少年、夢野 久作は不思議に思っていた
何故、お姉ちゃんが自分の事を井上 雅と云ったのかを
僕は夢野 久作なのに対しお姉ちゃんは井上 雅だ
普通姉弟は名字が一緒になるのだが、僕とお姉ちゃんは違う
何か理由が在るのかと思い聞いてみることにした
「ん~?何で私と久作の名字が違うのかって?
ホラ、昨日に云ってただろう、私達は生き別れの姉弟だって、
私が棄てられた時に、井上さんって人と会ってね、其の人が私を引き取ってくれたんだよ
其のときに私は、養子になって改名したから、夢野 雅から井上 雅に変わったンだ 分かった?久作」
「うん‼分かったよ、お姉ちゃん」
本当に可愛くて愛しいな、私の久作は、
「久作~、元気なのは良い事だけど、百貨店だからもう少し静かにねっ、出来るかい?」
そう、私達は今、百貨店に居るのだ
「分かった」
「で?中也、速く前に行って、久作が欲しがっている沖縄産の黒砂糖が売り切れちゃうじゃないか」
「俺は小間使いじゃねぇ‼」
誰も小間使いとして扱っていないんだけどな
まぁ、荷物持ち、行列並び、買い出し、etc.位だな
「まぁまぁ、居候の身なンだから、少し働いたとしても良いじゃないか」
今、中也は拠点に帰られないので私の家に厄介になっている 私が次に拠点に行った時にでも一緒に送ろう
「よっ……取れたぁ」
ん、どうやら久作が黒砂糖を取ったようだ、それにしても久作可愛い
「久作、ありがとー」
久作の綺麗な髪を私がワシャワシャと撫でる
こうやって誉めると久作は少し頬を赤くして照れる
「でもね、久作、あんな人がいっぱい居るところにはこのお兄さんが行ってくれるからね、久作はずっと私の側にいて」
「おい、雅、手前、俺を何だと思ってる?」
「ポートマフィアの幹部の一人で居ながらも私の召使い」
「俺は召使いになんてなってねぇ‼」
「えっ⁉そうなの?」
「当たり前だよっ!」
中也からの鉄拳が来るが………まぁ避けるけど
其の間に久作は先程買った黒砂糖を一粒ずつ口の中で転がしている
「そいえば、久作、服其れしかないの?」
「う、うん……」
森さんアリスちゃん以外にも買ってあげなよ、折角可愛いのに服が少ないって可哀相だよ
「よしっ、買いに……百貨店か…可愛いのないな、また今度買いに行こっ、久作」
「べ、別にこのまま―」
「駄目だよ、久作、可愛いんだから、もっとお洒落になってくれたら僕嬉しいな~」
「お姉ちゃんは僕がお洒落になったら嬉しいの?」
「うん、凄く嬉しいよ、久作は僕の好きな人ランキングNo.1だからね、久作も好きな人がお洒落になったら嬉しいだろ」
其の言葉を云うと久作は耳までも真っ赤にして人形に顔を押し付けた、
其のときにふと思った
「久作、何で其の人形を何時も持ってるンだい?」
少し落ち着いた久作は人形から顔を離して云う
「これは……母さんの手作りだから…」
うん、何も云わないでおこう
「速く帰ろうぜ~酒呑みてぇ」