東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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毎回の如く、戦闘はカットされます。ご注意を()


9、「光る蟲と歌う夜雀」

 side Remilia Scarlet

 

 ──人里近くの森

 

「お姉様。綺麗な月ですね」

 

 飛行してから約十数分後。突然レナが口を開いたと思うと、呟くような小さな声でそう言った。

 

「え? 突然どうしたの? と言うか、あれは偽物の月よ?」

「......ふふっ」

「むぅ......そうですね。えぇ、そうでしたね。お姉様って本当に......」

 

 あれ、どうしてちょっと不機嫌に? 何か間違ったことでも言ったかしら......?

 って、咲夜はどうして笑ってるのよ......。

 

「レナ様。それは異変が終わった後に言った方がよかったかと......」

「......ですね。急ぎ過ぎました......」

「本当に急ぎ過ぎですね」

「ねぇ、貴方達は一体何の話をしているの?」

「お姉様の鈍感さについて」

「お嬢様が無知だったことについて」

 

 ......どちらも全然違うじゃない。

 はぁー、余計に意味が分からなくなったわ。

 

「まぁ、いいわ。それよりも気付いてる?」

「はい。虫が一匹、飛んでいますね」

「......お姉様。私、虫苦手です......」

「あら、そうなの? まぁ、苦手じゃない人の方が少ないと思うけど......レナ、貴女は私の後ろにでも隠れてなさい」

「......ありがとうございます、お姉様」

 

 外の世界ではほとんど家に籠っていたし、あまり虫を見る機会なんて無いと思っていたけど......レナは苦手だったのね。

 もしかして、フラン達も苦手だったりするのかしら? まぁ、私も触るのとかは嫌だけど......。

 

「あれ、気付かれた? なら現れてあげる!」

 

 そう聞こえた途端、目の前に何かが飛び出してきた。

 そして、目の前には、頭に虫の触覚らしき物が生え、白いシャツと虫の羽を模したようなマントを着た子が飛んでいた。

 

「ひゃっ!? ......あ、あぁ、虫ってそっちの......」

「あれ、どうして安堵されてるの?」

「あ、でも、頭の触覚がちょっと......」

「咲夜。レナは虫が苦手らしいから、今すぐあれを駆除しなさい」

「お嬢様、五分の虫にも一寸の魂、‪とか言ったりしますよ? まぁ、もちろんいいですけど」

「もしかして、物騒な話?」

 

 どうせこいつも人間じゃないでしょうし、そこまで物騒な話とは思わないでしょうに。

 これは、どっちかと言うと......。

 

「いえ、殺生な話」

「あ、それいいわね。確かに殺生な話だし」

「ひぇぇ。この人達怖いや......」

 

 ならどうして出てきたのやら。

 もしかして、アホの子とか? でも、そうには見えないわよね。......気になるし、聞いてみるか。

 

「ねぇ、虫の貴女」

「なんか嫌な言い方......。何か?」

「どうして私達の目の前に現れたわけ? 何か理由があるんでしょ?」

「もちろん、バレたからって言うのが一番。後は、貴方達、お嬢様方でも渡して貰おうと」

「......えーっと、お姉様を私達から奪おうと?」

 

 あ、これ地雷踏んじゃったやつじゃない? レナの目、笑ってないんだけど。本気の目なんだけど。

 

「え、合ってるけど、貴女も──」

「許せませんね。お姉様は私が守ります」

 

 この娘って本当に単純ねぇ。まぁ、別にいいけど。守ってくれる、って言ってくれるのは嬉しいし。

 

「貴女、さっきまで虫は苦手だからって......。はぁー、咲夜。三分で終わらしてー。私はレナを止めとくから」

「仰せのままに。では、虫の駆除を始めましょうか」

「え、私ってそんな簡単に倒されるの?」

 

 こうして、私がレナと話しているしばらくの間、私達の後ろで戦闘音が響くのであった────

 

 

 

 

 

 side Konpaku Youmu

 

 ──人里近くの森

 

「妖夢〜、何か聞こえるわ〜」

「......えぇ、そうですね」

 

 幽々子様の気まぐれで竹林へと向かっている最中、何処からか鳥の鳴き声なような音が聞こえてきた。

 

「顔が怖いわよ〜。もっと気楽に気楽に」

「幽々子様は気楽過ぎですよ。いっつも、のほほんとして......」

「人生気楽が一番よ?」

「それ、半人半霊の私に言いますか?」

 

 私がそう言うと、幽々子様は「なら半生ね〜」と言いながら扇子を口に当てた。

 まぁ、幽々子様に至っては、幽霊だから生きてはないんですけどね......。

 

「ねぇ〜、ちょっと待って〜!」

「誰か来ていますね。幽々子様。私の後ろへ」

「そこまで警戒しなくても大丈夫よ〜」

「ちょっと、貴方達には私の歌声が届かないのかしら? あ、もしかして人間じゃないの?」

 

 幽々子様を後ろへと下がらせたとほぼ同時に、声の主の正体が姿を現した。

 その声の主は、赤黒く禍々しい服を身にまとい、爪や翼など、人ならざるものが付いていた。

 まぁ、半霊がいる私に言えたことじゃないんだけど。

 

「夜だと言うのに、雀の鳴き声がするわねよ。妖夢」

「幽々子様。この鳴き声に惑わされないでください。おそらくですが、これは夜雀の鳴き声。最も不吉な音です」

「不吉なんて失礼ね。それに、幽霊が出る音よりはなんぼかマシでしょ?」

「えぇ、そうねぇ。比べ物になりませんわ」

「否定して下さいよ〜」

 

 まぁ、確かに幽々子様があの吸血鬼の妹を驚かした時とか、かなり怖がられてたけどね。

 あの時の幽々子様の面白そうな顔ときたら、本当に凄かったですし......。

 

「妖夢ほら、鳴き声がまた強くなってきたわ。何処から聞こえるのかしら」

「ああもう、人間でも人間だった奴でもいいや。これから、楽しい妖怪祭りが始まるよ」

「さぁ妖夢、先を急ぎましょうか」

「え? えぇ、そうですね」

 

 幽々子様って本当に気まぐれですよね。

 とりあえず、先を急ぐにしても、この妖怪を何とかしないと。

 

「そうですけど。それにはまず、目の前の鳥を落とさないと」

「雀は小骨が多くて嫌いなの」

「わがままですね......」

「通さないよ! あと、食べられもしないからね!」

 

 夜雀のその言葉を合図に、私達は弾幕ごっこを始めた────

 

 

 

 

 

 side Remilia Scarlet

 

 ──人里近くの森

 

「お嬢様、終わりました」

「本当に三分で終わらせちゃいましたね」

「まぁ、私のメイドだし、優秀なのは当たり前じゃない」

「お褒めの言葉、ありがとうございます」

 

 最初、雇った頃は全然家事なんてできなかったのにね。

 今ではこんなに優秀なメイドになるなんて......。ほんと、時が経つのは早いわ。

 

「咲夜。今のはお姉様の自画自賛だと思いますよ?」

「失礼ね。ちゃんと咲夜を褒めてたのよ」

「へぇー、それならいいですけど」

「......レナ、何よ? その目は」

「お嬢様。疑いの目ではないかと」

 

 うー、確かに自画自賛したところも、あるかもしれないけど......。

 

「まぁ、お姉様は強いですし、かっこいいですし......可愛くて優しいですから、自画自賛したい気も分かりますけど」

「え、う、うん。......ありがとう」

「レナ様。おそらくというか、確実にお嬢様よりもお嬢様を褒め過ぎているかと。

 このままでは、調子に乗ってミスをしでかしてしまう可能性が......」

「ねぇ、咲夜。意外と貴女も酷くないかしら?」

「気のせいでは?」

 

 気のせいじゃないと思うんだけどねぇ。......って、咲夜。口がにやけてるんだけど......。

 

「お姉様。早く異変を解決して帰りましょう。

 何処に異変の主犯がいるのか謎ですが、ある程度の敵なら、お姉様なら瞬殺できますし、早く帰れるはずです」

「まぁ、場所もある程度は分かるから大丈夫よ。ただ......」

 

 これだけの異変、私と同等以上の力を持っている奴のせいに違いない。

 下手すると、私なんかじゃ比べ物にならない......いや、そんなネガティブに考えてはダメね。

 何があっても、何が起きても、私は私の家族を守ればいいだけよね。

 

「......お姉様?」

「お嬢様? どうかされましたか?」

 

 いつの間にか、レナと咲夜が心配そうな顔をして、私を見つめていた。

 

「......大丈夫。何でもないわよ。さぁ、先を急ぎましょう」

「はい、仰せのままに」

「ですね。行きましょうか」

 

 こうして、私達は暗い森の中を抜けていくのであった────

 

 

 

 

 

 side Konpaku Youmu

 

 ──その頃 人里近くの森

 

「強かったわね〜」

 

 全く、夜雀を数分で、しかも遊びながら倒したのに何を言っているのやら。

 幽々子様って、本当に性格が悪いわ。

 

 私と幽々子様。いや、主に幽々子様の活躍により、夜雀は倒された。

 今、夜雀は私の峰打ちにより、すぐそばの木の下で気絶している。

 

「妖夢。顔に出ているわよ。何か悪口を言ってるでしょ?」

「え!? き、気のせいですよ! それよりも、夜雀が出たってことは、じきに妖怪か何かが集まってきます。

 その前にここを去りましょう。せっかくのお出かけなんですし」

「え? あ、えぇ、そうね〜」

 

 ......何故でしょう。幽々子様、また私に何か隠し事をしている気が......。

 

「妖夢〜。急がないと置いていくわよ〜」

「え? あ、いつの間に!? ま、待ってくださーい!」

 

 急いで幽々子様を追う私に隠し事云々の話を聞く暇もなく、私は目的も分からずに前へと進むのであった────

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