リリカルなのはINNOCENT~CHASER~   作:つねまる

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 今回も続けて投稿させていただきます。


第七話

 きょうやがロイミュードを撃退した翌日。いつものように学校へ登校する途中、道中で朱乃を見つけた。

 

「朱乃さん!」

 

 きょうやは朱乃に駆け寄る。朱乃はきょうやの呼びかけに応じて振り返るが、その表情はあまりいいものではなかった。顔色が悪くとてもではないが軽々と話しかけられるようなものではなかった。

 

「ああ、きょうやくん。おはよう」

「お、おはよう。大丈夫?」

「ああ、なんとかね。けどあり得ないことが多すぎて……」

 

 明らかに悩んでいる朱乃を見たきょうやは昨日何があったのかを聞いてみることにした。

 彼女の話によると、昨日自宅へ帰ると何事もなかったように家族が出迎えてきたので不思議に思い自分がいない間何があったのかと聞いてみた。すると彼女の母は、昨日自分が普通に帰ってきてずっと部屋に籠っていたと言ってきたのである。母親の表情は嘘を言っているようには見えなかったため、朱乃は余計に気味が悪くなってしまい今に至っていたのである。

 

「お母さんが言っていることが本当なら、私の姿を真似たあの怪物が家にずっといたことになる。それを考えると恐ろしくて……」

「そう、だよね」

 

 何といえばいいか分からずにいたきょうやに対し、朱乃は昨日のことについて疑問を投げかけた。

 

「そう言えば、どうしてきょうやくんは昨日私があそこにいるのが分かったんだ?」

「えっ? あ、ええっと。き、昨日たまたま朱乃さんを見かけて、そしたらいきなり化け物の姿に変わって。あとをつけていったら、あの場所について」

 

 一応あとをつけたという事実は本当であるため、所々内容を変えながら話した。朱乃は少し不思議な表情を見せたが、とりあえず納得していた。

 

「そう。偶然とはいえ、君に助けてもらったんだね。ありがとうきょうやくん」

「あ、いえ」

 

 そんな話をしている内に学校についた二人だったが、どちらも表情が優れていなかった。

 

――――――――

 

 あの日から数日間。きょうやは持っているシフトカー達を使ってロイミュードの捜索をしていた。

 放課後やバイトが終わった後など時間がある時には自分も捜索を行っていたが、一向に見つけられずにいた。

 基本的にきょうやが所持しているのはプロトスピードとシグナルチェイサーしか所持していないのだが、ロイミュードの出現の報告を機にりんなに連絡して追加のシフトカーを送ってもらい、捜索に協力してもらっていた。しかし一向に発見することができず途方に暮れてしまっていた。

 

(やはりあの時倒しておくべきだったか。でも倒してしまっていたら朱乃さんを助けることが出来なかったし……)

 

 あの時やろうと思えばロイミュードを倒すことが出来たのだが、朱乃のことがあったためボディーを壊して撃退という形を取らざるを得なかったのである。もしあの時何の躊躇もせず必殺技を使って倒してしまった場合、朱乃はあのまま誰にも見つけることが出来なくなってしまうと考えたからである。

 そうこう考えている内に駅についたきょうやは、朝から捜索しているため少し休憩しようと道端にあったベンチに座り大きなため息をついてしまう。

 

(シフトカー達の協力してもらっても未だ見つけられない。この状況が続くと、他の人達だけでなくコピー元である朱乃さんにもまた被害が……)

 

 何とかして見つけ出したいが、一向に見つけられない状況に少し焦りを覚えていた。ベンチに座りながら辺りを見回してみると、日中ということもあって人が多く近くに店がたくさんあることもあり、買い物にきた若い人達で賑わっていた。辺りを見回してみると若い人達が多いだけならわかるが、その大半がカップルであった。そのせいか、きょうやは無意識のうちに居心地が悪くなってしまっていた。早くこの場を去りたいと思っていたきょうやはベンチから立ち上がり、捜索を再開する。

 歩き出そうとしたきょうやの視線の先に小さな少女が映った。遠目でよく見えなかったが金髪の長い髪を白いリボンでツインテールにしており、手には何やらチラシらしきものを何枚も持っていた。

 どうやらチラシ配りをしようとしているらしく、何度もチラシを手に声をかけようとしていた。しかしうまくいっておらず、それどころか歩いている人にぶつかってしまい持っていたチラシが地面に散らばてしまった。

 少女は少し涙目になりながらもチラシを拾い上げようとするが、人が多いせいで中々作業が進んでいなかった。そんな姿を目撃してしまったきょうやは、見て見ぬふりをするわけにはいかないと少女のもとへ歩み寄り、手をつけていないチラシを拾い上げ、少女に渡そうと近づく。

 

「大丈夫? これ落としたけど……」

 

 そう言って近づいたきょうやだったが、少女の顔をみた瞬間、表情が一気にこわばった。金髪の長い髪をリボンでツインテールにした紅い瞳を持つこの少女を、きょうやは知っていたからである。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 きょうやの表情はいまだぎこちないものであったが、とりあえず持っているチラシを渡そうと手を伸ばす。伸ばされた手に持たれてたチラシを受け取った少女は、恐る恐るそれを受け取る。その後少女は他のチラシもすべて拾い終え、立ち上がった。

 

「じゃ、じゃあ僕、行くね。バ、バイバイ」

 

 完全に動揺してしまっていたきょうやは、すぐにその場を離れようと歩き出す。しかし歩き出そうとした直後、服の裾を引っ張られた。何だろうと振り向くと先ほどの少女がきょうやのズボンのズボンを掴んでいたのである。

 

「ど、どうしたの?」

 

 突然の行動にきょうやは何故かたどたどしい口調になりながらも聞くことにした。少女はきょうやに対し、顔を俯きながらも何かを伝えようとしていた。

 

「あ、あの、その……」

 

 少女は震える手でチラシを持つと、それをきょうやへと差し出した。

 

「こ、これ」

 

 少女の行動から察するに、きょうやに対してチラシを配ろうとしていたのである。

 

「あ、ありがとうね」

 

 突然のことに驚きながらもきょうやはぎこちない動きでそれを受け取ることにした。

 受け取ったチラシには今年の夏ごろ、駅前にオープンする大型のおもちゃショップについてのチラシであった。チラシを受け取ったきょうやは、少女にお礼を言うと再び歩き出す。

 しばらく歩いた後、気になってもう一度少女の方へ振り返ってしまった。案の定、チラシ配りは上手く言っているようではなかった。先ほどから何度も声を掛けようとしているが、一向にうまくいっていない状態であった。

 きょうやはすぐにでもこの場を去りたかったが、足が動かせずにいた。数秒悩んだ末、少女の元へと再び歩を進めた。

 

「ホビーショップT&Hが夏にオープンします。よろしければ来てください」

 

 少女のチラシ配りを手伝うという結論に至った。

 あの後少女だけにチラシ配りをさせるにはいつになっても終わらないような気がしてしまったきょうやは、チラシの束の半分を貰い作業を手伝うことにした。

 

(はぁ~。何で手伝うなんて言っちゃったのかな。本当ならすぐに捜索するはずだったけど放っておくわけにもいかないし……)

 

 そんなことを考えながらも慣れた手つきでチラシを配っていく。

八神堂でのバイトの経験があってのことなのか、初めてのチラシ配りにしては手際が良かった。

少女より先に終わったきょうやは残っていたチラシも配ろうと少女に近づこうとしたその時、事件は起こった。

 

「きゃあああ!!!」

 

 人々の悲鳴が響き渡り、それと同時に人々で賑わっている中に空からいきなり光弾が放たれた。その影響により、駅前辺り一帯に被害が出てしまっていた。

 光弾はきょうやのいる場所にも放たれ、近くにあった建物などに被害がおよぶ。きょうやはとっさに近くにいた少女に被害が及ばないよう、自身の身を盾にして庇う。

 光弾の雨が収まった頃には人々はほとんど逃げてしまっており、その場にはきょうやと少女以外いなかった。

 何事かと光弾が放たれた場所に視線を向けると、蝙蝠型のロイミュードが羽を生やして上空に存在していた。

 

「あれは、この前の……!」

 

 今までシフトカー達に捜索させていたロイミュードが現在、きょうやの目の前にいたのである。

 明らかにきょうやのことを狙っており、その目には殺気のようなものを感じ取ることが出来た。

 

「くっ!」

 

 きょうやは少女の手を引き、人が一人隠れられる場所を探すべく走り出す。

ロイミュードはきょうやの姿を見ると、再び指先から光弾を発射する。きょうやは光弾を避けながら走り続け、建物のせまい間を見つけるとそこに少女をしゃがませ、自身も物陰に隠れて様子を伺った。

 

「ここで待ってて。あの怪物の注意を引き付けるから、君は隙を見て逃げて!」

 

 少女と同じ視線でそう言うときょうやは立ち上がってロイミュードのところへ向かおうとするが、服の裾を思いっきり引っ張られる。

 

「い、行かないで、ください。」

 

 振り返ると少女が涙目になっていた。きょうやは少女が握っていた服の裾をゆっくり離し、再び少女と同じ視線になるべくしゃがみこむ。

 

「大丈夫。絶対に君を守るから。必ず家族の元に返してあげられるよう頑張るから、約束する」

 

 そう言って少女を安心させる。少女はまだ不安そうな表情を見せるが、納得したのかきょうやから手を離す。

 

「や、約束だよ」

「うん。約束する」

 

 そう言うときょうやは、ロイミュードへ立ち向かうべく走り出した。

 

(絶対に守って見せる! あの子だけは!)

 

 半年前の父との会話が脳裏に蘇りながらも、きょうやは持っていたカバンからマッハドライバー炎を取り出しそれを腰に装着する。

ちょうど捜索していたシグナルチェイサーが戻ってきており、それを手に取ってドライバーに装填した。

 

『シグナルバイク!』

 

 待機音が流れている中、ロイミュードに発見されてしまいきょうや目掛けて再び光弾を放たれてしまう。

きょうやはそれを避けながらロイミュードのもとへ一気に駆け出す。

 

「変身!」

『ライダー! チェイサー!』

 

 かけ声とともにきょうやの姿はチェイサーへと変わった。

 

『はぁあああ!!』

 

 光弾を避けながら接近し、ロイミュード目掛けて大きく跳躍する。跳躍して接近したチェイサーの拳は、ロイミュードの顔面をとらえていた。

 




 何とも中途半端な終わり方で申しわないのですが、ロイミュード戦は次回に持ち越させていただきます。それほど間隔をあけないようにしたいと思っています。
 そしてここまでのお話で何名かの方から感想をいただくことができ、とても嬉しく思っています! 読んでくださる方のためにもなるべく早く投稿していきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願いします。
 また誤字脱字の指摘などを頂けるとありがたいので、感想お待ちしております。
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