まぁ、閑話と思って見てください()
side Hakurei Reimu
──博麗神社
最近、神社に参拝に来る人間の数が減った気がする。
「霊夢ー、暇ー」
「知らないわよ。いっつも何処かほっつき歩いてるんだし、今日もそうすればいいじゃない」
それもそのはずか。最近、私の神社に鬼が住みついたから......。払っても、祓っても出ていこうとしない鬼が。
「えぇー、たまには遊んでくれてもいいじゃんかよー」
「あんたと遊んだら疲れるじゃない。魔理沙とでも遊べば? 喜んで遊んでくれるわよ」
「嫌だぜ。鬼なんかと遊ぶには、命が足りない」
「あら、魔理沙。居たのね」
「最初から居たぜ」
この鬼が住みついてから、この神社は酒臭くなった気がする。
まぁ、別にそのお酒は自分のを飲んでいるからいいんだけど。
「霊夢ー、お腹空いたー」
「あ、私も空いたな。何かないのか?」
お酒以外の食事は私の家にある物を食べるから困る。
量は少ない分、まだいいが......。
「あっても出すわけないじゃない」
「霊夢ー、私が居ることで、他の妖怪から変に襲われることないぞ? お酒に困らないんだぞ?」
「......仕方ないわねぇ」
「博麗の巫女はそれでいいのかよ......」
「だって、弱い妖怪でも襲われると大変でしょ? というか、退治するのもめんどくさいでしょ?」
まぁ、不意打ちとかされても、勘で大体は分かるから、大事に至ることは無いんだけど。
「えぇ......。まぁ、気持ちは分かるけどな。たまに強めの妖怪に会うこともあるし、番犬代わりに欲しいかもなぁ」
「おいおい、私は犬じゃないぞ? 鬼だよ?」
「比喩的表現だ。気にするな」
「ふーん、その『ひゆてき』って、分かりにくい表現なんだなぁ」
「よくある表現でしょうに。というか、貴方も使ってなかった?」
「うーん......そうだっけ?」
確か、萃香も比喩を使っていたような気が......いえ、気がするだけかしら?
それとも、萃香が酔って忘れてるだけ? この鬼、いつも顔赤いし......。
「......まあ別にいいわね。そんな些細なことなんて」
「まぁ、そうだね。霊夢も
「はぁ? 私が? あんた達みたいに?」
「鬼は細かいことなんて気にしない」
「大体の奴はいちいち細かいことなんて気にしないわよ」
「霊夢は気にしなさすぎるけどな」
「そうかしら?」
疑問を口に出すと、二人とも「そうだよ」と首を縦に振った。
普通だと思うんだけどねぇ......。
「そういやさ。今日、ここに来る時に本をパク、借りに紅魔館に行ったんだけどよ」
「今、パクリにって言おうとしてなかった? というか、唐突ね」
「ただの言い間違いだから気にしなくていいぜ。でさ、運悪くレミリアに会ってしまったんだ」
「運悪くって、やっぱり盗む気満々だったのね」
「いやいや、あいつが苦手なだけだぜ」
「嘘。魔理沙、鬼が居るところで二回も嘘をつくなんて、ある意味凄いね」
そう言えば、鬼って嘘が嫌いだったわね。
今みたいに言われたことが無いから忘れていたわ。
「まぁまぁ、そう怒るなよ」
「怒ってはないよ? 怒っては」
「その言い方だと怖いぜ......」
「魔理沙、早く続きを話なさいよ」
「そうだーそうだー」
せっかくだから、最後まで聞きたいのよね。暇だし。
萃香にも急かされた魔理沙は、お前らが止めたよな?、といった表情になりながらも話を再開した。
「えーっと、レミリアに会ってから、だよな? その後、捕まってな。凄く怒っていたんだ」
「あら、それでよく逃げれたわね。何があったの?」
「いや、怒ってたのはな、私のせいじゃないんだ」
「え? あんたが本を盗んだせいで怒ってたんじゃないの?」
「あぁ、違うぜ。盗んだ、ということも、私に怒っていた、ということもな」
いや、前者は合ってるでしょうに。それにしても、さっきから萃香が何も話さない。
チラリと見てみると、考え込んだように頭を抱えていた。
もしかして、何か知っているのかしら? レミリアが怒っていたことを。
「......萃香? どうしたの?」
「ん、いや、大丈夫だよ。魔理沙が知ってると思うから」
「え? 何を?」
「それは話の続きを聞いていたら分かると思うぜ。
で、捕まった後、咲夜に引き渡されてな。ここに来るまで、咲夜と話していたのさ」
「......要するに、咲夜に怒っている訳も聞いたってこと?」
「あぁ、そういうことだぜ」
咲夜も大変ねぇ。あの広すぎる館の掃除とか、仕事があるのに、泥棒の面倒まで見ることになっていたなんて。
たまにしか行かないだろうし、面倒を見るのも少ないでしょうけど。
「それで、あいつの妹、レナが誰かにお酒を飲まされたらしいんだ。それも朝から」
「へぇー......朝からお酒とかキツそうね。って、もしかして、飲ました誰かって......」
「あぁ、私だね。ちょっと遊びに行ったついでに、プレゼントしただけだよ?」
「うわぁー......あんた、あいつがお酒を飲んだらどうなるか知ってるでしょ?」
毎回、宴会の時にはお酒を飲まされて、泣き上戸になったり、幼児退行したりと、大変なことになっている。
まぁ、妖夢とか、似たようなことをされてる人は他にも居るんだけど。あいつは吸血鬼じゃないからか、飲みすぎるとすぐに気絶するからねぇ。まだ騒がしくない分、私にとっては有り難い。妖夢にとっては......まぁ、ご愁傷さま、としか言えないわね。
「まぁね。面白そうだからやったんだ。吸血鬼と言うくらいだし、あいつらがお酒に強いと思うのも分かるだろ?
まぁ、思ったのは初めて見た時だけどね」
「それが初めて見た時じゃないでしょうに。あんた、あの三日おきの宴会中、ずーっと居たんでしょ?」
「うん、居たよ。で、私もやってみたくなった」
「......鬼だなぁ」
「鬼だよ? 私は生粋のね」
「え、あぁ、そうだな」
萃香、それも比喩だと思うんだけど......まあいいわ。多分、さっきのことも忘れたみたいだし。
今、話している間もずっとお酒を飲んでいるみたいだし、興味が無いことは憶えようとしないのでしょうね。
「まぁ、そういう訳でな。酔っ払ったレナを見たレミリアが、萃香に対して怒っているらしい」
「酔わせた後、私はすぐに帰っちゃったからなぁ。多分、レナの妹達も怒られてたでしょ?」
「ん、よく知ってるな。理由は聞いてないが、こっぴどく叱られたらしいぜ」
「え? どうして? 萃香、何か知ってるの?」
「あ、お酒をプレゼントしただけで、飲ませたのはその妹達なんだ」
あぁ、要するに、いつもの宴会通りと......。結局は身内が犯人なのね。
え、ということは、萃香はあまり悪くない気も......いえ、お酒を持って行ったのは萃香だからかしら?
それに、飲ますように唆したのも萃香だから?
「まぁ、多分、いつかここに萃香を探しに行くと思うから、気を付けろよ」
「......萃香、私が面倒事に巻き込まれる前に、ちゃんと話は付けときなさいよ」
「仕方ないなぁ。霊夢には居座らせてくれてる恩があるし、明日にでも行ってくるね。今日はゆっくりしたいし」
「......まあ、それでもいいわ」
多分、レミリアはまだここに鬼が住み着いているなんて知らないだろうし、一日や二日くらいなら、来ないはずよね。
まあ、それで来たら......何処か、ここではない場所で話し合いをしてくれるように言うしかないわね。
話し合いが物理にならないことを祈りながら......。
「そう言えば、掃除をしていなかったわ。萃香、ついでに手伝いなさい」
「鬼を雑用に使おうとするやつ初めて見たよ......。まぁ、いいけど」
「いいのか。いやまぁ、お前がそれでいいならいいんだろうけど」
「魔理沙、貴女も手伝う?」
「遠慮するぜ。私はもう一回、紅魔館に凸ってくる」
「......あんたも凄いわねぇ......色々と」
紅魔館に飛んでいく魔理沙を見送りながら、私と萃香は箒を取り出し、神社の掃除を始めた────
次回から新たな異変に......。