川内の大破により海域から撤退した時雨たちは無事鎮守府にたどり着くことが出来た
雪風「以上が報告です!」
異変のあった時雨の代わりに雪風が状況を報告する
提督「ありがとう。これで任務完了だ」
提督は敵空母を倒したこと上に報告する書類を書いている
これで本部から後日正規空母赤城が着任する
提督「他の子達の様子はどうだ?」
雪風「はい!損傷の酷かった川内さんと飛鷹さんはドッグにいます。
川内さんは酷い怪我を負いましたが命に別状はないです!」
提督「そうか、ならよかった」
一時は轟沈するかと思った川内が大丈夫なことに提督はホッとする
雪風「しかし、時雨さんが……」
提督「時雨?そういえばなんかおかしかったな」
雪風「はい、あの後ずっと暗い表情で元気がないんです…」
あの時の時雨はいつもとは様子が違った
いつも冷静な時雨があの様になっていたのにはなにかがあるのだろう
提督「川内が沈みかけてから焦っていたな…仲間が大切なのは分かるがあれでは自分も他の皆も危険だ」
雪風「そうですね……もしかしたら…」
雪風は1つ心当たりがあるらしく話す
雪風「時雨さんは雪風と同じ幸運艦です。だから戦場に行ってもいつも損傷が少なく無事帰還していたんです。
でもそれは逆にたくさんの仲間の死を見てきたんですよ」
提督「仲間の死か…」
雪風「雪風も幸運艦なのでたくさんの人の最期を見てきました。だから誰かが沈むのを見るのは辛いです…」
雪風は過去のことを思いだし悲しげな顔で言う
それを見かねた提督は雪風の頭を撫で安心させる
提督「誰も沈ませなんかしない、だから安心してくれ」
雪風「しれぇ…」
雪風は撫でられたことにより安心感を覚え落ち着く
雪風「ありがとうございます。でも今は雪風でなく時雨さんに言ってあげてください」
提督「こちらこそありがとう雪風
おかげで何をすればいいか分かった
今から時雨の所に行ってくるよ」
提督は雪風を撫でるのをやめる
提督はそう告げるとドアの方へ向かう
雪風「はい!応援してます!」
雪風は笑顔で提督を見送った
提督「時雨、いるか?」
提督は時雨の部屋へと向かい居るかどうかを確かめる
しかしなにも返事がない
どこかへ行ったのだろうか
少女「どうしたんだい司令官?」
提督「あぁ響か」
提督の側に白髪の少女響がやってきた
提督「時雨を探してるんだが見なかったか?」
響「時雨なら外にいるのを見かけたよ」
響は時雨を見かけたらしく見かけた方角を指差す
提督「あぁ、ありがとう」
響「どういたしまして、それより司令官今回は大変だったみたいだね」
提督「そうなんだ。そのせいで時雨がおかしくなってな」
響「話は聞いてるよ。それで時雨を探してたんだね、頑張って」
提督「それじゃ行ってくる」
響に別れを告げ提督は外へと向かう
提督「しかし外かぁ」
今日の天気は雨であった
なんでこんな日に外に出てるんだろうかと疑問に思う
提督は傘をさし響の言っていた方角へ向かう
するとそこに傘をさした少女が1人居た
提督「時雨!」
時雨「提督…」
時雨は提督の声に気づき振り向く
振り向いた表情はすこし切なくどこか寂しげにしていた
時雨「どうしたんだい、こんなところに来て」
提督「どうしたの、じゃないお前を探してたんだ。どうしてこんなとこに居たんだよ」
時雨「僕は雨が好きなんだ。この雨音いい音だと思わないかい?」
時雨に言われ提督は耳をすませる
するとぽつりぽつりと降る雨の音が聞こえる
その音はいい心地がした
提督「あぁいい音だな。雨の日はあんまり好きじゃなかったけど意外と悪くないな」
時雨「それで僕になんのようだい?」
提督「あぁお前のことが気になってな」
時雨「僕の事が?提督は僕に興味があるの?」
提督「え…」
時雨の発言に提督は戸惑う
一体どういう意味で言ったのか一瞬困る
時雨「なんてね、冗談さ」
時雨は悪戯気味に言う
良かった思ったより深く落ち込んでは無いようだと提督は思った
時雨「でもいいよなんでも聞いてよ
僕が答えられる範囲なら聞いてあげるよ」
提督「そうか、ならお前の過去が知りたい」
時雨「僕の過去…」
それを聞いたとたん時雨はまた寂しげな表情をする
やはり聞くべきではなかったのではと思う
時雨「………うん、いいよ話してあげる
いつか知られるとは思ってたから」
提督「ありがとう」
彼女にとっては辛い過去なのかもしれない
けど提督として彼女の過去を受け入れねばならないと思った
時雨「でもここで話すのもあれだね、中に入ろうか」
そう言い時雨は鎮守府内に入る
提督もその後に続いた
今は執務室に時雨と二人きりでいる
時雨は背中を向け顔をこちらに向けこう呟く
時雨「それじゃ昔話をしようか」
そして淡々と話を続ける
昔時雨と言う駆逐艦がいた
はじめはよく敵の攻撃を受けずに運が良かっただけだと思われた
だが輸送も護衛任務も激戦地に行っても時雨は沈まずに戻って来る
そしていつしか時雨は佐世保の時雨と呼ばれ雪風に並ぶ幸運の駆逐艦とされた
しかし運が良いということは良いことばかりとは限らない
時雨が生き残った分それだけ多くの艦が沈んでいったのだ
護衛してた艦が沈むこともあった
自分だけが生き残るそんなことも
そして時雨にとって最大の出来事が起きる
時雨「それがレイテ沖海戦……スリガオ海峡夜戦だよ」
時雨は西村艦隊と呼ばれる部隊に配属された
そこには扶桑型戦艦 扶桑、山城
最上型重巡洋艦 最上
朝潮型駆逐艦 満潮、朝雲、山雲がいた
スリガオ海峡夜戦では自分達の何倍もの艦がいた
どう考えても絶望的だった
それでも皆頑張って戦った
しかし全く敵わなかった
次から次へと味方が撃沈し残ったのは時雨を合わせて2隻だった
しかしそのもう1隻も事故で大破し沈没した
そして西村艦隊は時雨を残して全滅した
時雨「扶桑も山城も……みんな、みんな凄かったよ
みんなが忘れても僕だけはずっと覚えてるよ」
時雨の目には涙が浮かんでる
提督「……時雨!」
時雨「提督っ!?」
時雨の過去を知り時雨の表情をみると提督はいてもたってもいられなくなり時雨をいきなり抱きしめた
突然のことに時雨は驚く
提督「もう一人で考え込まないでくれ。辛いなら俺が一緒に居てやる」
時雨「提督…」
提督は抱き締めながら時雨の頭を撫でる
時雨はそれが心地よく気持ち良かった
提督「誓うよ、誰も絶対に轟沈させない
お前も他の皆も辛い思いはさせないって」
提督は時雨を離し真剣に言う
時雨「僕はここにいてもいいのかな…」
提督「当たり前だ、お前は俺の大事な初期艦であり秘書艦だ!」
時雨「僕が大事…」
それを聞くと時雨は真剣な顔の提督に真剣に答える
時雨「ありがとう。こんな僕を大事にしてくれて」
そこには先程のような悲しい表情はなかった
時雨は今までにないほどにっこりと笑顔で言う
その笑顔に提督はときめいてしまう
提督「!///」
顔が近かったことに気が付き思わず照れ時雨から離れる
時雨「提督どうしたの?」
提督「いや……なんでもない」
時雨は気付いていなかった
こんな真剣な時にそんなことを考えてる自分がおかしいのかと提督は思う
時雨「提督、こらから……これからもよろしくね」
提督「あぁ、よろしくだ」
こうして時雨は元の時雨に戻った
まだ雨が降り続き執務室にもその音が聞こえる
それに時雨が呟く
時雨「いい雨だね」