はい、というわけで久しぶりに強めのGLとR15要素があります。
それでもいいという方も、気を付けて読みましょう()
side Renata Scarlet
──早朝 紅魔館(レナータの部屋)
ルネ達が旅に出るその日。
私は昨日開かれたパーティーの疲れもあり、自分の部屋に一人で寝ていた。
いつも寝ているフランの部屋で寝ると、騒がしくてゆっくりできないからだ。
そして朝。日差しが入ることのない薄暗く、一人寂しい自室。
この部屋で寝ていると、体の疲れも取れる。
「お、重い......」
──はずなのに、何故か体が重い。
疲れが溜まり過ぎているのか、それとも毛布を被りすぎたのかと目を少し開ける。
すると、そこには鮮やかな金色の髪が見えた。
「ふ、フラン......?」
それはいつも見ている妹の、フランの髪だった。
フランは
どういうわけか、フランの両足は私の両足と絡み、両手で私の胸元辺りの服を掴んでいる。
「......重くないもん。お姉様よりはぜったい軽いもん......」
どうやら起きていたようで、私の声に反応してかフランが答えた。
フランは怒っているのか恥ずかしがっているのか顔を赤くしている。
「ど、どうしました? ルナと一緒じゃ......」
「......いないよ。私だけ」
まだ怒っているのか、フランは小さな声でポツポツと答えていく。
いつもなら多少怒っていてもそのような態度は取ることはない。
──となれば、とても機嫌が悪いのかな?
「......め、珍しいですね。フランがルナと一緒に居ないなんて」
必要以上に刺激しないように言葉を選ぶ。
もちろんそれは怒らせたら怖い相手だからであり、怒らせた経験があるからだ。
フランは怒らせるとしばらく相手にしてくれない。あまり効果が無さそうに見えるが私にとって、それだけはとても心にくるのだ。
「べ、別に珍しくなんか......」
「そ、そうですか......」
が、あまり効果はないようで、目を逸らされた。やはり、いつもよりも機嫌が悪いのだろう。
思い当たる節と言えば、ルネのことしかない。
表面上はルネに悪い態度を取っていたが、本当は旅に行ってほしくないのかもしれない。
「......お姉様。私がどうして居るか気にならないの?」
「え? あ、そ、そうですね。どうして居るのです?」
そう答えると、フランは「はぁ」とため息を付いた。
見るからに呆れられているのだと分かる。
「ほんと、なんでお姉様って......。でもまぁ、ふふん。それはそれで......」
フランの口がニヤリと歪む。
それはよく見る、悪戯好きなフランの顔だった。
「フラン? どうして笑っているのです? それと、足が絡まって動けないのですが」
「わざとそうしてるの。逃げられたら困るし......」
「最悪下半身だけ切り落とす事も......」
「どうしてそうなるのかなっ! もうっ、さっきから実の妹相手に失礼じゃない?」
言葉とは裏腹にフランは笑顔のままだ。
思っていたよりも全然怒っていないようで内心ほっとする。
が、それと同時にある疑問が浮かび上がった。
「......ねぇ、フラン。一つ聞いてもいいですか?」
「どうしたの? 改まっちゃって。別にいいよ?」
「......フランは、私が姉でいいの? ルネとの話を聞いていたから知っていると思うけど、私は本当の姉じゃないんだよ。前世、何が原因か今世に飛んできて、貴女の姉に憑依し、その体を乗っ取った名無しの人間。それが私なんだよ?」
フランの本当の気持ちを知りたいがために、自身も素の口調で話す。
それに、いつもの喋り方は敢えて作っていたみんなとの壁。生まれてきた時から薄々気付いていた、ミアの気持ちに対する謝罪と罪悪感によるものだった。
本当はそれももう必要はない。ミアには許してもらえたから。
しかし、私自身が許せない。少なくとも幻想郷へ来るまではミアの自由を奪い、幸せを奪っていたのだから。
「......もちろんいいよ。貴女はそうと知っても、私達を本当に好きでいてくれたから」
「で、でも......」
「というかさぁ! ......思いつめないでよ。私の前では何も隠さないで。思い悩まないで。全て包み隠さずに私に言ってよ。わ、私ね......お姉様のこと大好き。
姉妹だから、とかじゃなくて一人の吸血鬼として......貴女を愛しているわ、レナータお姉様」
「フラン......」
私の上で、私の妹は顔を赤くして照れながらも、真っ直ぐと目を見て言った。
対して私は今すぐ目を逸らしたい衝動にかられた。それは羞恥心に近い感情であり、またフランと同じく照れているのもある。しかし、妹がその感情に耐えて見ているのに、目を逸らすわけにはいかなかった。
「だからね、お姉様......」
と、フランは顔を鼻と鼻がぶつかるまで近付け、私の目をじっと見つめる。
「......フラ、......んッ!?」
そして、フランの唇が、私の唇に当たり、舌が絡み合う。
「っ......んぅ、んっ......」
「ひゃ、ひゃめっ! はふぅ......っ」
舌が絡み合い、まるで溶かされていくような感覚に陥った。
そして舌だけではなく、頭の中が、思考がぐちゃぐちゃにされたように感じる。
「んはっ......。お姉様のちゃんとしたファースト・キス、貰っちゃった。ウフフ」
「〜〜〜っ......」
不敵な笑み浮かべ、フランは満足そうな顔になる。
まさかキスをされるなんて夢にも思わず、絶対に間違いをしないよう、必死に理性を保つ。が、顔は触れなくとも熱く、真っ赤に染まっていることが分かり、自分も満更でもなかったのかもしれない、と少しだけ屈辱を感じていた。
「どう? 気持ちよかった? 私は気持ちよかったよ。血を吸う時とはまた別の心地よさだった」
「ふ、フラン......ッ! もう......もういいです。何も咎めません。が、しばらく一人に......」
「えぇっ!? どうして!? 私はまだ一緒に居たい!」
「ほんの数秒前の自分を見なさい......。
でも、はぁー。少しだけですよ。ですが、もうキスはやめてください。色々と精神的に......」
正直に話すと、軽いものなら何度か経験はある。しかし、深い方は初めてだ。前世も含めて初めてされたと思う。
できれば初めてはお姉様が良かった。フランでも悪くは無いが、実際やってみると色々と疲れる。主に精神的に。
今、外面では平静を装っているが、内面ではすごく焦っているのだ。
今すぐ爆発してもおかしくないくらいに。
「......そっか。ごめんね、無理矢理しちゃって。ごめんね......」
「え? い、いえ。わ、悪くは、思ってませんから......」
想像よりもずっと悲しがっているフランを見て、何故だか罪悪感が芽生えた。
フランに流されたら負けだと心の中では理解しているはずなのに。
「......本当に? お姉様も気持ちよかったの?」
「そうとは言ってませんっ! もうっ......フランの意地悪......。って、違う違う!」
「うふふ。素直になってよ、お姉様......」
「素直ですか、ら......えっ」
改めてフランの顔をよく見てみると、フランの顔も真っ赤に染まっていた。
どうやら、やった本人が一番恥ずかしいらしい。
「え? ど、どうしたの?」
「もしかしてフラン。無理してます?」
「む、無理してないもん! 別に普通だもん! ......うぅ......もう見ないでよぉ......」
フランも限界を超えたらしく、さらに顔を真っ赤にして目を逸らした。
互いに恥ずかしい思いをして、その場には変な空気が流れた。
「み、見ないでって! うぅぅぅ......強がってなんかないから......」
「......あの、フラン。無かったことにしません? それでお互い──」
「そ、それはダメ!」
フランは凄い気迫で話を遮った。
そして、しばらく無言でいると、ゆっくりと口を開けた。
「......私ね、ルナとある賭けをして、勝ったらお姉様に思いを伝えるって約束したの。
それで負けるわけにもいかなくて、勝っちゃって......。私達悪魔だから、契約とか破れないでしょ? だからね、思いを伝えるために頑張ったのよ。でも、お姉様があまりにも可愛くて......勢いでちょっとやり過ぎちゃった。ごめんなさい......」
「フラン......」
先ほどの大胆さとは打って変わって、恥ずかしそうに顔を赤らめ、自信を失くしたように静かになっている。
勢いあまって、というのは本当らしい。逆に見ているこっちが恥ずかしくなってくる。
「分かりました。無かったことにはしません。ですから......だから......」
「お、お姉様?」
「うぅ......。さ、さっきのお返しですっ!」
覚悟を決め、フランを力強く抱きしめた後、フランの唇に唇を重ねる。
「ふらっ......んぅ......」
「んぐっ、ふ......っ、はぁ。ねぇさまぁ......」
「んっ、ん......ぷはっ!」
キスの音が永遠にも感じる数秒間続き、その甘い感覚を僅かに残る理性で引き止めた。
「はぁ、はぁ、はぁ......。これで、お互い様ですね。
......もちろんお姉様達には秘密ですよ」
「うん......、ありがとう。私とお姉様だけの秘密だね」
今更だが、この行為はある意味自殺行為だったかもしれない。もし引き返せなければ、姉妹という一線を越えていたかもしれないのだから。
だが、フランも理性を保っているようだから良しとしよう。
「......ねぇ、お姉様。私と二人きりの時は、素の口調で話して。私だけに、そうやって話して」
「......うん、分かった。でも、他の人、特にお姉様にはこれで話すかもしれないよ?」
「それはそれでいいよ。私とお姉様だけの秘密はもうあるからね。
にしても、意外とお姉様も物好きねぇ。もしかして、好きになっちゃった?」
いつもの調子に戻ったフランは、明るく悪い笑みを浮かべてそう言った。
いや、いつも以上にご機嫌な様子だ。やはり刺激が強すぎた。
「なってない。フランが可哀想に思えたからよ」
「ふふーん。そんなこと言っちゃって。
私は好きになっちゃったなぁ。ねぇねぇ! またやってよ! 次は吸血も!」
「絶対ダメ! もう色々と危ないからね!? というか今の状況も本当にギリギリだったから!」
「え、ということは......。ウフフ。そっか。そっかそっか」
「怖いんだけど、その笑顔......」
フランは嬉しそうに笑い、改めて私を抱擁する。
しかし、フランが上に乗っているせいで、どっちが姉か分からない状態になっているのが少し遺憾である。
「お姉様。好き、愛しているわ。レミリアお姉様やミア、ルナ、咲夜、美鈴やパチュリーの誰よりも。貴女のことを愛している」
「......うん。嬉しい。けど、ちょっと力強いから抑えてくれるともっと嬉しいかな」
と、何気に骨をも折る勢いで力強く抱きしめられている。
よっぽど機嫌がいいのだろう。何故かフランは機嫌がいい時は力の考慮をしない。まるで今みたいに。
「あ、ごめんね」
「ううん。いいよ。それよりも......今ちょっとだけ思い出したんだけどね。いや、今というか、さっきの......さっき思い出したのよ」
「何? 何でも言って」
「前世、まだ人間だった時に、フランに似た人を見たの。普通、いるわけないのにね」
フランと
「私が......そこに居たってこと?」
「うん。そういうことよ。あれってフランだったのかな。でも、どうして居たんだろう、って。
色々と思うところはあるけど、今になって思い出したということは、前世というのは気のせいなのかなぁ」
「......どっちにしたって、レミリアお姉様よりも優位に立った気がして嬉しいっ!」
「そ、そんな声を張り上げることでもないんじゃ......」
「私にとってはそれくらいのことなの。......そうだ」
フランは思い付いたかのように声を上げ、私をじっと見つめる。
そして決心したかのように口を開いた。
「お姉様。最後に一つ、聞いていい?」
「いいですよ。何でしょう?」
「私は誰よりも貴女のことを愛しているって言ったわよね。でも、お姉様はどうなの?
貴女は......誰が一番好き? 嘘も建前も無しよ。......もし嘘ついたら指を一本ずつ砕くから」
あまりにも真面目にそう言って、少しゾッとする。
が、それは今に始まったことでもないため、まだ心に余裕があった。
「......私は、お姉様が好きです。誰よりも、お姉様のことが好きです」
「......そっか。うん、分かった。......って、お姉様! またいつもの喋り方に戻ってる!」
「え? あ、ごめんなさい。......じゃなくて、ごめんね」
「もう。油断したらすぐこれなんだから......。それでも、大好きだから。でも私達やレミリアお姉様以外を愛したら、その時は──」
フランは小さな声でぼそぼそと話す。
それは、わざと聞こえにくくしているようにも思えた。
「え? も、もう一度言って。というか、最後だけどうして小さく言ったの?」
「ウフフ。さぁね。って、お姉様! そろそろルネが行く時間だし、早く着替えよー」
「え? あっ。早く着替えないとっ!」
「そんな慌てなくて大丈夫だと思うけどー」
こうして、夢のような甘い時間は過ぎさる。
そして、私達はルネの見送りへと向かうのであった────
吸血鬼の早朝で深夜テンションに近かった、ということもあったとか。
そのせいで、次女はしばらくしたら平常に戻ってまた顔を赤らめる模様。
(しかし末妹は常に平常通り)
書き終わったあとの作者「何書いてんだ私()」