なお、戦闘描写はない模様()
side Renata Scarlet
──冥界(白玉楼)
咲夜と合流してから、少しだけ進んだ。
途中、死霊が飛んできたり、咲夜に倒されたはずの半人半霊の庭師が追いかけてきたが......まぁ、戦うのが霊夢達、人間だけだとしても、三対一では流石に勝ち目は無かったみたいだ。
そして、進んでみて分かったことだが、冥界にも桜の木があった。そのどれもが満開で、綺麗な桜を咲かせていた。
ただ一つ、進んでいる先に見える大きな桜......
「なんだか気味が悪い......」
「あの桜のことですか?」
「うん。上手く説明出来ないけど、何故かそんな気がするの。ここが冥界だからかな?」
「......いえ、それは関係ないと思うわよ。あの木だから気味が悪い、だと思うわ。ほら、他の木は気味が悪くないんでしょ?」
「あ、それもそうね。......お姉様、何かあったら、私のこと守ってくれる?」
突然、フランが故意なのか、偶然なのか、上目遣いでそう聞いてきた。
うん、やっぱりというか、当然というか......可愛い。まぁ、お姉様と似ているし、可愛いのは当たり前か。
「......あ、はい、もちろん守りますよ。私は姉ですから」
「あ、オネー様、私も!」
「はい、もちろん貴女のことも守りますよ。貴女も私の妹ですからね」
「妹様方、何かありましたら、まずは私が。私はメイドですから」
「......メイドって護衛も兼ねるものなの?」
「私に聞かれても困るぜ」
それにしても、平和だなぁ......たまに死霊が攻撃してくるけど、それ以外は全くもって平和だ。
これからこの異変の黒幕に会うと言うのに、気楽過ぎる気もするけど......まぁ、これくらい気楽な方がいいよね。緊張し過ぎる方が逆に悪いだろうし。
「やっぱり、冥界ってお化けが多いんだね」
「お化けと言うよりかは、死霊ですね。お化けは私達、妖怪とも一緒にされることがありますし」
「ふーん、そうなんだね。別に、私達って怖くないと思うんだけどなぁ......」
「人間にとっては怖いと思いますけどね。私達、吸血鬼ですし」
それよりも、フランにとってのお化けの基準って、怖いか怖くないかなんだね......。いやまぁ、別にそれでも問題ないと思うけど。
「あ、お化け......死霊が来たよ」
「はぁー、またなの? もう、死霊ばっかでうんざりだわ」
「勝手に人の庭に乗り込んできて、文句ばっか言ってるなんて」
「ん?」
「どうかしてるわ。まぁ、うちは死霊ばっかですけど」
そう言って現れた者は、赤っぽいピンク色の目、癖のある桃色の髪に、青い浴衣を着た女性だった。
周りには、小さな霊が浮かんでいる。
おそらく、この人が『春雪異変』の黒幕......死を操る亡霊、西行寺幽々子だろう。
「貴女、黒幕なの?」
「さて、何のことでしょうか? それにしても、珍しいわね。お花見かしら? 割と場所は空いてるわよ」
「あ、そう? じゃ、お花見でもしていこうかしら」
「やるなら、レミリアお姉様達も呼ぼうかな」
「でも、貴方達はお呼びではないわよ」
「ちぇっ、みんなでやりたかったのになぁ」
「......仕方ないわね。私の神社でやりましょうか。そんなわけで、見事な桜だけど。集めた春を返してくれる?」
霊夢がフランに、いや、妖怪に優しい? ......頭打ったのかな?
「こら、そこ。今失礼なことを考えてたでしょ?」
「え!? あ、き、気のせいだと思いますよ?」
「正直、私も珍しいと思うからな。おかしく思っても仕方ないとは思うぜ」
「返すことは無理よ。もう少しだから。もう少しで、西行妖が満開になるの」
「なんなのよ、西行妖って」
「うちの妖怪桜。この程度の春じゃ、この桜の封印が解けないのよ」
「なら、いるか? この、なけなしの春」
そう言って、魔理沙が桜の花びらのような春を取り出した。
「あら、もしかして、貴女が妖夢の跡継ぎかしら?」
「まさか、私はこんな辺鄙な処で一生を終えたくないぜ」
「なら、代用品?」
「話を聞いてるのか?」
「聞いてるわよ」
「って言うか、敵に塩を送ってどうするのよ」
「あら、私は嬉しいわよ?」
「誰もあんたに聞いてない」
やっぱり......幽々子って、黒幕って感じがしないなぁ。いい人にしか見えないや。能力は危険極まりないけど。
「そもそも、わざわざ封印してあるんだから、それは、解かない方がいいんじゃないの?
なんの封印だか分からないのよ?」
「結界を乗り越えてきた貴方達が言う事かしら」
「まぁ、確かにそれもそうですよね」
「そ、それは置いておきましょうか。それよりも、封印を解くとどうなるっていうの?」
「すごく満開になる」
幽々子が何故か得意げにそう言った。
絶対それだけじゃないでしょ。いやまぁ、ちょっとだけ知ってるけどさ。
「と同時に、何者かが復活するらしいの」
「へぇー、面白そうだな。手伝おうか?」
「あら、手伝ってくれるの?」
「私達、異変解決に来ましたよね? なら、魔理沙も倒した方がいいでしょうか? いつも本を盗む償いの為にも倒します?」
「いやいや、私は盗んでないぜ。一生借りてるだけだ」
「それ、変わらない」
「いや、それよりも、興味本位で復活させちゃダメでしょ。何者か分からんし」
「あら、私は興味本位で人も妖怪も死に誘えるわよ」
幽々子がそう言った瞬間、フランとルナの、私の腕を掴む力が強くなったのが分かった。
「......それ、どういう事なの?」
「あら、そんなに姉に抱きついて......怖かったのかしら? まぁ、いいわ。
そのままの意味よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「オネー様、後ろに下がってよ、ね?」
「......そうですね。出来れば、咲夜達も......」
「いえ、私は大丈夫です。お嬢様から、異変を解決するように言われていますので、黒幕を倒すまでは引けません」
「私も大丈夫だぜ。これでも、結構強いからな。死に誘われても、断ることくらいできるぜ」
「そんな簡単なことじゃないと思うけど......。まぁ、妖怪に心配されるほど弱くないわよ。
それと、私一人で充分よ。私には、秘策があるから」
霊夢の秘策......んー、なんだろう? いや、それよりも、まずはフランとルナを攻撃が当たらないように遠ざけないと......。
そう思い、私は出来る限り遠くに、だが、いつでも助けに入れるような距離にフランとルナを連れて移動した。
「あら、あの娘達は戦わないのね。やっぱり、少し脅かし過ぎたかしら?」
「見た目でも、中身でも、子供だからでしょうね。でも、そっちの方がいいわ。私的には、ね。
じゃ、魔理沙、咲夜。貴方達も離れておきなさい。多分、攻撃が一度でも当たると死ぬわよ。いや、割とマジで」
「......あぁ、アレか。なるほどな。今回はお前に花を持たせるとするか。咲夜、行くぞ」
「え、ですが──」
「良いからいいから。面白いものが見れるから、それで我慢してくれ」
そう言って、魔理沙と咲夜もこちらに飛んできた。こうして、残ったのは霊夢だけとなった。
本当に大丈夫なのかな......。いざという時の為に、魔法を行使出来るようにはしておくけど......。
「あら、貴女一人でいいの?」
「私一人で充分なのよ。それよりも、反魂と死を同じに考えちゃダメでしょ。面倒なものが復活したらどうするのよ」
「試して見ないと判らないわ。なんにしても、お呼ばれしてないあなたがここにいる時点で死んだも同然。というか、ここに居る事自体が死んだと言うことよ。貴女も、奥にいるあの娘達もね」
「あら、なら私は死んでもお花見が出来るのね」
「貴方達が持っているなけなしの春があれば本当の桜が見れるわ......何者かのオマケつきでね」
やっぱり、吸血鬼の聴覚って凄いね。これだけ離れてても聞こえるなんて。いやまぁ、生まれた時からこうだったから、今更のことだけどね。
それにしても、その何者かは......いやまぁ、信じてもらえないだろうし、別に言おうとも思わないけどね。と言うか、言わない方がいいよね、多分。
「さて、冗談はそこまでにして……幻想郷の春を返して貰おうかしら」
「最初からそう言えばいいのに」
「最初の方に言ったわよ」
「最後の詰めが肝心なのよ」
「花の下に還るがいいわ、春の亡霊!」
「花の下で眠るがいいわ、紅白の蝶!」
こうして、異変の黒幕、西行寺幽々子と博麗の巫女、博麗霊夢の弾幕ごっこが始まった──
──十数分後 冥界(白玉楼)
「......あらあら、お強いこと」
「貴女が弱かっただけよ」
霊夢と幽々子が弾幕ごっこを始めてから、十分くらい経った。
霊夢は、スペルカードを一つも使わずに、全ての弾幕を避けきった。
おそらく、能力を使っていたのだろう。触れれば死。なら、全てを避けきればいい。
そんなことを考えて、霊夢はありとあらゆるものから浮き、全ての弾幕に当たらないようにしたのだろう。
ほんと、とんだチート能力だなぁ。
「これで、春は返してくれるの?」
「......まぁ、最初から遊び半分だったし、いいわよ〜」
「貴女の遊びのせいで、こっちは春が来なかったと言うのに......はぁー、何を言っても無駄だろうし、別にいいわ」
「......ん、これでこの異変は終わり?」
「えぇ、そうね。私、この異変を起こした黒幕が倒されたことですし、しばらく経てば、春は戻りますよ」
「ふーん......ま、面白かったしいっか。じゃ、帰ろっか」
「うん、そうだね」
「はい、そうですね」
私としても、フランとルナが楽しめたっぽいから良かった。
咲夜も怪我はないみたいだし、気楽に......気楽に......あ、私、お姉様に帰ったら部屋に来いって......い、いや、覚えてない可能性もあるし、だ、大丈夫だよね。
「......そう言えば、レナ。前の異変みたいに、すぐに春を戻せないの?」
「あれは魔力消費量がヤバすぎるので無理です。霧とかならともかく、季節ともなると、流石に私の魔力では戻すことは出来ないので」
「ふーん、そう、ならゆっくり待つとしましょうか」
「......あの異変の霧が消えたのは、そう言う......」
「え? ど、どうしました?」
「なんでもないわよ〜」
「そ、それならいいですけど......」
本当に気になる......。ま、まぁ、いっか。それよりも早く帰ってお姉様に見つからないように......いや、余計に怒られるし、やっぱり、普通に言った方が......。
「お姉様、大丈夫? 顔が真っ青だよ?」
「え、い、いえ、大丈夫ですよ?」
「......そ、ならいいや。じゃ、お姉様。抜け道作って」
「あ、ついでに私も神社まで送ってちょうだい。あの寒い中を帰るのは嫌だし」
「あ、私も頼むぜ。霊夢と同じ場所でいいからさ」
「私......いや、いいですよ。では、作りますね」
私、タクシーとかじゃないんだけどなぁ。
そう思いながら、私は紅魔館と博麗神社への道の二つの抜け道を作り、それを通って紅魔館へと帰っていった──
──紅魔館(レミリアの部屋)
「......お姉様、帰ってきました」
「えぇ、お疲れ様。そして、よく覚えていたわね。忘れてるんじゃないかと心配してたわ」
紅魔館へと帰った後、フラン達と別れてすぐにお姉様の部屋へと向かった。
「忘れたら、怒られますし......」
「そんなに暗い顔にならなくてもいいわよ。大丈夫、もう怒らないわよ」
「......え? ほ、本当です?」
「本当よ。ちゃんと咲夜とフラン、ルナを連れて無事に帰ってきたし、それだけで怒る必要なんてなくなったわよ。
......偉いわね、レナ。異変を解決しに行って、ちゃんと帰ってきてくれて嬉しいわ」
そう言って、お姉様は私を抱きしめて、頭を撫でてくれた。
うん......この歳になってされても恥ずかしくはないね。むしろ、もっとやって欲しい......。
「......お姉様、ありがと。私、嬉しい......」
「......あら、珍しいわね。貴女がその口調で喋るなんて。って、あら、寝てるの? ......まぁ、いつもより長い間外に出てたし、疲れたのね。今日はゆっくり休みなさい。明日もフランとルナの相手をするんだし......今日くらい、ゆっくり休んでも誰にも怒られないわよ」
最後に、お姉様のその言葉が聞こえ、私は深い眠りへとついたのであった────
次回はおそらく金曜日です。
最近気付いた。自分、スカーレット姉妹の会話がある時の方が文字数多いと()
ちなみに、最近イラストを描く練習を始めました。
いつか、レナータのイラストが描けるように上手くなりたい(願望)