小説でわかる幕間の物語   作:ニコ・トスカーニ

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前回の別パターンです。
唐突に思い付いて書いてしまいました。
なんかバトルしますがド下ネタです。
引かないでください。



命がけのバレンタイン - 異聞

 

 俺は今、瀬戸際に立たされている。

 

 簡単に状況を説明すると全裸の筋骨隆々とした英霊に迫られている。

 

 性的な意味で。 

 

 説明が足りないようなので補足するが俺は男だ。

 その性的な意味で迫ってきている半裸の筋骨隆々とした英霊も男だ。

 

 そして俺はノンケだ。

 

 これ以上の危機があるだろうか?

 

 ――意味が解らないと思うので更に補足しよう。

 

 今日はバレンタインデーだ。

 

 男サーヴァントたちから絶大な人気を誇るもう一人のマスター、ぐだ子は男サーヴァントたちに日頃の感謝をこめて

一人一人チョコを渡していた。

 

 一人を除いて。

 

 その一人が性欲魔人、ケルトの戦士フェルグスさんだ。

 

「伯父貴に渡したら絶対にR18展開になる。年齢規制はまずいからぐだ男が渡してくれない?」

 

 とぐだ子に頼まれた俺は「いいよ」と請け合った。

 

 別に男から男に義理チョコを渡してはいけないルールがあるわけでもない。

 報酬というわけではないだろうがぐだ子からチョコ貰ったし。

 まあこのくらいはいいだろう。

 

 さすがにフェルグスさんも男は襲わないだろうし。

 

 ――そう思った俺はどうしようもないアホだった。

 

 俺がチョコを渡すとフェルグスさんは「返礼をしなくてはならんな」と言って

 ――おもむろに服を脱ぎはじめた。

 

 何を言っているかわからないと思うが俺もわからない。

 

「ふふふ。ぐだ子のことは常時視姦していたが実はお前のことも密かに性的な目で見ていたのだ!

レオニダスのトレーニングの成果か?なかなか締まった良い尻をしているとな!

喜べ!ぐだ男!最高の初体験にしてやる!!」

 

 ――あ、これアカンやつや。

 

 ――俺の脳裏を様々な出来事が走馬燈のように駆け巡った。

 

 マシュと初めて手を繋いだ時のこと。

 ソロモンの神殿から帰ってきてマシュと抱きあって喜びを分かち合ったこと。

 マシュと一緒にあの青空を見た時のこと。

 

 いい人生だったかもしれない。

 

 

 ……………………

 

 

 いや、まだだ。

 まだマシュからチョコを貰ってない。

 

 俺はマシュからチョコを貰わなければいけないのに死んでは義務が果たせない。

 

 ――こんなところで死んでたまるか。

 ――平気で人を組み敷こうとする――お前なんかに!!!

 

「令呪三画すべてを以って命ずる!

誰でもいい!!アーチャー、来てくれ!!!」

 

 令呪が焼失し魔力の奔流となって迸った。

 そして令呪の強制力によって三騎の弓兵が召喚されていた。

 

「令呪まで使って一体何の用だ?」

 

 召喚されるや否や我らが世話好きおかん、エミヤが口を開きそして絶句した。

 

 腰を抜かしている俺。

 ほぼ全らの筋骨隆々とした大男。

 この光景をみたら妥当な反応だと思う。

 

 しばらく沈黙が続いて

 三人の弓兵は順々に口を開いた。

 

「……これは……たまげたなぁ。

その、なんだ。終わったらまた呼んでくれ」

「マスター……オタク、やっぱりそういう趣味があったワケで?」

「うーん。僕もちょっとこれは無理かな」

 

 これはまずい。

 呼び出された三人の弓兵、エミヤ、ロビン・フッド、ダビデは一様に状況を勘違いしている様子だった。

 

「違うよ!助けて!!

タ・ス・ケ・テ!!!」

 

 おかんは渋い顔している。

 駄目だこれ。

 絶対伝わってない。

 

「……助けて(混ざって)?」

「違うよ!なんで普段は物わかりいいのにどうしていきなりエロゲ主人公みたいになるの!?

どんなレベルの難聴だよ!」

「いや。私はもともとエロゲ主人公だし」

「そういうメタネタはいいから!助けて!

()()()()()

 

 俺の必死の叫びに「ああ……」とエミヤは大きく首を縦に振った。

 ロビンとダビデさんもようやく納得がいった様子だった。

 

「よいしょっと」

 

 まず最初に動いたのはダビデさんだった。

 治癒の竪琴のスキルにより俺に守りの加護が付与される。

 

「いやあ。ごめんねぐだ男くん。

僕はてっきり君はガチムチが好きなのかと思ってたよ」

「いやいや!どうしてそんなことになってるんですか?

俺言いましたよね?『おっぱいが好きだ』って」

「ごめんごめん。『雄っぱいが好き』なのかと思ってたよ」

「どうして裏をかくような解釈するんですか!?」

 

 ああ、もう。

 どうしてこんな誤解が?

 いや待てよ、ひょっとして……

 

「ロビンもそう思ってたの?」

「マスター。悪い。俺もてっきりオタク、実はガチムチが好きなんじゃないかと思ってわ。

でもこの様子をみるとマジに必死みたいだから。誤解して悪かったな」

「誤解?一体何を誤解してたの?」

「『雄っぱいが好き』って言ってたから……」

「なんで同じ解釈間違いするの!?正面から解釈してよ」

 

 なんてこった。

 まさか 

 

「え?ひょっとしてエミヤも?」

「マスター。すまない。私も君を誤解していた。

マシュのことが好きだと言っていたが一周半して実はカモフラージュなのだと思っていた」

「なんで?」

「敵を欺くにはまず味方からと言うだろう?すまない。

……とにかくこれで心の迷いは晴れた。ケルトの勇者フェルグスよ。

マスターの貞操を守るのもサーヴァントの重要な役目だ。押し通るというならば覚悟してもらおう」

 

 三騎の弓兵はそろって臨戦態勢に移った。

 フェルグスさんは心変わりする様子なし。

 

 相変わらず全裸のまま――その手にはカラドボルグが握られていた。

 

「良かろう。血を流したいと見える。

――尻穴からな」

 

 全員の顔から揃って血の気が引いた。

 

 駄目だこの人。全員相手にする気だ。

 

 性的な意味で。

 

「おい。ダビデのおっさん。今日はサボるなよ」

「わかっているよ無名くん。僕だって処女を失うのはご免だ。

無銘くん。前衛は任せたよ」

「請け負った。サポートを頼む」

 

 いつも凸凹な三人だが、この瞬間彼らは戦友となった。

 

 

××××××××××××

 

 三人の連携は見事だった。

 

 エミヤが前衛で戦い、ダビデさんがサポートし、ロビンが妨害する。

 戦局を優位に進めていた。

 

 だが何かがおかしい。

 嵐のような攻撃を受けながらもフェルグスさんには少しも効いていないように見える。

 

 俺も可能な限りの支援をしたが次第に押され始めていた。

 

 明らかにおかしい。

 今日のフェルグスさんは強すぎる。

 こんな姿は見たことがない。

 

 一体どうしたんだ?

 俺はマスターに与えられたスキルを使いフェルグスさんのステータスを確認した。

 

 すると。

 全てのステータスがEXランクになっていた。

 

 え?

 どういうこと?

 

「気づいたようだなぐだ男よ」

 

 フェルグスさんは攻防を繰り返しながら俺に語り掛けた。

 

「え?どういうことですかこれ?」

「簡単なことだ。ケルトの戦士は唯煩悩によって最大の力を発揮することが出来る。

――つまり。今の俺は最強ということだ」

「いや、それディルムッドも兄貴も全力で否定すると思いますよ……」

「ハッハッハ!細かいことは気にするな!

現に俺は男とか女とか細かいことは気にせんぞ!

お望みとあらばお前とぐだ子を同時に相手しても構わんぞ!」

「やめて!マジでやめてください!」

 

 変わらず攻防は続いている。

 だが戦局は明らかに不利な方向に傾きつつあった。

 

 このままでは『Fate/Grand Order』が『Fate/くそみ●テクニック』になってしまう。

 

 こうなったら最終兵器だ。

 彼女を呼ぶしかない。

 

 俺は必死に考えを巡らせ、対男性サーヴァントの最終兵器女神エウリュアレに加勢を頼むことにした。

 まず戦う三人に念話で「もう少しだけ持ちこたえて欲しい」と告げ最後の一手に動いた。

 

「アステリオス、聞こえる?」

「うん。きこえるよ。ぐだお」

 

 気まぐれな女神さまに物を頼むのは難しい。

 しかもこんなくそみそな状況を知ったら嫌がるに決まっている。

 

 あ、そういえばどうしてわざわざさっきは令呪なんか使ったんだろう。

 普通に念話で呼べばよかった。

 

 いや、過ぎたことはもういい。

 とにかく今は女神の助成だ。

 

 気まぐれなエウリュアレでもアステリオスの言う事ならば聞いてくれる可能性がある。

 俺は状況を簡単に説明したうえで視覚をアステリオスと共有し今の現場を見せた。

 

 全裸で三人を相手にするフェルグスさんをみてアステリオスはまず言った。

 

「……すごく。おおきいです」

「いい反応ありがとう!とにかくエウリュアレを説得して!」

「わかった。ぼくがんばってみる」

 

 レイラインを通して二人のやり取りが聞こえてくる。

 

「嫌よ」

 

 女神さまはくそみそな状況をしって当然ながら拒否した。

 

「どうしてもだめ?」

「嫌よ」

「ますたーがあぶない……」

「知っているわ。でも他の英霊が戦っているのでしょう?

知っていると思うけれど私、戦闘向けじゃないの。任せておけばいいじゃない」

「ますたーはえうりゅあれにたすけてほしいっていってる」

「あのねえ、アステリオス。私は女神なの。穢れてはいけない存在なのよ?

あんな汚らわしいものに宝具を使ったら無垢でなくなってしまうわ」

 

 それでもアステリオスは食い下がる。

 

「どうしてもだめ?」

「駄目なものは駄目。この話はお終い」

 

 取り付く島無しだった。

 アステリオスが落胆する様子がレイラインを通じて伝わってくる。

 

「……わかった」

「そう。わかればいいのよ」

「じゃあぼくひとりでいく。

ぐだお、いいひと。ぼく、ぐだおのことまもりたい」

 

 ほんとこの子けなげだなぁ……

 

「あらそう。ならば頑張ってね」

「うん。わかった。えうりゅあれ、へんなことたのんでごめんね。

……いままでありがとう」

 

 説得は失敗だったがアステリオスが助けに来てくれた。

 アステリオスの迷宮による妨害で戦局は一時的に良くなった。

 

 だがやはり敵は強力過ぎた。

 

 もう四人とも限界だ。

 このままではくそみそな展開になってしまう。

 

「良い準備運動になったぞ。

括約筋の状態は万全か?」

 

 駄目か……

 ちくしょう。あと少しだったのにな

 

「さあ行くぞ!真の虹霓をご覧に入れよう!」

 

 ああ。終わった。

 ぐだ子、あとの事は頼んだ……

 

 マシュ。

 いままでありがとう。

 不甲斐ないマスターでごめん……

 

女神の視線(アイ・オブ・ザ・エウリュアレ)!」

 

 その時。

 一筋の光が横切り性欲魔人の股間を直撃した。

 

 性欲魔人フェルグスさんはその一撃になす術なく崩れ落ちた。

 

「……志半ばで倒れるか。これもまた戦士の宿命か」

 

 まさかの女神さまが助けに来てくれた。

 

 エウリュアレは半死半生の俺たちを産業廃棄物でも見るような目で見降ろしていた。

 

「どうして助けに来てくれたの?」

 

 俺が問うと彼女は答えた。

 

「アステリオスを傷つけた。それが理由よ」

 




 くそみそですいません。
 活動報告にオマケを書きました。

 マシュといちゃいちゃします。
 でもギャグです。
 しかも下ネタです。
 許容できる方はご覧ください。
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