小説でわかる幕間の物語   作:ニコ・トスカーニ

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前回、気の迷いでシリアスしてしまいましたがいつもの調子に戻ります。
今回は下ネタ満載です。
苦手な方はブラウザバックしてください。


ぐだ男の悩み

「兄貴。相談があるんですが……」

 

 ここはカルデアの厨房。

 俺はある深刻な問題を相談すべく兄貴ことアイルランドの大英雄クーフーリンを呼び出していた。

 なぜここにしたかというとここは出入りする人物が限られているからだ。

 秘密の話をするのであればむしろ自分の部屋より都合がいい。

 

 厨房で兄貴と落ち合うと厨房の常連であるエミヤも居た。

 エミヤなら信用できる。

 エミヤにも話を聞いてもらうことにした。 

 

「誰にも見られてないですよね?」

 

 話す前にまず確認だ。何かしら策を講じないと安心できない。

 

「何だ?何にビビッてるのかわからねえがそんなに気になるなら探知のルーンでも使うか?」

「ええ。お願いします」

 

 兄貴は快く応じてくれた。

 この英霊は面倒見が良い。兄貴にしたい英霊ランキングがあったら間違いなく上位に食い込むだろう。

 

 探知のルーンの結果。今、厨房にいるのは俺と兄貴とエミヤの三人だけという事が分かった。

 

「それで?相談というのは?」

 

 エミヤはニヒルな雰囲気を醸し出しているがお人好しで世話好きのおかん体質だ。

 色黒ガチムチのおかんなどジャックちゃんでもノーサンキューだろうが気遣いはありがたかった。

 

「えっとですね……」

 

 全員が固唾をのむ。

 

「溜まってるんですよ。オ●ニーできなくて」

 

 全員が固まった。

 兄貴が聞き返した。 

 

「え?何て?」

「溜まってるんですよ。オ●ニーできなくて」

「……お前、そんなの部屋で好きなだけ出来るだろ」

「これでもですか?」

 

 俺は端末を取り出した。

 

 プレーヤーの「再生」をタップする。

 これは部屋に仕掛けたカメラの録画映像だ。

 まず俺が部屋から出ていくところが映し出された。

 

「少し早送りします」

 

 早送りをタップし数秒後。

 部屋の中で異常な出来事が展開されていた。

 

 一体いつ隠れたのだろうか――部屋のクローゼットから――黒い長髪を振り乱した女性がウゾウゾと這い出してきた。

 黒髪のグラマラスな女性、源頼光は俺のベッドに潜りこむとシーツに頬ずりをし始めた。

 

 ――くーるーきっとくるー

 

「「きゃああああああああああああああ!!!!!!!」」

 

 兄貴とエミヤは同時に悲鳴を発して飛び退いた。 

 

「おい!お前!同じ日本人だろ!何とかしろよ!」

「無理無理無理!私は筋力Dだぞ!殺す気か!」

「映像はこれで終わりじゃなくて……頼光さんの後にきよひーと静謐ちゃんも映ってました。

いつもちゃんと鍵かけてるのに……一週間ぐらい前から変な気配を感じてて。

おかげでずっとオナ禁です。オナキン・スカイウォーカーですよ。

早くダークサイドに堕ちたいんですよ。俺は」

 

 エミヤは「うわー」という声にならない声をひねり出すとしばし考えてから言った。

 

「わかったまずはダヴィンチ女史に相談だな。侵入できないようセキュリティを強化してもらおう。

その上で警戒を強化しよう。私と呪腕のハサンの巡回では不十分だったな。体制を見直す」

「そういう事なら俺も加わるぜ。いたいけな十代の坊主の私生活だからな」

「――お願いします。俺のリビドーはもうメルトダウン寸前なんですよ。

特にいつも近くにいる二人のせいで」

「マシュとぐだ子か?

――だろうと思ったがやはりそういう目で見ていたのか」

 

 エミヤはやれやれと肩をすくめた。

 

「ホントそうですよ!あのぐだ子の制服!

何なんですかあの乳ベルト?なんで絶妙にバストのトップとアンダーの部分にくっついてるんですか!

あのベルトのせいで強調されるんですよ!物理的に!プルプルと!しかも地味にスカート短いし!

あのデザイン、どこのエロジジイが考えたんですかね!ありがとうございます!!

アトラス院の礼装着た時も……」

「あの下半身部分の肌色が多いデザインの代物か。君には目に毒だろうな」

「オヤジくせ。お前幾つだよ」

「うるさい」

 

 この二人は自称犬猿の仲だが、喧嘩するほど仲が良いの関係にしか見えない。

 仲いいっすねと言ったらほぼ同時に全力で否定された。

 やっぱり仲良しだ。

 

「『なんか変な視線を感じるんだけど』って言われたから

『それは俺の視線だね。性的な目で見てるYO。太もものあたりを重点的に』って正直に答えたら『変態』って言われちゃったよ。

……ちょっと気持ち良かった」

「お前凄いな。伯父貴かよ」

「そうかな?ランスロットに「俺は変態ですか?」て聞いたら「マスター。女性を窃視するのは仕方のないことです。私も常に王のことを窃視しておりますので」って言ってたよ?」

「君は意見を求める相手をもう少し選べ」

 

 俺は思春期まっ只中だ。

 動くモノはなんでもエロく見えるがいつも近くに美少女二人がいるとキツい。

 おかげでレイシフト中はほぼ常に半勃ちの前かがみ状態だ。

 俺は迸しるリビドーを躊躇うことなく二人に吐き出した。

 

「もっとヤバいのがマシュですよ!マシュのあの格好!アレ、ヤバいですって!

何なのあの格好?大事なところが一か所も隠れてないし!オカズにしてくださいっていってるようなもんじゃないですか!

ていうかギャラハッドって童貞だったはずですよね?妄想力の産物ですかアレ?ありがとうギャラハッド卿!

カルデアの制服もアレはアレで何か隠れた部分が妄想力を駆り立てるし。

地味にスカート短いし……

最初の特異点をクリアした時は辛くてつい枕を濡らしたけど……実はティッシュも一杯濡らしてました……えへ☆」

 

 兄貴とエミヤは困り始めていた。

 もちろんそのぐらいで思春期男子のリビドーは止まらない。

 

「極めつけは無人島の時ですね。みんな水着だったじゃないですか。動きが激しくて……その、してたんですよ。何人か中身がポロリと。

その瞬間を偶然、偶然ですよ?黒髭氏が撮っててですね……」

「ん?おい。あの時は俺もいたけどよ、あいつ初期の方で退場してなかったか?」

「怨念になった黒髭氏が念写したんです」

「何だよ!その無駄に高え能力!戦闘に使えよ!」

「その写真をありがたくお借りしてですね……下品な話なんですけど……思わずフル勃起して……自家発電……してしまいました。

百回ぐらい……主にマシュとぐだ子で」

 

 二人は仲良く深く溜息をついた、

 さすがに真剣に呆れ始めたらしい。

 

「お前。罪悪感とかないの?」

「ありますよそりゃ。

――でも気持ちよかった!!」

「割と最低だな。お前」

「ある意味正常だな君は。欲求を我慢するよりよほど健全だ。思春期だしな」

 

 兄貴は割と普通に呆れ、エミヤはフォローしてくれた。

 それでも立ち去らないあたりやっぱり面倒見が良い。 

 

「まあ、それでよ……お前さんの性欲発散の問題だけど。

当面は俺たちが見回りしてどうにかするにしても

この戦いだってまだ当分は続くわけだし他の方法考えるのもアリなんじゃねえか?

例えばよ。流石に特定の相手つくればあの竜の嬢ちゃんなんかも諦めるだろ?

アテの一つや二つお前だって心当たりあるだろ?」

「そうだな。誰とは言わないが」

「マシュのことですか?」

 

 二人は一様に驚いた。割と意外な答えだったらしい。

 

「安心したよ。君は朴念仁ではないんだな」

「エミヤ。俺はエミヤみたいにモテないけど……

でもね。彼女の好意ぐらい気付いてるよ。ていうかアレで気付かなかったもうニブいの通り越して

障害の疑いありでしょ。

メドゥーサさんとデートした時なんてどう見てもヤキモチ妬いてるし!

この間も『外は寒いですが、先輩といると暖かく感じます。これもヒートアイランド現象でしょうか?』

とか真顔で言うんですよ!かわいい!!マジかわいい!!!マシュのマシュマロマシュマシュしたい!!!!」

 

 俺はゴロゴロもんどり打って悶絶した。

 「お前、今、割と悲惨な絵面になってるぞ」と兄貴に言われたがそんなことは気にしない。

 マシュの尊さについて語るなら俺は千の言葉も惜しくない。

 

「じゃあお前さんと盾の嬢ちゃんは相思相愛ってわけだ。

なら何が問題なんだよ?お前、あの大人しい嬢ちゃんを口説けない程ヘタレってわけじゃないだろ?」

「それはですね……」

 

 真剣な問題だ。俺は自然と表情がこわばった。

 呆れていたクーフーリン兄貴の表情も真剣なそれになっていた。

 

「避妊できる自信がないからです。

もしその状況になったら興奮のあまり避妊の手間を惜しまない自信がありません。

今だって甲冑の隙間から見えるマシュのマシュマロに飛び込むのを戦闘中だからと自分に言い聞かせてギリギリ我慢してるんです!

考えてもみてくださいよ。マシュは大事な戦力ですよ?

そんな事態になったらマズいでしょう」

 

 兄貴は今度は呆れと感心が同居したような表情になっていた。

 エミヤの表情も同じようなそれになっていた。

 やっぱりこの二人仲良いだろ。 

 

「……そうだな。女性は妊娠によって行動が大きく制限されるからな。君の懸念は尤もだ」

「まあ、そうだな。お前さんも何だかんだ良くやってるし。そういう理由ならお前の悩みもわからねえでもねえな……」

「この戦いの結末がどうなるかわからないけど俺は皆で生き残って終わりたい。

他の選択肢なんて眼中にない。それが俺のケジメです」

「……そうだな。あと、いい話風になってるけどお前の株、いま爆下がり中だからな」

「話は聞かせてもらったよ」

 

 「誰だ!」とお決まりのセリフと共に振り返る。

 

「見た目は美少女中身は男。シャルルマーニュ十二勇士アストルフォ参上!」

 

 男の娘十二勇士アストルフォは可愛らしくぴょんと飛び跳ねると

 女の子じゃないのに女の子以上に女の子らしい女の子走りで駆け寄って来た。

 ところでキミ、どっから現れたの?

 探知のルーンすり抜けてきたの?

 

「ぐだ男はえっちなことがしたいけどデキちゃったら困るって言ってるんだよね?」

「ああ」

「……じゃあ。ボクじゃだめかな?」

 

 クリクリとした瞳が上目遣いで俺を見る。

 

 う……かわいい。

 一瞬「それもいいかも」と思ってしまった。

 

 ……ああ!違う違う!逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ!逃げちゃ駄目だ!

 俺はありったけのオカズを思い浮かべて防壁を張る。

 マシュのマシュマロ、ぐだ子のおっぱい。

 マシュの太もも、マシュのプリケツ。マシュの腋。マシュの……

 

「マシュが女の子だからダメなんだよね?でも大丈夫!ボクは男だから!」

「あのさ、でも君、一応男じゃん?俺も男だし……そういうのはちょっとさ……」

 

 ぐすん、と可愛いく啜りあげる音が聞こえた。

 チクリと心が痛む。

 

「……ぐだ男はボクのこと嫌いなの?」

「いや。アストルフォのことは嫌いじゃない。好き。好きだよ。でもそれはさ……」

「ホント?ボクもぐだ男のこと大好き!」

 

 そう言ってアストルフォは飛びついて来た。

 あ……すごく良い匂いがする。

 いやいや!だが男だ!

 こいつは男こいつは男こいつは男……

 

「ぐだ男はボクが男だから駄目なの?ボクが男なのが悪いの?」

 

 上目遣いで潤んだ瞳で見つめられている。

 駄目だ!駄目だ!駄目だ!

 ――ああ、でもやっぱりかわいい。

 

「ハッハッハ!ついにお前も目覚めたか!」

 

 もう誰も「誰だ」とは言わない。

 兄貴とエミヤはツッコミ疲れたらしい。

 

「ついているかついていないかなど些細な問題だ!前の穴も後ろの穴も楽しめてこそ真の益荒男よ!

衆道は罪ではない!新たな世界への扉だ!」

 

 性欲魔人のフェルグスさんはそう豪快に笑った。

 あなたどっから現れたんですかという疑問が頭をよぎったがもうどうでも良かった。

 

「……アストルフォ」

「……ぐだ男」

 

 アストルフォと見つめあう。

 なんて穏やかな気分なんだろう。

 そうだ。俺がその道に堕ちればきよひーも静謐ちゃんも諦めるだろう。

 最初からこうすれば良かったんだ。

 

「兄貴。エミヤ」

 

 ペコリと頭を下げて――

 

 ――はっきりと迷いのない声で言った。

 

「俺――

 ――もうホ●でいいや」

 

「待て待て待て!戻ってこーい!!」「よせ!その先は地獄だぞ!」

 どこか遠くで二人が叫んでいた気がする。

 

 男の娘って本当にいいものですね。

 俺は心からそう思った。

 




まだまだなんとなく続きます。
あ、みなさまコメント、ブクマありがとうございます。

一応報告。
『ぐだ男の悩み』の後日談を書きました。

表に載せるほどのものとも思えない(短いので)
ので活動報告に掲載しました。

もちろん下ネタ注意ですので気を付けてご覧ください。
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