「ぐだ男、ぐだ子。度々申し訳ありません」
マイルームにやってきたルーラーのサーヴァント、ジャンヌ・ダルクは本当に申し訳なさそうに切り出した。
俺はペコリと頭を下げたジャンヌのおっぱいが揺れたのを思わず凝視した。
ぐだ子に思い切りゲンコツを食らった。
「……あの?取り込み中でしょうか?」
「ううん。大丈夫だよ。ちょっと不埒物を成敗してただけだから」
ジャンヌ(天然)が不思議そうに首を傾げたのでぐだ子そう答えた。
相談の内容は何か既視感のする内容だった。
本拠地が手狭なため英霊部屋を相部屋にしているのだが、ジャンヌとジャンヌ・オルタ(オルタちゃん)とジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ(ジャンタちゃん)
は相部屋にしている。
同じ英霊同士なら仲良くやっていけるだろうという独断だ。
実際、増えまくるクー・フーリンともっといっぱい増えてるアルトリアたちは上手くやっている。
別に他意とかは無い。
本当に無い。
無い……のだが、ジャンヌ達の間では姉妹喧嘩が絶えない。
特に……
〇
「だーかーらー!!!それだからあなたは中二病で根暗で嫌味で性根が腐ってるって言ってるんですーー!少しは大人になったらどうなんですか!?」
「このクソガキ!ガキのあんたに言われたくないわよ!」
英霊部屋に行くとオルタちゃんとジャンタちゃんがとてもレベルの高い口論を繰り広げていた。
「いつもこの調子で……長女としてお恥ずかしい限りです」
見るも無残な光景に暫定長女のジャンヌが項垂れた。
仲裁に入ろうと思ったが、もう少し見守ることにした。
決して面白から静観してるとかではない。
断じて違う。
「ならば私があなたより大人じゃないところを挙げてみたらどうなんですか?挙げられるんですか?はい、論破!」
ジャンタちゃんがえっへんと胸を張った。
かわいい。
それを聞いたオルタちゃんがニヤリと笑った。
「ふぅん。私がアンタより大人なところね。言っていいのかしらね?」
思わぬ高レベルな反撃を受けてジャンタちゃんがたじろいだ。
「な、何をですか?」
「あら?後ろめたいことでもあるのかしら?」
「あ、ありません!サンタに後ろめたいことなんかありません!」
オルタちゃんがニヤリと笑った。
「へえ、じゃあアンタが今朝、濡れたシーツこっそり洗濯し……」
「わー!!!わー!!!!わーーーー!!!!!!」
ジャンタちゃんは不自然な大声でかき消そうとしたが時遅しだった。
俺とぐだ子は笑いをかみ殺すのに必死だった。
ジャンヌはニコニコ笑ってやり取りを聞いていた。
「ちちちちち違います!あ、あれは世界地図書いてたんです!サンタはおねしょなんかしないんです!」
「へえ?世界地図。フン、じゃあ洗濯したら消えちゃうじゃない?それって意味無く無い?はい、論破」
「ぐぬぬ」と唸ってジャンタちゃんは黙り込んだ。
オルタちゃんはフンフン鼻を鳴らしながら得意げにしている。
「どう?論破してやったわ!勝った!初めて勝った!」
……なんてレベルの高い争いだ。
「……トナカイさん。成長した私がイジメますー」
口論に負けてしまったジャンタちゃんは俺たちに救いを求めた。
うーん。ジャンタちゃんはお子様だしなぁ。
しょうがない助けるか。
「ジャンタちゃん。許してあげてよ。オルタちゃんはね、悪い子じゃないんだよ。ちょっと虫の居所が悪いだけなんだ」
「そうそう。書いてた小説、ジルにマジレスされ……」
「あー!!!あー!!!!あーーーー!!!!!!」
オルタちゃんは不自然な大声でかき消そうとしたが時遅しだった。
俺とぐだ子は笑いをかみ殺すのに必死だった。
ジャンヌはニコニコ笑ってやり取りを聞いていた。
以下、ジルから聞いた回想。
〇
「ジャンヌ、異世界転生チートハーレムには鮮度と言うものがあります」
「ハ、ハァ?アンタ、何の話してるわけ!?」
「ジャンヌ。私にとってジャンヌの言葉すべては恵みです。私に正しき信仰があれば福音と呼ぶべきでしょうか」
「……そ、それで。その誰かの書いた小説がなんだっていうのよ?」
「ジャンヌ、異世界転生チートハーレムは定型化されたジャンルですが、さすがにニコポナデポに俺Tueeeは手垢が付きすぎかと」
「……」
「この不詳ジル・ド・レェ、ジャンヌの小説にコメントを付け、レビューも記載いたしました。恐悦至極……」
「やけにコメント寄こす奴がいると思ったらアンタかーーーーーー!!!!!」
〇
「あー!あー!!聞こえない!何も聞こえません!」
「うう……成長した私、痛いです暑いです寒いです……」
「うっさいわね!痛いのはどっちよ!このおねしょ魔!」
「あー!言いましたね!いい年した中二病よりはマシですー!」
いかん。宥めようとしたら逆に収集つかなくなった。
ああ、もういいや。
ほっとけばそのうち疲れて口論止めるだろう。
次女と三女のなおも続く口論を聞きながら、ジャンヌは言った。
「うふふ。二人とも仲良しですね」
二本立てにするつもりだったのですが、思ったよりボリュームがあったので一本にしました。
次回はもっと短い二本にします。