電子生命体に馴染むまで   作:アヤカシ

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第2話 執着?

 近寄ろうとしては二の足を踏むを繰り返す魔王デジモン達。

一向に襲いかかってくる様子のない彼らへ恐る恐る尋ねてみることに。

 

「あの……襲いかかってくるんじゃないの?」

 

 その言葉を聞いた彼らはそれぞれが身体で感情を表す。

 リリスモンは膝をつき、デーモンとバルバモンとベルゼブモンは額に手を当て、ルーチェモンとベルフェモンは変化無し、リヴァイアモンは全身の力を抜いて地に伏した。

 リヴァイアモンの巨体が床を揺らし、プリンスマメモン達が震え上がるが残る魔王デジモン達は逆に彼?を睨み付ける。

 中でも一際殺気染みた眼で睨み付けているのは、意外や意外この中で最も華奢な身体をしているリリスモンであった……膝をついた際に垂れた髪が顔にかかり、床に着いた右手が床を溶かして煙を上げているのを見て恐怖を感じない人はそう多くないだろう。

 

「デカブツ……いい加減にしなさいよ?

 唯でさえアンタの巨体でヒトナリが怯えているんだから、余計なことするな!」

 

「まぁまぁリリス、今この人が一番怖がってるのは多分君だろうから少し落ち着いた方が良いと僕は思うよ?」

 

「え?!……あ~今度から気を付けなさいリヴァイアモン」

 

「どう考えても手遅れだと思うけど、その無駄な足掻きは僕好みだよ」

 

「……アンタ嫌い、敵だったら1bitも残さず消し去りたい程に嫌い」

 

「それは残念……まぁそんなことは一先ず置いといて、今一番大切な事は僕達の育ての親とも言えるこの人に色々と話す事じゃないかな?」

 

「アンタのいうことも尤もだわルーチェモン……偶には良いこと言うじゃない。

 それじゃあ私が説明させてもらうわね」

 

 彼の一声を皮切りにそれぞれが一旦距離を取り、此方へと向き直る。

 彼らからは全くと言って良い程悪意が感じられず、真摯に此方の様子を窺っている様だ。

 宣言したとおり最初に一歩前に出て軽く会釈したのはリリスモンその人だった。

 

「こうして会うのは初めての事ですが、いつも貴方の存在を感じておりました。

 ひ弱な幼年期から此処まで大きくなれたのは貴方のお蔭……どうにか感謝の言葉を伝えたいとずっと想って参りました。

 一度世界を救った後、デジタルワールドと人間達の世界は別々の道を歩み始め、あの子とも別れることになったけれど、私達の様に力の強いデジモンの中の一部はその結末に納得がいかなかった。

 だからバンクにいたマスティモンの力を借りて世界の壁を越えることにした……あの子の中に感じたもう一人の存在ならばまだ縁が切れていないのではないかという僅かな希望に縋って。

 あの子のデータがバラバラになった時にコピーした僅かなデータ片を頼りに何度も何度も何度も何度も何度も何度も世界の壁を乗り越えて、別の可能性のあの子に会った。

 名前も性別も違うあの子と会って、一つの事が分かった……どの世界のあの子にも貴方の様な存在が干渉していることを私達は知った。

 別にあの子の身体を乗っ取っている訳じゃ無く、あくまで誘導程度ではあったけれど ファームやバンクの中ではあの子よりも貴方達の方が前面に出ていたわ。

 それを知って私達は目標がかなり遠い所にあることを実感した……人の思考を操作するデジモンも居ない訳じゃ無いけれど、それなら分からないはずがないのだから。

 これでも私達は魔王デジモンと呼ばれる存在……初代と比べれば脆弱かもしれないけれど、トップクラスの力を持つ存在には変わりないの。

 そんな私達が束になっても探知しきれない存在は神の様な存在位……諦めこそしなかったけれど、壁を越え別のあの子に会って新たな情報が得られなくてもしょうがないと思うようになるのも仕方がないでしょう?

 そんな中突然貴方の存在を感じたの……あの子に混じった貴方の気配ではなく、貴方だけの存在を!

 その時の私の気持ちが分かる?!初めているかも分からない神に感謝して、みっともなく涙した私の気持ちが!」

 

「少し落ち着きなってリリス、魔力が漏れて威圧しちゃってるから」

 

 ルーチェモンの言う通り彼女がヒートアップするにつれて、息苦しくなってきていたんだけど……この圧迫感のある蜃気楼のようなものが魔力というのは分からなかった。

 魔力というものを見たことがなかったし、体に影響を与えるレベルの威圧なんて未経験だったから彼の言葉を聞くまで原因を察することが出来なかったのはしょうがないだろう。

 彼の言葉を聞いて彼女も少しだけ落ち着いたのか、申し訳なさそうに俺に謝ると話を再開した。

 

「ごめんなさい取り乱してしまって……話を続けるわね。

 貴方の存在を感じてから私たちはすぐに動き出したわ。

 比較的多次元に繋がりやすいデジタルワールドを経由して、邪魔するロイヤルナイツを跳ね除けて……まぁ貴方の育てたロイヤルナイツも説得にまわってくれたおかげで殆ど突っかかって来なかったのだけど」

 

「君が育てたロイヤルナイツ系のデジモン達は僕達の様に君を追いかけるという選択肢を取らずに、あの戦いで減ってしまったオリジナルのロイヤルナイツを手伝ってあの世界のデジタルワールドの平和を守るという選択をした……要は接点をほとんど失ったとはいえ同じ世界線上にあるデジタルワールドに何かあればあの子に影響があるかもしれないと考えて、其方を取ったってわけ。

 まぁ僕達としてもあの子には幸せでいてほしいから反対する理由はなかったしね……因みに君が育てた子達の中で彼らと同じようにデジタルワールドに残ったのは八割位かな?

 海や山での生活に憧れた奴や新たな出会いを求めた奴、ロイヤルナイツの手伝いをしたいって奴は大体あの世界に残った。

 僕達について来たのは君の存在に自分で気付いた子、僕達も世話になったプラチナヌメモン達やデジタルワールドで孤立してしまいそうな子は一緒に来ているよ」

 

「二割って……確かバンクに100体以上居たから20体以上が一緒に?」

 

「流石に移動が大変だから殆どはデータ圧縮……まぁ冬眠的な物をしてもらってるけどね」

 

 ここにいる11体だけじゃなく他にも態々俺に会うために世界を越えてまで来てくれたデジモン達がいる……その事が凄く嬉しい。

 俺がどういう経緯でこの世界に来たのかは分からないけれど、この世界に来る前は仕事先でも深い人間関係は無く、連絡も偶に中学と大学の頃の友人と電話する程度。

 別にそれが寂しかったわけじゃないし、残してきた両親の事も気になる……けれど求められる事がこれ程までに嬉しいものだとは思ってもみなかった。

 なんてチョロいんだ俺は……思わず笑えてくる。

 美人局とかに会ったらすぐに引っかかってたんだろうなぁ。

 いきなり笑い出した俺に不思議そうにしている彼らに申し訳ないと思いながらも、俺は目端に涙を浮かばせながらしばらく笑い続けたのだった。

 

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