電子生命体に馴染むまで   作:アヤカシ

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第11話 闘争?

 俺に新たなお仕事が追加されました!

 その内容は……弱者を食い物にする悪質なハッカーを懲らしめるというお仕事。

 件の電脳探偵君もしているお仕事だが、数が多いらしく一人では時間が掛かりすぎるので急遽俺の仕事に追加された。

 という訳でここに来て初めての外出……と言いたいところだが結局の所俺には生身の身体が存在しないので外といってもネット内のことであり、目的地は基本殺風景でシンプルな場所だけなので外出だやっほぅ!と喜べるものではない。

 その上事前準備の段階から暗雲が立ちこめており、今回は仕事内容上デジモンの力が不可欠なので三体のデジモンを連れていくのだが、これがまた揉めること揉めること。

 先日行われた護衛役決定戦の上位三名が順当なのだろうが、そこに待ったを掛けたのがその三名以外の全員なのだから話を聞かない訳にはいかなかった。

 その結果話し合い(一部武力行使)によって、どんな相手が来ても対応できる様にデータ種・ウィルス種・ワクチン種からそれぞれ一体ずつ選出して連れていくことに決まり、戦う事が好きではないが故に辞退していた者達による厳正な審査の結果、乗り物役兼データ種枠でグランドロコモン・単純火力特化兼ウィルス種枠タイタモン・対人戦闘(手加減可)役兼ワクチン種枠レイブモンの三名が選ばれた。

 決まった事に文句をいう者もいたが、結果に納得した者の理詰めによる説得で何とか抑えることに成功。

 こうして漸く初外出と相成る訳なのだが……周りの此方を見る目が痛いこと極まりない。

 

「惰弱、虚弱、脆弱」

 

「仕方なかろう……一層は基本大きな力を持たぬ者の溜まり場ぞ」

 

「お願いだからもう少し小さな声で話してくれないかな!?

 凄い睨まれてるって分かってる?!」

 

「注目、仕事、効率」

 

「いやいや、強い相手に戦いを挑むのってそんなに一般的じゃないからね?

 そんなバトルジャンキー早々居ないからね?」

 

「何を其程慌てておるのか……目撃例が有ったのは二層目であろう?

 此処で多少目立とうが問題無いと思うのだが……」

 

「もうヤダこの子達ぃ……ロコモン一刻も早くこの階層抜けて!

 これ以上この場所に居たら俺の胃に穴が空く!」

 

 グランドロコモンは嬉嬉として速度を上げ、力量を計れずに突進してくる野良デジモンを数匹はね飛ばしながら二層に向けて驀進する。

 此処はクーロン一層……全五階層で構成されているダンジョンの入り口で、幼年期のデジモンやハッカー組織の下っ端達が(たむろ)する地域であり、間違ってもLvMAXの究極体がいるべき場所ではないのは確かだった。

 

 二層目、此処は一層目よりも空気が澱んでいる様に感じる。

 一層で感じた様な視線もあるが、それ以上に品定めをされている様な気がして先程よりも不快感は強かった。

 タイタモンやレイヴモンも先程よりも苛立っている様に見える……グランドロコモンは走るのが楽しすぎて全く気にしていない様だが。

 

「不快、殲滅、許可」

 

「お主が動くと流石に問題あろう……御神楽殿も標的以外を極力傷つけるべからずと申しておった」

 

「我慢、面倒、不快」

 

「拙者としても気分が良いものではない。

 手早く標的を見つけ、狩るのが最適解であろうな」

 

「意見が一致した様で何よりだよ……でだ、一応情報としてあるのは居るであろう場所と時間帯、大凡(おおよそ)の容姿。

 これだけ知っていれば見つけるのはそう難しくはないんだけど、万が一逃げられると 面倒なことになりかねないので、見つけ次第退路を断って事に当たる事になる。

 そこで迅速に行動するためにある程度作戦を決めておこうと思う」

 

「異議、皆無、了承」

 

「拙者も同意見……してその作戦とやらは?」

 

「退路を塞ぐのはグランドロコモン、これは移動速度や身体の大きさから考えて適役だと思う。

 次にレイヴモンは相手の往生際が悪かった場合に脅してほしい。

 タイタモンだとやりすぎる可能性が高いからね……それでタイタモンの仕事だけど、相手のデジモンを蹴散らしてくれるだけに集中して欲しい。

 簡単に言えばこんな感じだけど、相手が想像だにしない行動をする可能性も無いとは言いきれないから、その時は臨機応変に動くように。

 戦闘中の指示については必要に応じて出すけど、負けさえしなければ問題無いから基本的に戦いたい様に戦ってほしい。

 ちなみに俺の仕事は相手が戦う術を失ってから行動監視用のマーカーをつけることだから宜しくね」

 

「自由、戦闘、期待」

 

「試したいことが幾つかあったが故助かり申す」

 

 俺の言葉を聞き二名がニヤリと嗤うのを見て、前言撤回と声をあげようか迷ったが彼らを信じて任せることを決める。

 ちなみに残る一体も作戦は聞いていたので大丈夫だと思うが、今は車輪にバックスピンを掛けながら放ち、戻って来たのをキャッチする遊びに嵌っている……危ないので是非止めて欲しい。

 

 しばらく道なりに探索を続けていると少し開けているところに出ることが出来た。

 其処には三人のハッカーと思われるアバターが屯しており、何やら話している様だ。

 よく観察するとグループの内の一人が御神楽さんの言っていた特徴と一致する……聞こえてくる話の内容からどうやら他の者達も似た様な事をやっている者ばかりらしい。

 連れているデジモンは成長期が殆どで、見た感じ其程友情の高さも見受けられないため、本来であれば三人を分断して各個撃破が理想ではあるものの、逃げて潜られるのも厄介なため此処で纏めて相手をすることをデジモン達に通達する。

 相手は成長期のデジモンが6体に成熟期が2体の計8体、単純なステータスでは此方が圧倒的に勝っているだろうが、状態異常が入れば万が一という可能性があるので気は抜けない。

 一先ず作戦通りに退路を断つべく、グランドロコモンを回り道させておく。

 巨体で隠密行動に向く身体ではないのですぐに見つかってしまうが、逃げ出す前に通路を塞ぐ事に成功したので、慌てている標的達に話し掛ける。

 

「貴方達には二つの選択肢があります。

 一つは無抵抗で今後デジモンを使った悪事を行わない事を此処に誓うこと。

 もう一つは退治されてから強制的に従わせられること。

 どちらを選びますか?」

 

「いきなり出てきて何ほざいてんだテメェ?

 ちょっと強そうなデジモン連れてっからって調子乗ってんじゃねぇぞ!」

 

「「そうだそうだ!兄貴の言う通りだ!」」

 

「兄弟だったのか……まぁいいけど、それは後者を選ぶという事で良いんですね?」

 

「此処らじゃ負け無しの俺にバトル挑んでくるなんて馬鹿な奴だ。

 お前等!此奴を叩きのめして現実ってものを教えてやるぞ!」

 

「「了解っす兄貴!」」

 

 こうして8対3の同時戦闘というゲームでは設定上あり得なかった戦いが始まった。

 

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