ユイトとネプテューヌがノワールたちと離れ、ヒューガと戦う数分前。
ラム、ロム、ユウマ、クロヤの四人は・・・
「ぐぇぇああ!?」
「ほらこっちだクロヤ!」
「その前に手を離せユウマァァァア!!!」
ユウマに後ろ襟首をつかまれ、絶賛引き摺られていた。
「ハア・・・ハア・・・この」
「大丈夫?」
「うん大丈夫」
今にもユウマに掴み掛かりそうなボロボロなクロヤにロムが心配そうに話しかけた途端、なんでもないような態度を取るクロヤ。
「あ!見て見て、デッテリュウだ!レアアイテムだよ!」
そこでラムがぴょんぴょん飛んで、空中に浮かんでいる大きなコインを見てはしゃいでいる。
「本当か!?」
ユウマがすぐに食いついた。
「おいユウマ・・・」
「あれもデッテリュウ」
「ん?本当だ」
見ると、まるで道の様にデッテリュウのコインが並んでいた。
「沢山あるね」
「流石にもういいか・・・」
「お姉ちゃんたちに持って行ってあげる」
ロムの発言に不満を持つラムとユウマ。
「えー、一緒に来てくれなかったんだよ」
「そうだぞ。なんでお兄ちゃんたちに・・・」
その言葉を聞いて、悲しい表情になるロム。
「でも・・・」
更にクロヤが反論する。
「お兄ちゃんたちは忙しい。それに、ああ見えて僕たちの事も心配してくれてるんだよ」
クロヤはともかく、ロムの表情を見て、ラムとユウマは観念して、同意する。
「分かった。お姉ちゃんたちにも持って行ってあげよう」
「そうだな」
「うん!」
「・・・・」コクリ
そのまま、コインの道にそって行ってしまう。
それが罠だと知らずに・・・・
「あれ?」
ネプギアが、ラムたちがいない事に気付く。
ちなみにムサシはノワールたちを探しているのでいない。
「ネプギア、どうしたの?」
「ロムちゃんとラムちゃんがいないの・・・」
「そういえば、ユウマとクロヤも・・・」
ライトがその事にも気付く。
「確か、あっちの方に・・・・!?」
ユニが指をさした方向の角から突然、鎖分銅を持ったクロヤが現れた。しかも、何かに敵意を向けているかのように、進行方向とは逆を向きながら。
「クロヤくん!?」
ネプギアが叫ぶ。
その声に気付いたクロヤが叫ぶ。
「ネプギア!ラムとロムが・・・うわ!?」
クロヤがいきなり後方に飛ぶ。
先ほどの角から、何かピンク色のヌメヌメとしたものが現れる。
「何あれ!?」
「とにかく行くぞ!」
三人は急いでクロヤの元に行く。
すると、そこにはなんか太ったドラゴンの様なものと、緑色の髪の少女がいた。
「ユウマ!?」
ライトがそう叫ぶ。見ると、ネプギアたちから見て、左側の建物にユウマが気絶したまま座り込んでいる。
「幼女以外に興味ねぇ!」
と、ドラゴンの様なものがそういう。
「うまくいきましたね、トリック様」
なんだか不良のような少女がそういう。
「ふざけるな!そんなで・・・ロムを攫うなぁぁあああ!!」
クロヤが怒号と共に鎖分銅の分銅の部分を投げる。
一度地面にぶつかり、バウンドし、更に左側の建物に直撃し、更にバウンド。螺旋を描く鎖がトリックに向かう。
だが、トリックが反撃と言わんばかりに長い舌を伸ばし、鎖分銅を迎撃。
「うるさい小僧だ!」
そのまま、クロヤに、ネプギアたちを巻き込んで吹き飛ばす。
「「きゃああぁあ!?」」
「うわあぁあ!?」
「ぐあああぁあ!?」
地面に倒れ伏す四人。
「んん・・・クロヤくん!」
ロムがなんとかトリックの指から口だけを外し、悲鳴染みた声でクロヤの名前を呼ぶ。
「う・・・ロム・・・」
朦朧とする意識の中で、クロヤは、ロムの名を呼ぶ。
だが、そんな事とは裏腹に、トリックたちは行ってしまう。
「ロムちゃん・・・ラムちゃん・・・・」
ネプギアは必至に手を伸ばすも、届く事は無かった。
ルウィーの教会・・・・
ユイトは、ネプテューヌたちとは離れ、ヒューガの遺体を事を、カリヤから、彼の事務室で聞いていた。
「あの男の事は?」
「酷いものだよ。まさか心臓と喉、更には大動脈に脳までと来た。これじゃあ記憶を探る事もできない。もともとできないけど」
書類を見て、そう言うカリヤ。
「そうか・・・・ユウマたちの容態は?」
「・・・・」
そこで少し険しい顔になるカリヤ。
「クロヤは、もともとあの三人より断然強いから、持ち前の受け身の技術で軽傷で済んだけど・・・まあ、ユウマも軽傷だよ、クロヤよりは酷いけどね」
どうやら、あのデッテリュウのコインの道を辿っていたら、いきなりロムとラムが捕まり、ユウマは反応できずあの舌に吹っ飛ばされ、クロヤは鎖分銅で防いだようなのだ。
そして、そこへネプギアたちが来た。
「ごめんカリヤ、俺たちがついていながら・・・」
「いいんだ。君は『ゼクト』の幹部の一人と戦っていたんだからね。まあ・・・・」
その声に、ユイトはゾッとした。
「
(まずい・・・久々にキレてるぞ・・・)
カリヤがブチ切れた時の怖さは、実際に目撃したユイトとネプテューヌ、ブランにノワールにヒカルにベールとクリスしか分からない。
「あ、いたいた。ユイトー!」
後ろの扉が開く。ネプテューヌだ。
「ブランはどうしたんだ?」
ユイトが聞く。
「それが追い出されちゃってさー」
「そうか・・・」
その中で、カリヤは浮かない顔をしている。
そこでふと、ユイトはNギアを取り出す。
「? どうかしたの?」
「いや、アイエフに相談を・・・ってなんだこれ?」
どうやら、あの二人組について調べて貰おうとしたらしいのだが、何か見つけたらしい。
ユイトのNギアを覗き込む、ネプテューヌ、ユイト、カリヤ。
そこには・・・・
「・・・行くぞ二人とも」
「分かった」
「OK・・・ブランを困らせたらどうなるか教えてやる」
なにやら黒いオーラをたぎらせて、三人は全速力でブランの事務室に向かった。
一方で、ここは外のベンチ。
「まったく、ブランの奴、少しは頼れよな」
ヒカルがそう呟く。
ここにはネプテューヌ以外のメンバーがそろっていた。
「素直じゃないのはノワールの専売特許ですので」
「それどういう意味よクリス!?」
クリスの言葉に食いつくノワール。
ネプギアとムサシは、ずっとブランの部屋のみを見ていた。
その中で、ベールがある事を口にしようとする。
「あの、皆さん。一つ言いたいことが・・・・」
「あのー・・・」
ベールの言葉を遮って、ネプギアが口を開く。
「なんでしょう・・・あれ?」
ムサシが指を指した場所には、ブランの部屋の窓、そこに、ブラン以外に誰かいた。
ブランは困惑していた。
目の前にいるゴスロリの少女、アブネスと他黒子二人に強制的な取材を受けさせられていた。
更にアブネスは、どこから仕入れたのか、妹二人の事を話題だしてきたのだ!
もともと、ロムやラムが誘拐されたと聞いた時、激しく動揺したのだ。更には、カリヤの弟であるユウマやクロヤも怪我をしてしまったのだ。
そのおかげでもう精神的に限界だった。
(もうだめ・・・助けて・・・カリヤ・・・・)
心の中でそう嘆いた。
その瞬間・・・・
「ブランになにしてんだゴラァァアアア!!」
突然、怒号が聞こえたかと思えば、アブネスの前に白髪の少年が立ちはだかる。
「没収だ」
さらに、黒子の片割れが持っていたカメラを取り上げるもう一人、黒髪の少年。
そしてもう一人、もう一人の黒子からマイクを取り上げる薄紫色の髪の少女。
「だ、誰よ!?あんたたち!?」
「私はネプテューヌ!プラネテューヌの女神だよ!」
「俺はユイト。同じくプラネテューヌの守護者だ」
そして、白髪の少年がドスの聞いた声でアブネスにいう。
「
口調が粗々しくなり、さらには鬼の形相でアブネスを睨むカリヤ。
「わ、私はアブネスよ!幼年幼女の味方よ!」
若干、怯えながら意地を張るアブネス。
「そ、そんな事より、あんたたち!こんなことをして、どうなるか・・・」
「うるせぇよ」
「ひ・・・!?」
だが、そんな根性などへし折るほどの気迫でカリヤは口を開く。
「テメェ、ブランがどれほど大変な思いしてんのか分かってんのか。毎日毎日、この国の為に、寝る間も惜しんで働いてんだ。それがお前たちにわかるのか。分かるわけねぇ、分かってたまるか。ブランの苦労なんて、お前にわかってたまるかよ」
すでに拳から血が滲み出ている。
だがアブネスは、無駄な意地を張って、
「う、うるさいわねえ!そ、そういうあんたも、あの兄弟の兄の癖して、弟たちの面倒を見ずに、しかもは怪我もさせて、よくそんなことを・・・」
「ちょっと
今度は、後ろにいるネプテューヌたちが口をはさむ。
「な、何よ・・・・」
「あの子たちが怪我したり誘拐されたのは私たちの責任だよ!」
「もしその事を話題に出す気なら、今度は俺たちがお前の『遺言』の相手になってやるぞ」
「・・・・ユイト、今遺言っていったよね?」
怒りの表情で、アブネスを睨みつけるネプテューヌとユイト。
「そ、そういう事なら・・・」
「ユイトたちが悪い訳じゃない・・・・だけどなぁ・・・」
一層、深く、恐ろしい声がアブネスの声に届く。
錆びたブリキの首のようにギギギと首を百八十度回転させると、先ほどよりも恐ろしい形相の白髪の『鬼』が立っていた。
「その事でブランを責めてたっていうんなら・・・」
アブネスの胸倉を掴み、額と額がぶつかりそうな距離で、一言。
「殺すぞ」
それだけで十分だった。
アブネスはその場で思考が吹っ飛び、足をがくがく言わせながら部屋から逃げて行った。
更に黒子二人もすたこらさっさとアブネスの後を追いかけて行った。
「ふう・・・・?」
ぼすん
カリヤが一息つくと、背中に小さな衝撃が来る。
次にすすり声。
「うう・・・カリヤ・・・・私・・・・」
カリヤは、その言葉の意味を察し、ブランを抱く。
「大丈夫、きっと見つかるさ」
「・・・・うん」
そう頷いた瞬間、がくっとブランの体から力抜けた。
「!? ブラン!?」
「どうした!?」
ユイトたちが駆け寄る。
だが、ブランはどうやら気絶しただけのようだ。
「さっきの放送で、シェアが低下したのか・・・・?」
人々の信仰が減ればシェアが低下する。その所為で、女神や守護者は力が出せなくなってしまうのだ。
「それにしては早すぎる。何か、別の理由で・・・・・体調不良か何か・・・」
そこでネプテューヌが扉の方を見る。
「ねえ、ユイト」
「なんだネプテューヌ?」
「あれ」
ネプテューヌが指をさした方向そこには・・・・・
「「あ・・・・」」
足をがくがくと震わせ、かろうじて立っているムサシ。そのムサシの左腕に必死に掴まりながら、ムサシ同様、足をがくがくと震わせているネプギア。その横で腰が抜けたのか、床にへたり込んでいるライト。その右腕にがっしりと掴まり、同じように腰が抜けたかの様に床に座っているユニ。
更には、若干顔を青くしているベールとクリスにヒカルの後ろに隠れているノワール。ヒカルは周りと違い、呆れ顔をしていた。
「し、師匠よりもこえぇぇえ・・・・!!」
「ここここ怖いよムサシくん~~!!」
「ししし心配するなユニ、あんなのがカリヤさんの訳がない」
「そそそそうよね!あんな鬼がカリヤさんの訳ないわよね!」
「な、何を現実逃避しているんですの?あ、あれは本当に・・・」
『聞きたくない!』
「みなさん、現実は受け入れるべきで・・・・」
『シャラップッ!』
「「・・・・」」しょぼーん
「ひ、ヒカル?もういい?」
「ああ、大丈夫だよノワール。もう終わったから。それとお前ら、あれがカリヤが・・・」
『黙れぇぇええ!!』
「怒ったときの姿だ」
『うわぁぁあああああ!!!』
必死に現実逃避している妹たちに辛い現実というミサイルをぶつけるヒカル。
その為、撃沈した候補生組。
「それで、ブランは大丈夫なの?」
ノワールが心配そうに、かけよる。
ちなみに、候補生組は撃沈したままである。
「ああ、気絶しているだけだから、心配はいらない」
ユイトがそう言い、安堵の息を吐くノワール。
「・・・・ベール」
そこでカリヤがブランを抱えたまま口を開く。
「あれは使えるか?」
「ええ・・・もとより、そのつもりですわ」
二人のやり取りに疑問を持つ、クリス以外の一同。
まだ撃沈中の候補生組も除いて。
カリヤは、ブランを寝かせる為に席を外し、ベールは、パソコンを取出し、そこから一つのソフトウェアを立ち上げる。
「実は、ブランとカリヤとは、ある計画を進めていたんです」
クリスが説明を始める。
「ルウィーで、人工衛星を使ったサービスが行われた事はご存知でしょう?」
「確か、お寺ビュー、だっけ?」
「十年前に終わったっていう?」
ネプテューヌがそう呟き、ノワールが付け足す。
「実は、あの人工衛星はまだ稼働しているんですの」
ブランが言葉を繋げる。
「地上写真のデータを送ってくる事が出来るんですが、その全てが低解像度の物なんです」
ベールが出した写真は、クリスの言う通り、全てが少し霞んでいる。
そこでユイトは気付く。
「そうか、その解像度を高解像度にするソフトウェアを、リーンボックスが作ったって事なんだな?」
「流石、察しが良くて助かります」
「おー、流石ベールの国は進んでるねー!」
ネプテューヌが大きく賞賛する。
「それで、私たちは二人に持ちかけたのですわ。ルウィーがこの写真をこちらに提供してくれる代わりに、我々はこのソフトウェアを提供する、と」
「え?それじゃあ、ルウィーとリーンボックスだけ、世界中の情報を手に入れる事が出来るって事?」
「えー!?それじゃあ私たちみられ過ぎてるって事じゃーん」
「呑気に言うな呑気に」
「痛い!?」
こつんとネプテューヌの頭を殴るユイト。
だが、それではルウィーとリーンボックスのみが情報を独り占めにして、他二つのプラネテューヌとラステイションの状況を勝手に見られてしまうという事だ。
「ふふ。実はそれを、皆さんと共有しようかと思っていたのですわ」
『え?』
ベールの言葉に豆鉄砲を喰らったかのような顔をする一同。
「これを言い出したのはブランなんです」
「ブランが?」
「友好条約を結ぶんだ仲なのだから、みんなで等しく使うべきだと、そう言ってしました」
「そうなのか・・・」
ヒカルが、そう呟く。
「それで、公開するタイミングを伺っていたと」
「サプライズプレゼントみたいで、素敵でしょう?」
ユイトがそう推測し、ベールがそれを肯定する。
その答えにふっと、笑うユイト。
「そうだな。出来たみたいだぞ」
気付くと、パソコンにある写真の映像の解像が終わった様子だった。
「さて、これであの二人を攫った奴らの居場所が・・・・これは・・・・」
パソコンの中を覗き込んだクリスの顔が険しくなる。
「・・・・これは少し、厳しいですわね」
ベールの顔も、少し険しくなる。
スーパーニテールランド。
その建設中の建物の前にて、一人の少女が、建物の影にて、誰かを持っていた。
「さあ、来い女神ども。ここをお前らの墓場にしてやる」
ロムとラムの救出作戦決行まで、あと数時間。