今回は題名通り、妹達が遊ぶだけのお話。
side Renata Scarlet
「フラーン、ルナー、後ついでにレナー。遊びに来たよー」
もう四月だと言うのに、まだ雪が振る今日この頃。
地霊殿に行ってから何週間か経った後でも、こいしが毎日のように遊びに来てくれた。勿論、私ではなくフランとルナの為に。
「あ、こいし! また来てくれたのね!」
「こいし、こんばんは」
「こんばんはです。と言うか、ついでにって酷くないですか!?」
「こんばんはー。んー、そうなのー? ま、何でもいいやー。それよりも、早く行こー!」
こいしは、フランとルナを外に遊びに連れて行ってくれるからとても助かる。基本的に、夜に来て紅魔館の近くで遊んでいる。
ちなみに、心配だから私もついて行ってる。まぁ、三人とも妖怪だから大丈夫だとは思うけど......一応ね。
それにしても、私に対して酷くない? ......まぁ、無意識だから仕方ないね。
「今日は何処で遊ぶの? 森の中?」
「たまには人里まで行ってみよっ! ねぇねぇ、お姉様。いいよね?」
「え、んー......まぁ、何があっても私が守りますからいいですよ。ただし、人間にバレないようにして下さいね。まぁ、ある程度なら大丈夫だとは思いますけど......」
「やったー! さ、ルナ、こいし。行こっ!」
「分かったー」
「うん、行こう。......オネー様、早く行かないと置いていかれるよ?」
「ん、そうですね。行きましょうか」
こうして、私はいつも妹達について行く。理由は勿論、心配だからと言うのもあるが、何か不測の事態が起きても対処出来るようにだ。
まぁ、私でも対処出来ないことはあるけれど、居ないよりは居た方がいいと思うしね。
「今日は何して遊ぼっか?」
「んー、とね......かくれんぼ!」
「こいし強過ぎるからダメ。もっと公平なのがいい」
「えー! それなら......んー、何がいいかなー?」
「缶蹴りとかはどうです?」
「缶蹴り? ......あ、お姉様と二人きりでしたあれ? あれつまんなーい」
「それは二人でしたからですよ。私も含めて四人もいれば、楽しいですから安心して下さい」
まぁ、確かに二人で缶蹴りはちょっと面白みに欠けるからね。......まぁ、フランも私も吸血鬼だからか、相手が一人でも人間の時より大変だったけど......。
「ふーん、それじゃぁ、缶蹴りやる? お姉様が楽しいって言ったなら、本当に楽しいとは思うよ」
「じゃ、それにしよっかー」
「オネー様、ルール教えて」
「鬼は缶を守り、逃げる方は缶を蹴れば勝ちと言う簡単なルールですよ」
「......オネー様、こいしが無双しそう」
「鬼を私がやれば大丈夫ですよ」
フランやルナと違って、私はこいしを見つけやすいしね。まぁ、気付かない時は本当に気付かないけど......。
「ま、私強いからね、仕方ないね」
「むっ、オネー様、やっぱり私が鬼やる。今日こそはこいしに勝ちたい」
「どうして貴女は火に油を注ぐようなことを......。まぁ、いいですよ。ただし、負けたからといって、私にあたらないで下さいね?」
「私、オネー様にあたったことないよ?」
「え、あ、それはフランでしたっけ?」
「お姉様、言いがかりやめて。私、お姉様にいつも優しいよ? 優しすぎるくらいだよ?」
え? いつも? ......余計なことは言わない方がいいよね、うん。
「......ソウデスネ」
「何よ今の間!? そしてなんで片言!?」
「フラン、オネー様。こいし、先に行っちゃったよ?」
「置いていかれると不味いでしょうし、急ぎましょうか!」
「あ、お姉様! 逃げるなー!」
「あ、待って」
こうして、私達はいつも通り、月に照らされて銀色に光る雪の世界へと出ていった──
──数時間後 人里近くの森
「......ルナ、もう諦めてもいいのですよ? 試合終了のホイッスルはもう鳴っているのですよ?」
「諦めたくない。それと、オネー様。何言ってるか分かんない」
あれから、ルナが鬼で、何回も何十回も缶蹴りをやっているが......一度も勝っていない。
勿論、勝てない理由は──
「とりゃー!」
「あ、また飛んでった! こいし、卑怯!」
こいしである。もっと詳しく言えば、こいしが意図せずとも無意識になっているので、気付かれることなく缶を蹴って逃げていく。
ルナが気付いた時には、缶が何処かへと飛んでいってるのだ。
ルナも結構本気で、能力を使っていない私が行くと、すぐに捕まえれるのに......。
「ハハハー、勝てばよかろうなのだー」
「卑怯と言うか、この娘、能力解けないから仕方ないような......」
「ルナー、諦めて雪だるま作ろうよー」
ちなみに、フランはルナを勝たせる為に、十回目くらいで鬼になったのだが......やっぱり負けるので、今は諦めて私と一緒に雪だるまを作っている。
私が鬼になるという方法もあったのだが、それはルナに断られた。出来る限り、一人で勝ちたいのだろう。まぁ、フランに手伝ってもらった辺り、フランも
「嫌! 勝つまでやる!」
「はぁー......こいし、負けてやってはくれないのですか? このままだと、朝まで続きますよ?」
「だが断るー」
「あぁ、はい、分かりました......」
ルナもこいしも負けず嫌いなんだなぁ。まぁ、朝までには無理やりにでも帰らすか。今は曇ってるから大丈夫だけど、それでも朝は危険だろうしね。
それにしても、私達って、雨は無理なのに雪は大丈夫なのね。......まぁ、流水じゃないからなのかな。よく分からないや。
「お姉様、雪だるま完成したね。次はかまくら作ろー」
「かまくらですね。分かりました。......やっぱり、魔法はダメですかね?」
「ダメー。そんなのつまらないでしょ? 私は作るのを楽しみたいのー」
「んー、私には少し分からないですが......フランがそう言うなら、そうしましょうか」
正直に言うと、作るのめんどくさい。まだフランと一緒に作っているからいいけど......一人でなら、魔法で雪を動かしたり、氷を作って自動的にかまくら作ってると思う。
「......お姉様って、めんどくさがり屋だよね。ま、別にいいけどね。私と一緒に遊んでくれるなら」
「......それならよかったです。フランやお姉様達には嫌われたくないですしね......」
「え? お姉様、急にどうしたの?」
「......いえ、ただ、そう思っただけですよ。何も気にすることはありません」
「ふーん......」
私とフランは、雪だるまを作りながら、そんな会話をしている。
そのすぐ横では、またルナが悔しそうにしていた。やっぱり、また負けたんだね。
「そう言えばさ、今って四月なんだよね?」
「そうですよ。......どうしました?」
「ここでの四月ってさ、雪が降るものなの? 前に魔理沙から聞いた話だと、今頃は桜っていう花がいっぱい咲いてるって......」
「え? ......あ、そう言えば、おかしいですね」
今まで何とも思ってなかったけど、四月なのに雪が降るのは確かにおかしい。まぁ、ただ単に、春が来るのが遅いってだけなんだろうけど。
「もしかして、これって異変だったりするのかな?」
「......嬉しそうですね。だけど、残念ですが、ただ単に春の訪れが遅いってだけだと思いますよ」
「そっかー......異変だったら、解決しに行きたかったのになぁ。魔理沙とか霊夢にも出来るんだし、私にも出来ると思うんだけどなぁー」
「......出来れば、危険だからやめて欲しいですけど、フランが楽しめるのなら、機会があればやってみましょうか」
確か、お姉様も異変解決に行ってたからね。......ん? 何か忘れてるような......。
「もー! 私の負けでいいー!」
「私に勝つなんて千年早いわー」
「むぅ......はぁー! もう疲れたー。怒る気力もないー」
「あ、終わったみたいですね」
「うん、そうみたいだね。ルナー、こいしー。かまくら一緒に作ろー」
「ん、分かった。こいし、貴女も早く行こっ」
「敗者が勝者に命令するかー。でもいいよー」
ま、まぁ、無意識だから仕方ない......のかな? もうわざと言ってるようにしか見えない......。
「......怒るのは我慢してあげる......。オネー様、後で、ね?」
「どうしてそこで私に!?」
「レナ、諦めるのも時には肝心なんだよ?」
「貴女のせいですけどね!?」
「お姉様、落ち着いて。大丈夫だよ。私がついているから。......ま、止めはしないけど」
うぅ、みんなして私を......。もういいもん。後でお姉様に慰めてもらおうっと。
「あ、お姉様。桜ってさ、綺麗なのかな?」
「綺麗ですよ。冬があけたら、見に行きますか?」
「え? ......うん、そうしよ! お姉様や美鈴とかも連れて行こうね!」
「はい、みんなで行きましょうか」
「あ、その時は私も行くよー。多分、ほとんど邪魔にしかならないけどね!」
「それが分かっているのなら、おやめください」
まぁ、これも無意識に言ってることなんだろうけどさ......。やっぱり、こいしは全然読めないや。
「でも、オネー様。冬っていつになったらあけるの?」
「それは、勿論、もう、すぐ......あ!」
「え、お姉様? 急に大声を出してどうしたの?」
「え、い、いや。何でもありませんよ。それよりも、いつあけるかですね。多分、五月くらいにはあけますよ」
そう言えば、忘れていた。
今年、『春雪異変』があるから、冬があけるの五月よりも先だ......。
「ふーん、結構待つんだ。ま、気長に待つしかないよね」
「それまで、こうして雪で遊べるなら私はそれでもいいかなぁ。お姉様も一緒に遊んでくれるし、レミリアお姉様もたまに来てくれるし、私はそれで充分だよ」
「......うん、私もフランと同じ意見。冬があけるまで、こうして遊んでよっか」
うーん......異変を早く解決する為に手を打つか......それとも......。
「お姉様? どうしたの? 早くかまくら作ろー」
「え? あ、そうですね」
まぁ、流れに任せるか。わざわざ妖怪である私が手を出すのもねぇ。
そんなことを考えながら、今日もいつも通りの一日を過ごした。ちなみに、この後、何故かルナに八つ当たりされるのであった────
次回からは、『春雪異変』となります。
なお、投稿日は日曜日の模様