下ネタです。
注意して読み進めてください。
俺は今、瀬戸際に立たされている。
簡単に状況を説明すると半裸の筋骨隆々とした英霊に迫られている。
性的な意味で。
説明が足りないようなので補足するが俺は男だ。
その性的な意味で迫ってきている半裸の筋骨隆々とした英霊も男だ。
そして俺はノンケだ。
これ以上の危機があるだろうか?
――意味が解らないと思うので少し時間を巻き戻そう。
××××××××××××
今日は二月の十四日。
バレンタインデーと呼ばれるイベントで世間は賑わう。
この雪に閉ざされたカルデアでもそれは変わらない。
ことこの習慣は俺の生まれ故郷である日本でイベントとして盛り上がるが偶然にも、もう一人のマスターのぐだ子も日本人だ。
なので自然、恋人同士だけでなく友達や同僚とも盛り上がれる日本式のバレンタインデーになった。
俺は女性陣から貰う立場に。
ぐだ子は「日頃の感謝を込めて」男性のサーヴァントたちに一人ひとりチョコを渡していた。
ぐだ子は男性サーヴァントたちから絶大な人気を誇っている。
アンデルセンやギルガメッシュのように素直でないながらも礼を言う連中、
円卓勢のように恭しく受けとる連中、クーフーリン兄貴のように素直に喜んでくれる連中。
反応は様々だったが皆、一様に嬉しそうな様子だった。
特に黒髭など大粒の涙を流して喜んでいた。
予想通りの反応ありがとう。
「ぐだ男。お願いがあるんだけど」
あらかた渡し終えて残る男性サーヴァントは一人となった。
その時点でぐだ子はとても申し訳なさそうに切り出した。
「わかってるよ。伯父貴でしょ?」
「そう。それなんだけど……」
伯父貴ことケルトの戦士、フェルグス・マック・ロイは一言でいうと性欲魔人だ。
しかもそれを少しも隠そうとしない清々しいもといちょっと困った人だ。
ぐだ子曰く「目に見える範囲内にいるだけで身の危険を感じる」らしい。
「流石に渡さないっていうのは不味いからさ。ぐだ男から渡しておいてくれない?
日頃の感謝を込めてっていうことでさ。伯父貴も嫌だとは言わないと思うし」
ごもっとも。
そんな人物にバレンタインデーのチョコなど渡したらナニが起きるかわからない。
義理チョコを男から男に渡してはいけないというルールがあるわけでもない。
「いいよ」と俺は軽く請け負った。
報酬というわけではないだろうがぐだ子からチョコ貰ったし。
まあこのくらいはいいだろう。
――という俺の判断は大いなる誤りだった。
××××××××××××
「ほう。お前から俺にか?」
俺がフェルグスの伯父貴にチョコを渡すと
渡された本人はその甘い菓子の入った小さな箱をしげしげと眺めた。
「そうですよ。いつもありがとうってことでね」
「うむ。そうか」
やはり男から渡されたのが不満だったのかいつも豪放磊落、快活な伯父貴は黙り込んだ。
そして――
「よし!お前の気持ちはよく分かった!」
――服を脱ぎ始めた。
――何を言っているのかわからないと思うが俺にもわからない。
ぐだ男、混乱状態。
「あ、あの……フェルグスさん。どうして服を?」
「ん?言っただろう。『お前の気持ちはよく分かったと』
俺は経験豊富だ。優しくしてやるから安心しろ」
いやいや意味わからないです!
「え?え??え???
あのほんと意味わかんないです。
どうして?どうして?」
「どうして?決まっているだろう。
――お前を抱くためだぁ!!!!!!!」
…………
え?
えーーーーーーー!!!!!!???????
「ふふふ。あまりに嬉しくて言葉も出ぬか!」
「いやいや!待ってくださいよ!フェルグスさん!
前、『女が好きだ!』って言ってたじゃないですか!
俺、男!俺、男ですよ!?」
「ん?俺はそのようなことは言っておらぬぞ?
俺は『
「あの……つまり?」
「場合によっては……男も好きだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
ヤバい!
ほぼ全裸になった伯父貴はじわりじわりと近寄ってくる!!
このままでは!!!
このままではぁぁぁ!!!!
「ふふふ。ぐだ子のことはいつも堂々と視姦していたが実はお前のことも密かに性的な目で見ていたのだ!
レオニダスのトレーニングの成果か?なかなか締まった良い尻をしているとな!
喜べ!ぐだ男!最高の初体験にしてやる!!」
「いやいやいや!!!俺はノンケですから!!!!ノンケですから!!!!
やめて!!!!!まじでやめてぇぇぇぇぇl!!!!!」
「ハッハッハ!!!!
抵抗ならば構わんぞ!!!!
俺もタダで綺麗な尻穴が手に入るとは思っておらん!!!!!
安心しろ!痛いのは最初のうちだけだ!!!!!!!
お前は最後には腰を抜かすぞ!!!!!!!!」
――俺の脳裏を様々な出来事が走馬燈のように駆け巡った。
マシュと初めて手を繋いだ時のこと。
ソロモンの神殿から帰ってきてマシュと抱きあって喜びを分かち合ったこと。。
マシュと一緒にあの青空を見た時のこと。
麗しの風貌を使ったデオンの横顔を見て「綺麗な人だなぁ」と思った時のこと。
飛びついてきたアストルフォからこの世のものとは思えないような良い匂いがしてときめいたこと。
ベディヴィエールを見て「美人だな」と思ったこと。
子ギルに「ここがこんなに居心地いいからいけないんですよ?」と言われてキュンとしたこと。
ナイチンゲールさんに抱きかかえられるラーマを見て「か、かわいい……」と思ったこと。
……待て待て待て!
全員男じゃないか!!
俺はノンケ、俺はノンケ!!
そうだ。
まだマシュからチョコを貰ってない。
俺はマシュからチョコを貰わなければいけないのに死んでは義務が果たせない。
――こんなところで死んでたまるか。
――平気で人を組み敷こうとする――お前なんかに!!!
「令呪三画すべてを以って命ずる!
誰でもいい!!アーチャー、来てくれ!!!」
令呪が焼失し魔力の奔流となって迸った。
そして令呪の強制力によって三騎の弓兵が召喚されていた。
「令呪まで使って一体何の用だ?」
召喚されるや否や我らが世話好きおかん、エミヤが口を開きそして絶句した。
腰を抜かしている俺。
ほぼ全らの筋骨隆々とした大男。
この光景をみたら妥当な反応だと思う。
しばらく沈黙が続いて
三人の弓兵は順々に口を開いた。
「……これは……たまげたなぁ。
その、なんだ。終わったらまた呼んでくれ」
「マスター……オタク、やっぱりそういう趣味があったワケで?」
「うーん。僕もちょっとこれは無理かな」
これはまずい。
呼び出された三人の弓兵、エミヤ、ロビン・フッド、ダビデは一様に状況を勘違いしている様子だった。
「違うよ!助けて!!
タ・ス・ケ・テ!!!」
俺の必死の叫びに「ああ……」とエミヤは大きく首を縦に振った。
ロビンとダビデさんもようやく納得がいった様子だった。
良かった……助かった。
「つまり……我々にも混ざれということか。
しかしそれには些か覚悟が足りないな。
せめて令呪をもう一画使ってくれれば不承不承ながらもなんとかなるかもしれないが……」
「マスター。俺はこれでもアンタには感謝してるから頼みなら聞いてやりたいんだけど
俺、そっちの方面はちょっと……」
「僕は地味に欲に塗れてるけど……うーん……ちょっとむずかしいなぁ……」
助かってなかった!
「違うよ!エミヤもロビンもダビデさんも普段は物わかりいいのにどうしていきなり難聴系になるの!
マジで助けて!!犯される!!!」
その間にもほぼ全裸のフェルグスさんは迫ってくる。
「ハッハッハ!天は俺に味方したようだな!
安心しろぐだ男!男とか女とかそんなことは些細な問題だ!
お前には新しい世界を見せてやる!
これが……ケルトだぁぁぁぁぁぁぁl!!!!!!!」
アッー! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
××××××××××××
結論から言うと。
俺は間一髪のところで難を逃れた。
主人公で良かった……
俺とぐだ子はサーヴァントを通じてレイラインで繋がっている。
有難いことに彼女が危機を察してくれたのだ。
駆け付けたぐだ子は――もはやマシュ以外誰もが知っているが彼女はほんのり腐っている――くそみそな状況に軽くよだれを垂らしながらも
令呪でフェルグスさんを止めてくれた。
その後フェルグスさんはスカサハ師匠からお仕置きを受けたが
お仕置き(物理)を受けているフェルグスさんは嬉しそうにしか見えなかった。
絶対この人懲りてない……
俺は間一髪のところで処女を死守できた。
しかし心の傷は癒えない。
以前にぐだ子が流布させた俺と男サーヴァントたちのホ●同人のせいで俺には常に●モ疑惑が付きまとっている。
それが今回の一件で再燃してしまった。
マシュからは無事にチョコを貰えた。
「先輩……元気出してください」と言われたが。
あまりにもショックは大きすぎた。
ケルトまじ怖い。
俺は心からそう思った。
くそみそですいません。