星守レイ○!担任と化した淫夢厨   作:投稿者:変態糞先生

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vs.みき&昴&遥香なので初投稿です。
淫夢要素はありません。


迫真テスト!教官と化した先生 ‘三’位一体

開始宣言と共に、三者、初期位置から飛ぶ様に駆け出す。

一歩、二歩、三歩と踏み込むたびに距離は縮まり、一番槍となったのは…

 

「でりゃぁあ!」

 

3人の中で最も運動性に優れる少女、昴だった。

身に余る程の槌を長く持ち、勢いのまま強く大きく踏み切ると、(田所の)間合い外から失礼するゾ^〜とばかりに矢の如く速く低い跳躍を見せ、其処から大上段で振り下ろす。

その姿勢は端的に言って隙だらけ。当てる事以外、つまり完全に攻撃のみに重きを置いた一撃である。

 

だがそれは『田所は初撃回避禁止、後手開始』というルールがあるからこそだろう。謂わばルールの穴に突っ込んだ対応である。

現に田所は、迫り来る殴打に対して木刀で防ごうと動いた。

中段の構えから木刀の鋒にあたる部分に左手を添え、顔面に持ってきて防御姿勢を取ると、上からくる大質量と鬩ぎ合う。

 

「オォン!?重いですね、これは重い…!」

 

全体重・全意識で以って守りを考えずに振るわれた槌の一撃なんて重いに決まってるだろ!(余裕ぶるのも)いい加減にしろ!

気合を出して踏ん張るも、田所の肌は血管が青々とするまで張り、筋肉が悲鳴を挙げ歯を食い縛る。

 

仮想空間に於いては武器もデータ化されている為、木刀であってもその強度は保障されている。にも関わらず、今にも砕けそうな程の軋みが聞こえる…軋み聞こえない?

そう錯覚する程度には強烈な衝撃が踏ん張る田所を襲い、逆に昴は得意げに言う。

 

「折角だからね、思いっきり行かせてもらったよ…使える規則(もの)はきっちり使わないと!」

 

「やりますねぇ…!そうこなくちゃーーーなっ!」

 

互いに不敵な笑みを浮かべ、拮抗する田所と昴。

そんな場面で、意識の外側から2つの光が田所の胴部に迫る。

 

だがそれは回避された。

田所は昴を一瞬押し返す事で浮いた力を地面に逃がす様に誘導すると、迫り来る二撃を片手持ちに切り換えた木刀で切り払いながら右後方へと跳び下がったのだ。

 

「くっ…」

「わわっ!?」

 

払われたのは遥香とみきだ。

成る程、昴の一撃は囮。それで隙を作り、其処に2人が叩き込む形を取ろうとしたのだろう。確かに田所は衝撃の瞬間昴にのみ気を取られており、後数瞬彼女達の双撃が早かったらどうなっていたかわかったものではない。

失敗に終わったとは言え、その一連の攻防を食らった田所は実に満足そうである。

 

「人間相手に中々容赦無い攻撃、誇らしくないの?これは認識を改める必要がある…必要じゃない?(自問自答)」

 

「流石ですね…

幾ら昴に全力で叩けと言ったとは言え、先生なら或いは凌ぎそうだなとは思いましたが、まさか本当に大丈夫だとは…これは機を失いましたね」

 

「あっ、おい待てぃ遥香。最初から自分達の攻撃に際限なんか決めていたら、当たるわけが無いんだよなぁ…

もっとぶっ倒す気でIKEA!ホラ打ってこい打ってこい!」

 

「なら遠慮なく…次は私です!2人とも、お願い!」

 

田所の叱責を受け、遥香が飛び出す。

追随する様にしてみきと昴も左右に展開すると、機をうかがう為に田所の両脇に回り込んだ。

 

そして、遥香の槍と田所の木刀が剣戟を謳う。

 

「はっ!」

「ヌッ!」

 

飛ぶ様に突き出された穂先は田所に向かうと、回避の為に横へ跳びのく。

だがそれで、それだけで終わるはずも無い。

 

其処から円軌道を描く様に槍が振るわれた。突きから胴部への払いへ素早く移行し、攻め立てる。

 

片手。

 

両手。

 

右。

 

左。

 

中段に振り、次は足元を薙ぐ。

 

機を見れば突き、時に叩きつける様にそれは振り下ろされる。

 

宛らお手本の様に安定した流れ(・・)を見せる槍を流し、受け、躱す田所。

現在まで一切攻勢に出ず、特徴的なニヤけ面を浮かべながらただのらりくらりと対処している。

 

そしてそれは横や背後、死角からやってくる攻撃に対しても変わらない。

 

「やあっ!」

 

「いいねぇ〜!」

 

みきの振るう剣は空いた片腕を手刀として、軌道を逸らす様に処理し。

 

「せいっ!!」

 

「おっぶぇ!」

 

昴の振るう槌は確実にかつ華麗に、僅かに空いた空間に避ける。

 

そう。3人の攻撃に対して田所は一切反撃をしていない。ただただ余裕綽々といった風に相手をしているのだ。

四肢をフルに活用し、飛んで跳ねては然し捌き切る。というより剣を手刀でどうこうするのは軽く人間やめてる…やめてない?

 

暫く打ち合っても全く変わらない。そんな現状に、少女達は歯噛みする。

 

「せ、攻めてる気が全くしない…」

 

ここでも先陣を切り、最初にボヤいたのは昴。

比較的小回りの効く槍や剣、その攻撃に出来る僅かな開き(・・)を埋めるようにして攻めていたのだが、解っているかの様に対処されては話にならない。そんな所さん!?だろう。

 

その意図を知ってか知らずか、右手の得物を手放さないままに頬を掻き、田所は言う。

 

「んー、そうは言っても三方向から殆どノータイムで攻撃されるのはいや〜キツイっす(素)

実際此処まで見ている限り、ちょっと上手いんじゃないこんな戦い方〜?」

 

「ですが…まだまだ、届く気がしませんね」

 

「それでもだ。お前達はいい連携してるって、それ一番思ってるから。

間隙の無い波状攻撃に加え、俺が移動しても素早く包囲陣形をとれる…動きがまるで素人のそれじゃない、はっきりわかんだね」

 

果たして嫌みなのか、此処に来てべた褒めする田所。

然しながらその言に一切の偽りは無い。

 

現に少女達は小言をはきながらもその隊形は崩しておらず、田所を中心とした三角陣形を綺麗に保っている。

田所が離脱しようとすれば近くの誰かが追いつき応戦。その間に別の2人が塞ぐ様に取り囲む。そうしてできる領域は…

 

「…正に“何たらの魔の手からは絶対に逃れられない”を表した様な戦術だぁ…(直喩)

なんか(特訓)やってたの?(陣形)ガッチリしてるけど…こんなの一体何時出来る様になったんですかね…?」

 

「あの奪還授業の後、3人で考えてみたんです!対大型用フォーメーション、すごくいいーーーと、思ったんですけどね…」

 

「効果に難あり、かなぁ…参ったね」

 

「そもそも体格差が810倍ある様なヤツ相手の戦い方と対人戦に於けるそれは別モンだって、はっきりわかんだね。ただ普通に多対一で通用するし、(別に不安に思う事は)無いです。

さて攻め手が尽きたなら、じゃけん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次のステップ行きましょうね〜」

 

 

 

(GO)ッ。

 

足元を抉り強く踏み出す。

 

包囲する正三角の中央から一気に外れ、ただ一直線に駆ける。

 

獣の様に1つ地を蹴るだけで、田所はホモの如く唐突にその人物の懐へ深く入り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーえっ」

 

 

 

その餌食になったのは、みき。

 

 

 

「YO!」

 

 

 

何気無い一振り。上から下へ。

 

袈裟ですね、と言わんばかりの…或いはそんな事すらも考えてない、無心とも思わせる程煩雑な一撃。

 

だがそれが、効く。

それだけで十分なのだ。

 

加速した一振りは構えた得物を叩きつけんと苛烈に迫る。思考が0にまで落とされ、ただ棒立ちの様に芯の無い得物がーーー

 

 

 

「ッッッッ!!?」

 

 

 

ーーー落とされる事は無かった。

 

田所の強襲に際し最後の最後で攻撃に気付けたみきは、柄を握る両の手に力を込め、どうにかして持ち堪えて見せたのだ。一瞬大きく輝いた不死鳥の装飾が、みきが如何に力を放出したかを物語る。

完全に落とす気でかかった田所も、この咄嗟の反応には思わず舌を巻いた。

 

「ファッ!?よく耐えましたね…凄いですね、これは凄い…だけど」

 

そう。得物を落とさなかったまでは良い。

然しだからと言って彼女が助かった訳ではないのだ。

 

事実みきがしたのは力を込めただけであり、前提としてそんなもので防ぎきられるような田所の攻撃ではない。

 

みきの剣は痛打の衝撃からか構えた位置から大きく外れ、

 

 

 

「…ちょっと刃当たんよ?」

 

 

 

気づいた時には、田所の返す刀が首筋にピタリと添えられていた。

 

「あっ…」

 

「さて、普通なら一本どころか(タマ)取ったりなんですが…降参するのka〜?

そこの2人も見てないでなんとか言えや?」

 

さて、此処で状況を一般化して確認する。

 

完全包囲した筈の存在がいつの間にかあっさりと突破していて、終には1人が捕らえられている。

 

…こうして見れば大変なガバである。或いはそれが人間アピールだとしても大変稚拙であり、は〜つっかえ、辞めたらこの仕事、と野次が飛んでも仕方ない程に。

 

「今、一体何が起こったの…?」

 

「分からない…だけど、これが、これが先生の実力か…!」

 

「おっ、そうだな(適当)

…その目を見る限り諦めはしないんですかね?」

 

当然、と応えようとした口は紡がれる。

 

何故ならみきの首筋に当てられた木刀が、ほんのちょっぴりと押され完全に密着しているため。

怖いやろ、怖いやろ…これが真剣や星守の武器であれば既に落ちてたな(確信) 首が。そんな状況で2人が迂闊に動ける訳ないだろ、いい加減にしろ!

 

(困ったね…遥香、どうする?)

 

(ルールに則るなら私達はまだ負けてない。降参を受け入れる気は…)

 

(まさか。負けてないなら、“敗北(まけ)”じゃないからね)

 

(だと思った)

 

そんな中、昴と遥香は近寄り作戦会議とばかりに小声で話し合う。視線と構えは変わらずみきと田所を向いている。

 

(…いっそ、思いっきり突っ込むとか?実戦形式とはいえ、テストなんだし先生だってこれ以上みきになんもしないでしょ)

 

(ただでさえ3人でかかっても凌ぎきったのよ?然も、あの時より大分手加減しているし…無策ではみきも私達もまたやられて…それこそ終わりだと思うわ)

 

(ハハ…アレで手加減、ね…)

 

だが話を続けるも打開策は見出せそうにない。普通高校生はこんな状況にならないからね、しょうがないね…

 

一方たどころ。

 

「…考えてる考えてる、キテるぜ。さぁ見せてみろ、俺を楽しませるんだろう?」

 

やはりヤバイ(戦慄)

此方も呟く様な小声で洩らす事には、まるで戦闘狂(くるい)か何か?その様な雰囲気を漂わせる。

 

「どうして来るかな俺にな〜?ん〜、破り甲斐があるぜぇ〜?みき、お前どう?」

 

「えっ?な、何がですか?」

 

1人満悦顔でニヤける田所は、自らが行動を封じているみきに話しかける。

現状をぼんやりと眺めていた彼女は思わぬ質問にはっとすると、こ↑こ↓で我に帰った。

 

「今昴や遥香はああして打開策を考えてる。つまりそれは、お前が捕らえられてるこの状況でも勝ちに来るつもりなんだって、はっきりわかんだね。…まぁ、だけどあの分じゃ煮詰まってるんですかね?

で、だ。たかだか喉元に刃を突き付けられた(・・・・・・・・・・・・・・・・)ぐらいで全部諦めちまうのは勿体無い…勿体無くない?彼奴らをさ、お前も見習わんといかんのちゃうのか?」

 

「いやこの状況でそれを言うんですか!?」

 

この野郎醤油瓶…!(頭の中)ぱらぱらり^〜とかお前精神状態おかしいよ…普通こんなんタマ壊れちゃ^〜うんですがそれは…

あっ、そっかぁ…とすっとぼけたように顎を撫でる田所は、苦笑いを浮かべると諭すように言う。

 

「んにゃっぴ…さっき聞こえた昴の言葉を借りるなら、死んでないなら“死亡(しん)”でない…そんな所さん!?」

 

「は、はぁ…死んでないなら、死亡でない…」

 

「そうだよ(便乗)」

 

(アドバイスしたいのか便乗したいのか)どっちだよ。

語気の強め所さん!?に軽く引いたみきは然し言われた言葉を反芻し、噛みしめるようにして顔を下げた。

そうした項垂れではない視線の下りを確認した田所は1つほっと息を吐くと、ねっとりとした声で「いいka〜?」と呼びかける。

 

 

次に放たれた言葉は、何処となく重いものだった。

 

 

 

 

 

「最期の一瞬まで思考と意志は動かし続けろ。手が動くなら首を搔け。足が動くなら駆け抜けろ。心の底から信じ抜け、それが生きてる証拠だよ!」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

その言葉は、真っ直ぐに私を見て放たれた言葉は、多分私への励ましなんだろう。

 

「まま、そう焦んないでよ。どうしても無理ならさぁ…もう闘わなくていいから。さっさと投降してさ、終わりでいいんじゃない?」

 

なんのフォローかは分からないけど、そう吐き捨てると先生はまた視線を昴ちゃん達に戻す。

これは分かりやすい。いや、さっきの言葉から、先生が何を期待してるのかが分からない訳ではない。

 

死んでないなら死亡じゃない。

最後の最後まで諦めない事、それが生きるって事なんだって。

 

首元に据わる木刀を見る。

木刀なんて、偶に体育が剣道の授業だった時、剣道場にひっそりと置かれたものぐらいしか見てなかったけど…今こうして私を捉えてるそれは、とても木の刀とは思えない威圧感を放っている。

 

さっき話している最中も、と言うよりは最初に突き付けられた時からそうだったがこの木刀は一切ぶれていない。私自身剣を武器にしているから分かる話だけど、武器を構えるとどうしても僅かにぶれてしまうのに。

これは昴ちゃんや遥香ちゃんだけでなく、剣道部で活躍するゆり先輩や長く星守として戦っている明日葉先輩にも共通してる。最も、先輩方のそれは私からすれば分からないくらい小さなものなんだけど…

 

そんな常識を笑うかのように全く動かずピタリと静止し、不気味さをも感じる木刀。一体どれだけ特訓すれば、あんなに脱力したままこんな高度な事ができるんだろう。改めて横に立つ先生の凄さを感じる。

渋谷奪還の時もそうだったけど、本当に田所先生は強い。強い。強い。この強さが《英雄》の証なら、どうして最初から一緒に戦えなかったのかと思わざるを得ない。

 

…だけど今は、こうしてその凄い人から教えを受けられる。私達の“地球を取り戻したい”という想い、そして闘いに協力してくれている。

 

何より今、ここで、私に期待をかけてくれている。昴ちゃんや遥香ちゃんが2人で勝ちにいこうとする中で、私にも出来る事があると教えてくれた。

 

やろう。

 

何が出来るかは分からない。

力が足らずに負けちゃうかもしれない。

 

でもそれでも、やっぱり諦めたくない。

 

諦めるのは、あの時だけで十分だって、はっきり分かる。

 

今はただ、全力でーーー

 

 

 

 

 

 

 

闘ってみせる!!

 

 

私の中で何かが、“流れ”が変わった気がした。

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

(っ、遥香、アレ…)

 

中々解決策を見いだせず硬直した状況に、1つの変化が生じる。

 

(?みき…?笑ってるの…?)

 

(どういう事…?)

 

田所により一切の行動を封じられ、戦意喪失とばかりにへたり込んでいたみきが、ゆっくりと顔を上げる。

 

その顔に浮かんでいたのは、笑みだった。

 

遂にトチ狂ったかと言われればそれは違うと断定できる。

ギラギラと輝いた双眸に加え、溢れんばかりに滲み出る闘志。凡そ首に木刀(カタナ)を当てられた者のそれではない表情には、何処から来たのかまるでわからない自信が見える見える。眩いぜ。

 

そんなみきの、今迄見たこともない友達の顔を見て直感する。

 

(何か(・・)あるみたいね。昴…)

 

アレは確信の目付きだと。

未だ昴や遥香には見えてない光が見えた証明だと。

 

(マジ?大丈夫なの?)

 

(どうかしらね。だけど、やるしかないみたいよ)

 

(…そっか。なら、さっさと覚悟を決めた方が良さそうだね)

 

小声で続いていた作戦会議は終わり、2人は武器を握り直す。ヌッ、と気付いた田所も欠伸を噛み殺すとバァン!バァン!と首を鳴らした。首が大破してないか?

 

「もういいっすかぁ?」

 

「うん。腹は決めたよ…やるしかない、ってね」

 

「いいねぇ…じゃあ最後に(面目を)立たせてやるか。いつでも514」

 

「最後、ですか…ええ。これで最後です」

 

強気の発言に口角を上げ、ええやん。とだけ吐き出すと、それを皮切りとして再び静寂が場を支配する。

 

 

目線は相対する者へ。

 

闘志もまた然りて膨れ上がり、

 

限界を迎えた風船のように張り詰めた空気が、

 

屋上で肌を焼くように全身をピリピリと刺激する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じゃりっ

 

 

 

 

 

誰かがそんな雑音を投じた瞬間、昴と遥香は同時に飛び出す。

高まった集中は星衣の力を放出し、さらに前へと押し出した。片や猛る雷光、片や呻る水烈のオーラを纏い、唯真っ直ぐに。

 

速度の差で一瞬早く着く昴は横薙ぎの構えをとり、遥香の持ち方は突きに至るものだ。

この動きは敵を逃さない。振られた槌を避ければ槍の突きが飛んでくる。だからといって粉砕を幻視させる鋼を無視は出来ない。必然の帰結か偶然の産物かは兎も角、星守として闘う2人が魅せたのは、現状出し得る至高の連撃。

 

目的は1つ。

打倒、田所浩仁(先生)

 

それのみを願った一撃は先程までと違う、敵を討つ意志に満ち溢れ。

田所は全力を以って掛かる2人に最大の敬意を評しながらゆっくりとーーー

 

 

 

 

 

 

「ここだっ!!」

 

 

 

 

刹那、赤の輝線が視界に入る。

 

輝線は広がり、彼の景色を染め上げる。

 

「ファッ!?」

 

思わぬ奇襲。

 

得物を振る。

 

ガツン。何かが触れる。

振り切った木刀は触れたそれを破壊した。

 

手応えにより、確かに命中こそしたのは判別できる。

 

咄嗟の一振り。砕き切ったのは他でもないーーー

 

 

 

「星衣の、装飾…!?」

 

赤色の光が収まると、見えたのはチカチカと光を反射する見慣れない物体。あんなものに心当たりなど、1つしかない。間違いなくあれは星衣のパーツだった。

 

粉々となった赤い欠けらが光に還る。

その先に、籠手の様に展開された星衣の左腕部分が其処だけ無惨に無くなりながらも、紙一重で田所から逃れたみきがいた。

 

彼女は探っていたのだ。たった一瞬における田所の間合いと自分の移動可能距離を。

ずっと首を捉えていた一振りが僅かに遠退いた、その一瞬に全てをかけて。

 

自身が剣を使うが故に感覚的に悟れたのだろう。どの目線、どの立ち方、どの握り方、意識の向け方。そこから自分に振られる一太刀は如何に至るか。半ば奇跡とも言える一致を見たみきは必死に脱してみせたのだ。

 

 

それは即ち、足掻いたという事。

生きる証明として、諦めない心を見せた事。

 

 

してやられた。心にきますよ!そう嗤う田所の正面では不死鳥の翼が赤く大きく輝く。バックステップの様に下がったのをバネとして今度は前へ飛翔すると、いつの間にか消えていた剣を炎の中から再び形成し、2人に遅れて田所へ迫る。

 

どうやら先程の閃光(フラーッシュ!)は、剣自体に星守の力を注いで爆破させたものか。剣がなくなっていた事、強烈な発光、そしてみきの急加速…一切の辻褄があう。落とし所さん!?はこ↑こ↓のようだ。

 

 

だが今、この瞬間。

田所はそれに気づけない。そんな間など無い。

 

 

不意を突かれ、赤の煌めきを目で追えば。

 

 

いつの間にか目と鼻の先に迫った閃雷と豪流が、

 

 

「あっ…(察し)」

 

 

そのまま田所に殺到した。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

「…勝った、の…?」

 

星衣から放出された3色の力、その衝突により爆発が起き、仮想訓練空間に土煙が広がっているのをモニター越しに見た誰かから、そんな声があがる。

 

彼女達の明確な敵であるイロウスを討つのと同じくらい真剣に闘う同輩らを、または至った結末の凄さに呆然としていた大多数の少女達は、少しずつ騒めきを大きくした。

 

「勝った、んだと思うけど…」

 

「凄かったな、あんな…仮にも《ヒト》相手に…」

 

「せ、先生は無事なんでしょうか…?」

 

「仮想訓練だから大丈夫…大丈夫だよね?」

 

あがる声はやはり、先生である田所を相手に文字通り全力で闘った3人への感想や田所本人に対する心配が主なものだ。

 

無理もない。仮にも高校生の星守3人による全力全開の攻撃を受けたのだ。今回厳密には違うが、スキルを使ったかの如くに放たれた力はイロウスを撃滅する必殺技に等しいと言っていい。

 

それが決まった。ならば結果は1つ。

星守側の勝利とーーー

 

 

 

 

 

ザシュザシュッ

 

 

 

モニターから異音が鳴る。

 

恐る恐る見れば、それは剣と槍。

 

銀光瞬く刃が空を泳いで偽りの土を抉り、突き立った。

 

 

【ぬわああああああああああああん痛かったもおおおおおおおおおおおおおおおおおおん】

 

 

何人かには聞き慣れた、クッソ汚いヴォイスが響き渡る。

 

次の瞬間に視界を覆う光を纏った煙が渦を巻き、直ぐに霧散した。

 

遮るものを失ったその景色にいたのは、爆心地から少し離れた所に立って一太刀を振り終えた田所と、罅の入った槌を持つ昴、そしてすっかり手空きとなってしまったみきと遥香だった。

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

「いやキツかったっスねこれは〜

こんなん続いたら止めたくなりますよ〜なんかテストォ〜」

 

右手の木刀を左手に持ち替え、空いた手を左上腕から乳首へとサインカーブを描きながら往復させる。蜂に刺されたわけでもないんですがそれは…

 

まるで注意喚起でもしそうな動きをするなか、ポカンとしていた3人もゆっくりと田所の方を向いた。未だ得物を握っていた昴は特段驚愕を隠さなかった。

 

「…うっ、そ…」

 

「あ、どもこんちゃーす。3人とも中々やるじゃない!今のは効きますねぇ!」

 

「どうして…アタシのはしっかり当たったはずじゃあ…!?」

 

「そうですねぇ…確かに昴の振り抜きは食らっちゃいましたね…痛かったですね、あれは痛かった…」

 

「ならどうして…?」

 

「え、そんなの簡単でしょ。

 

敢えて直撃させて吹っ飛び、そん時に回転を使ってみきと遥香の武器を叩き落とした…

 

だけです。」

 

「…は?」

 

「あ、語弊ありますあります。

 

これで上から…ドバーッとやってぇ…」

 

昴だけでなくみきや遥香も聞き入る中、緩みきった表情で木刀を上下させる田所。

…何時ぞやのみきばりにオノマトペばかりの説明だったが、要はこういう事らしい。

 

インパクトの一瞬、被せる様にして木刀で思い切り槌の頭部を殴る。力の流れを制し、然し与えられた力の大きさを使って意図的に真上に吹っ飛ばされ…

後は横目で捉えた迫る2つの鋒を掬って飛ばし、投了。閉廷。

 

「だけです。質問(言いたい事)あるならはっきり言えよ?」

 

特段不思議なこともないと語る田所の答えに少女達は互いに目を合わせると、やれやれ改めて納得したとばかりに肩をおろしーーー

 

 

『参りました』

 

ただ、そう言わざるを得なかった。

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

「ぬわああああああああああああああああああん疲れたもおおおおおおおおおおおおおおおん」

 

若草の映える光景に再び横になるクッソ汚い存在がいつもの声をあげる。

先ほどまでと違ってその身体には汗が滲み、脂ぎった顔がより一層テカテカしていた。

タマのように浮かぶ汗の雫を丁寧丁寧丁寧に指でなぞると、更にチュン!ピチュン!ピチュ!とクッソ汚い音を立てながら舐めとる。汚い。

 

「こうしてみると汗とかリアルっすね…八雲先生からは死ぬとか以外は大体再現されてるって言われてるけど、やっぱ凝ってますねぇ^〜」

 

その真意は成る程、改めて仮想空間に於ける生命体の再現について感じ取るものらしい。汚い絵面にも意味があったのだ。汚いけど。

 

「しっかし…最初から興奮させてくれたねぇ、俺の事ねぇ!彼奴らで良かったって、はっきりわかんだね。…折角作ったアレいる?(いら)なくない?なくなくない?」

 

うるせぇ!と言いたい程には口のよく回る人間だ。静かにせい!(レ)

 

さて、そんな事をして身体を休めている内に、またも空間に幾つかの気配が降り立った。

 

「あらいらっしゃい!4人はどういう集まりなんだっけ?」

 

やって来たのは4人。

制服姿から、そのうちの3人が中学生で後の1人が高校生だとわかる。

 

高校生の方はあの日、渋谷の件からか田所と面識のある少女だった。

腰の辺りまである長いツインテールを洗濯バサミ形の髪留めでとめた彼女、粒咲あんこは高校3年であるが、こ↑こ↓で投入してきたかと意外性感じるんでしたよね?

 

一方で田所が中学生組とこうして実戦の場で会うのは初めてだ。

カールを巻いた金髪がお嬢様の様な優雅さを生み出している少女。制服付属の黄色いリボンから、彼女が中学2年だとわかる。

次いで眠たげに瞼を下げている少女。気怠げな雰囲気は本人の風貌も相成って、何処か古臭さや懐かしさをも見て取れる。

最後に犬を模した様なヘアゴムでツーサイドアップに纏めた元気そうな少女。先の少女と合わせ、リボンの赤色から中学1年である事は自明だ。

 

「集まり、ってかまぁ…そーゆう事よ。大体わかるでしょ?」

 

「ですがワタクシ達がこうして立っている以上、精一杯立ち向かわせて頂くだけですわ。“田所浩仁”先生」

 

あんこと金髪の少女が言う。

改めて見れば高校3年生がいるとはいえ、中1が2人と中2が1人。先の戦闘を見るあたり、このメンバーではやや心許ないといった印象を受ける。

 

しかしだからどうしたとばかりに凛とした表情をする少女達に、田所もまた善しと顔を引き締める。

 

「みんなしてやる気じゃのう…まぁ、わしとてただでやられるつもりはない。めんどくさいが、精々頑張るとするか」

 

「そうだよ桜ちゃん!ひなた達みーんなで、勝つんだから!先生、ひなたやるからねー!!」

 

一方此方は中1の2人組。落ち着いた少女と溌剌とした少女。ちぐはぐな様で実は馬のあう彼女達もそれぞれに田所を見据え、次の闘いへの刻が近づくのを直感させる。

 

「全員気合いは十分でいいゾ^〜ならさっさと行きますよぉ〜いいですかぁ?」

 

「ええ。始めましょうか、先生」

 

「おぉぅけぇ…引き続き担任、田所浩仁」

 

「…高校3年、粒咲あんこよ」

「中学2年、千導院楓ですわ」

「中学1年の藤宮桜じゃ」

「桜ちゃんと同じ1年、南ひなただよ!」

 

高まる緊張。そこに油断はない。

 

あの闘いを見て、互いに油断など出来ようものか。

 

少女達が神樹の力を身に纏い、其々の星衣が展開されるとーーー

 

 

 

「行くわ!」「行きますわよ!」

「行くぞ」「行っくよー!!」

 

「オッスお願いしまーす!」

 

 

闘いの幕が、また上がる。

 




ちょお待って10177字ええん!?
嫌な予感はしたが長くなりましたね、これは長い…「もっと頂戴…!」って言うならもっと長いのも考えてやるよ(考えるとは言ってない)

3000UA!?うせやろ!?閲覧者さんありがとー!!フラーッシュ!!それなのに4週間も執筆サボりやがってよ〜

(書きだめも、次回の投稿予定も決まって)ないです。
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