HERO'sフルブラスト   作:オービット

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第2話 運命の始まり 中編-1

 

 

 

ーーーあっ…またあの夢だ……。

 

 

寝惚け眼を擦りながら、目覚めた茶髪の少年、キラ・ヤマトはそう思いながら、7:00に目覚ましをセットしたスマホを操作して止めた。

キラは若干気怠そうに起きながらカーテンを開けると、眩しい光が一軒家の二階である部屋の中に差し込んできた。

 

朝日に照らされたその部屋には、パソコンが開いたまんま机に置いてあり、その隣にはプログラミング関連の本が散らばっている。

 

昨日、コンピュータ研究会の部長からこっそりと依頼を頼まれたデータの分析をして無事に終え、少し疲れたせいでパソコンを開けたまんまにしていたのだ。

それを見て、ダラシない事しちゃったなと若干後悔しながらパソコンを折り畳み、一階にある洗面所を目指して部屋のドアを開けた。

 

「あ、キラ。ただいま〜…そしておはよ〜…」

 

ドアを開けると、向かいにある部屋のドアの前で、ショルダーバックを抱えながら、スーツを着用している女性が立っていた。

顔は柔らか整っており、流れるような長い黒髪を持った見目麗しい美女だが、今はその黒髪に艶がなく皺くちゃになっており、目元に隈が出来てる程窶れている。

 

この黒髪の女性はキラの姉、ワカナ・ヤマト。

キラの7歳上であり、社会人の年齢である。

仕事は製薬会社のなんとか言っていたが、詳しいことまではあまり語ってない。

 

「ワカナ姉さんお帰り。また、残業?」

 

「うん…三日間漬けのね…。三日三晩机に張り付いてたわ…。」

 

「そ、そう…。大変だったんだね…。」

 

「大変ってもんじゃないわよ〜…。死ぬ程大変だったわよ〜…」

 

「はは…お疲れ様…。」

 

「うん…それじゃおやすみ〜…」

 

嗄れた声でキラにそう言うと、ワカナは自分の部屋に入り、弱々しくドアを閉めた。

ドアが閉まった後、「ドサッ」と布団を撥ねたような音が聞こえたため、あまりにも疲れでスーツを脱ぐ事なくベッドに横たわったのだろうとキラは粗方予想がついた。

そしてそのまま洗面所に向かった。

 

 

階段を降りる時にキラは思い出す。

あの不思議な夢を…。

 

小さい頃からこの夢が偶に出て来る。

あの8年前に起きたブラッディ・インパクトと呼ばれる事件を境にこの夢を見る事が増えていった。

 

それは宇宙の中、胸に宝石をつけた戦士が怪獣みたいなものに勇猛果敢に立ち向かっていったり、2つの複眼がある仮面にベルトを付けた戦士が怪人らしきものをパンチやキックで倒してたり、V字型のアンテナが特徴的なロボットのような戦士が銃を使ってロボットのような複数の敵を撃ち倒したりしていた。

その戦士達は複数おり、果てしない戦いを繰り広げていく。

 

だが、その時大きな隕石が地球を目掛けて向かっていった。

戦士達はそれを止めようとして攻撃するが隕石はビクともしない。

もう駄目かと思われたその時、戦士達は体を発光させ隕石に向かっていき、隕石は眩い光を放つ。

 

そこで夢は終わり、気付いた時は目が醒める。起きた後はまるであそこが自分のいた場所だという感覚がまとわりつくのがいつもの事だ。

 

不思議な事にこの上ない。

キラはそう物思いに耽ているとあっという間に洗面所に着いた。

 

洗面所にある鏡に目を向け、鏡に映っている自分を覗き込む。

肌は東洋の血を受け継いだ色みがあり、アメジストのような澄んだ紫の色の瞳だ。

若干前髪が伸びている茶髪のショートシャギーも寝癖で若干ボサボサになっている。

なんの変哲のない16歳の少年の顔がそこに映っており、どこも異変などない自分の顔を目にしてもあの感覚が拭えずにいる。

そんな思いを払拭するかのようにキラは捻った蛇口から出る水で顔を洗い始め、歯磨きも済ませた。

 

 

歯磨きを終えると、自分の部屋に戻り、学校の制服などが掛けられてるタンスを開けて学校に行く準備をし始めた。

 

タンスの下から2段目の段を開けると、制服のズボンがあり、その隣に体操服が綺麗に畳んで並べられていた。

キラはズボンの隣にあるソレに肩を落として溜息を吐いた。

 

 

今日は朝の一時限目から体育だ。

キラはそれを思い出すと、やや気が重くなり出した。

 

何故なら、今日の体育は1000m走をやるらしい。スタミナ不足のキラにとって長距離走は苦手分野である。

 

それに体育では、名護先生が担当しており普通の準備体操をやるのではなく、イクササイズという変な準備体操をやらされる。

 

 

イクササイズとは、キラ達1年の体育を担当する名護先生改め名護啓介が勝手に作った体操であり、語尾に「〜しなさい」と付け加えながら奇怪なポーズを取って体操する、極めて滑稽な準備体操だ。

それをやる際は、他のクラスの生徒が教室の窓からこちらを眺めて笑う事も多かった。

 

それを思い出すとキラはまた溜息を吐きながら体操服をスクールバッグに入れ、タンスの上の段ににある制服に手を掛けて着がえ始めた。

 

シャツを除いた制服は全体的に紺色で纏まり、ネクタイは、キラの学校で一年生の色を示す赤色となっている。

その他は、至って他の高校のと変わりない普通の制服だ。

いつも夢を見終わった時に感じる感覚も、その普遍的な要素でなりを潜めさせた。

 

(あ、そういえば今日は舞姉さんに頼まれたデータを朝早く渡さなきゃならないだった…。)

 

キラはそれを思い出すと、支度を終えてからパソコンの隣に置いてあるディスクを入れ、自分の部屋から出てリビングに急いで向かった。

 

「母さん、おはよう!」

 

「あら、キラおはよう。」

 

「父さんもおはよう!」

 

「おう、おはよう!」

 

「どうしたの?そんなに慌てて。」

 

リビングに着くと、目元の柔らかい穏やかなキラの母、カリダ・ヤマトが台所に立っており、食卓にはキラの父、ハルマ・ヤマトが新聞を広げて座っていた。

 

食卓にはトースターと焼きたてのトーストやバター、ジャムが置いてあり、父の席にはホットコーヒーが置かれてあった。

パンの香ばしい匂いとバターの匂いが食欲を掻き立てるが、その匂いに浸っている時間は無い。

キラは自分の席に置いてある皿に乗っかってるパンを一斤加えてリビングを出ようとした。

 

「あ、コラ!座って食べなさい!」

 

「母さんごめん!僕舞さんと7:50に約束してるからもう出ないとマズいんだ!それじゃあ、行ってきまーす!」

 

「あ、キラちょっと待ちなs…もう…」

 

キラが玄関から出て行くと、カリダは息子の行儀の悪さに溜息を吐いた。

 

「はは、青春してるなキラも!」

 

「あなたも笑ってないで少しは注意をして下さい!」

 

「まあ、ちゃんと起きなかったキラも悪いがしょうがないだろ。相手との約束もあるし。」

 

「そうですけど、これじゃあ悪い癖が付きますよ…。」

 

カリダは息子の将来を心配しながら、そう呟いた。

 

ヤマト家は今日も平和であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ…!はっ…!早くしないと遅れちゃう…!今日は一限から体育あるから走りたくないのに…!」

 

キラは風を棚引かせながら街の中を駆けていくった。

キラが通学に使う通路では、商店街などを通っていく。

通り過ぎていく店はまだ7:30前ぐらいであるためか、どこも閉め切っている。

キラ達の住んでるところは東京の品川辺りにあり、商店街の近くには、高層ビルがいくつか立っていて、その1つには大企業であるアナハイム・ブレインの大きな広告塔が置かれている。

 

アナハイム・ブレインとは、一般家電製品の製造で業績をあげて軍需兵器の分野にも乗り出したアナハイム・エレクトロニクス社と、家電から食品に至るまで様々な事業に手掛けているスマートブレインが合併し、電子機器の開発や宇宙で活動出来る程のパワードスーツの開発や量産までをも行うようにもなった。

 

ビルの広告塔に書いてある通り、「スプーンから宇宙開発まで」をモットーとし、ここにある商店街の店の殆どがアナハイム・ブレイン経由の子会社であったり、商品を扱っている。

 

キラはこの街全てを支配してるように見えて、アナハイム・ブレインがあまり好きでは無かった。

でも、この街に住んでる人達はアナハイム・ブレインなどに固執してるような雰囲気はなく、いつも笑顔が溢れていて、お互い支え合いながら生きている。

たとえ、アナハイム・ブレインの支配下に置かれていようと、キラは人の温かさを感じるこの街やここに住む人達が好きだ。

ここの街に吹く風は心地よく、あの夢から感じさせる変な感覚も忘れさせてくれる。

 

「やっぱりここが僕のいるべき場所」だとキラは心の中でそう感じさせた。

 

走ってる途中、横断歩道にある歩行者用の信号が赤となったためそこで止まった。

そういえば今日は、コンピュータ研究会の部長であり先輩でもある千川舞との約束を思い出す。

確かコンピュータルームのところで待っていると言っていた。

キラは速く学校に着きたいと思いを馳せらせ、まだまだ青にならない信号を焦ったく感じる。

 

千川舞はキラの学校の3年生であり、キラの幼馴染である。

学校では、見目麗しく学校での成績はいつでもトップ5以内に入るというその才覚兼備さで、学校で生徒会長もやるなど生徒から多大な人気を持っている。

 

キラにとっても、彼女は尊敬する先輩かつ幼馴染でり、同時に憧れの的でもあった。

そんな彼女から久々に会い、ディスクを渡した際に感謝と共に見せた笑顔は、聖母の微笑みそのものに見えた。

その時に少し高まったあの胸の鼓動が今でも忘れずにいる。

だがキラにとって舞は、今じゃほとんど会う事もなく、たくさんの人に注目される存在という事もあってか、今は遠い存在に感じる。

キラはそれを思い出すと気分が少し沈んだ。

 

ーーまあ、そもそも舞姉さんと僕じゃ釣り合わないけどね…。ーー

 

キラは卑屈な思いで憂鬱になったその気分を片付けさせた。

 

だが久々に彼女に会って、会話が弾んだ際は笑顔が輝いており、小さい頃一緒に遊んだ時の懐かしい感覚に浸れた。

少ししか会えないけど、それでも彼女に会えるのならそれでいいのかもしれない。

キラはそう考えると、舞に会うのが待ち遠しく顔を綻ばせていた。

とキラが心躍らせていたその時である。

 

「キ〜ラ〜!」

 

「へ?グフォ!?」

 

突如後ろから少女の声が聞こえたため、後ろを振り返ると1人の少女が物凄い勢いでこちらに走ってきており、バッグを大きく振りかぶってキラの頬にクリーンヒットさせた。

それを食らったキラはその勢いで後ろに倒れ、それと同時にタイミングよく歩行者用の信号が赤から青に変わった。

 

「いてて…。いきなり何するのさ!綺音!」

 

「ふん…何よ…!朝から惚気ちゃって…!ダラシないったらありゃしないわ…!」

 

そこには、天の川のように流れるような美しい銀髪にやや強気な眼が印象的である、バッグを振り回した張本人がやや不機嫌そうな目付きでこちらを睨んでいた。

 

彼女の名前は、千川綺音

あやね

キラと同じ1年で、舞の妹でありキラの幼馴染でもある。

スラッとした顔立ちに、ルビー色の瞳と雪のように白く綺麗な肌をし、姉に勝るとも劣らない肩まで美しい銀髪だ。

小さい頃からなにかとキラの世話を焼いており、付き合いも姉より長い。

性格は不器用で素直じゃなく、やや怒りっぽいところがある。

黙っていれば極上の美少女なのだが、気が強くいつもツーンとしているため、人が近寄りがたい雰囲気を醸し出している。

 

「だからってバッグで殴る事ないだろ!」

 

「私はいつもの通り、アンタん家に行ったのにも先に家を出るって何よ!?どういうつもり!昨日いきなりメールで『明日早く家に出るから』ってだけ送って!」

 

「いや、それはごめんよ…。ちょっと人と会う約束したから…。」

 

「ふん…!どうせお姉ちゃんと会う約束とかしてたんでしょ!」

 

「えっ!?なんでそれを!確かに人と会う約束があるって言ったけど…」

 

「昨日、お姉ちゃんが嬉しそうに語ってからね!あーあ、2人ともダラシないったらありゃしないわ!」

 

「なっ…!綺音には関係無いだろ…!」

 

「あぁん?」

 

「はい、ごめんなさい…」

 

綺音が鋭利な目付きでこちらを睨んで来たため、キラは情けなくも謝ってしまった。

 

綺音は少し拗ねていた。

毎日一緒に登下校するのが綺音にとっての日課であり、心が安らぐ時間なのだ。

 

それなのに当のキラは自分との登校をすっぽかして、姉との約束をするのがとても気に入らずヤキモキする。

だからキラに対していつも以上に意地っ張りになってしまう。

 

綺音はそうしてる内に自分のやってる事が大人気ないと思い、後悔してしまう。

もっと違う伝え方があったんじゃないかと思ってしまう。

嫌な女だと思われてしまったどうしようと綺音は不安な気持ちを掻き立てた。

 

 

 

「でも本当にごめんよ綺音…。昨日、舞さんから頼まれて、急ぎでコンピュータ研究会で研究してるデータの解析を終えて渡さなきゃならなかったんだよ…。あの人生徒会とかで忙しくてなかなか会えないから今日の朝早く会うしかなかったんだよ…。」

 

「……」

 

「でも本当にごめんね…。今日勝手に先に登校して…。僕が説明不足だったのが悪かった…。本当にごめん…。」

 

「……イス…」

 

「へ?」

 

「商店街の31アイスで新しいメニューが出たんだけど…奢ってくれるんなら別にいいわよ…!」

 

「…ふふ…。いいよ。放課後、HRが終わったら行こう…。」

 

「…!…ふん…!」

 

キラが笑ってそう言うと、綺音は胸の鼓動が高鳴りそっぽを向いた。

心なしかその顔は紅く染まっている。

 

「早く学校行くわよ…!」

 

「はいはい…」

 

綺音は照れ隠しをするためか早足で学校に向かいキラもそれに付いていった。

とキラはそこで大事なことを思い出す。

 

「あっ…!そういえば早く学校に行って舞さん

にデータ渡さないと…!」

 

「ああ。そういえば言い忘れてたけど、今日お姉ちゃん学校来ないわよ。」

 

「え!?なんで!?」

 

「風邪で体調を拗らせたから今日は家でお休みしてるの。」

 

「……」

 

「あとお姉ちゃんから伝言。『私今日休むから、ディスクは同じコンピュータ研究会仲間であるアマガイさんかミリアリアさんに渡して』との事。はい、以上!」

 

「……そ、そんなぁ…。」

 

キラはガックリと肩を落としげんなりとした気分に落ちいった。

高層ビルの広告塔の隣に表示してあるデジタル型の時計はちょうど49から50に変わり、それを見てキラは虚しさが心の中で更に過ぎった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーという状況の中で、仮面ライダーナイト、秋山蓮とガンダムアストレイブルーフレームセカンドリバイ、叢雲劾の両名の協力のお陰で無事ミラーモンスター2体の掃討に成功しました。」

 

「そうか、ご苦労だったね。」

 

「報告は以上です。」

 

「報告に感謝するよ。」

 

東京の品川区にある超高層ビル『GUTSコーポレーション東京支部』の最上階では、UPCの藤原究、天宮静流、マドカ・ダイゴ、ヒイロ・ユイが任務を終えて、UPC日本支部の上層部に今回の任務の件を報告しに来た。

 

ここは、東京の品川区を拠点としてるUPC日本支部である。

外宇宙や地球の平和を乱す脅威である怪獣、怪人、MSや怪奇現象、自然災害から世界を守る一方、罪の無い宇宙人や怪獣、生命体を保護する国際防衛組織であるUPCだが、怪獣、怪人、MSが表沙汰となって、世間の不安と混乱を招かないために、医療技術や家電製品、食品、宇宙用、パワードスーツなどの産業などありとあらゆる事業を世界中でこなすという意味で『Global Unlimited Task Squad(世界規模で無制限に仕事をするチーム)』という意味を込めて、『GUTS』と表向きでそういう形になっている。

 

4人の前にある机に座っている男は、UPC日本支部の支部長サコミズ・シンゴである。

 

サコミズは普段飄々としてるが、指揮においての冷静な判断やその分け隔てない性格で多くの部下が信頼を寄せており、人望が厚い。

昔は宇宙支部で隊長を務めていたらしいが、彼は宇宙からの脅威を止めるべく、地球に帰還後、その腕を買われ早速日本支部の支部長に就任された。

 

「そういえば、最近地面が割れる事件が続発しているっていう噂を知っているね?」

 

「はい、未だ犯人は見つかっていません。」

 

「その事件を調べて行くうちに正体は古代から地底に潜む2体の地底怪獣だという事が分かった。

過去に暴れたケースと全く同じで、ロシア支部にあるブルーZECTの基地を襲ったのもこいつららしい。」

 

ブルーZECTとは、UPCの中で倒した怪獣、怪人、MSの生体研究やそれに対抗するためのMS、ライダーのシステムやアイテムの開発を主にやっている研究職の強い子組織である。

彼らの大半は地球外生命体を排除すべき存在だと忌み嫌い、敵の排除などを徹底する。

その彼らのやり方に合わせてなのだろうか、本部から汚れ仕事を任せられる事が多い。

 

「例の密かに造られていたガンダム5機と3つライダーデッキが強奪された事件ですね。」

 

「そう。その事件後、奴らの内一体が日本に向かっているらしい。

だが捜索途中、地底でいきなりレーダーから消えたらしくその後の消息は掴めていない。」

 

「…ミラージュコロイドか…。」

 

「うん。現時点ではその線が強いよ。可視光線や赤外線を含む電磁波を遮断する特殊なコロイド状の微粒子であり、磁場で物体表面に定着させることで、電磁的・光学的にほぼ完璧な迷彩を施すことが可能なステルス機構を持つあれならそういうマネが出来る。」

 

ヒイロの呟きにサコミズは頷いた。

 

「任務の終わった後にすまないけど、君達にはその一体の捜索任務に向かって貰う。

だは今回は、藤原究、天宮静流の2人だけで、加賀美新、ムウ・ラ・フラガ、サリィ・ポウ率いるチームプリベンターの3人と同行してもらう。」

 

「え?何故僕達2名を外すんですか支部長?」

 

「俺はまだ任務に続行出来るぞ?」

 

「最近休暇を取らせてなかったからね。それに君達はまだ学生だよ。ちゃんと学問に勤しみなさい。」

 

「は、はい…」

 

「……」

 

「あ、あと言い忘れてたけど、カナダ支部から1人の帰国子女が来るらしい。」

 

「「帰国子女?」」

 

「そう。年齢はダイゴとヒイロと同い年だ。

仲良くしてくれよ。」

 

「はい。」

 

「任務了解。」

 

「という事で、それじゃ、2人に引き続き任務を頼む。以上だ。」

 

「「「「ハッ!了解!」」」」

 

藤原と静流、ダイゴ、ヒイロがサコミズに敬礼し終え解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はああ…学校か…。久々だなぁ…。アスカや我夢にユウスケやキラ、バナージ、信司、巧、一真、レイナにマユも元気にしてるかな…。」

 

ダイゴはUPCから部屋を借りて住んでる社員寮でシャワーを浴び、学生服に着用替えて学校に向かった。

学校には二限から来ると連絡しておいたが、それでも後ろめたさを感じ社員寮を早く出た。

 

ヒイロは家にカロリーメイトがなくなったため、それを近くのスーパーでまとめ買いしてから後で来ると言っていた。

最低でも2限には間に合わせると言ったため特に心配する事はないが、カロリーメイトなんて学校終わってからでもいいものを今やるヒイロに少し呆れていた。

 

それほど彼にとってカロリーメイトは毎日欠かせない程愛しいものだろう…。

ダイゴはそう思うとクスリと小さく笑った。

 

(まあ、ヒイロにとってカロリーメイトは命綱みたいなものだしね…。)

 

それよりもダイゴは1つ気になっていたことがある。

サコミズが言ってたカナダから来る帰国子女はどんな人なんだろうかと。

 

自分の周りにいるUPCの人は、サコミズや静流を除けば変わり者が多い。

藤原さんは顔と声が濃く、ヒイロや今回の任務で援護してくれた叢雲劾や秋山蓮は無口でクールな性格だ。

そんなアクの強い人達に囲まれたダイゴは彼らと同じ人が来るのかなと呑気にそう考える。

 

「まあ、それは会ってからの楽しみだよね。

よし!久々に皆に会うからこのままダッシュでいk…」

 

「キャアアアアアア!」

 

「っ!?」

 

その時だ。

ダイゴの右方から急に女性の叫び声が聞こえた。

何事かと叫び声がした方に目を向けたら川の上で、子供が溺れていた。

 

「誰か…誰か助けて下さい!」

 

川に流れていく子供を追いかけながら、女性は助けを求めた。

どうやら彼女は溺れた子供の母親らしい。

 

ダイゴは直ぐさまスクールバッグを置き、背広を脱いで川に飛び込もうとした。

これでは制服が汚れ、2限目にすら間に合わないだろう…。

だがダイゴはそんなことに気にしていられず、急いで子供を助ける事に専念した。

 

だがその時である。

 

「っ!?」

 

誰かが物凄い勢いでダイゴの近くを通り過ぎ、

川に飛び込んだ。

よく見ると自分と年齢に大差ない少年である。

 

少年はメカジキの如く、子供に向かって泳いでいき、子供を救い上げて陸に上がった。

それは一瞬の事である。

ダイゴは子供を抱っこして女性の所に来る少年方に向かう。

 

髪は自分と同じ茶髪で明朗快活を絵に描いたような活発そうな少年であった。

 

「ママァ…」

 

「拓也…!拓也ぁ…!本当に良かった…!」

 

少年は川に溺れて怖かったのだろうか、泣き出して母親に抱き付いた。

 

「怖かったよぉ…」

 

「おおぉ…よしよし…怖かったのね…!」

 

母親も感極まって涙を流し、子供をヨシヨシと腰を撫でながら抱っこした。

 

「怪我は無かったかい?」

 

「うん!ありがとう!お兄ちゃん!」

 

「本当に助かりました!ありがとうございます!」

 

「いえ、お子さんが無事なら僕はそれでいいので。」

 

「本当にありがとうございます…!」

 

母親はもう一度青年にぺこりとお辞儀をした。

少年は自分を見つめているダイゴの方に目を向け、自分を見るや否やパァと輝くような笑顔に変わった。

 

「あっ!君はマドカ・ダイゴ君だね!」

 

「え!?どうして僕の名前を…!?」

 

「昨日バンクーバー便で乗って今日ようやく日本支部に着きました!お会いしたかったです!ダイゴ君!」

 

「え?じゃあ、君はサコミズさんが言ってた…!」

 

「はい!」

 

とそれが彼の印象的な部分を示しているのか、少年は変わらずハツラツとした笑顔をダイゴに向けて名乗った。

 

 

「カナダ支部から日本に帰国しましたヒビノ・ミライです!本日からよろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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