それでも頑張って今年中にはEXまで行こうと思いますので、それでもいい方は暇な時間帯にでも読んでくださいませ。
side Kirisame Marisa
──地底(霧の深い大通り)
「んんっ?」
「魔理沙さん? 急に立ち止まってどうしました?」
地底の中心地へと向かう際、急激に増加した魔力を感じた。
今まで感じた魔力の中でも、一際強い魔力を。
「あ。もしかして敵ですか!?」
「いや。違うと思う。どっちかと言うと、この魔力は......」
アリスやパチュリーによれば、人によって魔力の質も量も違うらしい。だから人によって感じる、感じられる魔力も違うのだとか。
そしてこの魔力の第一印象は『暖かい』という感覚だった。
誰かを守りたい、みたいな感情を魔力に含んでいるかのように。
「......多分敵じゃない。おそらくは正気がある妖怪でも残っていたんだろうな。だが、それももう手遅れかもしれない......」
「えっ? ど、どうしてですか?」
しかし、その暖かさに隠れて冷たさも感じる。
誰にでも容赦のない一面はあるものだが、これはそれとは少し違う。まるで深海のように真っ暗で、氷のように冷たい。
──他の妖怪と同様に、霧に精神を蝕まれているのかもしれないな......。
「この霧の中だ。正気を失っていてもおかしくないだろ?」
「それもそうですが......。もしかしたら、まだ間に合──っ!?
ま、魔理沙さん! 急ぎましょう!」
「どうした? 何か見つけたのか?」
「
突然何を言い出すかと思えば、根拠もなく、意味の分からないことを言い始めた。
──もしや、早苗もこの霧に......。
「あっ! その顔は信じていない顔ですね? でもでも。どちらにせよ急いだ方がいいとは思いません?」
「まぁ......あまり長い間霧の中に居たくないしなぁ」
「でしょでしょ!? さ、早く行きましょう!」
「あぁ、はいはい。分かったよ。......おっと。ちょっと待ってくれ」
「......アリスさんの人形?」
いざ行こうとしてみれば、懐に仕舞っておいたアリスの人形から音が聞こえた。
「あぁ、そうだ。......何か言ってる......かな?」
取り出して耳をすませると、僅かにアリスらしき声が聞こえるような気がする。
「......ダメだ。何言ってるか分からないな。......早苗。何とかできないか? ほら、お前の奇跡をパーって使ってさ」
「私は便利な道具じゃないんですよー! やってみないこともないですけどぉ」
「んじゃ、ほいよ」
と、アリスの人形を投げ渡す。
「あ、急に投げ、とっ。危ない危ない」
「ナイスキャッチだな」
早苗は慌てて人形を掴み取った。
「もうっ、普通に渡してくださいよ。では......私の奇跡をお見せしましょう!」
「ああー。そう言うのいいから」
「釣れないですねー。別にいいですけど......では......」
早苗は静かに両手で祈るように手を握る。
『......さ。ま......さ。まりさ......!』
すると、段々と人形の音が大きくなってきた。
『魔理沙! 聞こえる!?』
「あ、通じましたよー」
そしてそれは、アリスの心配そうに叫ぶ声へと変わっていた。
聞こえると同時に早苗から人形を返してもらい、耳に近づけて音に集中する。
「おう。聞こえてるぜ。どうした?」
『どうしたじゃないわよ! 全然繋がらなかったけど、大丈夫だった!?』
「つまらないほど何も無かったぜ。それよりもだ。どうして繋がらなかったんだ? 理由は分かっているのか?」
『河童曰く、人形の原理が分からないからジャマーなのかただの通信不慮なのか分からない、とかで詳しくは分からないわ。詳しく調べるなら解体して調べるしか無い、とか言ってたから断っておいたけど』
「お、おぅ、そうか......」
アリスは人形のことになると少し必死になり過ぎている気がする。
詳しく調べるためにもその河童──おそらくはにとり──に渡しておいても良かったと思うが。
『じゃ、通じたならまたそうなる前に話すから、大人しく聞いてなさいよ』
「上から目線過ぎやしないか?」
『気のせいよ。まず初めに、紫が小さな鬼を連れて私の家に来たの。で、『異変を終わらせてくれると信じていますので、連絡ができたら伝えてくださいませ』って言いに来たのよ』
小さな鬼と言えば萃香だろうか。
そう言えば、あの鬼ならこの黒い霧を消すこともできるかもしれない。あの鬼の能力ならば。
「で、その伝言は?」
『えーっと......『異変の後処理は私達に任せて、地霊殿を守れ』みたいな話だったわ』
「ふむ? 地霊殿を? ......何か重要な役割を担っている場所だから、ということか?」
『さぁ? そこまでは聞いてな......。でも、あの妖怪が言って......だし......じゃな......』
アリスの声が段々と聞こえにくくなってきた。
「ん? アリス? おーい! もっと大きくはっきりと!」
『そ......ても、し............』
「アリスー! ......ダメだな。もう聞こえない」
人形からの音はそれっきりで、全くと言っていいほど静まり返っていた。
「やっぱり、詠唱の時間が短いから奇跡の効果時間も短いんだと思います。もう少し時間をかければ、また会話することも可能だとは思いますが......」
「......いや。急ごう。手遅れにならないうちにな」
「はい! 分かりました!」
こうして、早苗を引き連れ、先の見えにくい霧の中を進んでいった────
side Renata Scarlet
──地霊殿(入り口前)
「ふん。大層な剣だなァ? だが、俺の二槍流に適うとでも思っているのか?」
私の黒い剣を嘲笑うかのようにその吸血鬼は鼻で笑った。
確かに私は近接攻撃が苦手で、普段はやろうとは思わない。
しかし、私はこう思っていた。
──何も知らないくせに。
「あぁ、その二本の槍を持つこと構えは二槍流と言うのですね。そのままだったとは......」
「余裕そうだなァ? 仲間の仇だと分かった以上、俺が直々に手を下してやる!」
「それはやめた方がいいですよ。だって私のこの剣、相手が重傷を負うまで直せませんから」
「重傷を負うまで、だァ? おい! あの小娘を囲め! 手は出すな! 俺の獲物だからな!」
吸血鬼の指示で結界を破壊しようとしていた妖怪達が辺りを囲む。
しかし、あの鬼の少女はその命令も聞かず、身動き一つしなかった。
「......あの娘、何なんでしょうか? もしかして抗っている? ......萃香さんと違って友達になれそうです。
それにしても、油断大敵です? 普通油断して殺られるパターンでしょうに」
「はっ! 俺は慎重なんだよ! お前は黙って殺されろ!」
「嫌です。この剣も概念系なので時間は長く持ちません。ですから急ぎます──」
剣を目の前に構えると、相手に聞こえないように小さく呪文を呟いた。
そして、すぐさま自分を有耶無耶にする。
「殺しはしません。
「はっ! 真っ直ぐ突っ込むだけかァ!? しかも遅せぇよ!」
吸血鬼は両手に持った槍を構えると、片方の槍を真っ直ぐと突く。
「避け──」
それは、相手に向かっていった『私』の頬を掠める。
避けれたのを好機と捉え、『私』は剣を薙ぎ払うようにして振った。
「──って言うと思ったかァ!」
が、吸血鬼はもう片方の槍で『私』の剣を弾くと......。
「消えろ!」
回し蹴りの要領で『私』を勢いよく蹴り飛ばした。
「口ほどにもない! このまま死ねぇ!」
吸血鬼は倒れた『私』に飛びかかり、一本の矛先を『私』の首へと突き刺した。
「は、はは。あっけないなァ! これで仇を......ああ? 消え──」
「消えましたね、『私』さん。
先ほどの通り、時間がありませんので......お楽しみの最中すいませんでした」
と、分身である『私』に気を取られていた吸血鬼の背後に、有耶無耶な状態で近づいた。
流石に死体から血が出ないと気付くようで、見えもしないのに辺りを見回す。
「まぁ、声は聞こえていないと思いますが......有耶無耶にした瞬間から今の今まで、貴方が戦っていたのは分身ですよ。ご愁傷さまです」
最後にそれだけ話すと、吸血鬼の背中を、縦に一刀両断した。
「うぐぁ!? な、ど、どこから......!? し、しかも痛てぇ! な、治るのも遅い!?」
「この魔剣『ダーインスレイヴ』は『呪い』と『契約』という概念を形作っています。しかし、流石に完全に再現はできなかったので、忠実通りに傷が治らなくて人を殺すまで鞘に納まらないとかではないです。
ただ、治りが遅く、相手に重傷を負わせるまで納めれませんが、ねっ!」
掛け声と共に次は横一文字に背中を切り裂く。
「ぐぁぁぁ! お、おい! 俺の後ろだ! 後ろを攻撃し......ぁっ!?」
「ごめんなさい。ただ、重傷を負うまでしないとダメなので......それに、貴方が悪いのです。お姉様をバカにしたから。お姉様を殺そうとしたから。......そして、貴方の欲望だけのために、地底の人達を傷付けたから!」
そう言って、一心不乱に敵を切り裂く。
誤って殺さないように、気絶だけで済むように斬る深さも注意しながら。
「はぁ、はぁっ......やっぱり、気分悪い......です......。早く、気絶して──え?」
「は、早く殺せ! 俺を斬っている方向へ突進でも何でもし──ぐは......っ」
「うるさい。そして、もう充分だよ。同じ鬼の子さん」
そう言って止めたのは、先ほどから動こうとしなかった金髪を持つ鬼の少女だった。
片手で殴って吸血鬼を気絶させ、もう片方の手で私の剣を握って止めていた。
「......いや、どうして見えているのです? それにどうして正気を......」
「見えるのは強いから。正気なのは狂気に支配されるほど柔くも弱くもない。お前と違って」
「むっ。それは聞き捨てなりません」
「いいえ。もう半分ほど狂気に支配されそうになっているよ。萃香様の言う通り、弱いね。精神とか身体とか。
じゃあ、お休み。ここのことは、私と後から来る貴女の仲間に任せて、ね」
「え? いやいや! その振り上げてる拳はダメ──っ」
振り上げられた拳は私の頭に振り下ろされた。
それにより、私の記憶がそこで途絶える────
金髪の角はレナと同じくらい紅かったりする。
次のために出しただけで、実はそれほど(ry