東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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最初に言います。今回の話、かなり誰得な気がします()

妹がわがまま。姉も意外とわがまま。
看病する時は、自分も伝染らないようにしよう()

これらが大丈夫な方は、暇な時にでもゆっくり読んでくださいませm(_ _)m


日常編その6、「長女の看病する一日」

 side Remilia Scarlet

 

 ──紅魔館(レミリアの部屋)

 

 今朝。部屋に来たレナが突然倒れた。

 

「むにゅ......」

「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

 

 近付いて触れてみると熱だと分かったので、今は私のベッドに寝かしている。

 

「りゃ、りゃいりょうぶ」

「もう何を言ってるのかさえ分からないんだけど......。

 昨日は何とも無かったわよね? 何があったの?」

「昨日、部屋に帰ってから頭がぼーっとして......。朝起きて、今日はお姉様と遊ぶ約束があったから急いでここに来たら、こうなってました」

 

 確か、昨日最後にあったのは食事の時。

 あの時は、何とも無かった気がするけど......。もっとしっかり見ていれば良かったわ。

 そうすれば、こうはならなかったはずだし。

 

「ねぇ、どうしてこうなるまで放っておいたのよ」

「だって、おねーしゃまと遊びたかったから......」

「あぁ、なるほどね。それだけのためにここまで放っておいたと。

 控えめに言って馬鹿。こうなる前に治す努力をしなさいよ!」

「だ、だってぇ......」

 

 私がそうやって叱ると、レナは今にも泣きそうな顔で私を見つめてきた。

 

 はぁー、そんな顔されると、叱れないじゃない。

 私、自分でもたまに思うけど甘い気がするわ。特に妹に。

 

「はぁー、もういいわ。今日はこれ以上何も言わない。だから、今は治すことに専念しなさいよ」

「はぁい......お姉様。ずっと、私の傍に居て......」

「えぇ、今日は居てあげるわよ」

 

 まぁ、とは言っても、食事やら、汗をかいた時の着替えとか、色々と用意しないとダメね。

 あ、咲夜を呼べば解決するわね。咲夜って、とっても便利。

 

「お姉様......ありがとう、ございます」

「ん、あぁ、お礼なんていいわよ。どうせ、今日は貴女と遊ぶ日だったから」

「......ごめんなさい、お姉様。私から遊ぼう、って言ったのに......」

「気にしないで。貴女のせいじゃないんだから。っていうか、早く寝なさいよ」

「......嫌です。目を離すと、お姉様が何処かに行きそうな気がして......」

 

 あら、珍しく我が儘になってるわね。いや、いつもこんな感じだったかしら?

 さて、どうするべきかしら。やっぱり、今日くらい、この娘の我が儘に付き合っても......。

 

「......まぁ、いいわよ。ただし、今日だけよ」

「おねーしゃまぁ......ありがとう......」

「だからお礼はいいって。それよりも、熱のせいでやばくなってない? 大丈夫?」

「だいりょうぶですっ」

 

 顔が真っ赤になってるし、呂律が回ってないし、大丈夫ではないよね?

 っていうか、熱で呂律が回らないって、かなりやばくない?

 私、熱になったことないから、よく知らないけど。

 

「そう、ならいいけど。......あっつ!? え、熱すぎない!?」

「えっ、そうにゃんです?」

「割と真面目に喋らないで寝なさい。本当にやばい気がするから」

「......もっとおねえしゃまとお話したい......」

 

 そんな、上目遣いで言われても......って、何この娘。可愛すぎるんだけど......。

 だ、ダメよ。この娘、呂律が回らないくらい衰退してるし、早く寝かせないと。

 でも、可愛いし、あの医者に見せればすぐに治るだろうし......。

 だ、ダメ! 悪魔の囁きに耳を傾け......あ、私は根っからの悪魔じゃない。

 

「お、おねえさまぁ?」

「......咲夜」

「はい、ここに」

「今すぐ永遠亭に行って、レナに合う薬を貰ってきて。一応、二人分ね。症状は......」

「説明しなくても大丈夫です。既に把握していますので。

 お嬢様方。無理はなさらず。では、数時間ほどお待ちを」

 

 咲夜はそう言って、現れた時と同じように一瞬で消えてしまった。

 

 これで、大事に至る可能性は低くなった。とはいえ、危険なのは変わりない。

 後は、この娘が安静にできるように......。

 

「レナ。横、失礼するわね」

「え? ......えっ!?」

「よっ、と。レナ、静かにしなさい。悪化するわよ?」

 

 そう言いながら、私は寝ているレナの横へと入っていく。

 そして、レナの首に手を回し、顔を近づけた。

 

「え、で、でも、熱が伝染るかも、しれないのに......」

「大丈夫よ。貴女と違って病気には強いしね。それに、こっちの方が安心するでしょう?」

「そう言う問題じゃ......まぁ、確かに安心はしますけど。なんてバカなことを......」

「馬鹿で結構。貴女が安静にできて、早く治るならそれでいいのよ」

「だ、だからといって、他にやり方があるでしょうに......嬉しいけど......」

 

 レナは何かぼそぼそと喋っているが、近いのによく聞き取れない。

 熱のせいで、余計にレナの声が小さくなっているせいなのか。それとも、わざと聞こえにくくしてるのかは分からないけど。

 

「さて、もう喋らないでよ。これ以上話していると本当に酷くなりそうだから」

「......はい、分かりました。......その代わり、なにか、話して。おねえさまぁ......」

 

 この娘......どんどん弱々しくなってきてるわね。一緒に寝るのは逆効果だったかしら?

 いや、一緒に寝るだけで悪化するなら、前にも同じようなことがあったわよね。

 それが無かったということは......まぁ、もっと安静にさせないとダメね。

 

「いいわよ。さて、何を話しましょうか。......適当な雑談でもする?」

「うん、お願い。......おねえさまぁ。聞こえにくいから、もっと近付いてもいい?」

「これ以上近付くって、抱きしめ......あぁ、うん。仕方ないわねぇ」

 

 そう言って、妹の背に手を回し、ゆっくりとその体を抱きしめた。

 そして、耳元で囁くように──

 

「これでいい? あ、声に出す必要は無いから。頷くだけでいいわよ」

「うん......いいよ」

「話聞いてた? まぁ、いいけど......」

「......おねえさまぁ?」

 

 そう言葉に詰まっていると、レナが突然、抱きしめるのを止めた。

 そして、私の目には、心配そうな顔をして顔を覗き込むレナの顔が映っていた。

 

「え、あ、大丈夫よ。気にしないで。だから、安心して抱きしめていいのよ?」

「......分かりました」

 

 レナはそう言って、再び手を私の背に回して抱きついた。

 目前に見えるレナの顔は、熱のせいか、はたまた恥ずかしいからなのか、真っ赤に染まっていた。

 

 とは言っても、何を話せばいいのか思い付かない......。

 レナに何か質問するような話はダメだし、他に何か......そうだわ!

 昔話とか独り言を......独り言は変な姉に見られそうね。けど、この娘なら分かってくれるわね。

 

「そうねぇ......じゃ、幻想郷(ここ)に来て思ったことでも話しましょうか」

 

 私がそう言うと、レナはこくりと頷いた。

 

 こうやっていると、なんだかこっちが恥ずかしくなってくるわね。

 私が姉なんだから、しっかりしないと......。

 

「私ね。こっちに来て本当に良かった、って思ってるのよ。人間に忘れ去られないからとか、力が元に戻ったからとか、じゃ無くてね。

 あっちに居た時よりも、貴方達が、みんなが楽しそうに見えるの。嬉しそうに見えるの。

 あっちに居た時は安全では無かったから。いつ襲撃されても、いつ忘れられても、おかしくなかったから......」

「............」

 

 顔が赤くて分かりにくかったが、レナの顔をじっくり見ると、静かに目を閉じて聞いていた。

 

 あらま。疲れきって眠っちゃったかしら?

 まぁ、安静にできてるならそれでいいんだけどね。

 

「ふふっ、可愛い寝顔ね」

「......一応、まだ起きてます......。眠いですけど......」

「あ、ごめんなさい。続きを話すわね」

「あ、その前に......もう一度、さっきの言葉を......」

「え? ......可愛い寝顔ね?」

「......ありがとう、ございます」

 

 無意識なのか、レナの抱きしめている力が少しだけ強くなった気がした。

 

「それくらい、いつも言ってるのに......。で、話の続きね」

「え、ちょ、ちょっと待って。いつも、言ってくれてるの......?」

「驚き過ぎ。っていうか、喋っちゃダメだって言ってるでしょ?」

「あ、ごめんなさい......」

 

 この娘ったら、本当におしゃべりな娘ねぇ。

 それにしても、さっきから口調が昔のに戻ったりしてない?

 熱のせい? それとも驚いてたから?

 

「......まぁ、何だっていいわね。

 ここに来てから、危険なんてものは無くなった。いや、異変の時は危険、なのかしら?

 まぁ、それ以外は特に危険は無いからね。だから、みんな、安心して暮らせている。

 本当に有意義な時間だわ。ここに来てからずっと......」

 

 けど、だからこそ怖いこともある。

 もしかすると、いつか、この平和な時間を潰されるのでは、と。

 表面上は平和でも、水面下で危険が迫っているかもしれない。こんなこと、レナ()の前では言えないけど。

 もし、そんなことが起きれば......私が守らないと。この娘達を、みんなを......。

 

「......何故でしょうか。おねえさまの考えてることが、分かる気がする......」

「え? って、だから喋っちゃダメだって──」

「これだけ。これだけは言わせて......。お姉様は、私が守るから。絶対に......」

 

 そう言うと、本当に無意識かと疑うくらい、私を抱きしめる力が強くなった気がした。

 

「貴女が? 私を守る? ......本当にできるの?」

「できる、できないじゃなくて、絶対に守ります。何があっても」

「......ふっ、ふふっ!」

「え、そ、そんな......笑わなくても......」

 

 ふと顔を見ると、レナは今にも泣きそうな顔になっていた。

 

「あ、違うわよ? 面白おかしいから、とかじゃないのよ?」

「だ、だったら、どうして......」

「成長したなぁ、って思ってね。つい嬉しくて。

 貴女は守られる子供って思ってたけど......気付いた時には、人を守れるくらいに成長してるものなのねぇ」

「わ、私、子供じゃないもん......」

「ふふっ、その言い方が子供じゃないの。全く、変わった妹だこと」

 

 もしかすると、フラン達もこれくらい成長してるのかしらね。

 あの娘も、もう子供じゃないのね......。

 

「......え? 次は、どうして泣いているのです? な、何か悪いことでも......」

「あぁ、違う違う。これも嬉しいからよ。っていうか、少し元気になったわね」

「お、お姉様が笑ったり泣いたりするから......。もう、疲れて眠くなってきちゃいました」

「あら、それは逆に良かった......ふぁ〜。私もなんだか眠くなってきたわ」

 

 もう、一層の事このまま一緒に寝ちゃおうかしら。

 何かあれば、咲夜が起こしてくれるだろうし。帰ってきてからになるけど。

 

「ふぁ〜......お姉様、一緒に寝よっ?」

「......なんだか貴女、フランに似てきたわね。悪魔らしい、誘惑するようなその顔とか」

「え!? べ、別に、誘惑とかそんな気は......」

「知ってるから慌てなくていいわよ。じゃ、一緒に寝ましょうか。あ、抱きしめる力、強かったら言いなさいよ?」

「......大丈夫。お姉様なら、どれだけ強くても......」

 

 レナがそう言うと、私はできる限り弱く、しっかりとレナの体に手を回し、抱きしめた。

 熱で温かい体は、吸血鬼である私には心地よく感じる。

 

 結局、無駄に多く喋らしてる気がするわね。......悪化したら、私のせいよね。

 悪化したらちゃんと謝っとこ。

 

 そう考えると、私はレナが目を閉じていることを確認してから、静かに目を閉じた────




この後、長女は伝染りませんでしたが、メイドに厳しく注意されましたとさ()
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