「ひゃっほう!」
「行こ行こー!」
「待って、ラムちゃん」
「ロム!手、手~!」
初っ端からはしゃいでいるラム、ユウマ、ロム。クロヤはロムの手を繋がれている為、脳がオーバーヒートしている。
その後を女神候補生と守護者候補生の四人が追いかける。
「待って四人とも!コート来て!」
「ネプギア!チケット忘れてる!」
「お前は髪ほどけて・・・ぶふぉ!?」
「ユニ!スカートスカート!」
「え?・・・きゃぁああ!?」
ネプギアが四人のコートを持って追いかけ、ユニはそんなネプギアたちが忘れているチケットを、ライトはユニの左の髪留めがほどけている事に気付いたが、ここで何のいたずらか、ユニのスカートがずり落ち、それを目撃したライトは別の意味で吹き出し、ムサシがそれをユニに伝えた瞬間、ライトだけが引っぱたかれた。
「なんで俺だけ・・・・!?」
「~~~!!」
「・・・青春だな」
「そうね」
その様子を遠くで見るヒカルとノワール。
中に入ってみると、そこからははしゃぐのフルコースだった。
あの配管工のおじさんが入りそうな土管で遊んだり、なんかの絵柄が書かれたコインを集めたりと遊んでいる。
「他の女神が来てるんだから、ブランも来るべきだと思うんだけど」
ふとノワールがベンチに座ってそう呟く。
ちなみにネプテューヌは
「カリヤも来ればよかったのにな」
ヒカルがそう言う。
「あいつはあいつでブランを手伝わなきゃいけないんだよ」
ユイトがそうフォローする。
「でも、彼女ももう少し大人になるべきですわよね。私みたいに」
と、ベールは胸を揺らしてそう言う。
それを見て少し引く三人。
「ベール、それは世界中にいる貧乳に対しての冒涜と見られるぞ」
「あら、ごめんなさいクリス」
おほほと右手を口にあて笑うベール。
そこで、一つ思い出したかのように、ノワールがベールに訪ねる。
「ねえ、そういえばなんでベールとクリスはなんでルウィーに・・・」
「ねぷぅ!?」
ノワールの言葉を遮るようにネプテューヌの悲鳴が聞こえた。
「こ、このカメ、私のピーチを狙ってるよ!?」
「あ、ここに看板が・・・えっと・・・・カメはピーチが好きなので、ピーチを買う際は注意して下さい・・・・」
ヒカルが看板に書かれていたことを読み上げた。
「それを先に行ってよー!助けてーユイトー!」
ユイトに助けを求めるネプテューヌ。
「はあ、分かった。桃一つよこせ」
と、ユイトはネプテューヌが持っている紙袋の中に入っている桃を一つ掴む。
「おい、こっち見ろ」
と、カメの顔の目の前に桃をかざす。カメがそれに反応する。
「ほーらこっちだ。取って来い!」
そして、それを遠くに投げ、カメがその後を追う。
「はー、助かったよユイト」
「どうも」
なんとか守り切った桃の入った袋を抱え、立ち上がるネプテューヌ。
「でも、お前なぁ・・・・!?」
良からぬ気配を感じたユイトが肩越しに視線を後ろに向ける。
その視線の先で、何かが隠れるように顔をひっこめた。
「どうしたのユイト?」
ネプテューヌがそんなユイトの様子に気付く。
「いや・・・・悪い、トイレにいって来る」
ユイトは、その方向に走って行ってしまう。
「どうしたのかしら?」
「さあ?」
それに気付かなかったノワールとヒカル。
「そういえば、ネプギアたちはどこに行ったのでしょうか?」
「探しましょうか」
ベールとクリスはどこかへ行ってしまったネプギアたちの事を思う。
だが、ネプテューヌだけは浮かない顔をしていた。
「あ、いたいた。探しましたよ皆さん」
そこへムサシが来る。
「ネプギアたち、先に行ってしまいましたよ・・・って師匠は?」
「ごめんムサシ。私もトイレ」
「え!?ちょ!?ネプテューヌさん!?」
突然、ネプテューヌがムサシに桃のはいった袋を押し付け、ユイトの後を追ってしまった。
「どうしたんだ?」
「さあね。どうせ別のアトラクションで遊びたいとかじゃないの?」
「にしてはやけに切迫していたような・・・」
「気のせいじゃないですの?」
そのネプテューヌの行動に疑問を持つ四人。
「どうしたんだ・・・・」
ムサシも、その行動に疑問を持ちながら、ノワールたちと共にネプギアたちの後を追う。
ユイトの後を追い、走るネプテューヌ。
「ユイト・・・どこ・・・?」
ネプテューヌにはわかっていた。ユイトがあのような眼をする時は、決まって何かが起きると。
しばらく、誰も居ない通路を走っていると、立ち止まっているユイトの姿が見えた。
「ユイト!」
「!? ネプテューヌ!?なんで!?」
声をかけられ、振り向くユイト。
「私は貴方の女神だから、当然だよ」
少し息を上げているネプテューヌに驚いたような表情をするユイト。
「誰かいたの?」
「ああ・・・」
そして、ユイトは前を見る。
そこには黒いロングコートの男。顔はフードで隠れて見えない。
「お前、なんで俺たちを見ていた」
ユイトの質問に答えない黒の男。
「答えなければ、お前を拘束して拷問にかけるぞ」
ユイトは、サブマシンガンを呼び、男に近付く。
ゆっくりと、警戒して。
ネプテューヌも、いつもの気楽な表情なんかじゃなく、刀を呼び出し、それを構え、警戒する。
「・・・・・これがプラネテューヌの女神と守護者か」
「「!?」」
突然、口を開く男。
そして、ロングコートを脱ぎ捨てる。
「俺はヒューガ。女神を必要としない世界を求める反女神組織『ゼクト』の幹部だ」
そこから出てきたのは、白髪のロングヘアで褐色の男だった。右眼には眼帯があった。
「『ゼクト』だと!?」
「え?ユイト知ってるの?」
「おまっ、アイエフから聞いてないのか!?今ある反女神組織の中で一番危険視されている組織の一つだぞ!?」
「ええ!?」
これにはネプテューヌも驚く。
今ある反女神組織は、女神に武力で勝つことは絶対に出来ない。
だが、この『ゼクト』という組織は、今、女神に対抗できる武器や力を手に入れたという情報があるのだ。
だから、どこの国でも、この組織の事に対しては、かなり厳しく警戒している。
「俺は、ずっとこの時を待っていた」
「!?」
ヒューガから何やら気迫の様なものが感じられ、すぐに警戒態勢に入る二人。
そして、何やら薬の様なものを右の頸動脈に押し当て、一気に中にある液体を流し込んだ。
ドクン・・・・
瞬間、ゾッとしたユイト。
「ネプテューヌゥゥゥウウ!!!」
「ッ!!」
ユイトの叫び声と共に、二人は変身した。
ドクン・・・・
「オオ・・・アア・・・・」
なにやら様子がおかしいヒューガ。
突然、ヒューガは、だらりと体を思いっきり前に曲げる。
数秒した後、ゆっくりと顔を上げたヒューガは、その狂った様な歪んだ表情で、二人を見た。
「コロス」
そんな言葉を発した途端、ヒューガの体が消えた。
それと同時に、ユイトはネプテューヌを抱え、上空へ飛ぶ。
そして、さっきまでユイトたちの足元が砕け散る。
「え!?」
その威力に驚くネプテューヌ。その地点にヒューガの姿があった。
「砲門、十・・・
ユイトの周りに出現した十個の砲門がヒューガに向かって打ち出される。
それをヒューガはありえないスピードで躱す。
「何!?あいつ!?」
「分からん。ただ、あいつはただの人間じゃないって事だ・・・・来るぞ!」
ネプテューヌを突き飛ばし、さっきまでネプテューヌが浮いていた場所に何やらレンガの様な物が飛んでくる。
見るとヒューガが砕いた地面にあったレンガを投げてきていたのだ。
「
また、十門の砲門を出し、それを同時にヒューガに撃つ。
ヒューガはそれを後ろに飛んで避けようとする。
だが、いきなり背中に衝撃が来る。
「な!?」
ユイトの放った砲弾がいきなり起動を変え、十発の内、二発がヒューガの背後に回ったのだ。
「ナイスよユイト!」
その隙を逃さず、ネプテューヌが接近する。
「チィ!」
「ハアァァアアッ!!」
ネプテューヌが上段から斬りかかる。
それがヒューガに直撃する。だが・・・・
ガキィン!
「な!?」
ヒューガの腕がまるでダイヤモンドの様な色になり硬くなり、ネプテューヌの刃を阻んだ。
「ガァァアア!!」
「避けろネプテューヌ!」
右手を腰のあたりに引き、その右腕を思いっきり突き出す。
それを間一髪で躱すネプテューヌ。
「ユイトのより・・・・断然遅いわ!」
そして、ユイトの得意としており、散々打ち込まれた右の直進蹴りをお見舞いする。
胸に直撃する。
だが、答えていない。
「なんで!?もしかして・・・」
「いや、フォームもタイミングも完璧だ。ただ、あいつが頑丈すぎるだけだ」
そう、確実に決まった。だが、ヒューガは何事も無かったかのように立ち上がる。
「・・・コのくスりは、にンゲんの身体能力を極限まで向上させるダけデなく、オレの能力デあル、『硬質化』を強化サてイるのだ」
「なるほどな・・・・つまり、ネプテューヌの蹴りを、その能力で防いだという事か。だが、いつまでもつんだ?その薬」
ユイトはそのもっともな事を聞く。
「フ、無駄ダ。この薬ニ、ジかんのせいゲんなどない」
「嘘でしょ・・・・」
表情を引き締めながら、刀を構えながら、そういうネプテューヌ。
「さア、これデ、終ワりだ」
ヒューガの右手がこれまでになく、水晶の様な色になる。否、本当に水晶になる。それも否、ダイヤモンドだ。
「ネプテューヌ」
「ええ。頼むわよ」
ネプテューヌがユイトから少し距離を取る。
そして、ユイトは、ヒューガに向き直り、右腕を引き絞り、左手を開き、突き出す。
「ソう、こなクてワナ」
そして、数秒の静寂・・・・・上空から、遥か彼方に飛んでいたレンガの欠片が地面に落ちた瞬間、ヒューガとユイトは同時に地面を踏む。
「金剛石拳!」
「五十連
互いの右拳が衝突する。
「ぐお・・・お・・」
「ッ・・・」
互いにせめぎ合う。
ドガガガガガガガガ・・・・・
「!?」
その時、ヒューガは右手に伝わる、連続でくる衝撃に気付く。
それの一つ一つが重く、だんだんと押し返される。
いや・・・・・
砕かれた!
「な、なニィ!?」
ヒューガの右腕が吹き飛ぶ。
「ネプテューヌ!」
「ヴィクトリースラッシュッッ!!」
ユイトが上空へ飛び、その背後からネプテューヌがヒューガをV字にぶった切るッ!!
「ぐああああ!?」
切り裂かれたヒューガは、気絶し、地面に倒れた。
「なんとか倒せたな」
「ええ、この技が効いてよかったわ。さて・・・」
ユイトがいまだに地面に大の字に倒れているヒューガを担ぐ。
「その男、一応ルウィーの刑務所に連行しましょうか」
「ああ、そうだな・・・・!?」
いきなり、ヒューガの体がビクンと跳ねる。
「なんだ!?」
ユイトが声を上げた瞬間、ヒューガが口から血を大量に噴き出す。
「な!?」
ユイトは驚いて、ヒューガを地面に下ろす。
「な、なんで・・・」
「分からない・・・・・」
脈を調べる。
「どう?」
「・・・・」
首を横に振るユイト。
「そんな・・・」
「情報は何がなんでも守るって事か・・・」
ユイトは帽子を脱ぎ、黙祷を捧げる。
だがその時、ネプテューヌのNギアが鳴る。
「ネプギア?」
ネプテューヌは、Nギアを耳にあてる。
「どうしたの?」
『お姉ちゃん大変だよ!・・・ってなんで変身してるの!?』
「ごめんなさい、少しごたついてて」
『そ、そうなの?・・・ってそんなことより!』
何やら切羽詰まった様な声でネプギアが通話越しに叫ぶ。
ユイトが反対側から耳を近付ける。
『ラムちゃんとロムちゃんが誘拐されちゃった!』
「な!?」
「ええ!?」
騒動は、まだ終わらない。
反女神組織
女神に対し『不満』『憎悪』『嫌悪』などの感情を持つ、女神と敵対する組織の事。
ただし、女神ほどの力など持っているわけが無く、ほぼ一方的に殲滅される事があたりまえ。
この話で出てくる『ゼクト』という組織は、先代の女神たちが存在する年代から存在しており、女神を討つという目的を持っている事以外何もわかっていない。
今回の話で、それが実現に近付いてきているという事が判明した。