HERO'sフルブラスト   作:オービット

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第1話 運命の始まり-前編

子供の頃、私は宇宙が好きだった。

 

いつも夜になるとバカみたいにはしゃぎ、部屋のベランダにある天体望遠鏡を街の山の丘にある公園まで担いで、そこで覗き込んではレンズ越しに映る星々に目を輝かしていた。

 

レンズ越しに映るその世界は広大なものだ。

 

その中で数え切れない程の星々が瞬いて空を駆けていく。

それはまるで心臓の鼓動のようだ。

星は表面の温度によって赤い星や青い星など色々な色があり、数々の星が連なっていくと星座にもなれる。

 

 

星の数だけ神秘さがあり、命の輝きにも似た美しさを秘めている。私は、そんなファンタジーにも似た、計り知れない程の奇跡を感じさせる宇宙の広大さが好きだった。

 

 

 

だけど、8年前のあの日によって、私達の運命は大きく変わった。

 

 

 

神の悪戯なのか、あの日の夜、私が望遠鏡を持って、いつもの公園で天体観測しにいった時…宇宙が落とした1つの隕石が地球に落ちてきたせいで私達の住む街は、吹き飛んでいったーーー。

 

 

レンズの中で偶然捉えたその隕石は赤い尾を引いて、街に落下した時、私の目に映るいつもの見慣れた街の光景は、閃光で私の視界を灼きつくし、隕石が落ちた事によって爆炎の花が咲き乱れていき、一瞬で瓦礫の山と化した。

 

 

 

死傷者は何万人も超え、友達や先生、近所の人達も、そして私の両親や妹もみんな全部あの爆発に巻き込まれていった。

その時の私は丘の上の公園にいて、爆発に巻き込まれずに爆風で体を少し吹っ飛ばされたため軽傷で済んだ。

だけど、私の家族や友達、知り合いは皆遺体となって並べられた。

 

 

あの日私の目に映った、あたり辺りに散らばる炎と瓦礫の山しかない街の景色が今でも忘れられない…。そして、私の親い人達の体を覆った夥しいシートも…。

それでも星空は美しく輝いていたのが、とても腹立たしくて、やり場のない怒りと悲しみが私の心を覆った。

 

 

星空が綺麗に見える私達の街は、宇宙の落とした石ころ1つで一瞬で廃墟となり、後にエリアFと呼ばれるようになり、その周辺区域は立ち入り禁止区域となったらしい。

 

だけど私にとって、そんな事はどうでもよかった。宇宙から降ってきたあの石ころのせいで、私の心にぽっかりと大きな穴が開き、星空が嫌いになった。

 

夜が来る度にあの悪夢の光景が蘇ってくる…。

一層の事、星空なんて…宇宙なんて好きになるんじゃなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも宇宙から落ちた隕石は、ただの波乱の幕開けにしか過ぎなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜かったりいなぁ〜」

それは、東京の港湾エリアに位置するあるショッピングモールの中で起きた事だ。

 

時刻は真夜中であり、警備員が気怠そうに巡回していた。

この警備員は大学生であり、バイトとして週に2、3回ほど、20:00から翌朝の8:00の12時間の勤務をこなしている。

彼は一人暮らしをし、家賃を稼ぐために時給の高いこのバイトを選んだ。

 

「しっかし、やっぱり暗過ぎてホント気味悪いなぁ…。可愛い女性店員さんもみんな昨夜の10:00に帰っちまったしよ…。ったく、警備員って高い時給で楽って聞いたけどよ、これじゃ精神的に参っちまうぜ…。」

 

だが、男は不満そうであった。

このバイトは翌朝の8:00で終わるため、その後すぐに大学へ急行しなければならない。幸い、ここの休憩所には業務員用のシャワールームがあり、大学もここから30分もかからないで着ける。

 

だが寝不足までは流石に解決出来ず、授業ではつい居眠りをしでかしてしまう。家で仮眠を取っても、やはり普段と寝る時間と比べたら、せいぜい1/4程度のものなため眠気が次の日にグンと来る。

 

 

(高時給なのはいいが、思ったよりだらけた学校生活を送っていて嫌だな…)

 

生活リズムにおいては几帳面な彼は、心の中で落胆した。

だが明日は金曜日であり、バイトがないのでたっぷりと寝られる。明日はじっくりと休もうと男は思った。

 

 

「そうだ!明後日は土曜日で学校がないから、久々に友達を家に連れ込んで飲み会でm……ん…?」

 

だが男が1人呟いたその時だ。耳元でキィィィィィンと耳をつんざくような嫌な金属音が聞こえてくる。

 

何事かと男は不気味に思い、男は音が聞こえた方向に誘導灯の先端を照らした。

 

しかし何も見当たらない。鏡が目の前にあるだけだ。

さっきの音沙汰の気配もない。

なんだ、気のせいか…。

ここのところ連続で夜勤してたから疲れが溜まっているんだなと男は心の中でそう片付けた。

 

 

「そんじゃ、あらかじめに買っておいたコーヒー飲んでリフレッシュして、仕事に取り掛かk…っ!?」

 

だが男が気を抜いて椅子に座る時、偶々目にした鏡には、自分の首が白い毛むくじゃらの糸に巻かれている自分が映っていた。

男はその目を疑いたくなるような光景にギョッとし、慌てて自分の首に手を当てた。

ところが首を触っても糸なんて巻きついていない。毛の一本もないのだ。

男はその事を不可解に思い、もう一度首に触れる。

だが何もない。後ろを振り向いてもやはり何もない。

では、この鏡は一体どうなってるんだ?

そう男が疑問に思い、鏡に恐る恐る近づいて手を翳した。

 

 

 

すると次の瞬間、鏡から突然糸が這い出て彼の腕に巻きついた。

 

 

「っ!?う、うわあああ!なんじゃこりゃ!?」

男はその事に目を見開いて、すぐさま糸から手を解けさせようとしたが、糸が頑丈なのかなかなか抜けない。

それによって、男の心の中にある恐怖感はますます煽られていく。

 

そしてその時だ。鏡からは蜘蛛が持ってるようなでかいかぎ爪が男を鏡に引きずり込んだ。

男は力付くで抜け出そうとしたが、全く振り解けない。

 

「うわあああ!誰か…誰か助けてくれええええ!ぎゃあああああ!」

 

男はそのでかいかぎ爪によって鏡の中に引きずり込まれていった。

その部屋からは誰もいなくなり、代わりに男を引きずり込んだ鏡からは、肉を引き裂くような音を放った後、何事もなかったように消えていった…。

 

 

 

 

 

 

『ブー!ブー!』

 

道路の路肩で駐車してある一台のミニバンの中では、車内警報が発令した。

水筒に入れてあるコーヒーを飲んでいた男3人と女1人が、弾かれたように警報に目を向ける。4人は、ありとあらゆるモニターとセンサーが配置されて一室の指令室となってるその部屋で、それぞれの持ち場についてモニターやセンサーなどを操作、通信を始めた。

 

 

「港湾エリアにあるC地区のショッピングモールに高熱源反応を確認!怪人タイプ、ミラーモンスターです!」

 

『確認した。こちらも今、M1アストレイ部隊、GUYS部隊を出動させた。』

 

「了解!」

 

女が連絡を終えると、男の内の1人がミニバンの運転を始めた。

 

時間は深夜2:00、今は真夜中でひっそりとした道路をミニバンで闇夜の風を切り裂きながら、駆け抜けていく。

彼らはとある組織のメンバーであり、堅急指令を受けて現場に急行しているところだ。

 

その組織の名は、Universal Peaceable Consortium(宇宙平和連合)。通称UPCと呼ばれる国際組織だ。

 

8年前に起きた、エリアFと呼ばれる禁断の地が設立される日、ブラッディ・インパクトと呼ばれる日に、隕石が地球に降って来たのだが、実際は隕石ではなく、隕石のような見た目をした地球外生命体の船であった…。

ブラッディ・インパクトと呼ばれる日を境にし、その隕石の格好をした船から、その船の後を追ってやって来た怪獣や怪人、MSと呼ばれる地球外生命体が地球を襲来しはじめた。

 

 

それによって、世界の主要国が首脳会議を開き、極秘裏で宇宙からの脅威や怪奇現象、自然災害から世界を守る国際防衛組織としてTPCが設立された。

彼らは、情報収集や最前線で出てる部隊のオペレートや後方支援を担当している部署だ。

 

 

「もうすぐ現場に着く。準備をしろ。」

 

「「「はい(了解)!」」」

 

ヤクザのように厳つい顔をした、このチームのリーダーを務める男、藤原究(きわむ)の指示に部下である3人が頷いた。

 

「ダイゴ君、ヒイロ君、ハンディカムや携帯銃の準備は出来てる?」

 

「はい!いつでも準備出来ます!」

 

「こちらもいつでも出られるぞ」

 

キーボードを叩きながらモニターを操作している女性、天宮静流の問いかけに答える部下の1人でありつい最近入って来た新人でもあるマドカ・ダイゴと、もう1人の部下であるクールな雰囲気を持った男、ヒイロ・ユイが各々の武器やハンディカムを点検してそれらを携帯していた。

 

「よし。準備が出来たら、現場でM1アストレイ部隊、GUYS部隊と合流しろ。ダイゴは後方支援しつつハンディカムで敵の動きを捉えて、ヒイロも後方支援しながらダイゴのハンディカムから貰った映像で敵の分析だ。お前の力はまだ使用するのに絶対安定領域に達していないため、戦闘は不可能だ。後から、劾、蓮がそちらに向かう。今回はこのGUTSハイパーを使え。」

 

「任務了解。」

 

藤原がそう言って小型の銃、GUTSハイパーをヒイロに渡すと、ヒイロは機械のような無機質な声で答えながらそれを受け取り、ヘルメットを被りながら車のドアを開けて現場に向かった。

 

「あ、コラ!ヒイロ!勝手に出ちゃ…!すみません、藤原さん…学校ではいつもこうなんで…」

 

「大丈夫だ、気にしちゃいない。あれも奴のアイデンティティだからな。」

 

ヒイロの勝手な行動にダイゴは慌て藤原に謝るが、藤原は全く表情を変えずにダイゴに諭した。

 

「それでは、行ってきます!」

 

「了解した。」

 

「急いでね、ダイゴ君」

 

「はい!おーい、待ってくれよヒイロ!」

 

ヒイロは2人に敬礼した後、先行くヒイロに制止の声をかけて追いかけた。

 

 

 

 

 

「よし。総員、ショッピングモール内に潜入しろ!」

 

『ハッ!』

 

ショッピングモールの裏口では、何やらヘルメット被った男が男と同じようにヘルメットを被った軍団や、背中にXの文字を横に短くしたようなバックパックを背負ったロボットの格好の軍団に指示を出し、颯爽と入っていった。

 

彼らもTPC本部から指令を受けた最前線で戦う部隊である。

ヘルメットをかけ黄色いスーツを着用しているのがGUYSと呼ばれるチームであり、ロボットのなりをしたのは、敵であるMSの技術を駆使して作り上げたパワードスーツであるMS、M1アストレイである。

 

この2部隊が東京エリアの主力部隊であり、GUYSが主に中〜遠距離の攻撃をし、M1アストレイが近〜中距離の攻撃をしかけるスタイルだ。

 

 

中はひっそりとしており、何かの形跡1つも見当たらないぐらいだ。

その集団に2つの人影が向かってくる。

ダイゴとヒイロだ。2人は指示を出している指揮官であるGUYSの隊員に尋ねた。

 

「こちらは、藤原チームのヒイロ・ユイとマドカ・ダイゴだ。援護する。」

 

「遅れて申し訳ありません…!」

 

「ハンディカムの用意をしろ。」

 

「はい!カメラ、チェック…!」

 

指揮官がダイゴにそう言うとダイゴがそれにすぐさま、ハンディカムを出して起動し、カメラに映る映像を藤原達のいる指令車のモニターに繋げた。

 

『映像を確認した。クリアーだ。』

 

マイク付きイヤホンから藤原の声が聞こえると、部隊はそれぞれ分かれて、ショッピングモール内に入り込む。

 

 

 

 

 

 

 

『ポイントAに突入。生命反応無し。中の異常もありません。』

 

『よし。C小隊、ポイントAに待機し、フォーメーションαを組め。』

 

『ハッ!』

 

指揮官がそう言うと、1つの小隊が壁側に沿って待機をした。

指揮官がそれぞれの小隊に役目を指示をし、小隊がそれに従うやり取りを経て、熱源体の感知した場所に向かう。

 

『目的地に突入。電波障害無し。視界クリアー。』

 

『よし、フォーメーションβ。』

 

指揮官がそう言うと、GUYSの携帯銃であるトライガーショットを構えて辺りを見回した。

すると、そこにはなにやらもがいたような形跡があり、 ズタズタに引き裂かれた男性の頭部らしきものが落ちていた。

 

それを見て、隊員のみんなはその光景をおぞましく思いながらも、周りの状況を分析した。

 

『死体を確認…。』

 

「鏡には気をつけろ。引きずり込まれたら終わりだぞ。」

 

『了解!』

 

藤原がそう指示すると目的地に入り込んだGUYS部隊やM1アストレイ部隊、ダイゴやヒイロは周りを見渡した。

 

部屋の中は変わらず静寂に包まれている。

何の音もせず、何の気配も感じない。まるで制止した時間の中に閉じ込められたようだ。

 

正直言って、怪人が出てくるより、いつ何処から出てくるのか予測出来ない方が却って恐怖感を注がせる。

 

 

だが、2人のGUYS隊員とM1アストレイが背中を合わせたその時である。

 

(キィィィィィン)

 

「っ!?うわあああああ!?」

 

「ぬわあああああああ!」

 

突然、外の街灯に照らし出されたスタンドグラスから糸が出てきて、2人を拘束し始めた。

 

糸は目では捉えられないスピードで2人をスタンドグラスの中に引きずり込むと、スタンドグラスから赤い血飛沫が飛び散っていった。

 

「風山!っ!?」

 

すると、1人のM1アストレイの背後に大きな蜘蛛のような化け物が現れた。

 

 

蜘蛛型のミラーモンスター、ディスパイダーである。

M1アストレイはディスパイダーを手に持っているビームライフルで迎え撃とうとしたが、目に止まらぬ早さで糸に拘束され、ディスパイダーに引き寄せられてかぎ爪に体を突き立てられた。

 

『ぐ、があああああ!』

 

かぎ爪を立てられたM1アストレイは苦悶の叫び声を上げると体がミイラのように嗄れてしまい、拘束が解かれるとそのままヘタリと膝ま付き、倒れていった。

 

『日向!クッソおおおお!総員、集中砲火を浴びせろ!』

 

『了解!』

 

指揮官がそう指示を下すと、GUYS部隊はトライガーショットを、M1アストレイ部隊はビームライフルを撃ち続けた。ダイゴとヒイロもそれに倣って、GUTSハイパーを撃ち続ける。

 

しかし、ディスパイダーには全く効いておらず、糸などを出して隊員達を叩きのめしたりした。

そしてもう1つの鏡からディスパイダーが現れはじめた。

ダイゴはそれに見て、想定外のことに目を見開いた。

 

「もう一体!?」

 

「どうやら最初から2匹いたようだな…。」

 

「不味いよ…!このままでは…!」

 

「藤原、変身許可を」

 

『駄目だ』

 

「っ!しかしこのままでは、部隊が…」

 

『お前の体に支障が出る。それにもうすぐ来る。』

 

「なに?」

 

「あ!あれは…!」

 

その時だ。

 

 

ダイゴが指をさした方向にある窓から、何者かが窓を突き抜けていき、隊員達を拘束する糸を自分の体より大きい剣で一体のディスパイダーの上半身を切断した。

 

「そこだ!」

 

『ギイイイイイイ!?』

 

切り裂かれたディスパイダーは、断末魔の声を上げ、そのまま爆散した。

 

「サーペントテール所属の叢雲劾であり、ガンダムアストレイブルーフレームセカンドリヴァイだ。援護する。」

 

「劾さん!」

 

M1アストレイに似た青いMS、ガンダムアストレイブルーフレームセカンドリヴァイは大剣タクティカルアームズを掲げながら、悠然と立っていた。ダイゴはそれを見て喜びの声を上げる。

 

 

『FAINAL VENT』

 

「はあ!」

 

『ギイイイイイイ!?』

 

どこからか、機械音声が発し、壊れた窓の向こうから黒い竜巻のようなものが飛来し、もう一体のディスパイダーは体を貫かれ爆散していった。

竜巻が地面に到達すると西洋の騎士みたいな格好をした戦士、仮面ライダーナイトが立っていた。

 

「蓮さんまで!」

 

「すまない。助かった…。」

 

「こちらこそ遅れてすまない。」

 

『よし。総員、撤収しろ。』

 

『了解!』

 

スピーカー越しで藤原がそう言うと、全員撤収した。

 

 

「はあ…戦いはまだ始まったばっかりだよな…これでも…」

 

藤原は指令車の中でそう呟いた。

天宮もそれを聞いて複雑な表情である。

 

 

そう…戦いは始まったばかりなのだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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