小説でわかる幕間の物語   作:ニコ・トスカーニ

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わしって天才だから是非もないヨネ

「なに?わしに戦術を教わりたいとな?うっはっはっは!良い心がけじゃ!うむ、まずは座るがよい!わし自ら茶をたててやろう!」

 

 俺はノッブこと織田信長の部屋を訪れていた。

 部屋に入るとノッブは沖田さんと戦国無双4に興じていた。

 どんだけ世俗に塗れてるんだよ。

 あとこの二人ほんとは仲いいだろ?

 

 織田信長は史実とは違い女の子だ。沖田総司も女の子だ。

 この世界、大丈夫か?

 

 俺はぐだ子と共同でマスターを務めているが戦術は俺の担当だ。

 強化や回復は主にぐだ子が担当。

 今のところそれでかなり上手くいっている。

 

 戦術についてはカエサルにも教わりに行ったことがある。

 カエサルは最初真面目に話をしていたが、話はどこかからかネズミ講の話になっていた。

 危うく身ぐるみはがされるところだった。

 

 レオニダスにも教わりに行ったことがあるが気付いたらインナーマッスルの鍛え方の話になっていた。

 

 イスカンダルの話は興味深かったが、彼の軍はイスカンダル自身が先陣を切ることで戦意を高揚させていたらしい。

 マスターは後方支援が前提なので真似できない。

 

 アルトリアにも話を聞いたが彼女の戦いは円卓の騎士という一騎当千の存在があって成り立つものだし、そもそもアルトリア自身が最高ランクの英霊なのでやはり真似するのは厳しいものがあった。

 

 その点、ノッブは割といいお手本かもしれない。

 実際、ノッブ自身のステータスはそれほど高くない。

 軍師としても数多くの功績のある人物だからいいんじゃないかと思った。

 

 俺はまず、長篠の戦いで行われたとする三段撃ちについて聞いてみた。

 

「三段撃ち?あんなんフィクションに決まっとるじゃろ。大体じゃな、ものの本ではわしが三千丁鉄砲用意したことになっとるらしいけど、鉄砲三千丁とか無理ゲーじゃろ。あの宝具、わしも気に入っとるからええんじゃが実際はあんなに上手くいかんて」

 

 まあそうなんだろうとは思っていた。

 歴史家の間でも疑問視されていると聞いたことがある。

 

「仮に三段撃ちをするとしてじゃな」

 

 お、きたきた。

 織田信長が三段撃ちを本当にやるならどうするか、それが聞きたかったんだ。

 

「そもそも火縄銃というやつはのう、湿気に弱くよく不発になるんじゃ。日ノ本は湿気の多い土地じゃからの」

「うん。それで?」

「その不発に終わった隙間を何で埋めるか?ここが肝要なところじゃ。ぐだ男、お主どうすればいいと思う?」

「一般的な戦法だと防ぎ矢か槍で突進を食い止めるかだね」

「古いのう。つまらんのう。そんな方法では敵の意表は突けんぞ」

 

「じゃあノッブならどうするんですか?」と沖田さんが聞くと、斜め上の回答が帰ってきた。

 

「糞を投げつけるんじゃ」

 

 ……おいおいちょっと待てよ。

 

「……ノッブ。これ、fateだよ?ドリ●ターズじゃないからね」

「細けえことはいいんじゃよ。これ同人なんじゃから」

「あ、同人って言っちゃったよ。でもそういえば何でも許されるわけじゃないからね?」

 

 俺の突っ込み対してノッブは笑って誤魔化すとさらに続けた。

 

「ここで敢えて弓矢ではなく糞を投げつけることには大事な意味があるのじゃ。

まず、意表を突ける」

「うん。そうだね。う●こを武器にするなんて明らかに正気じゃないもんね」

「それに臭さで敵のもらいゲロを誘発できる。糞をぶつけられた上にもらいゲロまでしたらテンションがた落ちじゃ。もうこれで勝ったも同然じゃよ」

「うわーすごい戦略。カエサルあたりが全力で否定しそうなパーフェクトな作戦だね」

 

 ノッブはちょっとご機嫌斜めになったらしい。

 口元を歪ませるとその表情が真剣なものになった。

 

「ぐだ男。お主は糞の凄さがよくわかっとらんようじゃな。よいか。糞は万能なのじゃ」

 

 いやいや、真剣な顔して何言ってんですかあんた。

 

「まず、糞は簡単に手に入る。厠から集めてきても良いし、農家から買ってくる手もある。糞はありふれた物質じゃからの、補給も簡単じゃ」

「うん、なんかもっともらしくなってきたね」

「それで使い方じゃがまず肥やしになる。これが一番一般的な使い方じゃな」

「というか他に使い方があることが驚きだよ」

「矢じりに塗ると毒代わりになる。糞は雑菌の塊じゃからな。破傷風を誘発することができるというわけじゃ。それから」

「まだあるの?」

「火薬の原料になる。硝石が鉱床として手近なところにない場合は作るしかないからの。その時に必要なのが木炭、硫黄、それと糞じゃ。

それを混ぜ合わせれば黒色火薬の完成よ」

 

 あれ、おかしいな。それこの間マンガで読んだぞ。

 

「ノッブ、私からも言いますけどこれfateですからね?ド●フターズじゃないですよ」

 

 沖田さん、何でドリフ●ーズ知ってるの?

 どんだか世俗に塗れてるんだよ。

 

「だから細けえことはいいんじゃよ。これ同人なんじゃから」

「いやいや同人にしても世界観いい加減すぎるでしょ。コハエースでももうちょっとマシですよ?」

「それだけではないぞ。糞は城攻めにも使えるのじゃ。例えば、大きな堀に囲まれた城に敵が籠城したとするの。その時にはな……」

 

 あ、これ絶対アレだ。

 

「堀に糞を投げ込むのじゃ。臭くてたまらんからの。城の中じゃもらいゲロの連鎖で阿鼻叫喚の地獄絵図じゃ。たまらず籠城をやめる。どうじゃ!完璧じゃろ!」

「いやいやノッブ、その作戦グズグズじゃないですか。そもそも堀にう●こ投げ込んでる間に攻撃されたらどうするんですか?」

「何言っとるか!おき……弱小人斬りサークルのメンバーめ!そんなの糞を投げ返して反撃するに決まっとるじゃろ!」

「そこは普通に攻撃しましょうよ!火縄とか長弓とか投石とか他にもっといい手段あるでしょう。あと、何でわざわざ間違った方に言い直したんですか」

「なんじゃそのつまらん戦法!ひょっとしてお主ら人斬りサークルは糞を使わんかったのか?そんなんじゃから戦に負けたんじゃよ」

「それ、土方さんが聞いたら激怒しますよ」

 

 そこまで言ったところでノッブは何かに気づいたらしい。

 「あ、そうじゃそういえば……」と言うと続けた。

 

「今思うとあれが良くなかったのかのう……」

 

 あ、絶対これう●こ絡みだ。

 もう答えは見えたけど一応聞いてみた。

 

「ミッチーに褒賞としてお気に入りの肥溜めを進呈したことがあるのじゃが。

そういえばあれ、本能寺の少し前じゃったの。今思えばあれが良くなかったのかのう」

「え?ノッブに『褒賞に肥溜めあげる』って言われて明智光秀はなんて言ったの?」

「ミッチーの奴、曖昧な笑顔で『ありがたく頂戴いたします……』と言っとったからてっきり喜んでるかと思ったわ。

そういえばあんまり嬉しそうじゃなかったのう。嫌がってるとは夢にも思わなかったわ」

「間違いなく謀反の原因それだよ」

 

 ノッブは無念そうに俯いた。それもうちょっと早く気付こうよ。

 が、横で沖田さんが呆れながら「何で明智光秀が肥溜めもらって喜ぶと思ったんですか?」と聞くとまたしてもムキになった。

 

「何を言うか沖田……病弱クソステセイバーめ!茶々は糞の話で大喜びしとったし、信勝もわしに肥溜めに落とされて『姉上!もっと下さい!』と言って歓喜しとったぞ!

それにサルもじゃ。彼奴は糞の重要性をちゃんと理解しとったぞ!わしが褒美に肥溜めをくれてやろうとしたら『それは良い考えですが、今回は殿の脱ぎたての草履を所望します。hshs』と言って喜んとったぞ!」

「いやいや、秀吉、結局肥溜め拒否してるじゃないですか。あとさらりと流されましたけど秀吉変態ですね」

 

 結局、ノッブの戦術はそのことごとくがう●こ絡みだった。

 しかも彼女が語るときの表情は真剣そのものだった。

 沖田さんは完全に呆れてしまい、途中からツッコミすらやめていた。

 

「このようにじゃな、糞は大抵の問題を解決するのじゃ」

 

 散々語り終えるとノッブは満面の笑みを浮かべた。

 あんた一体どんだけう●こ好きなんですか……

 

 もうどうでもよかったが大事なことがある。

 これだけは締めくくりに言っておかないと。

 

「でもノッブ、糞が原因で謀反起こされたんだよね?」

 

 彼女は確信を突かれて唖然とすると……にっこり笑って誤魔化した。

 

「……是非もないヨネ!」

 




上品ですいません。
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