VividStrikeScarlet!   作:tubaki7

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※注意!

このお話は本作のネタバレを多大に含みます。読まなくてもストーリーには影響はありませんが、苦手な人は読まないことをお勧めします。

メタ発言があったり、作者の混沌とした欲望が詰まっています。そこら辺を踏まえたうえで読むと言う方はぜひどうぞ。


♯Extra ~その3~

 ウィンターカップ。秋から冬にかけて行われるU15の大会もひと段落して。そこから色々あって、紆余曲折を経て通じ合った三人の想い。ナカジマジムでは、いつも通り穏やかな日常が流れている。

 

「え?ああ、そうですね。早いですね。本編すら完結してないのにこれをやろうと思ったのは13話があまりにも素敵だったからなんですよ。非力な作者を許してください」

「ユミちゃんどうしたのさそんなメタいこと言って」

「現在進行形で優柔不断なアスカさんの代理で言ってるんです」

「グハッ!?・・・クッ、まさかユミちゃんからダメージを受けるとは・・・!」

 

と、いつもの光景を繰り広げつつアスカは男子更衣室へと入りナカジマジムの選手用ジャージへと着替える。このジャージに袖を通すのも、このジムで練習するのももう大分慣れてきたように感じる。最初の頃は何だか気恥ずかしいような気がしていた自身の紹介ディスプレイも、今では見慣れたものだ。上下青のジャージに身を包めば、専用出入口をくぐると彼女達の練習中の声と音が聴こえてくる。どうやら今はヴィヴィオとミウラのスパーリングの最中のようだ。

 ドアを開ける。一歩踏み出せば、花咲くような笑顔が迎えてくれた。

 

「先輩!」

 

 最初に此方に気付いたのはヴィヴィオだ。こういう時何故かこの彼女はアスカを見つけるのが速い。そうして次点でヴィヴィオの相手をしていたミウラが気づく。

 

「おはようございます!」

「おはよう。いやー相変わらず外は寒いねぇ。おにーさん冬は苦手だよ」

「発言が一々年寄りクサいのう」

「フーカはいいよなぁ寒いの平気でさ」

 

 鍛え方が違うんじゃ。そうドヤ顔でいう妹分に微笑でかえすアスカ。今思えば、本当にこの子には助けられたなとこれまでの事を振り返る。リンネとどう接していいかわからず、リングの上ではただただ対戦相手として彼女を打ちのめすことしかできなかった。そのせいで突き放してしまい、笑顔すら消してしまったものだと思っていた。それを取り戻してくれたのが他でもないフーカだった。チームメイトとして、妹分として、家族として。本当に感謝してもしきれないと、アスカは勝ち誇った顔でドヤるフーカを撫でる。不意に撫でられたことに慌てるフーカだが、その手を退けようとはせず甘んじて受け入れる。

 

「な、なんじゃ急に・・・」

「いや。やっぱフーカはフーカだなってさ」

「理由になっとらんぞお兄ぃ」

 

 そんな感じで会話していると、何やら周囲から妬ましいといった感情を向けられているのに気が付く。フーカは何事かさっぱりわかっていないが、その奥にある黒いものまで見て取れたアスカはビクッとしながらも一人一人同様に撫でていく。ここで補足ではあるが、最年長であるアインハルトとアスカとでは年齢差は僅か二歳差である。

 

「つくづく思うけど、あのハルさんにあんな顔をさせるお兄ぃっていったい何者なんじゃ・・・」

「あはは・・・まあでも、先輩のナデナデってこう、安心するっていうか」

「ポカポカするよね」

「うん。ちょっとクセになる感じ」

 

 ヴィヴィオ、リオ、コロナはそう評価し、ミウラは「抗えないなにかしら」と評する。実際フーカ自身アレを躱せたことは今まで一度もないので本当になにかしらの魔法でも使っているんじゃないかと時々疑いたくなる時がある。

 

「やれやれ、またこれか」

 

 小さく溜息をつきつつノーヴェが遅れて入ってくる。会長としての事務仕事を大方片付けてからの顔だしの為、このタイミングになっている。

 

「ノーヴェもやる?」

「あたしゃそこまで子どもじゃない。それより、ジル達から連絡来てるんだ」

 

 そう言って端末を操作すればホロウィンドウが浮かぶ。画面の向こうにはジルとリンネ、二人の姿が映し出された。

 

「リンネ」

 

 アスカが名前を呼ぶ。それに満面の笑みと「こんにちは」と返事で返すリンネ。

 

『急な連絡ですみません。実はですね・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「青い空!白い雲!そして美少女の水着!大海原が俺を呼んでるぜえええええええええええええええッ!!!!!!」

「やかましいッ!」

「ポセイドン!?」

 

 興奮度MAXのアスカに思いっきりドロップキックをかますフーカ。やれやれと溜息をつきつつ、ビーチに設置されたパラソルチェアーに腰掛ける。その隣ではリンネが苦笑いを浮かべていた。ジルやリンネ達の誘いで日頃の練習と結果を出し続ける選手たちに少しでも癒しを、という理由でこうして交流会も兼ねた旅行へとやってきている。今は冬なミッドに対しここは一年中温かい気候であり、彼方とは反対に寒さとは無縁なほど夏と言って差し支えないくらいには温度も高く、水温も適温だ。

 

「しっかし、ああやって遊んでいる姿を見るとやっぱりリングの上とのギャップがあるもんじゃの」

「うん。ミウラさんもヴィヴィオさんも、普通の女の子みたい」

「ミウさんに至ってはわし等より年上やしの」

「ああ見えて兄さんと一番歳近いんだよね・・・なんだか意外かも」

 

 そう言葉を交わしながら、フーカはゆったりと深呼吸をする。あの非公式試合から、早一か月弱。色々あったものの、今はこうしてリンネと話ができる。気兼ねなく、何を構えるわけでもなく。ただ、また昔のように・・・・それが何故か、未だもって少しくすぐったくもある。不思議な気分だ。

 

「・・・・兄さん、変わらないね」

「そうじゃの。普段から顔を合わせているわしからしてみれば、あの性格をもうちょっとどうにかしてほしいんじゃが」

 

 憎ったらしい、そんなジト目をアスカに向ける。その先では、どこからもってきたのかわからないビデオカメラを回しているアスカの姿があった。後から来たルーテシアに没収されそうになるも、無駄にいい身体能力でそれを回避し未だに撮り続けている。というか、本当にどこから持ってきたんだそんな骨董品。そうツッコミを言葉にはせず溜息として吐きだす。

 

「でも、私は羨ましいかな」

「そうか?」

「うん。私は兄さんと会ったのはリングの上か、誘拐された時に助けに来てくれた時だけだったから。ああやってふざけたり、遊んだりして楽しそうにしてる兄さんを、私は昔でしか知らないから」

 

 それを聞いて、少し黙るフーカ。それもそうだ。アスカはナカジマジム所属で、リンネとは違うジムだ。所属が違えば会う機会なんてそうそうない上に、連絡先も個人のものを知らなかったのであれば話もできない。自分が知っているアスカを、リンネは知らない。それがちょっと優越感であり、申し訳なくもあり。そう考えていると、不意に声をかけられた。

 

「お二人も泳ぎませんか?」

 

 ヴィヴィオが波打ち際から手を振る。

 

「あ、えっと・・・」

「なんというか、その・・・」

 

 渋る二人の反応を見てアスカは何か思い出したかのようにニヤリと口角を歪める。

 

「ヴィヴィちゃん、実は二人はカナヅチなんだよ」

「え、ノコギリじゃないの?」

「シャンテ、そのボケは知る人ぞ知るものがからな。ちなみに俺は吉野屋先生が大好きだぞ――――ってそうじゃない。こいつ等、身体能力はすんげーけどマリンスポーツっていうか、水中じゃまるでダメだからなぁ」

 

 ニッシッシ、と笑うアスカ。それにムッとなるフーカ。

 

「上等じゃ。それなら、泳げるようになってお兄ぃをぎゃふんといわしちゃる!行くぞリンネ。リオさん、コロさん、ご指導ご鞭撻、お願いします!」

 

 挑発にまんまと乗せられたフーカはリンネを連れて意気揚々と海へと入って行く。その姿を眺めつつ、アスカは椅子に腰を下ろす。

 

「たきつけ方が上手いですわね」

「さすがはおにーさんや」

「よせやい、アイツが単に乗せやすいだけだよ」

 

 ジークとヴィクターが言う。

 

「けどホント、あの二人もああしてるとただの子どもだよな」

「ですね」

 

 いや、それはアンタらもだろ?とツッコむのは野暮だろうか。口からでかかった言葉を呑み込んだアスカは改めて泳ぎを教わるフーカとリンネを見る。

 

「先輩は行かないんですか?」

 

 入れ替わるようにして休憩にきたアインハルトとユミナが隣に座る。

 

「ああ。ここで眺めてる方がいい。・・・・すれ違ってた分、いや、それを超えるくらいにアイツらには一緒にいる時間を作ってやりたいんだ」

「そうですか・・・」

「・・・・ハルちゃん。フーカを鍛えてくれて、ありがとう。きみがあの子を見つけて育ててくれたおかげで、俺もリンネも救われた。本当に、感謝してもしきれない」

「そんなこと、ないですよ。それに、私だって先輩やヴィヴィオさん達に助けてもらいましたから」

 

 そう言って笑うアインハルト。その笑顔に、アスカもまた笑って返す。

 

「よしっ、俺もいっちょ泳ぐとするか!」

「あ、ならウチも!」

「折角の海ですものね。わたくしも一緒します」

「お、ならオレ達も行くぜ、な?」

「やれやれ、仕方ありませんね」

「え、何みんな行くの?ならちょっと待って、たしかルーに取り上げられた他にまだスペアのカメラが――――」

「「「「あ、やっぱり却下で」」」」

 

 即座に拒否されるアスカ。そんな、ほぼいつもと変わらない光景を見ながらフーカが呟く。

 

「本っっ当に、アレでジムのトップアスリートなんか疑いたくなるの・・・」

「えっと、U‐15無敗。インターミドルでも優勝、今じゃアレで世界チャンピオンだもんね」

「U‐19では、今のところ黒星なし・・・・」

 

 言葉にしてみれば、本当にどうしてアレで頂点に立てたのかが未だにわからないと理解に苦しむ。泳ぎにもだいぶ慣れてきたようで、既に二人とも補助なしでもある程度泳げるようになりながら話を続ける。

 

「そういえば、無限書庫で初めてフォビアちゃんに出会った時なんだけど。私達、みんな瓶詰にされてたじゃない?その時先輩が闘ってたんだけど」

「うんうん、たしかそうだった。あれでしょコロナ。先輩がなんか叫んでたってやつ」

 

 その話題が出た途端、ボンっ!とヴィヴィオの顔が一気に真っ赤に染まったのをフーカとリンネはしっかりと目撃した。

 

「そーいやなんか言ってたっけ。あたし気絶半分だったからイマイチ思い出せないんだけど・・・陛下、何て言われてたの?」

「さ、さぁ?私も忘れちゃったな~・・・」

 

 白を切るヴィヴィオ。「覚えてないなら仕方ないか」と話題を流すみんなとは逆に、しっかりと聞き取っていたルーテシアだけは不満そうに口を少しとがらせていた。

 

「私だって・・・・」

「ルーテシアさん、何か言いました?」

「なんでもないわ。さ、リンネ。次はクロールやってみよっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~遊んだ遊んだ」

 

 テラスのベンチにドカッと座り込みながらそう呟く。辺りはすっかり陽も傾き、夕日が半分水平線から顔を覗かせ全てをオレンジ色に染め上げる。少し離れたところで、今は夕飯の支度中だ。

 

「お兄ぃは遊びすぎじゃ」

「何をぅ?そういうフーカだってもう一勝負じゃって聞かなかったじゃないか」

「そ、それはお兄ぃが――――」

「はいはい、二人ともケンカしないで」

 

 アスカを挟み、右にフーカ、左にリンネで三人揃って座る。この位置は、三人がホームにいた頃から変わらない並び順だ。その順番で、今もこうして座って何でもない話に笑みを浮かべる事が出来る。少し前までは考えられなかったことを、今こうして過ごせている。それが凄く、幸せに思えた。

 

「・・・ね、今度は三人で来ようか」

「お、ええな。たまには」

「そこでひと夏のアバンチュー ――――」

「「なりません」」

「ですよねー」

 

 そうして、また笑う。こんな瞬間が、今は永遠に続けばいいのにとすら思えた。でも、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。だからこそ「また」と、言うんだろう。

 

「三人とも、料理ができましたよ」

 

 アインハルトの報せに三人は立ち上がる。すると、ごく自然に、ありふれたようにフーカとリンネはそれぞれの場所からアスカの腕に自分達の手を絡ませる。

 

「行こう、兄さんっ」

「わしが肉全て食べちまうぞ?」

「フーカ、お前少しはリンネのお淑やかさを見習えっつの」

「フン、リンネは大人しすぎるんじゃ。わしくらいがちょうどええんじゃよ」

「むっ、私だって!」

「おいおい、こんなとこで張り合うなよ・・・」

 

 やれやれと言いながらも腕を絡められているのでどうにもできないアスカはただそう言って苦笑いをする。自分を挟んだ両端で言い争う二人を止めようとはせず、その姿にただ懐かしさを感じて不意に笑みがこぼれた。

 

「ささ、皆さん写真をとりましょうか」

 

 ジルが三脚にカメラを設置する。レンズの射程内にそれぞれが入る中、三人もまた入り込む。そして、シャッターは切られた。そこには、リングの上では見せない年相応の笑顔達と。止まっていた時間をようやく取り戻した仲睦まじい三人が、片を組んで笑顔で映る写真がしっかりと収められていた。




いや~13話素晴らしいですよね。フーカのキャラソンにリンネのキャラソン。オマケに水着、水着、水着!あ、あと一言。


  ミカヤさん、おっぱい縮んだ?

ミカヤ「アスカ君、きみとは一度OHANASIした方がよさそうだ・・・」
アスカ「いやえ、なんで俺!?あ、あちょ、それは洒落にならな――――ア”ア”ア”ア”!」
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