け寄ってきた。
「ベルくーん!」
「っ!ヘスティア様。」
ベルはヘスティアに気付き歩み寄る。
「どうしたんですか?というか早くここから…」
「何を言ってるんだ、ベル君!確かに僕は何の力も持っていないがせめて避難誘導くらいはできるよ。こうして町の人が襲われているんだ。黙って見てられないよ!」
「ヘスティア様・・・・」
ベルはヘスティアの思いに心を打たれる。
「……わかりました。でも俺この行く先々でモンスターがいるので出会ったらすぐに隠れてください。」
「もちろんだとも!」
ヘスティアはベルと共に避難誘導をしながらシルを探し始める。
その頃アイズ、ティオナ、ティオネは合流したレフィーヤ・ウィリディスと共に地面から生える触手に苦戦していた。
「こんなことなら何か武器もってくるんだった!」
「無い物ねだりするんじゃないの!」
文句を言うティオネに対しティオナが言う。地面から生えてくる触手は硬く、アマゾネスである二人の腕力を持ってしても壊せるものではなかった。
【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者の前に弓を取れ。同法の声に答え、弓を番えよ。】
詠唱するレフィーヤに向かい触手が伸びるがアイズがレイピアで触手を切る。
【帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、精霊の火矢。雨の如く降り注ぎ、蛮族どもを焼き払え。】
レフィーヤの詠唱が終わるとティオナとティオネは触手から離れる。
「ビュレイド・ファラーリカ!」
広範囲に渡り炎が触手を焼き尽くした。
「やった!」
「これでこいつは…」
そう思ったのも束の間。地面が揺れ、触手が現れた。
「また出てきた!」
「なんなのよコイツは!糞!」
触手にティオネとティオナは何度も出てくる触手にうんざりしていた。
「ふっ!」
ベルは壁を蹴り、二首のモンスターの後ろに着くと剣を振り上げた。モンスターは盾真っ二つに斬られ、魔石だけを残して消滅した。
「す……すごい………」
ヘスティアはベルの実力に驚かされた。
ベルは剣を収めると未知の片隅で泣いている女の子に声を掛ける。
「大丈夫?」
「うん………ありがとう、お兄ちゃん。」
ベルは泣いている女の子の頭を撫で、微笑んだ。そこへ女の子の母親がやってきた。
「冒険者のお方ですか?うちの娘を助けていただきありがとうございます。」
「お礼はいいので早く安全な場所に。もしくは建物の奥に隠れていてください。」
「はい!行くよ。」
「うん……お兄ちゃん、ありがとう。」
女の子は母親に連れられその場を後にした。
ヘスティアはベルに話しかける。
「すごいじゃないかベル君。あんな数のモンスターを倒すなんて。」
「どうも。でもまだ嫌な予感が……」
「ベル君!」
ベルとヘスティアの元へエイナが駆け寄ってきた。
「アイズさん、そっちの避難はどうですか?」
「一部を除いて避難は完了したわ。」
「ベル君。この子は?」
「ギルドのエイナさんです。」
「成程。僕は神のヘスティアだ。アドバイザー君、さっき言ってた一部の方の避難にはどう対処しているんだい?」
「はい、神ヘスティア。ロキファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインさんとティオネ・ヒュリテさん、ティオナ・ヒリュテさんと、レフィーヤ・ウィリディスさんが対処しています。しかし……」
エイナの言葉にヘスティアは「ゲ!ロキの…」と言うが、ベルは違った。エイナはだんだん表情が曇ってゆくことに気付いた。
「手ごわいのですか?」
「…ええ。正直、Lv.5が三人とLv.3がいても勝てない状況よ。うち二人は獲物が無いから…正直不安だわ。」
「じゃあ俺が!」
「ダメよ!君はどこのファミリアにも所属していないじゃない!神の恩恵も貰っていないのに行っても足手まといよ!」
「えっ!君神の恩賞も受けないであれだけのモンスターを倒したのかい!」
ベルを止めるエイナの言葉にヘスティアは驚いた。
「どうするベル?このお嬢ちゃんはてこでも動かないぞ。」
ザルバが口を開いたことに頭が付いて行かないヘスティア。だがベルはそんなことは気にも留めずザルバに話す。
「こうなったら…アレだね。」
「アレって……正気か?こんな土壇場で。」
「仕方ないだろ?」
ベルがそう言うとザルバは溜息を吐く。
「仕方ない。お前さんが決めた道だ。」
「ありがとう、ザルバ。」
ベルはザルバにそう言うとヘスティアの前に立つ。
「ヘスティア様、お尋ねします。」
「な、何かな?」
「貴女のファミリアにまだ空きはありますか?」
「ベル君……まさか!」
エイナは声を上げる。
「俺を、貴方のファミリアに入れてください。」