電子生命体に馴染むまで   作:アヤカシ

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第6話 解凍?

 リリスモンがボッシュートされた後、他の魔王達は少しだけ残念そうにしながら各々が眠らせていたデジモン達を起こし始める。

 リリスモンが眠らせていたデジモン達は彼女が戻ってき次第随時起こしていくらしいのだが、それはさておき目を覚ましたデジモン達の話だ。

 20体近い数のデジモン達を一気に起こすのは彼らでも骨が折れるらしく、日に1体ずつ起こしていくという流れになったのだが、最初に起こしたのは競争心が強くて早めに起こさないと面倒臭いことになりかねないデジモンであるグランドロコモン。

 列車そのものの身体を持つ彼は前腕にトゲの付いた車輪を持ち、レールが無いところも自身でレールを造り出すことで走行可能にするデジモンである。

 言葉こそ話せないものの、汽笛や目は雄弁に感情を語り、常時眠っているベルフェモンよりはコミュニケーションを取りやすい。

 ただし彼はとにかく走るのが好きで、リヴァイアモンに匹敵する大きさ故にあまり近づくと轢かれる危険性があるので意思疎通を図るのも一苦労なわけだが……まぁそれでも続く二体に比べればまだマシというのが現実。

 

 二体目と三体目はまさに問題児、木で出来た少年の様な見た目とは裏腹に息を吐く様に嘘をつくピノッキモンと背中に斧を背負ったフランケンシュタインの様な様相で手加減というものが上手く出来ないボルトモン。

 グランドロコモンは意外と周囲を気にしながら走るため此方が轢かれに行く位でなければ事故を起こす危険もなく問題無いのだが、この二体は違う。

 前者は積極的に近寄って悪戯を仕掛けてくるし、後者は口数少なくて意思を読み取りにくい上に力加減を誤って物を壊す。

 三体とも悪意からの行動ではなく、ある程度の好意あってのものなのは接している内にある程度分かったのだが……如何せん三体とも我が強い。

 どうも魔王デジモン達とはウマが合わないらしく、俺と彼らに対する接し方が驚く程に違う。

 

 例えばピノッキモンの場合……

 

「ねぇねぇ仕事終わった? 終わったんなら遊ぼうよ!」

 

「おい、あまり此奴を困らせるなピノッキモン」

 

「はぁ? 何でアンタが答えんの?

 僕は今ヒトナリと話してんだけど?」

 

「考えれば分かるだろう……慣れない仕事をしているのだ、少し位休ませてやるべきだ」

 

「デーモン……アンタ随分上から言うね。

 気に入らないなぁ、気に入らないよアンタ……偶々パーティに選ばれただけのくせに」

 

「何だと? 口が過ぎるな貴様……良かろう、少し教育してやろう」

 

「教育? 教育ってアンタが僕に? っは、笑わせんなよお零れ野郎。

 瀕死にならないと強くなれない使えない能力のくせに」

 

「よく言ったな木偶人形、燃やしてグランドロコモンの燃料にしてやろう」

 

「上等だ雑魚、叩いて潰してハンバーグにしてやんよ」

 

 この後二体は場所を移して戦ったらしいが、流れ弾がベルフェモンに当たり反撃でどちらも強制的に眠らされたらしい。

 どちらにせよこの端末内であれば死ぬ程のダメージを負ったとしても、死ぬことだけはないし、外から端末を操作すれば強制的に怪我を治すことも出来る(お金は掛かるが)ので彼らが言う様な殺し合いはできないのだが、出来れば仲良くして欲しいものだ。

 まぁピノッキモンに関しては現状こんな感じで専らデーモンと喧嘩ばかりしている。

 

 次にボルトモンの場合……

 

「あ……すま……ない、また……壊れた」

 

「いや、手伝ってくれてるだけでも十分助かってるから大丈夫だぞ?」

 

「嘘はいけないなぁヒトナリ君、彼が手伝い始めてから明らかに作業効率が落ちてるだろう?

 確かにボルトモンは力が有り余っている様だけど、加減できない力なんて無力よりもずっと質が悪い。

 はっきり言って君は邪魔しかしていないよ?」

 

「う……るさい……オマエに言われ……なくても分かっ……てる。

 ルーチェモン……は黙って……ろ」

 

「おやおやおや、折角助言してあげたのにその言葉は酷いなぁ。

 ここは感謝こそすれ、そんな言葉を掛ける所じゃないと思うのだけど?」

 

「オマエ……嫌い……どっかいけ」

 

「彼の護衛をしている僕に何処かに行けって……君は本当に馬鹿だなぁ。

 此処にヒトナリ君の敵は存在していないけれど、事故が起こる可能性は零じゃない……それでも君は僕に何処かに行けと言うのかい?」

 

「ヒトナリ……俺が……守る……オマエ……いらない」

 

「君が彼を守る?斧を振り回すことしかできない君が?

 面白い冗談を言うじゃないかボルトモン」

 

「オマエ……よりは……役に立つ」

 

「へぇ…………言うじゃないか、機械人形風情が」

 

「お前……完全体……俺……究極体……俺の勝ち」

 

「ちょ、ちょっとお前等落ち着いて……」

 

「ここじゃ彼を巻き込んでしまう、場所を変えようか……身の程というものを教えてあげよう」

 

「その羽根……箒に……してやる」

 

 俺の制止も全く意味を成さず、結局彼らも戦い始めてしまった。

 彼らの戦いは終始ルーチェモン優勢で、最後までそれが覆ることはなかったが流石に最大限強化された究極体相手に無傷という訳にはいかず、羽根の一部を切り落とされたらしい。

 らしいというのは、二体ともその日は俺の前に姿を現さなかったからである。

 ボルトモンはそこそこ重傷で動けない状態であり、ルーチェモンは翼を斬られた状態で俺の前に姿を現すのが嫌だったらしく、変わりの護衛としてベルゼブモンがやって来た。

 その後は互いに強さを少しだけ認め、ほんの僅かではあるが態度が軟化したようだ……ほんの少しだけ。

 

 そしてグランドロコモンの場合……彼は言葉を喋らないために口喧嘩が発展して戦闘にいたるということは無いのだが、どうもリヴァイアモンと仲が悪いらしい。

 リヴァイアモンはどうやら俺を背中に乗せるのが気に入ったらしく、空いた時間に乗る事を急かしてくる様になっていたのだが、ある日それを見たグランドロコモンが俺の降りたところを見計らってリヴァイアモンに突撃した。

 トゲ付きの車輪で攻撃したりこそしなかったが、胴体にしっかりと体当たりをかましてその巨体を吹っ飛ばした時はバルバモンが障壁の様な魔法で俺を取り囲む位には危険だったらしい……まぁ飛んでくる2tトラックを生身で受け止める事になる可能性を考えれば彼の行動も分かるだろう。

 もちろん吹き飛ばされた相手も黙っている訳が無く、そこから始まる怪獣大決戦。

 互いにメイン武器である牙と車輪こそ使っていなかったが、巨体同士がぶつかり合うその場は一歩踏み込めば圧死する未来しか見えない地獄の様な場所へと変貌していた。

 流石にこれは見過ごせないとマスティモンが現れ二体ともリリスモンの時の様に別次元へと送り込むことで事は一時的に収束したが、戻ってきた後の彼らはその時程派手にぶつかることは無くなったものの、リヴァイアモンは尻尾でグランドロコモンの身体を叩く様になり、グランドロコモンは自身の車輪の側面を押しつけることで発生する摩擦によって表皮を削る様になったのだ……例えるなら学校の朝会中にちょっかい出し合う学生の様なものなのだろう。 

 

 この様に三体起こしただけでこれだけの問題が発生しているのだが、残るデジモンはまだ多い。

 それに加えてもう少しでリリスモンが戻ってくるのだから……先が思いやられるよ、ホント。

 

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