1、「妹達、初めてのおつかい」
side Renata Scarlet
──ある日の朝 紅魔館(食堂)
秋になって温気がいくぶん和らいだある日。『紅霧異変』が終わってから、一ヶ月もの月日が経った。
あれから、私達はお姉様に合わせるように朝に起きるようになった。前世が人間だった私にとっては、起きる時間が元に戻っただけなのだが。
「お姉様、少しいいですか?」
「いいわよ。どうしたの?」
「明日、人里に行ってもいいですか? フランとルナを連れて、三人で。あ、お姉様も大丈夫なら、一緒に行きたいです」
食事が終わった後、二人きりになったお姉様に聞いてみた。これはただ、フランとルナを外に連れ出したかっただけで特に意味は無い。
それに、フランとルナは部屋に篭ってばかりだからたまには外に連れて行ってあげたいのだ。
──私もフランとルナと一緒に居るから、ずっと篭ってばかりいるけど。
「......貴女、自分が吸血鬼だと分かって言ってるのかしら?」
「はい、分かっています。ただ、フランとルナを外に連れ出したいのです」
「それなら、神社でもいいでしょ?」
心配そうに姉は聞いてくる。やはり、何か面倒事に巻き込まれないかと心配しているのだろう。
「いえ、あそこだと、霊夢に怒られるので。それに、二人にはお買い物とかさせてあげたいですから」
「......はぁー、分かったわ。私も行きたいけど、今日は少し用事があるから行けないのよね......。レナ、フランとルナを守れる? あの娘達が傷つかないように出来るかしら?」
「はい、命にかえても守ってみせます」
「あぁ、うん、命の危険はあんまり無いとは思うけど......。まぁ、いいわ。そうね。買い物ついでにちょっと頼まれてくれない?」
珍しくお姉様に頼まれ事をされた。最近はいつも頼み事は咲夜がされていたので少し嬉しい。
「お姉様の頼みとあらば、勿論いいですよ」
「......貴女、少し重い気がするわね。色々と。けど、今は置いておくわ。
で、おつかいのことなんだけど、普通の食料が少なくなってきたから、人里で買ってきて欲しいのよ。値段も量も結構するとは思うけど、いつも咲夜が持っていってる分を持っていけば足りると思うから心配ないわ。
あ、何か買いたい物もあるかしら? あるなら増やすけど」
「んー、まぁ、あると思います。何を買うかは決めていませんけどね」
おそらく、フランもルナも好奇心旺盛だから、気になるものは全て買おうとするはずだ。それは、姉として買ってあげたい。全てお姉様から貰ったお金になるだろうが。
──あ、そう言えば香霖堂って外の世界の物も売ってるらしいから、人里の帰りくらいに行ってみようかな。
「そう、なら増やしておくわね。でも、使い過ぎないようにしなさいよ? 貴女、前に宝石とか真鍮とか下さいって言って、あげたばかりなんだから」
「お姉様、それは私じゃないですよ?」
「あら、ミアだったかしら? まぁ、どっちでもいいわ。どっちも次女なんだから」
「むぅ、失礼な。お姉様だからいいですけど。......それと、お姉様。ありがとうございます」
「それくらい別にいいわよ。それじゃあ、明日は気を付けなさいよ。何かあったらすぐに私に頼りなさいよ? 私は貴女の姉なんだから......」
「いつも頼ってますよ? お姉様は頼りになる姉なので。......では、明日。帰ってきたら、何があったか言いに行きますね」
「えぇ、分かったわ。楽しみにしているから、楽しんできなさい」
この後、私はお姉様と別れてフランの部屋へと戻ると、明日への準備を始めた。
次の日の朝。
昨日はフラン達に話をすると嬉しそうにして今日という日を待ち望んでいたようだった。
そして、その今日を迎えると、今か今かと楽しそうに、お姉様の見送りを待っていた。
「あ、やっと来た。じゃ、行ってきまーす!」
「早っ。はぁー、楽しみにしていたから仕方ない、か......。
気を付けなさいよ。それと、はぐれたりしたら、すぐにここに戻ってきなさい」
「はいはい。分かってるよ。全く、レミリアお姉様は心配症ねぇ」
「フラン、絶対にレナから離れちゃダメだからね?」
「はーい。じゃあねー」
お姉様と別れると、私達は人里へと向かった。
私達は咲夜に作ってもらった少し大きめのフード付きのパーカーを着て日光を防いでいる。私の魔法で見た目は人間のようにしてあるが、流石に弱点までは消せないのだ。日傘でもいいのだが、それだと目立つからとフード付きパーカーにしてある。
一応、何かあってフードが取れてもいいように、太陽に対する耐性は強くしてある。それでも、長い間太陽の下に居るのは危険なのだ。
「オネー様、人里行ったら、人間にバレないようにしないとダメなの?」
「はい。騒ぎになるかもしれないので。それと、変な人に絡まれても攻撃しちゃダメですよ? 私を呼んでください。貴方達は私が守りますので」
「お姉様も心配症なのねぇ。私達は大丈夫だよ。ね? ルナ」
「うん、大丈夫」
「そうです? それなら、いいですけど......」
とは言ったものの、やっぱり心配だ。少し過保護になるくらい守ってあげないと。フランもルナも見た目は十歳くらいの少女なのだから。
私もそこまで変わらないけど。
「お姉様。レミリアお姉様に何買えばいいのか聞いてる?」
「大丈夫、聞いていますよ。それよりも、フランとルナは自分が買いたい物を考えて下さい。あっちに着いてからでも大丈夫ですけどね」
「そうは言っても、別に私は買いたい物とかないからなぁ。ただ、私はお姉様達とずっと居れればいいだけだし」
「うん、私も、フランと同じ」
──あれ、このくらいの子供って、買いたい物とか無いの? いやまぁ、子供なのは見た目だけだけど。
「遠慮しなくてもいいのですよ? お金は全てお姉様が払ってくれますし」
「それを言われると、逆に遠慮したくなるんだけど......。じゃ、何か買いたい物を見つけたら買うってことにするね」
「......それなら何も言いませんね」
と話しているうちに、人里が見えてきた。やはり、飛んでいくと早い。
「二人とも、ここからは徒歩で行きましょう。空を飛んでいるのを人間に見られると不味いので」
「ん、分かった。でも、下は森だよ? お姉様、道に迷わない?」
「迷いませんよ。方向音痴じゃないのでね」
「オネー様、方向音痴じゃない?」
「じゃない、ですよ。それに、ただ真っ直ぐ行けばいいだけですし、迷うことは有り得ません」
「......ま、それもそうだね。じゃ、お姉様が先導してね。もしも、道に迷ったら......分かってるよね?」
フランがそう言って、いたずらっ子のような表情になる。
こういう時のフランはとても危険だ。選択をミスすれば、後でこわーいお仕置きが待っている。
とは言っても、フランの気分次第では優しくなる。
「わ、分かっていますよ。......あ、やっぱり今のは取り消しても──」
「無理。もう遅いよ。ま、大丈夫だと思うよ? ただ、真っ直ぐに進めばいいだけだしね」
「オネー様、頑張って。それと、フランはオネー様をいじめ過ぎちゃダメ」
「えぇー。ほんと、ルナはお姉様達が好きだよねー。......ま、私もだけど。さ、お姉様。早く下に降りて行こー」
「はい、分かりました。って、フラン。置いていかないで下さい」
「あ、待ってー」
フランに付いていき、私達は地上へと降り立った。
そして、地上へ降りてから三十分もの時間が流れた。
「......お姉様、私達に言う事ない?」
「......道に迷ってしまい、すいませんでした。何でもしますのでお許しください」
あれから、以上も経ったはずなのに、未だに人里が見えない。ただ、真っ直ぐ行っただけなのに......。どうして道に迷ったのか分からない。
「何でもする? 本当に?」
「やけに食いつくね。でもね、ルナ。それは後でにしようね。それよりも、どうするの? 空飛んで探す?」
「ですが、それだと人間に見つかる可能性が......」
「そんなの、お姉様が能力使えばいいじゃん」
「あ......フラン、貴女は天才ですか!?」
「え、あ、うん、ありがと」
今の今までその方法を忘れてた。最初からその方法を使えば、森なんて入らなくてよかったのに。
ただ、最近はほとんど魔法に頼りっきりで、能力なんて使わないから仕方ないとも言える。
──うん、仕方ない......よね?
「それじゃ、お姉様。手、繋いで」
「あ、私も」
そう言われ、私は右手にフラン、左手にルナと手を繋ぐ。
両手に花、とはこういう時のことを言うのだろう。今の私は女性だけど。
「はい、分かりました。......ルナの手、前よりも温かいですね。
もうそろそろで、ルナの身体は完全な吸血鬼になるでしょう。ルナ。今はまだ、フランから魔力供給をしないと生きていけないですが......いつか、それを無しで生きてみたいですか? その代わり、身体が壊れると同時に、心も消えますけど......」
「ん、勿論、無しの方がいい。今のままだと、生きてるだけでフランに迷惑かかる」
「私は迷惑なんて思ってないよ。だから、このままでもいいんだよ? ......身体壊れちゃったら、もう二度と会えなくなるなんて嫌だよ......」
「でも、吸血鬼にならなくても、フランから魔力を貰ってる。なら、フランが壊れちゃうと、私も消えない?」
「......いえ、消えません。他の誰かから、魔力を貰えばいいだけなので。ですが、一つだけ問題があります」
この問題があるから、私はミアの分しか魔力を与えることが出来ない。
魔法が使えなくてもいいなら、与えることも出来るが......それだと、何かあった時に誰も守れなくなる。そんなのは嫌だ。私は、私自らの手で姉と妹と、家族達を守りたい。
「人によって、魔力供給で使う魔力の量が違うのです。例えば、赤の他人が一とした時に、姉妹等の血縁関係が強い者なら五。双子や元が同じ人間でなら十、と変わるのです。まぁ、簡単に言えば、他の誰かですと燃費が悪いのです」
「......なら、お姉様なら燃費良いよね? 私が死んでも、ルナは生きれるよね?」
「......すいませんが、私は燃費悪いです。おそらく、普通の人とあまり変わりません」
「え......? ど、どうして?」
「......理由は分かりません」
「そっか......分かった」
本当は、思い当たることが一つだけある。
それは、この身体の所有権が私だからだろう。
──やっぱり、私って......いや、私はみんなを守る為に......。うん、大丈夫。ミアも私を許してくれてる。だから......私はみんなを守るだけでいい。
「......お姉様?」
「ん、オネー様、大丈夫? 早く空から人里探そっ?」
「......はい、大丈夫です。探しましょうか」
迷いから逃れるように、私は空に飛び上がった。
もちろん、二人の手を繋ぎながら!
「んー......あ、結構近かったね。でも、歩いてた方向と逆じゃない?」
「え......気のせいじゃないですか?」
「......オネー様、もう一緒に遊びに行かなくてもいい?」
「ごめんなさい。もう先導しません。だから、これからも一緒に遊びに行って下さい。お願いします」
「オネー様、冗談。だから、そんなに頭下げない。そんなに遊びに行かないの、嫌?」
ルナが私を心配そうな目で見つめてくる。その真っ直ぐな目は正直で麗しく、混じり気がなく綺麗な紅い目をしている。
──うん、可愛い。銀髪なだけで、見た目はフランと全く同じだからなのかな。やっぱり、はたから見たら、双子に見えるんだろうね。実際双子と同じようなものなんだろうけど。
「......ルナと一緒に遊べないのが嫌なのですよ」
「じゃあさ、お姉様。私は?」
「あ、フランもですよ。......これ以上、話を続けていると、日が暮れそうですね。早く行きましょうか人里に着いたら、能力を解きますので」
「はーい」
「うん、分かった」
こうして、長い時間をかけてようやく、人里へと入ることが出来た。
時間も過ぎ、結局入ったのは昼頃になってしまった。
人里は活気で満ち溢れており、そこら中で市などのお店が開かれている。
「ふーん、人間がいっぱいいるね。全員弱そうだけど」
「フラン。そういう事は言わないでください。バレますので。あ、手は繋いでて下さいね。はぐれたら嫌なので」
「オネー様、一番はぐれそう」
「うん、そうだよね。お姉様、ちゃんと手を繋いでてね?」
「え、私は子供じゃないのですよ? 次は大丈夫ですよ。絶対に」
流石に、二回目はないだろう......と信じたい。
それに、戻る時は魔法があるから大丈夫だ。
──あ、フランとルナとはぐれた時はどうしよう。置いていくなんて絶対にできない。
「ふーん、そう、それならいいよ。でも、一応、はぐれた時はここ、人里の入口に集合ね。お姉様、分かった?」
「フラン、子供じゃないのですから、大丈夫ですよ。さ、早く頼まれた物を買って、色々見て回りましょう」
「オネー様迷いそう。どうする?」
「お姉様から目を離さないようにしよっか」
「ルナ、フラン。それは私に聞こえないように話して下さい......」
妹に目の前で言われるなんて、これでは姉の威厳も形無しだ。
「あ、お姉様。あのお店じゃない? ほら、お肉が売ってるし」
「人間って肉を食べるの? 血じゃないの?」
「あのお店ですね。ほとんどの人間は血を飲まないですよ。私達と同じように肉とか野菜は食べますけどね。本来、私達は血だけでも充分なのでしょうけどね」
「血は、美味しいのに。特に、オネー様の血は。甘くて、とろけて、喉に残ることなく......うん、想像したら飲みたくなった。ねェ、オネー様。いいよネ?」
「今はダメです。家に帰った後にして下さい。それよりも、早く買いましょう。他の物を見る時間が少なくなりますので」
「分かった。我慢する」
私達はまず初めにお姉様に言われた物を買うために、人里を歩き始めた。
そして、数時間後。
私は、一人で人里をさまよっていた。
「......あぁ、これは絶対にやらかしました。絶対フランとルナに怒られます......」
お姉様に言われた物を買った後、色々なお店を見て回っていた。
そして、ちょっとくらいなら離れても大丈夫だと思い、フラン達とは違うお店を見に行ってたのだが......フラン達と居たお店を見失ってしまったのだ。決して道に迷ったのではない。ただ、分からなくなったってだけで......。
──でも、絶対怒られるよね? しばらく妹の言いなりになりそうなんだけど? 姉なのに、妹の言いなんて......。可愛いからいいけど。
「独り言とか言って大丈夫? こんなところで小さい女の子一人とか襲われるよ?」
「そうなのですか? でも大丈夫......って、今の誰?」
「いや、前じゃなくて後ろ後ろ。ちゃんと見ろー」
「え、痛っ」
そう言われて、頭をぽかぽかと叩かれた。
後ろを振り返ると、小さく、私と同い年くらいの少女が立っていた。その少女は薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングに緑の瞳を持ち、鴉羽色の帽子に薄い黄色のリボンをつけている。
そして、何よりも注意を引かれたのが、左胸に閉じた大きな目だ。そこから伸びた二本の菅のような物は、一方は右肩を通って左足のハートへつながり、もう片方は一度顔の左でハートマークを形作り、そのまま右足のハートへつながっている。
この姿を見て確信した。
──間違いない。この娘は古明地こいし。無意識を操る妖怪だ。
「......貴女も小さい女の子じゃないですか」
「私は妖怪だからいいのよ。って、貴女も妖怪? 妖力やばいねー」
その言葉に、私は驚きを隠せなかった。私の姿や魔力に加え、一番気付かれやすいであろう妖力も『有耶無耶』にして隠してあるのだから。
ということは、もしかして効いていないのだろうか。昔、ルネも似たような能力持っていて効かないことがあった。だから、同じような能力を持っているこいしにも効かないのかもしれない。悪い妖怪じゃないと思うから、バレても平気だろうが。
「はい、妖怪ですよ。でも、他の人にはバラされないで下さいね。あ、私と同じくらいの背丈をした女の子を二人、見ませんでしたか? 私、はぐれちゃったのです」
「んー......あ、見たよー! 同じ妖怪の子だよね。でも、話しかけても無視されたのよね。貴女をいれても数人しかいないよ。私に気付く人は」
「ふむ、そうなのですか......」
やっぱり、同じような能力だから分かるのだろう。
能力としては、有耶無耶と、あやふやくらいの違いはあるとは思うが。
「それじゃぁ、行くよー!」
「え? 何処にです?」
「え? さっき貴女が言ってた女の子のところだけど? はぐれたんでしょ?」
「あ、なるほど。案内してくれるのですね」
「うん、そうだよー。優しいでしょ」
「それ、自分で言いますか? でも優しいと思いますよ。ありがとうございますね」
「いいよいいよー。さ、私に付いて来てね」
私は促されるままにこいしに付いていくと、入り口の方へと向かっていた。
入り口に到着すると、見慣れた可愛い妹達がこちらに飛び付いてきた。
「オネー様!」
「お姉様! 大丈夫だった!?」
二人は心配そうな顔をしていたものの、私と目があった瞬間に嬉しそうな顔へと一変していた。
そして今更だが、ここに来た時にここをはぐれた時用の待ち合わせ場所にしてたことを思い出す。
「ルナ! フラン! ......心配をかけてすいませんでした。もう二度と、貴方達から離れません」
「うん、感動の再開ってやつだね。良かったね、また会えて」
「......? お姉様。その娘は?」
「あら、さっきも会ってたよ? 私は古明地こいし。よろしくね」
「こいしは、迷子になっていた私を助けてくれたのです」
「へぇー、お姉様がお世話になったんだね。ありがとう」
特に気にしなかったが、どうやら今はこいしのことがフラン達にも見えているようだ。
どうしてかは分からないが、おそらく私が関係しているだろうとは思った。
「気にしないで。私は無意識に行動しているだけだしね」
「そうなのね。......え、それってどういうことなの?」
「私、覚って言う妖怪なんだけどね。目を閉じちゃったから、無意識に行動するようになっちゃったのよ」
「ふーん......お姉様、要するにどういうこと?」
「そこは私に聞くのですね。まぁ、帰ってから詳しく話しますよ。それよりも、買い物はどうしますか? 私のせいで、時間は遅くなりましたけど......」
私がはぐれてから、大体一時間くらいは経っている。その間、フランとルナはここで待っていたんだろう。本当に申し訳ないことをした。
「ううん、大丈夫。ネ、フラン」
「うん、そうだね。お姉様がいないのしばらく気付かなかったから、色々と見て回ったんだよね」
衝撃的な事実に、少し......いや割と傷付く。でも、勝手に迷ったのは私なんだから仕方はない。
「それでね、私達、ちゃんと買えたよ」
「うん、買いたい物がネ」
「そうなのですか? で、その買いたい物って何です?」
「これだよ。赤い宝石が付いたペンダント」
「オネー様へのプレゼント。ミアとレミリアオネー様も似たようなのを買ったの。オネー様達、宝石好きだから」
私へのプレゼント......?
──本当に? 夢じゃない? フランとルナからのプレゼントなの? ......あぁ、どうしてか、目から熱いものが込み上げてきている......。
「フラン、ルナ......ありがとうございます。大好きです。
私みたいな姉でいいのなら、ずっと......貴方達の姉でいさしてください」
「勿論いいよ。というか、お姉様、いきなりどうしたの?」
「オネー様、泣いてる。嬉しくなかった?」
「いえ、とても嬉しいですよ。これは、嬉し泣きです。それにしても、これは一体どこで買ったのですか? こんな高価な物、とても人里で売ってる物とは......」
「ん、少し人里から離れた場所に、お店があったの。そこで、これが売ってたのよ」
人里から離れた場所? ということは香霖堂だろうか。あそこなら、外の世界から流れてきたのも売っているはずだ。
しかしこのペンダント、薄らと魔力を感じるけど、魔法の品だろうか。魔法の具合から見て魔力を蓄積出来る物だと思うけど......。
──よく霖之助さんから買えたね、こんな貴重な物。まぁ、本人には会ったことないから、買えてもおかしくないのかもしれないけど。
「じゃ、私はもう御役御免かな? あ、そう言えば、貴女に似た人を見たことがあるんだけど、知り合い?」
「え、私に似た人ですか? ......私に全く似ている人なら、知ってると思いますよ」
「あ、見た目は似てないよ。ただ、雰囲気とか、私に気付いたりするのが似てたのよ」
「んー......誰でしょうか?」
「......お姉様、ルネじゃない? あいつ、生きてたんだよ」
「あ、ルネですか。それなら、知っていますよ」
そう言えば、ここに来てから見てない。だがまぁ、生きているなら良かった。一応、知り合いな訳だし。
「ふーん、知ってるんだ。あの人とその仲間達、地底で色々やってるみたいだよ。ま、関係ないと思うけどね。一応、言っとくね。じゃ、また会おうねー」
「またねー」
「バイバイ」
「......あ。ばいばいです。......もう買う物は全て買ったはずですし、もう帰りましょうか。帰りは、私の魔法ですぐに着きますので、迷うことはありませよん」
「ふふん。そうだね。じゃ、帰ろっか」
帰りはゲートを使い無事に到着した。こうして、私達の初めてのおつかいは、無事終わることが出来たのであった────
まだまだ続く、日常編。
無意識のお方は、まだ出る模様。
ちなみに、次は長女と三女が主人公。
あ、次は水曜日に投稿予定