「それでは、本年度も始まりました!ミス・デュエルアカデミアコンテストォォーーー!!」
マイクを持った一人の生徒が、高らかにその開催を宣言した。周りが大声を出しながら盛り上がっているけれど、私はそのテンションについていけずに少し苦笑していた。
周りでは翔くんとジュンコちゃん、ももえちゃんのテンションが高く、十代くんと明日香ちゃんはなんだかどうでも良いという風に舞台を見ている。
十代くん、興味ないのかな~?
ぼーっと十代くんを見ていると、その視線に気づいた十代くんが私に向かって話しかけてきた。
「こんなことより、デュエルしてたほうが絶対楽しいのにな」
「うん、そうだよね~」
あくまでも十代くんらしいコメントに、私はくすりと笑って同意した。
私もデュエルとかの方が面白いと思うんだけどな~
それでもこう盛り上がっていると、不思議と自分も楽しくなってくる。ちょっとだけ楽しみにステージの上を見た。司会の生徒に当たっていたスポットライトが消え、場内の明かりも消える。
これからエントリーされた女生徒の名前が発表されて、その人はステージの上に上がるようだ。
知り合いだったら……明日香ちゃんとか呼ばれそうだよね~。
隣にいる自分の友人の姿をまじまじと見てみる。暗かったけれども私の視線に気が付いた明日香ちゃんは、ため息をついて私に話しかけた。
「こんなイベント、早く終わらないかしら」
本当にめんどくさそうに、明日香ちゃんはそう言った。こんなのどうでもいいから授業でもしてくれと目でも言っていた。
「明日香ちゃん、明日香ちゃんはきっとエントリーされてるからもっと元気出さないとっ」
明日香ちゃんは私なんかとは違ってすごく美人だ。正直、上から下までほとんど非の打ちようが無い。
このイベントのエントリーは、男子生徒からの他薦制になっている。
女の私から見てあこがれる様な容姿をしている明日香ちゃんをもし、エントリーしていなかったらこのイベントは明らかにおかしいだろう。
「はあ、面倒ね」
「それでは、エントリーナンバー5!天上院明日香ぁ!!」
明日香ちゃんがつぶやくのと同時に、司会が高らかに明日香ちゃんの名前を宣言した。
消えていたスポットライトが、明日香ちゃんを照らし、周囲にその存在を知らしめる。
「明日香ちゃん、頑張ってねっ」
「はあ」
結局億劫そうな表情を変えることなく、明日香ちゃんはステージの方に歩いていった。
他薦制だから仕方ないけど、辞退不可能なのはどうにかしてほしかったかもしれないとこの後私は本気で思いました。
何故なら歩いていく明日香ちゃんを、ジュンコちゃんとももえちゃんが見送っている中、次の人の名前が呼ばれたからです。
「エントリーナンバー6!橘舞花ぁ!!」
「ほぇ?」
司会が誰かの名前を叫んだかと思うと、明日香ちゃんに当たっているのとはまた別に、スポットライトの光が入る。
おかしいな~?まるで私を照らしているみたい……
ちょっとずつ左右にずれて、その光をかわそうとしてみると、なぜかその光は私についてくる。
「舞花、アンタよアンタ」
ジュンコちゃんがそう言って私を指差す。
えっと、今呼ばれているのがミス・デュエルアカデミア候補で、ジュンコちゃんは私が呼ばれたって言っていて……
「ええええええ!!??」
私!?私が呼ばれたの!?
「橘舞花さん、早くステージまでお越しください」
司会の人が改めて私の名前を呼び、自分が呼ばれたことが確かになる。
何で私!?私なんかよりも可愛い人はたくさんいるのに~
混乱しつつもジュンコちゃんに背中を押されて、ステージのほうまで歩き始める。
その間に司会は次々と他の人の名前を呼んでいたけど、もう知り合いの名前が呼ばれることは無かった。
ステージの上に上った私は、下に見える大勢の生徒たちの姿を見た。
わわわわ、みんなこっち見てるよ~
だんだんとその視線に耐えられなくなってきた私は隣にいた明日香ちゃんの後ろに隠れた。
「あきらめなさい」
けれども明日香ちゃんは私を隠そうとはしてくれず、私を自分の前へと追いやった。
「明日香ちゃんひどいよ~」
「ひどいのはこのイベントじゃない?」
未だ面倒そうな表情の明日香ちゃんの言ってることは最もだった。
「さて、これで本年度の候補者全てが出揃いました!それでは一人ずつ自己紹介をしてもらいましょう!」
司会の人が1番の人から順に、自己紹介を促す。
みんながそれぞれ自分のことを言った後に、明日香ちゃんの番が回ってきた。
「それでは次、天上院さんお願いします!」
司会の人がそう言っているにも関わらず、明日香ちゃんは億劫そうな表情のまま何も言わない。
「あの、天上院さん?自己紹介をお願いします」
「天上院明日香よ」
明日香ちゃんはそれだけ告げると、さっさと次に行ってと司会を促す。
明日香ちゃん、本当に嫌なんだね~
仕方が無いと、司会の人はその次の人にマイクを向けた……
「あの、橘さん?」
「ほぇ?」
次の人って私だったよ!!
「ごごごご、ごめんなさい~」
一瞬呆けてしまったため、司会の人に頭を下げた。そうしたら
ゴンッ!
「痛い…」
司会の人が私に差し出していたマイクに思いっきり頭をぶつけた。おそらく額が少し赤くなっているだろう。
「大丈夫ですか?」
「だだだ、大丈夫です~」
額とは違う意味でもう顔中真っ赤だ。頭の先まで体温が上がってもう自分が何をやっているのかもわからなくなってきた。
「では改めて、橘さん、お願いします」
「えっと……た、橘みゃいかです。好きなものはブラック・マジシャンです。よ、よろしくお願いしみゃしゅ」
噛みました。見事にブラック・マジシャン以外のところで噛みました。
会場の皆さんからはとても暖かい目線と、がんばって、等の暖かい声援が送られてきています。
うぁぁん、すっごく恥ずかしいよ~
「そ、それでは次の方ー」
気を使ってくれたのか、司会の人はすぐに次の人にマイクを向けてくれました。
それに伴ってみんなの目が隣に行ってくれたのを感じると、顔を伏せて真っ赤になった顔を見られないようにした。
そうして、顔の熱が下がるまで伏せていたら、いつの間にか投票時間となっていた。
正直私は順位なんてどうでも良いから早く帰りたい、と明日香ちゃんと同じようなことを考えていた。
「皆さん長らくお待たせいたしました!それでは結果発表です!!」
集計が終わるまでの時間がとても長く感じられたがそれも終わり、司会が声高らかに結果発表への移行を宣言した。
これでやっと終わりだよ~
安堵の息をついて、司会の順位発表を聞きに入る。どうせ自分が入っているわけは無いのでと楽観的に聞くことにした。
「それでは、本年度のミス・デュエルアカデミアはぁぁーーー!!」
何かしらの結果発表などでよく聞く太鼓の音が講堂内に響き渡る。それが止んだと思うと、ぱっとスポットライトの光が、ステージ上の一人を照らし出した。
「まさかの3年連続!!オベリスクブルー3年、小日向星華さんです!!」
照らし出された人は、本当に美人で3年連続というのも頷けるような人だった。彼女がにこやかに会場内のみんなに手を振っている。
何はともあれこれで終了だよね。ステージ上のみんなが表彰の前に立ち去ろうとすると、
「待ってください!」
司会の人が手元にきた紙を見て、マイクに向かって大声で叫んだ。
みんなの注目が今度は司会の人に集まる。
「なんと得票数が同じ人がいます!オベリスクブルー1年、天上院明日香さん!!」
ぱっと、今度は私の隣の明日香ちゃんが照らされる。もう戻れると思っていたのにいきなり照らされたので明日香ちゃんも少し驚いていたようだ。
って、1位が二人いるんだけど、それっていいのかな~?
司会の人がどうしようかと悩んでいるところに、集計を行っていただろうPCを抱えた生徒が司会の人に駆け寄り、何かを話す。
それを聴いた瞬間司会の人は再びマイクに向かって叫んだ。
「なんと!まだ投票していない生徒がいるようです!!オシリスレッド1年、遊城十代くん!!」
……十代くん?
突然に自分のよく知った名前が出たかと思うと、客席に実行委員に捕まってステージまで歩いてくる十代くんの姿が見えた。
十代くん、ほんとに興味無かったんだね~…
十代くんがステージに上がると司会の人は十代くんにマイクを差し出した。
「それでは、遊城十代くん。この二人のどちらに投票する?」
「いや、俺本当に興味ないんだけど……。俺の票、無効にできない?」
「全校生徒が投票したんですよ!しかも君の一票が勝負を決める。こうなってしまったら無効になんてできません!!」
興味の無い顔をしている十代くんに、最後の一票を入れることを熱望する司会者。確かにこうなってしまった以上ここで無効になんかできない。全校生徒の注目が十代くんに集まる中、十代くんは頬をかきながら考えていた。
「それじゃあ……舞花で」
……へ?
十代くんの発した言葉に、場内が凍る。司会者の人も含めて、みんな開いた口がふさがらないといった風だ。
「じゅ、十代くん?」
確かに誰に投票するかは自由だし、それはもちろんエントリーされているのだから私に入れても良い。
でもこの空気の中であの二人のどちらかでもなく私を選ぶのはちょっとまずいんじゃないだろうか。
案の定、周りから十代くんに向かって二人から選べよと非難が入る。司会者がマイクでそれを収め、改めて結果をどうするか役員たちで議論が入る。
「よかったじゃない、舞花」
ふと、隣の明日香ちゃんから話しかけられた。よかった、とは一体どういうことなのかわからなかった私は首を傾げる。
「十代から票をいれてもらえたじゃない」
そうだよね。十代くんは私に票を……
ちょっと待って、今やってるのはミス・デュエルアカデミアコンテストで、十代くんは私に票を入れてくれた…
十代くんは、私が一番良いって思ってくれたってこと?
わわわわわわわわ!!
さっき収まった頬の熱がまた一気にぶり返す。今度は心臓までドクドクと脈打ち始めた。
にゃにゃにゃにゃにゃ!!??
急に大徳寺先生の喋り方が移ったのかネコ語が頭の中で響いていた。
十代くんの方を見てみる。十代くんは私の視線に気が付いてニカッと笑いかけてくれたけど、今の私には直視できずに目を背けて俯いてしまった。
「おい、大丈夫か?舞花」
十代くんが私の元に来ようとしたとき、間に司会が割り込んできた。
「お待たせしました!!なんとそこの遊城十代くん、事態をさらにややこしい事にしていました!なんと、彼が先ほど投票した橘舞花さんは、1票差で3位でした!つまり、これで同率1位が3人になってしまったことになります!!」
なんだかもっとややこしい事になっています。って、私が3位!?
私なんかに入れてくれる人がどうしてそんなにいたの!?
「本当にどうしましょう?もういっそ3人でいいでしょうか!?」
司会は本当に困り果てていた。多分、こんなことは今までに無かったのから。司会が再びトークをしている間に、まだ話のまとまっていない実行委員たちが話し合いを進めていく。
けれども彼らもほとほと困り果てているようで、上手く結論が出せない様子。そんな中で一人が動き始めていた。
「ばかばかしいわ」
明日香ちゃんは司会に向かってそう言い放つと、こつこつとステージから降りようと歩いていく。それを司会が後ろから止めに入った。
「ちょ、ちょっと、どこに行くんですか?」
「辞退するわ。私にとってミス・デュエルアカデミアなんて何の価値も無いもの」
最初からずっと面倒そうだった明日香ちゃん。その本音がついに出てきてしまったようだ。司会の制止を無視してステージを降りようとした。
「じゃ、じゃあ私も~」
ミス・デュエルアカデミアに興味が無いのは私も同じだ。こうして揉めるくらいだったら辞退してしまえば良かったのだ。辞退不可もこの状況なら大丈夫だろう。
先を歩いていく明日香ちゃんを追いかけようと少し早足で歩く。そうしたら、今度は司会者じゃない制止の声が聞こえた。
「ちょっと待ちなさい!!」
声を上げたのは小日向先輩。さっきまで黙っていたのだが状況のせいで黙っていられなくなってしまったようだ。
「(あなた達が辞退したら、私がお情けでミス・デュエルアカデミアになったみたいじゃない)不正がばれそうになったからって逃げるの?」
先になんだか間があったけれど、小日向先輩から信じられないような言葉が私たちに浴びせられた。
「ふ、不正?」
不正とはなんだろう?私たちは何かしてしまっただろうか?
「そうよ。さも興味なさそうに振舞ったり、ドジッ娘をやったりして、挙句お友達に票を入れさせないで目立って。ひょっとしたらコンテストの得票も根回ししたんじゃないの?」
とりあえず今言ったことには作為は無い。全員が全員素でやってしまったことだ。コンテストの得票も私たちは根回しした記憶なんて無い。
というか、私たちは本気でこのステージに上りたくなかったんだよ。
根回しをするのならむしろ投票しないでと言うだろう。
なので言い返そうかと思ったらすでに明日香ちゃんが口を開いていた。
「バカ言わないで。私たちにとってミス・デュエルアカデミアなんて興味もないし、なりたいとも思わないわ」
明日香ちゃんがはっきりと、威圧するように先輩に向かって言い放った。
これが私達の偽りの無い本音だ。私の本音はそんなことよりデュエルがしたい、なのだけど。
言いたいことを言い切ったので、私も明日香ちゃんもステージから降りていく。司会もみんなも呆然とその姿を見守っていた。
「じゃあ、あなた達にデュエルを申し込むわ!!」
押し黙っていた小日向先輩が、マイクもなしにそう叫んだ。
こつこつ、と私たちのほうに歩いてくる。
「ここはデュエルアカデミアよ。納得のいかないことがあったらデュエルで決着をつけましょう」
詰め寄った先には明日香ちゃん。さっきの物言いが気に入らなかったのだろうか、さっきよりもはっきりと敵意を向けている。
「な、なんとぉー!!この決着はデュエルに委ねられることになったぞぉー!!」
司会が盛り上がりを見せ、会場の生徒が熱狂する。みんなデュエルが好きなのだ。なんやかんや言ってもデュエルが見たいのだろう。
「それでは、お三方。こちらの用意したくじを引いてください」
いつ用意したのだろうか?いきなり出てきたくじを3人で一緒に抜き取る。王様ゲームのように割り箸で作られたそのくじには、先端に紅い印が付いていた。
私が当たり、かな?
残りの二人を見ると、片方にはやっぱり私と同じように紅い印が付いていた。そして、その人は
「それでは!第一回戦は、橘舞花VS天上院明日香だぁー!!」
ついさっき、私と一緒に退場しようとした人だった。
場所移ってデュエル場。観客席はすでに埋まっていて、みんながこっちを見ていた。
でも、それを恥ずかしいなんて思うよりも先に、目の前の人とデュエルできる喜びを感じていた。
「舞花、そういえばまだデュエルしてなかったわね?」
「うん。初めて会ったときは、結局できなかったからね~」
最初に会ったとき、デュエルをすることはできなかった。あの時できなかったデュエルを、今ここでする。
明日香ちゃんはオベリスクブルー女子1年、旧中等部では最強だったって話を聞いたことがある。だったらこのデュエル、絶対に面白くなる!!
「楽しくデュエルしようね~」
「全力で行くわ」
ずれているようで、お互いの思いは同じ。全力のデュエルを、全力で楽しむだけ。
デュエルディスクを展開する。シャッフルを終えたデッキを差し込み、左腕を突き出した。
「「デュエル」」
先攻は明日香ちゃんだ。明日香ちゃんは勢いよくカードを引いた。
「私は荒野の女戦士を攻撃表示で召喚するわ」
最初に出されたカードは見た目少しみすぼらしい女剣士。ぼろぼろになったマントを広げて剣を構える。
荒野の女戦士
ATK1100
「リバースカードを1枚セットして、ターンエンドよ」
リクルーターにリバースカード。明日香ちゃんのデッキはわからないけど1ターン目の動きとしてはかなりいいはず。
全力には、全力で答えるよ!
「私のターン、ドロー!」
引いたカードはマジシャンズサークル。よし、次のターンには大量展開できるよ。
「白魔導士ピケルを召喚!」
召喚されたのは可愛らしい小さな白魔導士。あたふたしながらも自分の手に持った小さな杖を構えた。
白魔導士ピケル
ATK1200
「バトルフェイズに入るよ!ピケルで荒野の女戦士に攻撃!ホーリーマジック!!」
ピケルの杖から発した光が荒野の女戦士を貫く。ソリッドビジョンの音声から彼女の悲鳴が上がった後、女戦士は破壊された。
明日香
LP4000→3900
「荒野の女戦士の効果を発動するわ。このカードが戦闘によって破壊されたとき、デッキから攻撃力1500以下の地属戦士族モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚できる!デッキからブレード・スケーターを特殊召喚!」
特殊召喚されたスケーターの女性型モンスター。両腕には刃物が装着されていてちょっとだけ怖いよ~。
ブレード・スケーター
ATK1400
「カードを2枚伏せて、ターンエンドだよ」
マジシャンズサークルともう1枚を伏せる。
あのモンスターは生贄用なのか、それとも他の使い方があるのだろうか。ターンが明日香ちゃんに回った。
「私のターン、ドロー!舞花、行くわよ」
何か来る!!明日香ちゃんの強気の表情からそう読み取ったその瞬間に、明日香ちゃんは自分の手札のカードに手をかけていた。
「手札から魔法カード融合を発動!場のブレード・スケーターと手札のエトワール・サイバーを融合して、サイバー・ブレイダーを特殊召喚するわ!!」
場のブレード・スケーターの隣にエトワール・サイバーが現れ、二つのモンスターが混じりあう。一瞬の光が場を包んだ後、中からフィギュアスケーターのようなモンスター、サイバー・ブレイダーが現れた。
サイバー・ブレイダー
ATK2100
「さらにサイバー・チュチュを召喚!」
サイバー・ブレイダーの隣に、今度はバレリーナらしき少女の姿が現れる。明日香ちゃんのデッキって、そういうモンスターがコンセプトなのかな?
サイバー・チュチュ
ATK1000
「舞花、行くわよ!サイバー・ブレイダーでピケルを攻撃!」
サイバー・ブレイダーがフィールドの上で回転を始める。その回転が早すぎてまるで竜巻のようになり、そのままピケルに向かってくる。
「させないよ~。リバースカードオープン!速攻魔法、魔法大学(マジカルアカデミー)!!」
サイバー・ブレイダーの攻撃がピケルに当たる直前に、ピケルの姿が光となって消える。
ごめんね。毎回1ターンもたせてあげられなくて。
「魔法大学(マジカルアカデミー)は、自分のモンスター1体を生贄に捧げることで発動するよ。手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する!手札の
最近手に入れた、私の新しいお友達。
ATK1700
「そのモンスターじゃサイバー・ブレイダーの攻撃力には届かない!」
「ううん。魔法大学(マジカルアカデミー)で特殊召喚したモンスターはレベルが2つ上がり、攻撃力が500ポイントアップするよ!」
ATK1700→2200
明日香ちゃんはサイバー・ブレイダーの攻撃を中断した。
とりあえずこのターンは凌いだね。
安堵するもつかの間、明日香ちゃんは次の宣言をしていた。
「サイバー・チュチュのモンスター効果。このカードは相手フィールド上にこのカードよりも攻撃力が高いモンスターしかいない場合、相手プレイヤーにダイレクトアタックできるわ!サイバー・チュチュで舞花にダイレクトアタック!ヌーベル・ポアント!!」
防いだと油断していた。そんな私の下に、容赦なくバレリーナの少女が襲ってくる。数回回転した後に繰り出される蹴りが私に直撃した。
舞花
LP4000→3000
「リバースカードを1枚セットし、ターンエンドよ」
明日香ちゃんは強い。ジュンコちゃんやももえちゃんに何度もそう聞いていたけれど、相対してみるとそれが良く分かる。
だからこそ全力のデュエルが楽しいんだよ。
すっごくワクワクしていた。心の高揚が抑えきれないほどに。攻撃をくらった後なのに止められない笑みが浮かぶ。
「行っくよ~。私のターン、ドロー!」
来た。私の大好きなカード、ブラック・マジシャン。そして私の手札はこのカードを次のターンには出すことができる。
「サイバー・ブレイダー……」
サイバー・ブレイダーの効果は、たしか相手フィールド上のモンスターの数で決定する。1体の時は戦闘で破壊されず、2体の時は攻撃力が倍になり、3体の時は魔法・罠・モンスター効果をすべて無効にする。
とにかく、私のデッキであのモンスターを破壊するにはどうにかしてモンスターを3体以上並べないといけない。でも、それはこのターンじゃできない。
「バトルフェイズに入るよ。
伏せてあるマジシャンズサークルを発動することができない。今このカードを発動したら、サイバー・ブレイダーの攻撃力が倍になって返り討ちになってしまう。だから、次のターンまで待つんだ。
「罠カード発動!ホーリーライフバリアー!このターン受ける全てのダメージを0にする!!」
サイバー・チュチュへと向かっていた波動が、突如発生した透明な壁に阻まれる。サイバー・チュチュは無傷で明日香ちゃんの場に残った。
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだよ」
サイバー・チュチュを倒せなかった。このままじゃまたダイレクトアタックを決められてしまう。
「私のターン、ドロー!手札から魔法カード、強欲な壷を発動!デッキからカードを2枚ドロー!」
「この瞬間、
ATK2200→2500
「構わないわ。手札から装備魔法、融合武器ムラサメブレードを発動!サイバー・ブレイダーに装備して、攻撃力を800ポイントアップ!」
サイバー・ブレイダーの手に、似合わない妖刀が装備される。しかし、その武器はサイバー・ブレイダーの力を上昇させた。
サイバー・ブレイダー
ATK2100→2900
「魔法カードが発動されたことで、
ATK2500→2800
「バトルよ!サイバー・ブレイダーで
あれ?ムラサメブレードは~?
舞花
LP3000→2900
「さらにサイバー・チュチュでダイレクトアタック!ヌーベル・ポアント!!」
さっきと同じ容赦の無い蹴りが私に直撃した。
舞花
LP2900→1900
攻撃が終了した。私はそう思っていた。しかし、明日香ちゃんはバトルフェイズの終了を宣言せずに、手札のカードに手をかけた。
「これで終わりよ!速攻魔法、プリマの光を発動!サイバー・チュチュを生贄に捧げ、手札からサイバー・プリマを特殊召喚!!」
フィールドから可愛らしいバレリーナの少女の姿が消える。代わりにその場所に大人になった、まさに主役のスポットを浴びるバレリーナが現れた。
サイバー・プリマ
ATK2300
「サイバー・プリマは召喚時、場の全ての魔法カードを破壊する効果があるけれど、ムラサメブレードは魔法カードを破壊する効果によっては破壊されないわ」
言うとおり、サイバー・プリマの召喚の際にムラサメブレードは破壊されなかった。でも、今注目すべきはバトルフェイズ中にモンスターが特殊召喚されたこと。サイバー・プリマはまだ攻撃権を残している。
「サイバー・プリマでとどめよ!」
「させないよ、リバースカードオープン!罠カード、ライバル登場!!」
私の開いた罠カード。イラストにはピケルとクランが描かれている。カードは違うけどまたお世話になるよ、ピケル。
「ライバル登場の効果は、相手フィールド上のモンスター1体を選択して、そのモンスターと同じレベルのモンスター1体を手札から特殊召喚するよ!私の選ぶモンスターはサイバー・ブレイダー!!」
「サイバー・ブレイダーのレベルは7。あなたのデッキのレベル7と言えば…」
私のデッキに入っているレベル7のモンスター。それは私のデッキのエース。私のデッキの1番大切なモンスター。優しく、撫でるようにそのカードを手に取る。
さあ、いくよ~
「最後まで……私と共にっ!来て、ブラック・マジシャン!!」
ソリッドビジョンによって映し出される、私の大好きなカード。ブラック・マジシャンがその姿を現した。
ブラック・マジシャン
ATK2500
「とうとう来たわね、ブラック・マジシャン」
「私がデュエルを1番楽しめる時は、1番大好きなカードを使って戦う時。こんな楽しいデュエルで、このカードを使わないなんてできるわけ無いよ!」
明日香ちゃんは攻撃力の劣るサイバー・プリマの攻撃をキャンセルする。もう明日香ちゃんの手札は0だ。これ以上は何もしてこないはず。
「ターンエンドよ」
ブラック・マジシャンを出せたはいい。けれども、明日香ちゃんの場には攻撃力2900のサイバー・ブレイダーがいる。しかも今は戦闘で破壊することができない。私の手札に、現状を打開するカードは無い。なら
このドローで、打開策を得る!
「私のターン、ドロー!強欲な壷を発動。デッキからカードを2枚ドローするよ!」
明日香ちゃんの手札補充の返しに私も手札補充。引いたカードは……駄目だ。でも、これなら次のターンに繋げられる!
「ブラック・マジシャンで、サイバー・プリマを攻撃!ブラック・マジック!!」
おなじみ、ブラック・マジシャンの攻撃。ブラック・マジシャンの杖から放たれた黒魔法がサイバー・プリマに直撃する。明日香ちゃんはそれを防ぐことなくダメージを負った。
明日香
LP3900→3700
「カードを3枚伏せてターンエンドだよ」
「3枚ですって!?」
私が伏せたカードは3枚。最初に伏せたマジシャンズサークルと合わせると、私の場の魔法・罠カードは4枚。これは十分に攻撃をためらわせる枚数だ。手札を全て伏せた私に対して明日香ちゃんはどう出てくるのか?
「総力戦というわけね。私のターン、ドロー!コマンド・ナイトを召喚!!」
現れたのは鎧をまとった女剣士。腰に差した剣をスラリと抜き放ち、私に向けて構えた。
コマンド・ナイト
ATK1200
「コマンド・ナイトの効果発動。このカードがフィールドにいる限り、私のフィールドの戦士族モンスターは攻撃力を400ポイントアップするわ」
コマンド・ナイト
ATK1200→1600
サイバー・ブレイダー
ATK2900→3300
とうとうサイバー・ブレイダーの攻撃力が3000を超える。
明日香ちゃんはバトルフェイズに入る前に、私の伏せカードに目を向けた。やはり4枚の伏せカードのプレッシャーは大きいようだ。
「恐れていたら、あなたには勝てない。バトルよ!サイバー・ブレイダーで、ブラック・マジシャンを攻撃!!」
しかし、明日香ちゃんはそのプレッシャーに打ち勝ち、私のモンスターに向かって攻撃を仕掛けてきた。博打のように思えるかもしれない。けれども違う。
明日香ちゃんは、私のデッキにモンスター除去が入っていないことを知っているから
たとえ攻撃力を上昇させて迎え撃たれても、サイバー・ブレイダーは破壊されない。だからこの状況でのベストのプレイングなんだ。
だからといって私も無反応でいる気は無い。私はさっき伏せたカードの1枚を開く。
「リバースカードオープン!罠カード、マジカルシルクハット!!」
サイバー・ブレイダーがブラック・マジシャンに攻撃を届かせる前に、ブラック・マジシャンは私のフィールドに現れた3つのシルクハットの中に姿を隠す。サイバー・ブレイダーはシルクハットの前で1度止まった。
「マジカル・シルクハットは、相手のバトルフェイズにのみ発動できるよ。自分のデッキから魔法・罠カードを2枚抜き出して自分のモンスターと一緒にモンスターカードとしてセットするよ」
中の魔法・罠カードは発動できるわけじゃないけれど、今は私とブラック・マジシャンを守ってくれる壁となりえる。明日香ちゃんは一瞬悩んだ後、攻撃するシルクハットを決めた。
「右のシルクハットを攻撃するわ!グリッサード・スラッシュ!!」
サイバー・ブレイダーが足のスケートの刃でシルクハットを1つ切り裂く。しかし、その中にはブラック・マジシャンの姿は無かった。
「くっ、ターンエンドよ」
「バトルフェイズ終了時に、シルクハットは破壊される。でも、墓地に行った魔術の呪文書の効果発動!ライフポイントを1000回復するよ」
舞花
LP1900→2900
「なるほど……シルクハットの効果をうまく使ったわね」
「えへへ。ありがと~、明日香ちゃん。じゃあ、行くよ~。私のターン、ドロー!」
来た。このターンは何でもいいから召喚できるモンスターが欲しかった。これでようやく、サイバー・ブレイダーを倒せる!
「まず、ブラック・マジシャンを反転召喚。さらにマジシャンズ・ヴァルキリアを召喚!」
再び姿を現すブラック・マジシャン。そしてその横には新たに魔術師の少女が現れる。
マジシャンズ・ヴァルキリア
ATK1600
「あなたのフィールドのモンスターが2体になったことで、サイバー・ブレイダーの効果発動!このカードの攻撃力は倍になる」
サイバー・ブレイダー
ATK3300→5400
「ご、5400……」
もともとの攻撃力が倍になり、その上で修正値を適用する。とうとう攻撃力が5000を超えた。
え~と、5400っていうことは、あの遊戯さんと海馬さんの使った究極竜騎士よりも高いよ~。
でも、そんなことは関係ない。今から私はあのモンスターを倒すのだから!
「バトルフェイズ!ブラック・マジシャンでサイバー・ブレイダーを攻撃!」
「攻撃力は私のサイバー・ブレイダーの方が圧倒的に上よ!」
それはちゃんと分かってる。だから今から1番最初に伏せた罠カードを使うんだ!
「攻撃宣言時、罠カードを発動!マジシャンズサークル!このカードの効果により、お互いに攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚するよ!ヂェミナイ・エルフを特殊召喚」
「私のデッキには魔法使い族モンスターはいないわ」
明日香ちゃんは何も出さずに、私はデッキから双子のエルフを特殊召喚する。しかし、明日香ちゃんが何も出さなかったことにより、バトルステップの巻き戻しが起こらない。よって私のブラック・マジシャンはサイバー・ブレイダーに攻撃を続行する。
「あなたのフィールドのモンスターが3体になったことで、サイバー・ブレイダーの効果が変わるわ。あなたの魔法・罠・モンスター効果を全て無効化する」
サイバー・ブレイダー
ATK5400→3300
サイバー・ブレイダーの攻撃力が元に戻る。今度は全ての効果を無効にされるようになった。だけど、
「これで戦闘破壊することができるよ!」
「でも、あなたの全ての効果は封じているわ。もう攻撃力を変動させることなんて…」
明日香ちゃんの言ってることは分かる。私の残りの伏せカードを発動して攻撃力を上げることはできない。でも、
「無効化されるのは、フィールド上だけだよ!墓地の罠カード、スキル・サクセサーの効果発動!!」
「墓地から罠カードを発動!?」
サイバー・ブレイダーのロック能力がいくら凄くても、墓地のカードまでは無効化できない。これがサイバー・ブレイダーの弱点!
「スキル・サクセサーをゲームから除外することで、攻撃力を800ポイントアップさせるよ!ブラック・マジック!!」
ブラック・マジシャン
ATK2500→3300
ブラック・マジシャンの杖から、再び闇の魔法が放たれる。しかし攻撃力は同じ。だからサイバー・ブレイダーも反撃に向かってくる。
「本当に、シルクハットの使い方が上手いわね」
スキル・サクセサーを墓地に送ったのはシルクハットの効果。あの時シルクハットを引けなかったら危なかった。
そして私の伏せカードの1枚は正統なる血統。このカードを使えば相打ちしたブラック・マジシャンを復活させて追撃することができる。これで私の勝ちだよ!
――ぞくっ
悪寒が走る。背筋が凍るようなそれを感じた後に思う。なにか嫌な予感がすると。
私の目には明日香ちゃんの場に取り残された1枚の伏せカードが映る。でも、あのカードは……
「気がついたかしら?」
「そのカードは、1番はじめに伏せたカードだよね?」
デュエルの1番始め。荒野の女戦士と共に場に出したカード。攻撃反応型罠カードならいくらでも発動する機会があった。だから私はあのカードを、まだ見ぬカードのサポートか、サイバー・ブレイダーの蘇生カードではないかとあたりをつけていた。
「そうよ。そして、これで終わりよ!リバースカードオープン」
明日香ちゃんのデッキのモンスターは、バレリーナやフィギュアスケーターをモチーフにしたカードが多い。今開かれたカードもまた、バレエにちなんだカードだった。
「『ドゥーブル・パッセ』!!」
「そんなっ!」
ドゥーブル・パッセ。相手モンスターの攻撃をダイレクトアタックにし、攻撃対象となったモンスターでダイレクトアタックをする罠カード。
ブラック・マジシャンの放った魔法が、サイバー・ブレイダーをすり抜け、明日香ちゃんを襲う。
明日香
LP3700→400
「なんで……」
そのカードを発動する機会は他にもあった。特に、サイバー・プリマを攻撃したときに発動していればそのまま勝てたのに、どうして……
読まれていたの!?
「あなたの引きなら、きっとあの状況でも切り抜けられるカードを引くと思っていたわ。だから使わなかった」
私の伏せカードの収縮。あの時明日香ちゃんが発動していたら私はこれで切り抜けられていた。しかし、今は違う。サイバー・ブレイダーの効果でこのカードを発動することができない。
「あなたの強さなら、サイバー・ブレイダーを必ず破壊できる状況を整えると思っていたわ。だからあなたがモンスターを3体揃えて攻撃してくるのを待ったのよ」
明日香ちゃんの言った言葉に、私は嬉しくなる。明日香ちゃんは私を認めてくれていた。だからこそのプレイングを見せてくれていたのだと。
サイバー・ブレイダーのスケートの刃が私の下から上へと切り上げる。そして、私は膝をついた。
舞花
LP2900→0
デュエルが終わり、ソリッドビジョンが消える。膝をついて動けなかった私のもとに明日香ちゃんが歩き寄ってきた。
「すっごく楽しいデュエルだったね~、明日香ちゃん」
「本当ね。良いデュエルだったわ」
でも、私は明日香ちゃんにほとんどの戦略を読まれ、利用されて敗北した。つまり、私と明日香ちゃんには大きな力の差があるということか~。
「強いね~、明日香ちゃん」
「強いのはあなたも同じでしょ?」
明日香ちゃんの言った言葉に私は首を横に振る。
「私はこのデュエル、明日香ちゃんにほとんどの戦略を読まれてたんだよ?」
「それは、私があなたのデュエルを何度も見ていたからよ。あなたがどういうデュエルをするか、それが分かっていなかったら、あの時私はドゥーブル・パッセを発動させていたわ」
確かにあのときにドゥーブル・パッセを発動させていたら、勝っていたのは私だった。でもそこまで色々と考えられることが凄いと思うんだけどな~
「やっぱり明日香ちゃんの方が強いよ」
「ありがとう」
膝をついていた私に、明日香ちゃんが手を差し伸べる。それを掴んで私は立たせてもらった。そこでようやく、会場が反応した。
「勝者!天上院明日香ぁー!!」
会場が大きな声で揺れる。大きくても決して耳をふさぎたくなるような嫌な音ではなく、デュエルを終えた私たちを祝福してくれる声。
「明日香!明日香!明日香!明日香!」
会場から沸き起こる明日香コール。会場の注目は、明日香ちゃん1点に集められる。ほんの僅かだが私のコールも起こっていて、少し嬉しいのと同時にかなり恥ずかしかった。
「それではぁー!2回戦、天上院明日香VS小日向星華ぁー!!」
次に行われるデュエルのために、ここにいても邪魔になる私は移動することにした。
デュエル場を出て観客席に続く廊下を歩いていると、目の前に見慣れた男の子が立っていた。
「惜しかったな、舞花。でもいいデュエルだったぜ」
「うんっ。ありがと~」
十代くんだ。何気に私をこんなところまで引きずり込んだ張本人でもあるのだが、楽しいデュエルの機会をくれたことを感謝している。
「おつかれっす」
「お疲れ様」
「ありがと~」
十代くんの後ろから翔くんと三沢くんも現れる。労いの言葉に素直に感謝した。
「それにしてもオシリスレッド推薦の舞花ちゃんが敗れちゃったっすね」
ピクリと、翔くんの言った言葉に反応する。
そうだ、1番最初の疑問がまだ残っていた。
「翔くん、私がオシリスレッド推薦ってどういうことかな~?」
「だって、舞花ちゃん。あれから本当に何回もレッドにご飯を作りに来てくれたから。みんなで恩返しがしたいなーって」
確かにあれから私は何回もオシリスレッドの食事を作りに行っている。さらにあまりにもひどい食事の内容から学校側に直訴して少しずつメニューの改善も行っていた。今では月に1度エビフライ定食が出せるようになったけれどそれは今関係ない。
「だからオシリスレッドのみんなで舞花ちゃんをミス・デュエルアカデミアにしようって……」
「いい話だったからな、俺も協力したんだ」
翔くんの話の後に三沢くんも胸を張ってそう言った。つまりは
「私がこんなに恥ずかしい思いをしたのは翔くんのせい?」
「せいって……もしかして怒ってる?」
怒ってませんよ~。ただ、しばらくの間はオシリスレッドにご飯を作りに行くのを辞めようって思っただけだよ~。
「じゃあ、十代くんが私に入れたのもそういうことだったんだ」
それはちょっとショックだな~。あんな風に考えていた私がまた恥ずかしいよ。
「え?俺その話知らなかったぜ」
「へ?」
十代くんがキョトンとした顔で言う。
「じゃ、じゃあなんで私に入れたの~?」
つ、つまりそれは十代くんにとって私が……
「だってミスコンだろ。あの中で1番ドジっぽいのは舞花じゃんか」
「……え?」
なんだろう。今もの凄くドキドキしていた心臓の鼓動が治まった。頬の熱もかなり引いた。
「アニキ、ミスコンは1番可愛い子を選ぶんすよ」
「え?ミスをたくさんする奴を選ぶんじゃないのか?」
十代くんが言った言葉に、私は一瞬思考が止まっていた。
え~っと、十代くんから見て私はあの中で1番可愛いんじゃなくて、
私が1番ドジな娘だと
「さっきよりもショックだよっ!」
「うおぉ!」
今度は思いっきり声に出していた。目の前にいた十代くんに思いっきりびっくりさせちゃったけど今は気にしない。
「十代くんのばか~」
そりゃ、私はあんまり可愛く無いけど、ドジだけど、ちょっと期待しちゃったんだもん。ショックだよっ。
あーもー
私は何だかよく分からなくなってその場から駆け出していた。
キョトンとした3人の姿を振り返ることなく、真っ直ぐに駆けて行った。
「どうしたんだ?舞花の奴」
「なんというか……アニキが悪いっす」
「え?そうなのか?」
「そうっすよ。1番ドジな娘認定したら怒るっすよ」
「あ、そっか。でもさ翔」
「なんすか?」
「俺はどっちにしろ舞花を選ぶぜ」
原作出身カード紹介
魔法大学
速攻魔法
自分フィールド上に存在するモンスターを1体リリースして発動する。
自分の手札から魔法使い族モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は500ポイントアップして、レベルを2つ上げる。
何気にマジカルシルクハットはOCG効果です。……やっぱりややこしいですかね?