HERO'sフルブラスト   作:オービット

3 / 5
第3話「運命の始まり・中編-2」

 

 

時刻は変わって午後の12時30分頃、キラのクラスでは4時限目が終わり、お昼休みの時間であり昼食を取る時間帯でもある。

 

だがキラは学生食堂の中、テーブルにロールキキャベツ定食を置いたまんま、精気が無くなったように椅子の上でぐったりと項垂れていた。

 

朝から1000m走らされた後に自分の苦手科目である古典、政治学の授業が来たため精神的に疲れたのだ。

4限は英語の授業であり苦手科目なのでは無いが、精神的にはもう参ってしまい今の状態に至る。

 

「うはぁ…疲れたぁ…」

 

「もう…!だらしないわよキラ!まだ4限終わったばっかりでしょ!」

 

綺音はキラのだらしない行動に口を咎めた。

綺音もキラやキラの友達と一緒に昼食を共に食べたかったため、綺音のクラスの級友と共にキラ達の座るテーブルに座って昼食を摂っている。

 

「はは…キラ君かなりばててるね…。」

 

「まあ、元気出しなよキラ。せっかくのお昼休みなんだし。」

 

「そうだよ!あと2時間なんだしさ!」

 

クラスの友達である高山我夢はキラの様子を心配そうに見つめており、励ましてる仲間のバナージ・リンクスと小野寺ユウスケはキラの肩をポンポンと叩いた。

 

バナージとユウスケはキラが授業の事だけではなく別の事でも落ち込んでいる事を知っているため敢えて突っ込まないでいる。

とういうか、突っ込むのが野暮だと2人は思った。

 

3人ともキラと同じクラスであり、友達である。

 

我夢は理数系科目において全学年トップに立っており、物理学において彼の右に出る者はいない。

 

彼は科学の事に一度熱を入れると夢中になってその事に話す程科学を愛しており、いつもバナージかユウスケがストッパーの役を買っている。

最近では量子学の研究に熱を入れてるらしい。

 

バナージは物静かな性格であり、いつもあっけらかんと自分の感性を話すいい意味で言えば正直、悪い意味で言えば遠慮なしな性格でもある。

 

父親がアナハイム・ブレイン社で仕事をしていたというが、子供の頃に両親が離婚して母親に付いていったため結局どんな仕事をしてるか詳しくは知れなかった。

母親に聞いても、その事に関しては断固として喋ろうともしなかったらしい。

 

ユウスケはいつも雰囲気が明るく、みんなのムードメーカーである。

姉と2人で暮らしており、姉が刑事をやっている。

五代雄介という姉の同僚に憧れを持ち、彼が家に来る日はいつも心が弾んで料理を振る舞ったりする。

最も、彼が料理を始めるきっかけとなったのが五代が来訪なのだが。

 

最近では、姉の仕事の手伝いとして警視庁に通ってるらしい。

聞いても、企業秘密なのかあまり語らず、「人類の発展だ。」とそれだけ豪語するだけでおり、深くは追求しなかった。

 

3人ともキラの友達で、一緒に遊んだりする仲だ。

 

「もう、僕の体はボロボロだよぉ…。」

 

「しっかりしろ。授業だってあと2限残ってんだしそう腐んな。」

 

今度は不機嫌そうな顔をした少年、乾巧がその顔を不機嫌そうに歪ませてそう言った。

 

巧もキラやバナージ、我夢、ユウスケの仲間である。

いつも無愛想な表情が特徴で生活態度もよろしいとは言えないが、根は優しい人間だ。

 

感違いされやすいのだが、彼自身口が素直ではなく、キラのために自分なりに檄を飛ばしたのだ。

 

「じゃあ、僕は今ドボドボな状態だという事で…」

 

「んな言い訳あるか!つか、どんな状態だ!?」

 

巧はキラのボケにすかさずツッコミを入れ、キラの頭に小さくチョップをかました。

 

「はは、こりゃ相当参ってるなぁ…。」

 

「みたいだな…。」

 

キラと巧のやり取りを見て、ユウスケやバナージがやや呆れ笑った。

この2人は休み時間になるといつもこんな感じで漫才をする。

キラがボケで巧がツッコミ役に転じるのが定番だ。

 

「まあ、仕方ないで…しょ!ほい!」

 

「あっ!僕の唐揚げ!アスカ!」

 

「ウヘヘ!空きあり空きあり〜!」

 

我夢がキラと巧に目を向けている時、彼の友人であるアスカ・シンは我夢が目を離してる事をいい事に我夢の弁当からぬけぬけと唐揚げをつまみ食いした。

 

アスカ・シンもキラ達の仲間だ。

お調子者で型破りなところがあり、ユウスケにも負けないほど明るくお人好しでもある。

その反面、無鉄砲なところがあり、突っ走り過ぎて何かに失敗する事も多い。

だがそんな性格ながら、勉強の方では頭が冴えており、成績は割と良い方だ。

幼い頃から野球が大好きで、今では野球部のエースピッチャーを務めてるらしい。

 

 

「空きありじゃないだろ!それ僕が大切に取っておいた唐揚げなんだぞ!」

 

「まあまあ、1つぐらいいいじゃないか!減るもんじゃねえs…アダダダダダダ!」

 

「減ったでしょ!今あんたのせいで!」

 

「アイデデデデ!分かった分かったから、離して!」

 

「まずは高山君に謝りなさいよ!」

 

「いや、あれはちょっと腹が減ってて不可抗力っていうか、なんていうか…アイデデデデ!分かった!分かった!すみませんでしたぁ!」

 

アスカと隣に座ってた女の子、奏出美奈はアスカのほっぺを力強く引っ張る。

アスカもこれには耐えられず、我夢に対して素直に謝る。

 

美奈はアスカの幼馴染であり、いつもアスカの世話を焼いてる。

この2人もキラと綺音と同じように賑やかさが耐えない。

ただ美奈は綺音より強気であり、アスカはそれに毎度頭が上がらない。

 

我夢もそれを微笑ましく思うも、美奈のあまりの剣幕に若干引きつった笑顔になってしまう。

 

「ははは…。でもキラ今日は本当にどうしたのさ?何時もに増してばててるよ?」

 

「だって、体育の後に古典に政治学だよ…。そりゃあ精神的に疲れるよぉ…。

はあ…なんでこんな事になってしまったんだろう…。舞先輩〜…。」

 

「もう〜!嫌な事終えるとすぐへばるのは昔っからなんだから〜!いつまでお姉ちゃんの事でクヨクヨしてるのよあんたは!」

 

(ああ、今日元気が無いのはそれか…。)

 

綺音はキラの愚痴に呆れ、頭に手を置いてやれやれと溜息を吐いた。

我夢もそれを聞いて納得し、キラに同情した。

 

しかし無理も無いだろう。

高校生にとって、誰しも苦手科目が朝から2つも続くと気分が物凄く萎えてしまう事は多い。

 

朝からそれ思いながら登校だけで胃に重いものを抱えるような気分になり、「今日は先生来ないかなぁ…。今日授業中止にならないのかなぁ…。」などと鬱になったりする人もいたりする。

 

それを終えるとその時体に走る緊張感や憂鬱な気分から脱した反動で疲れがぐわっと来る事も無いとは言えない。

 

だがキラの場合はそれ以上に、朝から憧れの先輩と久しぶりに会えると期待して待ってたのに会えず、苦手科目が朝から連続してやるという三重苦にへこみたくなる…というか舞に会えなかった事への憂鬱さが大きい方だ…。

 

 

もちろん綺音もその事を概ね理解している。

だがキラのその様子を見つめるのが面白くなく、やきもきしたくなるのだ。

 

(私だって…同じ幼馴染なのに…。)

 

近くにいる私じゃ駄目なのか。

綺音はそう思うとますますふてくされ、顔を思いっきり膨らませて顰めっ面になりつつも、複雑な思いに駆り立てられた。

 

「……少しは自分に構ってくれたっていいのに…」

 

「へ?なんだって?」

 

「っ!べっつに!キラには関係無いもん!」

 

(綺音も大変だなぁ…。)

 

綺音は自分の呟きがキラに聞こえた事で気恥ずかしくなり、顔を赤らめてそっぽを向いた。

我夢もキラの鈍感さに振り回される綺音にも同情した。

 

(キラも気付いてあげればいいのに…。でも彼は舞先輩の方に気が向いてるからなぁ…。)

 

出来ればどちらの恋も上手くいって欲しいが、こればっかりはどうする事も出来ない。

 

我夢は遣る瀬無い思いに浸りながらも、その事には深く突っ込まないでいた。

他数名も我夢と同じように感じても黙って静観した。

 

「でもさっき聞こえたような…」

 

「気のせいよ!気のせい!あんまりしつこいとあんた将来禿げるわよ!」

 

「なっ!?そこまで言うこと無いだろ!」

 

「ふんだ!」

 

綺音の本当かどうか定かではない言葉の綾にキラは食って掛かりながらも、顔を膨らませるそっぽを向く綺音がリスみたいで可愛いなぁなどと言おうとしたが、本人が聞けば羞恥で顔を更に顔を赤くし口煩く文句言うのだろうと思ったため胸の内に留めた。

 

「そういえば、ダイゴ君にヒイロも久しぶりだね。最近学校来てなかったし。

また例のバイト?」

 

「まあね。」

 

「ああ、一応学園長に許可を貰っている。」

 

キラの右隣に2人揃って座っているマドカ・ダイゴとヒイロ・ユイはキラの質問にダイゴは曖昧な笑顔を浮かべながら、ヒイロはミートソースパスタの麺を咀嚼してからそれぞれ頷いた。

 

ダイゴとヒイロもキラや巧達の仲間である。

むしろ、この2人は幼い頃からキラや綺音と知り合っており、友達である。

 

実は2人ともいくら幼馴染や友達にも言えない秘密がある。

それがそのバイトなのだが、とある理由でその実態は極秘にしなければならないという契約のもとでキラや綺音達には話せない内容なのだ。

 

企業秘密のためしょうがないのだが、2人は友達に隠し事するように思えて少し罪悪感を覚える。

 

「でもダイゴ君も大変だね。仕事が午前の11:30まであるなんて。」

 

「ははは…まあね…。」

 

「………」

 

ダイゴはキラの感心に苦笑いを浮かべた。

 

実際、ダイゴは別の理由で遅れた。

 

まさか道が分からないから新入社員を会社まで案内してる途中、道に迷ってるお婆ちゃんを逆に道案内したり、子供が泣いてるかと思えば電信柱に風船が絡まっているためそれを取ろうとして、当初予定した時間とは違って2時間も遅れたのだ。

 

(こんな事…みんなの前で絶対言えないよな…)

 

ヒイロに事情を話すと、彼は無言で肩に手を置き頷くだけだった。

 

彼なりに言うと、「ドンマイ」という意味だ。

ヒイロにこう慰められると何故か悲しくなるダイゴだった。

 

だが上手くみんなに誤魔化してくれるだけでもダイゴはありがたくも感じていた。

 

「そういえば信司と一真にレイナとマユは?」

 

「信司と一真は古典のテストの呼び出し食らって、多分先生に叱られてる。あまりにも点がひどいから来なさいって…。」

 

「あはは、2人とも相変わらずだな…。」

 

ダイゴはそれを聞いて、今いない2人が先生に怒られる姿が目に浮かんで気の毒に思えた。

 

「レイナとマユは大阪でアイドル活動よ。まだ帰って来れそうにもないみたい。」

 

「まあ、2人は売れっ子だしね。」

 

「ウチの学校って、校風が本当に自由だよね。バイトOKだったり、なんだったり。」

 

「まあ、高校生には遊ぶお金が必要だからね。」

 

「それに夢を追うことは誰にも止められないってね!」

 

美奈はそう言いながら、弁当の中にあるタコさんウィンナーをフォークで串刺してそれを食べた。

 

1人だけお金が無くて、みんなと仲間外れになるが嫌だったり、家計が苦しくて止むを得ず働く あど、理由は諸々あるものだろう。

 

それに有名なアイドルを目指して、今からアイドル活動に励む人もいる。

 

その分、ここはそういうのを認めてくれて生徒への待遇がいい。

美奈の呟きに誰もが頷いた。

 

「ところでさ、もうすぐ転校生が来るんだって。知ってる?」

 

「転校生?この時期に?」

 

「うん?帰国子女なんだってさ。外国語ペラペラかも。」

 

「おお!もしかして女の子か!女の子だったら俺俄然張り切っちゃうz…イデデデデ!」

 

とアスカがそれを聞いて目を輝かせると美奈が横からまたアスカの頬を引っ張った。

 

「あんた早速転校生になにイヤらしいこと考えてんのよ…!」

 

「いやいや滅相もない!ただ俺は可愛い女の子をエスコートしようt…イデデデデ!すみません!すみません!」

 

この2人は相変わらずだなぁ…と皆の心はシンクロした。

 

「女の子か…。」

 

「なによ?あんたもそんなに女の子なのか気になるの?」

 

「あ、いやいや!そんな気にしてないよ!」

 

「ふん!どうだか…!」

 

キラの呟きに綺音は凄んだ表情で睨んできたためすぐさま誤魔化した。

アスカと同じように自分も自分で相変わらずなやり取りしてるなぁと肩を落とした。

 

でもキラは綺音のいつもの不機嫌そうな顔を見つめ、変わらないなぁと心の中で思う中、それでもいいとも思っている。

 

いつも見る夢から目が醒めると何度も見てるはずの夢なのに得体の知れないものに対する不気味さや違和感が体に残って、後味悪く感じることがしょっちゅうある。

 

でも普段こんな他愛ない会話しながらふざけあって笑い合う事でその苦しみから解放されるのだ。

 

憧れの幼馴染に会えなかったり、嫌な授業が続いてる日があっても、キラにとって今ある日常が何よりも愛おしい。

 

そうだ。

いつも変な夢に苛まされても、こんなに近くに小さな幸せがあるじゃないか。

キラはこんな日常がずっと続けばなと心の奥で願っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は遡って16時頃、品川のある港口で起きた事だ。

 

皆は信じるのだろうか?宇宙人というものを…。

おそらく今時は『そんなものは空想だ。いるわけがない。入るって言ってる奴は目立ちたい奴かテレビで視聴率を撮りたい奴がやるか、誰かの嘘か真かも知らないような話を本当のように間に受ける人間ぐらいしかいないだろう』とそういう風に考えるのが世俗的なのだろう。

実際にその証拠を見た事なんてないからそういう答えが来るのは当然である。

 

だけど逆説的にみると、『宇宙人がいるわけがない。仮にいたとしても地球に来るわけがない』という確固たる事実は絶対的なのだろうか?

この目にしたものだけしか信じられないのはしょうがない事である。

だがその否定的な事実まで肯定出来るとは限らない。

逆に『宇宙人はいない。この目で見た事もそれを立証出来る事実もないからいるわけないじゃいか。』という思考の裏をかいて、『宇宙人は人間の目に届かないところで動いている。察知されないようにする事を想定して人目に届かぬところで動いている。』という見方も捉えられるのではないだろうか?

 

その1つの事象の可能性を示すかのように、宇宙人が人間の目に届かなぬところで動いていたのが16時頃の品川である。

 

 

「では報告にあった通り、Mのメモリもお送りします。」

 

「へへへ、やっと手に入れたぞ…!」

 

港口の人気のないところで何やら2人の男が怪し気に取引していた。

いや、正確には1人の男と人型をした何かだ。

 

それは人間とは違って、体全体が白黒の幾何学のような縞模様になっており、顔も人間のより2、3倍大きくて仮面をつけた顔だ。

 

彼の名はダダ。

ダダ星という星から来た宇宙人だ。

このダダは闇仕事に手を染めており、暗殺や密輸、密造、誘拐、共謀、恐喝、麻薬取引など幾多の犯罪を犯している宇宙犯罪者だ。

この地球に来たのは、お得意先でもあるとある依頼主に捕まえて欲しい人物がいるため仕事に呼び出された。

 

その依頼と同時に新しい武器の性能を試して欲しいという依頼も来たため、ジュラルミンケースを持ち上げながら、USBのようなものを手に出している目の前の男、園咲霧彦とその武器の相談をしている。

 

園咲霧彦はUSBのようなデバイス「ガイアメモリ」の密売セールスマンとして史上最高の成績を挙げたことで有名な男だ。

 

ガイアメモリとは、地球に記憶された現象・事象を再現するプログラムが封じ込められており、これをを使って地球のとある記憶を自身に注入することで人間や生物は、ドーパントという怪人に変身できる。

 

園咲霧彦の開かれたジュラルミンケースの中身には幾つものガイアメモリが揃い並べられている。

彼もダダのお得意先からの依頼通りにガイアメモリを譲渡するところだ。

 

「この力はあなたに適合しています。あなたはこのガイアメモリに選ばれました。」

 

「これで俺は超人になれるんだな…!」

 

「超人?いや…神にもなれますよ…。もちろんそれを扱いこなすかはあなた自身にかかっています…。」

 

霧彦は相手を見定めるかのようなににこやかと笑った。

ダダは霧彦のその張り付けの笑顔が舐められいるようでこの上なく気にいらなかった。

多分この男の商売上手はこうやって相手を手玉に取るような手法でなったのだろうと思うとダダはますます気に食わなくなる。

 

「では、期待してまってますよ。」

 

霧彦はそう言うとその場から立ち去っていった。

ダダは霧彦の姿が見えなくなるまで見届け、思わず減らず口を叩いた。

 

「けっ!透かしやがって…!なんとも気に食わねえ奴だぜ!ああいう奴が出世すると聞くと反吐がでる!まあ、欲しい品は手に入ったし別にいいけどよ…!」

 

ダダは手元にあるMと書かれたガイアメモリを見つめ不気味な笑顔を浮かべた。

 

「へへへ…へへへ…!これで俺は宇宙最強の肉体を手に入れるんだ…!

そして宇宙は全部俺のものになる!はははははは!」

 

「おっと、そうはさせないぜ!」

 

その時、ダダの後ろから3人の人影が現れた。

3人のうち、1人が真っ黒いボディに真っ赤な複眼がついた仮面を被った戦士であり、もう2人はロボットのような格好をしていて、1人はガトリングを手に持ち、もう1人は死神のような風体をしている。

 

「なっ!?お前ら何者だ!」

 

「街をを泣かせる奴は許さないハードボイルドな探偵、仮面ライダージョーカーと!」

 

「逃げも隠れもするが、嘘は言わないこの俺、ガンダムデスサイズヘル様が相手だ!」

 

「お前ら俺も忘れるな。

俺の名はガンダムヘビーアームズ。

こいつらと同じ宇宙平和連合、通称UPC所属のパトロール隊だ。

ダダ281号、暗殺及び密造、密造、麻薬取引など多くの罪状により貴様を拘束する。

無駄な抵抗はやめて大人しく投降しろ。」

 

「くっ!えーい!黙れ!俺はせっかく超人になる力を手に入れたんだ!こんなところで捕まってたまるかぁ!」

 

とダダは握りこぶしを作って、黒い仮面の戦士、仮面ライダージョーカーに殴り掛かる。

 

だがジョーカーはスラリと軽やかな動きでそれを躱す。

ダダの拳は何度もジョーカーを追おうとするが全て躱されてしまう。

 

今度はジョーカーが反撃し、ダダのパンチを避けるため身を屈めたあと、懐にストレートパンチを打ち込みダダに蹴りを入れる。

 

「ゴハァ!くっそお!」

 

「さあ、お前の罪を数えろ…!」

 

ダダは連続パンチを繰り出したが、これもジョーカーに悉く躱される。

ダダのパンチを避けたあと、ジョーカーはその右腕を掴んで左肘のエルボーをダダの懐に決め込み、回し蹴りを繰り出してダダを再度吹っ飛ばした。

 

「はあ!」

 

「ぐはあ!痛ててて…!」

 

「観念しろ!もうこれ以上罪を重ねんな!」

 

「ちっ!舐めやがって…!見てろ!これが俺の最強の力だ!」

 

ダダは痛みを堪えながら立ち上がり、ガイアメモリをUSBの挿入口のようなものが描かれている腕に付着させる。

 

「あっ!おい待て!それは!」

 

「お前達で試してやろう…!」

 

『MAGMA!』

 

ガイアメモリから音声がなるとダダの体は赤い炎に包まれる。

炎が晴れるとそこにはダダではない何かに変わっていた。

体の表面は溶岩のイメージを彷彿させ、頭に付いてある炎のような装飾は鬣のように棚引いている。

マグマの力を宿した怪人「マグマ・ドーパント」だ。

マグマ・ドーパントの体はダダの復讐心の強さをマグマのような粘りっこさにように示しているかのようであった。

 

「貴様らまとめて、俺の地獄の炎で炙ってやる!はあ!」

 

「うわあ!」

 

マグマ・ドーパントの頭にある装飾が燃え上がり、燃え盛る炎の弾「火山弾」を数多撃ち出す。

 

ジョーカーはいきなりの攻撃に避けるか手足で防御する事しか出来ず、死神のようなガンダム、デスサイズヘルは自身の翼であるアクティブ・クロークを展開して防御体制に入り、ガトリングを持ったガンダム、ヘビーアームズは自身のガトリングで身を庇っている。

 

マグマ・ドーパントは砲撃の手を緩めることなく、むしろ勢いを増すばかりだ。

それは力の限界に気にしない様であり…。

 

「ちっ!熱いなぁ!」

 

「こういう時こそ俺らに任せろ。」

 

ヘビーアームズはそう言うといきなり飛び上がり、体を宙返りさせた。

 

そこから両肩に装填されてあるホーミングミサイルや両脚ランチャーポットに内臓されてあるマイクロミサイルを一斉発射させる。

 

火山弾の全てがミサイルに当たり、数々の爆炎の花を咲かせていった。

この無理矢理な芸当ながら華麗に切り抜けるヘビーアームズの手腕に流石のマグマ・ドーパントも思わず目を疑いたくなり、たじろいでしまう。

 

「なっ!?バカな!あんな方法で火山弾を…!」

 

「おっと!よそ見は禁物だぜ?」

 

「ぬっ!?ぐわあああ!」

 

マグマ・ドーパントが呆気にとられていると、背後からいきなりデスサイズヘルが現れて鎌のようなビーム兵器である「ツインビームサイズ」を横に一振りし、マグマ・ドーパントの体に火花が散った。

 

デスサイズヘルの武器の1つである電波妨害装置「ハイパージャマー」だ。

ハイパージャマーは強力な妨害電波を発生させ、カメラやレーダー等の電子機器を無効化する事が可能であり、センサーですら確認する事が出来ず姿も視認出来ない。

そのため端から見ると消えたようにしか見えないのだ。

デスサイズヘルはヘビーアームズが火山弾を撃ち落としている中、咄嗟にハイパージャマーを展開してマグマ・ドーパントに懐に回り込んだのだ。

 

「あらよっと!」

 

「ぐはあああああ!」

 

デスサイズヘルはもう二振りぐらいツインビームサイズでマグマ・ドーパントの体に斬りつけるとキックでマグマ・ドーパントを蹴り上げた。

 

「うわあああ!」

 

「ていや!」

 

「ぐあああああ!」

 

飛んでいった先には、飛び上がったジョーカーが後ろに引いた左拳を振り上げてマグマ・ドーパント殴り飛ばした。

マグマ・ドーパントは地面に叩きつけられた反動でゴロゴロと転がった。

 

「くぅ…!」

 

「メモリブレイクだ。」

 

ジョーカーは腰に巻いてるベルト「ロストドライバー」に差し込んであるジョーカーのガイアメモリを取り出すと右腰に付いてある「マキシマムスロット」に装填する。

 

『JOKER!MAXIMUM DRIVE!』

 

ベルトからジョーカーのガイアメモリの音声が発する。

 

「ライダーパンチ…!」

 

ジョーカーはそう呟くと右手に紫色のオーラエネルギーを纏う。

 

マグマ・ドーパントはそれを迎え撃つかのようにジョーカーに飛び掛る。

 

「うおおおお!」

 

「うおりゃあああ!」

 

「ぐはあああああ!」

 

ジョーカーはカウンターの要領で右拳を突き出し、先ほどとは比べられないほどの威力であるストレートパンチを決め込む。

これがジョーカーの必殺技の1つ「ライダーパンチ」だ。

 

それを食らったマグマ・ドーパントは体に火花を幾つも散らせながら吹っ飛ばされ、地面に着地した途端爆発した。

するとマグマ・ドーパントの体からガイアメモリが飛び出し、呆気なく割れてしまう。

 

「あ…ああ…がはぁ…!」

 

マグマ・ドーパントはダダの姿に戻り、仰向けになって倒れた。

 

「さて、そろそろ投降してもらうぜ。ダダ281号。だがその前に医療センターに運んでからにする。

トロワ、早速救護班を…」

 

「ぐわあああああ!?」

 

「なっ!?」

 

その時だ。ダダはいきなり胸を押さえ込み苦しく呻いた。

ジョーカーとヘデスサイズヘルはダダの体を支えるが、ダダは苦しみ続ける。

 

「がはあ!苦しい!苦しいよぉ!助けてくれぇ!がああああああ!?」

 

「お、おい!しっかりしろ!落ち着け!」

 

「ぐわああああああああ!

が…あ……………」

 

ダダは苦しみで叫び上げると、胸に手を置きながら糸が切れたマリオネットのように頭をだらんと垂らした。

 

「おい!おいしっかりしろ!おい!」

 

ジョーカーはダダの体を揺さぶったが全く反応がない。

ヘビーアームズは咄嗟にダダの手の脈に手を触れたが、全く鼓動がしない事にダダは既に事切れていた事が分かった。

 

「もう駄目だ…。既に息を引き取っている…。」

 

「なっ!メモリを使っただけで死んだっていうのか?!」

 

「いや、おそらくこいつが無闇にメモリの力を引き出そうとし過ぎて、その反動により体が耐え切れなくなったようだ。

ガイアメモリと適合しても無茶に力を使い過ぎればこうなる…。

加減を考えなかったな…。」

 

「無茶しやがって…!馬鹿野郎…!」

 

デスサイズヘルとジョーカーはなんとも言えない表情で唇を噛み締めていた。

 

1つの命が意味もなく消えた。

 

その事実に3人は悔しさがこみ上げ、これをダダに渡した本人に対する怒りが湧いてくる。

 

「一体これを作ってダダに渡したのは何処のどいつだ?」

 

「最近ジャンク屋のロウの情報によると、ガイアメモリを売り捌く商人が出回ってるらしい。

こいつも俺たちが探し続けている『ミュージアム』と関係あるな…。」

 

「そいつを見つけ次第、とっ捕まえてやる!」

 

ジョーカーが拳を掌に当てそう誓うと、デスサイズヘルやヘビーアームズもそれに深く頷いた。

 

こうやって、常識では知りえない出来事が人目の届かないところという影の中で始まり、その影の中で散っていった。

 

 

 

 

 

 

 

『そいつを見つけ次第、取っ捕まえてやる!』

 

「ん?」

 

キラは綺音と一緒に街の商店街にある31アイス

に向かう中、ふと耳に誰かの勇ましい声が聞こえた。

しかし当たりを見回しても、それを言ったような人が見当たらない。

 

「ん?どうしたの?キラ?」

 

「いや、なんか今声が…」

 

「声?どんな声なの?」

 

「なんか、『見つけ次第、とっ捕まえてやる』って…」

 

「気のせいじゃないの?ここは商店街だし色んな人の声が聞こえるのは当たり前よ。

そんなことより早く行くわよ!

楽しみに…待ってたんだから…!」

 

「う、うん…!」

 

綺音は顔を赤らめてそう言うと、照れ隠しか手を引っ張ってキラを自分の方に引き寄せる。

キラはその事に否応なく慌てて頷き、嫌がらない反応を見た綺音は心なしか嬉しそうに表情を和らげた。

 

その時である。

キラが綺音に引っ張られ、気を取られていると逆方向から走ってくる通行人とぶつかりその通行人が倒れた。

 

「うわっ!」

 

「あっ!すみません!大丈夫ですか!」

 

キラは慌ててその通行人に寄る。

 

「いえいえ大丈夫ですよ。僕こそすみません。前方不注意で走ってぶつかっちゃって…。」

 

「いえ、僕こそすみません。前見ずに歩いちゃって…。」

 

すると2人は見つめ合い、そのしょうもなく謝罪しあう事が可笑しくてついクスッと笑ってしまった。

 

「はい。」

 

「ありがとうございます!」

 

キラの差し伸べた手をその少年は朗らかな笑顔で手を伸ばし掴んだ。

 

だがその時だ。

 

2人の手と手が繋がった瞬間、身体中に電気が走ったような衝動が駆け抜ける。

 

2人の目には、広く星が瞬く宇宙が見える。

幻のように見えるはずなのに、目に映る瞬く星から心臓の鼓動ようなものを感じる…。

 

 

((なんだろう…この感覚にこの宇宙は…))

 

 

2人はそれに魅入られたかのようにその光景に目を奪われる。

 

2人はしばし、手を握ったまま呆然と立ち尽くしていた。

 

「……ラ…キラ…!ちょっとキラ!どうしたのよ!」

 

綺音の声にキラと少年はハッと意識を戻した。

それはまるで刹那の如く、一瞬であるがそれが2人の永遠のようにも感じられた。

我に戻ったキラは同じく我に戻った少年を引き上げると少年もそれに倣って立ち上がった。

 

「すみません。ありがとうございました。今度からは気をつけます。」

 

「いえ、こちらこそ気を付けます。」

 

少年はキラを見つめるとニコッと笑みを浮かべもう一度お辞儀をしその場を立ち去った。

 

「ねえ、キラ。あの人なんだったの?少し変わってる人だったけど…」

 

「僕も分からない…」

 

でも…何故かあの夢にも似たあの懐かしい感覚がした。

だけどいつも疎ましく思うあの感覚じゃない…。

 

(そうまるで…。)

 

 

 

 

 

先ほどキラとぶつかった少年ヒビノ・ミライはあの感覚の事を思い出していた。

 

今日カナダから来たばかりで日本支部への道がも分からなかったため、今日から仕事や色んな事においてお世話になるダイゴに道案内させてもらったが、道中に道に困ってるお婆さんや風船が電信柱にひっかかって泣いてる子供が放っておけなくてつい時間を取らしてもらった。

何度も謝り、それについて本人は気にしなくていいと笑った。

 

だがそれではすまないと思い、道案内の御礼と謝罪を兼ねて自分の得意料理であるカレーライスをご馳走させようと材料を買いに自分住んでいる寮の近くにある商店街に出かけに行った。

 

けれど材料買いに行くなか、急ごうとするあまり人とぶつかってしまった。

 

その時自分と年齢に差があまり無さそうなあの少年の手に触れた。

それはまるで宇宙という永遠のなかの一瞬の出来事であった。

 

彼は一体なんなのだろう…。

 

ミライは彼、キラの事が知りたくなった。

また何処かで会えるといいなとさえ思った。

 

(懐かしい感覚だった…。そう彼の手に触れた時…)

 

 

 

 

((暖かかった……。))

 

 

それがキラ・ヤマトとヒビノ・ミライの最初の

出会いであった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。