小説でわかる幕間の物語   作:ニコ・トスカーニ

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どうもお久しぶりです。
気付けば前の投稿から二か月とか。
ブクマしてくれてる皆様、いつもありがとうございます。
短いの一本+もっと短いオマケ一本です。
次回も短いやつになると思いますが、次はもっと短い感覚で投稿します。


これも戦略です

 俺とぐだ子はケイローン先生に呼び出された。

 会議スペースに赴くとケイローン先生はヘラクレスと何か談笑をしていた。

 

「■■■■■ーーー」

「おや?質問ですか?ヘラクレス」

「■■■■■■■■■■ーーー!」

「いえ、そのような都合のいい洗剤は存在しないと思います」

「■■■■■■■■■■■■■■■ーーー!!」

「そうですね。それが藤田ニコルちゃんの人気の秘訣かと」

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーー!!!」

「はは。おだてても何もでませんよ」

 

 一体何の話をしているのだろう?

 ヘラクレスは古代ギリシャ語(狂戦士訛り)らしく、何を言ってるのかわからなかった。

 

 いつものように日本語(狂戦士訛り)ならわかるんだけど。

 

「ぐだ男、ぐだ子。お呼び立てして申し訳ありません」

 

 俺たちが来たことを確認し、ケイローン先生は恭しく頭を下げた。

 アキレウスが言うにはケイローン先生は「超体育会系」らしいが、とてもそうは思えない。

 大英雄なのに尊大な態度を見せたことは一度も無く、誰に対しても丁寧だ。

 

「イアソンが以前、良いことを言っていたそうですね。

『1を10にするより、10を100にするべきだ』と」

 

 そういえば前に話したな。

 ソロモンの神殿での戦いのことだ。

 

「そこで私から一計です。ヘラクレスは強力な戦力ですが、彼を最大限生かす――10を100にするにはどのような方法を取るべきでしょうか?」

 

  〇

 

 という訳で、さっそくシュミレーター起動となった。

 条件は二つある。

 

 一つは最後までヘラクレスを活かしきること。

 もう一つは諸葛孔明、マーリンは使用禁止。

 

 その条件で高いHPのデーモンを相手にすることだ。

 

 こうなると取れる戦略は一つだ。

 俺とぐだ子は打ち合わせし、二人ともほぼ同じ結論に到達した。

 

「アマデウス、シェイクスピア、アンデルセン。順々に盾になれ」

 

 看板娘を付けて前に出された文化サーヴァント三人が抗議の声を上げる。

 

「僕たちを選ぶあたり、悪意しか感じないのはどうしてかな!?」

「おお!なんという開き直った外道戦法!」

「止めろ!俺を巻き込むんじゃない!」

 

 作戦はシンプルだ。

 彼らのスキルを使い捨ててヘラクレスにバフをかけ、スキルを使ったらさっさと沈んでもらうことだ。

 

「やだなー。悪意何か無いよー。ぐだ男嘘つかない(棒読み)」

「やだなー。私はみんなのこと大好きだよー。ぐだ子嘘つかない(棒読み)」

 

 もちろん抗議など受け付けない。

 

「大体、盾にするならゲオルギウスかレオニダスを使えばいいだろ!

俺たちみたいなクソ弱いサーヴァントを盾にする必要無いだろ!」

 

 アンデルセンがごもっともなことを言ったが勿論、考えた上での策だ。

 

「えー、だってーゲオル先生もレオニダスさんも人格者じゃん?それにあの二人よりーキミタチの方がーバフ要員としてー有能っていうかー」

「そうそう。それにキミタチはクズだから盾にしても良心が痛まないし?カンペキ!!」

 

 俺とぐだ子はぐっと親指を立てた。

 

「ワオ!君たちの日頃の評価がよくわかる!なんてことだ!」

「おい!それが悪意以外の何なんだ!止めろ!俺は降りる!降ろせ!」

「何と!全く改悛の情すら示さない外道っぷり!ケイローン殿、教師として見過ごすべきなのでしょうかな!?」

 

 シェイクスピアが抗議の声を上げた。

 

「これは……私情を捨てて策に徹するとは。大変興味深い。あなた達には将としての素質が見えます」

 

 ケイローン先生はゴーサインを出した。

 

 アマデウスがケツから星を出し、心眼と勇猛で自己強化したヘラクレスが鬼クリティカルを連打してデーモンを殴る。

 シェイクスピアの国王一座とエンチャントで強化したヘラクレスがバスターチェインを連打してデーモンを殴る。

 アンデルセンの宝具と人間観察で威力を強化し、無辜の怪物で供給したスターで鬼クリティカルを連打してデーモンを殴る。

 

 三人そろって貧弱なクソステなのでデーモンの攻撃で次々と沈んでいく。

 しかし、ヘラクレスの猛攻でデーモンももはや虫の息だった。

 これでももう一手だ。 

 

「マシュ」

「はい!頑張ります!」

 

 最後のとっておき、可愛い後輩ちゃんマシュを出した。

 

「よし、マシュ。ヘラクレスに無敵とNP付与。あと、ごめん。デーモンのチャージ溜まっちゃったから盾になって」

「はい!頑張ります!」

「ありがとう。私のかわいいナスビちゃん。君の犠牲は無駄にはしないよ」

 

 マシュはデーモンのチャージ攻撃で沈んだ。

 マシュの犠牲で無傷で生き残ったヘラクレスはデーモンに止めをさした。

 

「ああ……ヒロインなのにこの雑な扱い。悔しいのに嬉しい」

 

 マシュがビクンビクンと震えている。

 それを見てケイローン先生が言った。

 

「本人が幸せなようですし。良しとしましょうか」

 

××××××××××××××××××××××××××××××

 

オマケ

 

■セミ様は乙女

 

「マスター……我にはどうでもいいことだが……」

 

 マイルームに突然やってきたセミ様ことセミラミス様はそわそわしながら切り出した。

 

「あの、シロウに頻繁に共しているルーラーによく似た童女は何者だ」

 

 どうでもいいと言いながら、声が上ずっている。

 本当に乙女だ。

 

 俺とぐだ子はセミ様に見えないようにニヤリと見合うと告げた。

 

「ああ、ジャンタちゃん(ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ)のことですか?」

「何を隠そう、あの子はジャンヌと天草君の娘……」

「何?」

 

 セミ様は思い切り目を見開いた。

 俺とぐだ子は我慢できず、思わずニヤリと笑った。

 セミ様はさすがに悟ったらしい。

 怒りでプルプル震えていた。

 

 やばい。

 宥めないと。

 俺たちはフランクな感じでセミ様の肩をポンポン叩いた。

 

「……な訳ないじゃないですかー。ジョークっすよ、ジョーク!マスタージョーク!!」

「驚かせてごめんなさい!サーヴァントの間に子供は出来ないですってばー!ジョーク、ジョークですよ!」

 

  〇

 

「「ジャンヌー!!!たああすけてええええええええ!!!!!!」」

 

 この光景はデジャヴか?

 助けを求められたジャンヌが颯爽と現れセミ様を羽交い絞めにした。

 

「止めなさい!彼らは私たちのマスターですよ!」

「離せ!離さぬか!

許さぬぞ!!乙女の純情を弄びおって!!!!」

 

 やっぱりセミ様は乙女なのでした。




後書き代わりに色々。
他の書いてました。

不定期投稿してる映画の記事
https://theriver.jp/author/scriptum8412/
https://kaigai-drama-board.com/posts/author/21421

最近書き始めた自作。普通にシリアスです。
https://ncode.syosetu.com/n9384es/

次回投稿は今、書いてます。
明後日ぐらいには更新できると思います。
では、また。

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