プレー動画を見てて思い付きました。
内容はタイトル通りです。
「我が王に誓って!」
「黙れ」
「……はい」
今日は週一回の恒例行事。
槍の修練場だ。
新たな特異点、亜種特異点の発生により戦いはまだ終わっていないことが分かった。
現有戦力は底上げしておく必要があるため修練場を交代で回っている。
ぐだ子は種火狩りに行き、俺はマシュをつれて修練場に来ていた。
今回のメンバーは円卓最強の騎士ランスロットとオルタの方のアルトリア。
二人とも強烈な火力を持っているためサクサクと進んでいた。
ランスロットは終始オルタに罵倒されていた。
オルタの性格とランスロットとの生前の関係を考えればそれもやむ無しだろう。
ランスロットには悪いことしちゃったな。
後で謝っておこう。
「王よ。不躾を承知でお願いがあります」
修練場のクライマックス。
担当のエリザベートを前にしたところ今まで寡黙に振舞っていたランスロットが突然言った。
「何だ?言ってみろ」
オルタが冷たく言い放った。
ランスロットもさすがにちょっと堪えてるのかな。
性格的に言って抗議するようなことはしないだろうけど。
「……もっと罵ってはいただけないでしょうか?」
斜め上の反応だった。
ああ、そういえば罵られるたびにちょっと嬉しそうな顔をしていたような……
「ランスロット卿」
彼女は深くため息をついた。
「はい」
オルタが残飯で見るような目でランスロットをにらみつけて
「お前。気持ち悪いな」
「……はい。私は気持ち悪いです」
ランスロットの表情は恍惚に満ちていた。
「何だ?罵られて喜んでいるのか?この変態め。
女好きでヒトヅマニアな上にマゾか。
どうしようもない奴だな。この穀潰しめ」
「……はい。私はマゾで変態で穀潰しです」
「貴公に比べれば生ごみのほうがまだ利用価値がある。
ゴミは焼却すればエネルギーになるからな。
貴公は地上で最下等の生物だ。汚染物質をかき集めた塊よりも価値がない。
呼吸をしているだけで目障りだ」
「……はい。生きていて申し訳ありません。我が王よ」
ランスロットは完全にアッチの世界にトリップしていた。
円卓最強の騎士が台無しだ……
「お父さん。気持ち悪いです……」
マシュはドン引きしていた。
「マシュ……」
マシュのきつい一言でランスロットがアッチの世界から帰ってきた。
息子兼娘に言われるのはさすがにキツかったのだろうか。
マシュは
「あ……すいません。さすがに言いすぎました」
と謝罪したが返って来たのは斜め上の反応だった。
「……もっと罵ってくれないか?」
Oh……
「もっと罵ってくれ!頼む!私は罵ってもらうことでしか己を保てないのだ!
どうか頼む!」
「やめて!近寄らないで!先輩!助けてください!」
「マスター!あなたにもお願いしたい!私を罵ってください!
あなたに罵られるのであれば本望です!」
俺は興奮したランスロットを令呪で宥めた。
ランスロットは罵倒されることで凄まじい力を発揮した。
普段からカルデアにいるセイバーでも最強クラスの実力者だが今日のランスロットは凶悪な強さだった。
なんのサポートもなく一発でエリザベートを沈めた。
「マスター。我を失い面目次第もございません」
戦闘後。ランスロットは礼儀正しく謝罪に来た。
「私はずっと王にこの身を罰してほしいと願っていました。
ですがどうやら私は真の願いを自分自身が理解していなかったようです。
私は……王に罵って欲しかったのです」
ランスロットの顔は晴れやかだった。
その時の俺はまだ知らなかった。
これが円卓の性癖の一端でしかないことを。
剣の修練場の日。
今日はトリスタンの担当だった。
本来ならばアーチャークラスで固めるところだがトリスタンのリクエストでアルトリア・オルタが同行した。
嫌な予感がしたが意図的に嫌な予感を無視して俺は修練場に向かった。
修練場の担当は黒化していない方のアルトリアだ。
「本気で行きましょう。トリスタン卿」
いつもならばちょっと申し訳なさそうに戦うトリスタンだったがこの日は様子が違った。
トリスタンはアルトリアをガン無視するとオルタの方を向いて言った。
「王よ」
「どうした?トリスタン卿」
「ランスロット卿から聞きました。あなたにたっぷりと罵られたと……
私は羨ましい。私のことも罵ってはいただけないでしょうか?」
オルタがトリスタンを見る目は集積場の生ごみを見るのとまったく同じものだった。
彼女は深くため息をつき
「貴公など罵る価値もない。捨てゼリフを吐いてキャメロットを去った恥知らずめ」
「……はい。私は恥知らずです。如何様な申し開きもできません」
「誰が返事をしていいと言った?その声が私の鼓膜を震わせるだけで不快だ」
「はい。申し訳ありません。王よ」
「誰が謝罪していいと言った?
貴公に謝罪などされては余計に不快だ。寿命が縮みそうなレベルでな。
今、貴公の謝罪のせいで私の寿命が数年縮んだぞ、どうしてくれるのだ?トリスタン卿」
罵る価値もないと言いながらよくここまで罵倒の言葉が出てくるな……
実はオルタもノリノリなんじゃないか?
「私にできることでしたらなんでも……」
トリスタンは興奮で体を震わせていた。
マシュとぐだ子が同行してなくて良かった。
とても見せられない。
「では呼吸をするな。
二酸化炭素を取り込んで酸素を吐き出せ。
役立たずなりに地球に貢献してみせろ」
「はい。努力します。王よ」
「誰の許可を得て人並みに人語を話している?貴公はブタだろう?ならば鳴き声で返事をしてはどうだ?」
「はい」
「はい?」
「……ブヒ……ブヒ」
トリスタンがブヒブヒと言うたびに魔力が充填されていくのを感じた。
これが円卓の真の力か……
こんなこと知りたくなかった。
ブヒブヒという鳴き声を発すると真名の開放もなしで宝具が解放された。
凄まじい威力の一撃に修練場担当のアルトリアは撃沈した。
「あの……私なんか影薄くありませんか?」
無念の一言とともにアルトリアは沈んだ。
一周巡って次の週の槍の修練場。
今度はガウェインが出陣していた。
彼の希望でアルトリア・オルタが同行した。
もう嫌な予感しかしない。
「……どうした。ガウェイン卿」
ガウェインは終始落ち着かない様子だった。
その様子からアルトリア・オルタは察したらしい。
うんざりした様子でガウェインに問いかけた。
カウェインはいつもの爽やかなイケボで最低なことを言った。
「私の事も罵っていただけないでしょうか?」
オルタは深くため息をつくとゴキブリでも見るような目でガウェインを見て
「まったく。バスターで殴るしかない脳の無い脳筋ゴリラめ。
貴公よりレオニダスの方が百倍は賢いぞ」
後日、円卓唯一の良心ベディヴィエールにその話をすると彼は頭を抱えた。
「以前から彼らにはその傾向がありました。あの頃は王に怒られたことを密かに喜ぶ程度だったのですが……
そこまでこじらせていたとは……」
円卓は元々マゾ集団だったらしい。
そんなこと知りたくなかった……
×××××××××××××
「僕はセイバー。君を守り、世界を守る───サーヴァントだ」
夥しい数のiTu●eカードを犠牲にその英霊は爽やかに召喚に応じた。
彼の名前はアーサー・ペンドラゴン。
名高いアーサー王伝説の核を成す最高クラスの英霊だ。
彼は特殊な事情で縁がつながった平行世界の英雄だ。
こちらの世界のアーサー王は金髪碧眼の美少女。
平行世界のアーサー王はピカピカのイケメン。
憎たらしいほどのハンサムという表現があるが、彼は憎たらしさすら感じないほどのイケメンだった。
きっと女湯を覗きにいったのがばれても「もう……エッチなんだから♡」と許されてしまうに違いない。
アーラシュとは別世界の聖杯戦争でかかわりがあったらしい。
二人は敵同士でありながらお互いを善きものとして認め合っていたらしい。
再会を喜んでいた。
若い方のクー・フーリンとも関係があったらしい。
ぐだ子は再会を喜ぶ二人の姿を見てよだれを垂らしていた。
「ピカピカのハンサムな騎士と精悍なアーラシュのカップリング……いい。とてもいい」
彼女が腐っているのはもはや公然の事実だった。
今や気づいていないのはマシュぐらいだ。
召喚に成功した俺とぐだ子はアーサーを連れてカルデアを案内していた。
彼が歩くだけ花が咲き、甘い匂いが粒子になって舞い上がっていた。
すれ違うたびにカルデアの女性職員が気絶していた。
一定以上の魔力抵抗が無いと耐えられないらしい。
これはまずい。
マーリンかダヴィンチちゃんかホームズかその辺に相談しておこう。
「おい……テメエ」
彼を連れていると一人の英霊がこちらに寄ってきた。
円卓の騎士、モードレッドだ。
アーサーの話ではどうもマーリンとモードレッドはこっちの世界とあちらの世界で性別が異なるらしい。
モードレッドにしてもアーサーにしても初対面の筈だがどうやら彼女は直感で何かを感じ取ったらしい。
モードレッドはアーサーに詰め寄ると
「テメエ、何で父上と同じ気配を発してんだ!?」
ぐだ子が「あの……モーさん、説明するからちょっと落ち着いて」と宥めようとする。
驚きで黙っていたアーサーだったがその表情はすぐに落ちついたものになっていた。
彼は説明を始めたぐだ子を「任せて」と下がらせると
「この世界のモードレッドは可愛らしいね」
という反則技を繰り出した。
モードレッドは瞬時に真っ赤になって
「か、かわいくねーし///」
と悪態をついた。
セリフの後ろに///が見える。
反逆の騎士がもはやただのツンデレっ子だ。
「ははは。何だい反抗期か?そういうの大歓迎だよ」
「う、うるせー///」
モードレッドが落ち着いたのを確認して俺とぐだ子は交互に事情を説明した。
これでいてモーさんは素直な子だ。
説明を聞くと割とあっさり納得した。
「……おい、テメエ」
説明を聞き終えるとモードレッドはもじもじし始めた。
「テメエ?……その呼び方はちょっと傷つくな」
「あ……ごめん」
あの乱暴なモーさんが完全に手懐けられてる。
「……えっと……ち、父上///」
「何だい?モードレッド」
アーサーが爽やかに言うと
「……さっきのもう一度言ってくれねーか?」
モードレッド完全に真っ赤。
こんな姿を見る日が来るとは思わなかった。
アーサーは真剣なまなざしになりモードレッドのすぐ眼前まで近づいてまっすぐ彼女を見据えた。
「モードレッド」
「は……はい///」
「僕の知っているとモードレッドは君ではないモードレッドだが別人であると同時に同一人物でもあるらしい。
だから今、この場では君と僕の知っているモードレッドは同一だという前提で君に向き合いたい。
構わないかい?」
「は……はい///」
アーサーは深く息を吸い込むともはや憎たらしさすら感じられないほどのイケボで続けた。
「……僕は予言に従い君を唾棄した。それが王の責務だと思ったからだ。
今更だが僕は間違っていたよ。どのような国も亡ぶのが定めだ。
高貴な選択をしたつもりだったが最低の人間で最低の父親だな。僕は」
「い、いや……いいって。オレもその……悪いところはあったわけだし///」
モーさん完全に陥落。
完璧すぎて反抗する気すら起きないパパと娘にしか見えない。
そしてアーサーは止めに移った。
「だから君が望むのならば何度でも言おう。
……僕の可愛いモードレッド」
キラキラという擬音語とともにバラの花が咲き誇り、香水のような甘い匂いが光の粒子になって舞い上がった。
「はわわわわ……ち、父上///」
ブバっと勢いよく鼻血を噴出してモーさんは気絶した。
「きゅう……」
これが……イケメン無罪。
「おや!大変だ。医務室はどこだい?」
彼の一言で我に返った。
「あ……こっちです///」
「あ……案内します///」
俺とぐだ子はしどろもどろになりながら何とか返答した。
「よし!行こう!これは世界を救う戦いだ!」
アーサーはモーさんをお姫様抱っこすると俺たちの先導で医務室に向かった。
モードレッドを医務室まで送り届けると俺とぐだ子は案内を続行した。
アーサーはモーさんが気絶した理由が皆目見当つかないらしい。
クソッ!イケメンの上に天然かよ。
「モードレッドがいるということは他の円卓の騎士もいるんだね?
ということはこちらの世界の僕もいるのか。いつか会ってみたいな」
一通り案内を終えるとアーサーは言った。
「え……あの、今はやめておいた方が」
「どうしてだい?」
俺が言葉を濁すと不思議そうに尋ねた。
すると最悪のバッドタイミングで彼らがやってきた。
アルトリア・オルタと円卓の騎士たち。
具体的にはランスロットとトリスタンとガウェインが。
「疲れたな。誰か椅子を持て」
オルタの言葉に三人が鋭く反応した。
「私が椅子になります!」
「……抜け駆けはいけませんよ、ランスロット卿。椅子になるのは私です」
「私です!椅子になるのはバスターゴリラの私の役目です!」
三人の騎士たちは王の人間椅子の座を巡って争い始めた。
オルタの彼らを見る目は人がヘドロを見た時と同じものだった。
それを見ていたアーサーはにっこり笑って言った。
「ここに円卓の騎士はいないみたいだね。残念だ」
プロトタイプセイバーの性格はドラマCDと断片的なプロトタイプの情報から。
『蒼銀のフラグメンツ』は読んでません。すいません。
オマケとして制作されたプロトタイプのダイジェストは見ました。
そのためほとんどが私の妄想です。
プロトセイバー、イケメンですね。
ちょっと欲しくなっちゃいました。
ところでバレンタインでモーさんから食べかけのチョコもらって
「か、間接キス……」
と思った人。
(そっと手を挙げる私)
ついでにこっそり宣伝。
新宿の最終戦をスパルタ王メインで戦ってみました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30771726
よろしければどうぞ。