電子生命体に馴染むまで   作:アヤカシ

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プレイ当初まさかプラチナヌメモンとプリンスマメモンにあれ程お世話になるとは思っていなかった


第1話 再会?

 そこはまさに電子空間と言って良い見た目だった。

 唐突にパソコンのような物の画面に吸い込まれた俺ではあるが、痛みも衝撃も無かったので少しばかり安堵し緊張が解れる。

 埃も出ないであろう電子空間で服を手で払う行為に意味はないのだろうが、何となく手が動く。

 辺りを見回すとグリット線に透明の平面をくっつけただけの様にも見える床と壁面。

 前方には七つの扉、後方には俺を吸い込んだ端末が光を失っている……恐らく俺はあそこから此処へ吐き出されたのだろう。

 端末に触れても電源すら入らないことから、此処で何かをしなければ彼処へ戻ることは出来ないと予想はつく。

 

「さてと……怪しいのは目の前にある扉だけど、どうしたものかね」

 

 PとBが刻印された扉が一つずつに、F1からF5の扉が一つずつで計七つ。

 それぞれ何を示しているのかは分からないが、左からP・F1~5・Bの順で並んでいるところを見ると最初に開けるべき扉はPなのだろう。

 ごく普通のドア……中から音が聞こえることもなく、覗き窓もないので中の様子は全く分からない。

 不安はある……しかし開けなければ事態は好転しない。

 

 覚悟を決めて扉を開けると、そこは学校の体育館のような木造の一室。

 別段変わったものが置かれてる様には見えないが、代わりに圧倒的存在感を醸し出す八体の異形が其処には佇んでいた。

 よく見ると隅っこの方にまるでテンプレートの様な王子様ファッションに身を包んだ金色の球体生物が三体程居る様だが……とりあえずは此方を凝視している眼前の八体から目を離すのは愚策以外の何物でもない。

 いきなり襲いかかってくる様子は無い……というか襲いかかられたら一瞬で挽肉にされそうなのが数体居るし、銃を持っている奴もいるから警戒が意味を成すかは微妙なところ。

 辛うじて魔法使いチックな老人風の一体と右腕と背中の翼以外は人っぽい女性風の一体、そして天使と悪魔半々で混ぜちゃいました的な風貌してる一体は見た目あまり怖くない。

 ジッと見られているのも心臓に悪いので、一先ず話が通じそうな一番人っぽい姿をしている女性風の異形へと話しかけようと口を開くと、俺が声を発する前に老人魔法使い風の異形が喋りだした。

 

「うむ、やはり此奴からは彼奴の残滓……いや彼奴から感じられた残滓が此奴のものなのだろう。

 興味深い、実に興味深い現象じゃな」

 

「で結論はどうなんだバルバ、此奴は姿形こそ違うがあの男という事なのか?」

 

「そうであると言えるが、そうでないとも言える。

 此奴が彼奴に当時から繋がっていたことに違いはないが、如何せん欠けてる部分が多すぎる……まぁ推測になるが、彼奴の思考に干渉し影響を与え続けていたのが此奴じゃろう」

 

「イマイチ分からんが、まあいい……貴様の名前は?」

 

「え、あぁ俺の名前ね、俺の名前は長井仁成。

 何かよく分からない内に此処に来ちゃったんだけど、此処って何なの?」

 

「長井……そういう名前だったのか。

 此処は簡単に言えば控え室なんだが、俺達を呼び出せる奴は既にこの世界には居なくてな……俺達を呼び出せそうな奴を引き寄せたら貴様が来たという訳だ。

 何か心辺りはないか?」

 

 外見に比べて思いの外理性的な異形、例え魔王だと自己紹介されても驚かない見た目をしている彼の言っている事に若干の心辺りがない訳でもない。

 御神楽の言っていた様に此処はデジモンが実在する世界だとすれば、俺には一つだけこの世界に接点がある。

 それは俺が一ヶ月くらい前までプレイしていたゲーム……デジモンストーリーサイバースルゥースに他ならない。

 科学技術の進歩した近未来的な世界が舞台のRPG、一人の青年が電脳世界と現実世界を行き来し、仲間達と共に数々の事件を解決していく作品だ。

 一応俺はストーリーとミッションを全てクリアし、全てのデジモンを図鑑に登録した上で、何となく究極体以上のデジモン全てをレベル最大まで上げたりしていたのだが、それも流石に飽きてきて、最後に図鑑の説明に魔王デジモンと書かれた七体と資金稼ぎ用のデジモン三体に強制エンカウントの機能を使うためのフリー種族究極体であるディアボロモン一体でラスボスもう一回倒して別のゲームをやり始めた。

 魔王デジモン……俺はもう一度彼らの姿を見ていくと、質感などが現実的すぎて一目見た時は分からなかったが、彼らの特徴は確かに俺が最後のパーティとして連れていたデジモン達の様だ。

 

「心辺りが無い訳じゃ無いけど、一つ確認させてくれないか?」

 

「いいだろう、俺に答えられることなら答えよう」

 

「君はボルトモンから退化と進化を繰り返して今のデーモンになって、進化後にファームで素早さに特化した育成を施されたのかな?」

 

「………あぁその通りだ」

 

「そっか、やっぱり此処はサイバースルゥースの世界か……じゃあさっき会った御神楽ってあのマスティモン持ってるのに何故かもんざえモンを究極のデジモンにしようとしたあの人かぁ……ってあれ、何か距離が縮まってきてない?」

 

 なんかジリジリと他の魔王デジモン達が距離を詰めてきている件について。

 人型のタイプはまだ良いとしても(銃を持ってるベルゼブモンとずっとニコニコしてるルーチェモンはそこそこ怖いけど)、2tトラック位はある大きさの巨大なワニそのものなリヴァイアモンと顔は可愛いんだけど高さ3m幅2m位はあるベルフェモンSM(スリープモード)辺りは近寄ってくるだけで凄い威圧感が……まぁこれでも図鑑の設定に載っているオリジナルよりは何十倍もマシなんだろうから凄い。

 なんて後ずさりしながら現実逃避しているが、どう考えても生命の危機。

 害意は感じられないけど、リヴァイアモン辺りに小突かれただけで俺は死ぬ自信がある。 

 

ふとこの場には魔王デジモン以外にも四体のデジモンが居ることを思い出す。

 端っこに集まっている三体のプリンスマメモン、そして何時の間にか移動していたディアボロモンだ。

 彼らも此方を見てはいるものの魔王デジモンを差し置いて俺に接触することは出来ないらしく、出荷されていく子牛を見る様な目で事態を見守っている。

 怖いのは分かる、しかし出来れば助けに来てくれないだろうか!?という念をアイコンタクトを通して送るが、一考することすらなく速攻で激しく首を横に振った。

 ステータスだけを見れば基本的に大差はないのだが、数で負けて尚かつベルフェモンと唯一の女性型魔王デジモンであるリリスモンは防御力無視の必殺技を持っているし、リヴァイアモンは15%で即死させる必殺技を持っている。

 逆らうにはリスキーすぎる相手なのは少し考えれば馬鹿でも分かるだろう。

 そんなことをしている内に絶望はすぐ目の前まで来ていた……背中には壁、俺を囲む様に半径5mの距離まで来ている魔王達。

 あぁ詰んだな、そう思って覚悟を決めて目を閉じた……しかしいつまで経っても終わりは訪れない。

 恐る恐る目を開けると其処には戸惑っている魔王達が居た……どゆこと?

 




ウォーグレイモンには攻略で大分お世話になりましたが、何となく今作には出さない
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