リリカルなのはINNOCENT~CHASER~   作:つねまる

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 二話つ続けて投稿します。今回はあの方が登場します。


第十話

 きょうやはシフトカーからの情報を元に、ロイミュードが目撃された場所へと来ていた。周囲は既に重加速が発生している状況であり、きょうやは重加速に対抗すべくチェイサーへと変身した。

 チェイサーとなったきょうやが来ている場所は、今はもう使われていない廃工場へと来ていた。

 

「確かこの辺のはず……」

 

 周辺を捜していると、コウモリのような羽を生やして飛んでいたコウモリ型ロイミュードを発見する。手には作業着を着た男が掴まれており、今にも地面に落とそうとしていた。

 

『まずい!』

 

 これからロイミュードが起こそうとしていることに感づいたチェイサーはすぐに駆け出した。

 その瞬間、ロイミュードは男を地面へ落そうと手を離した。重加速の影響もありゆっくり落下している状態であったが、それでも命の危険が迫っていた。

 間一髪のところでチェイサーが間に合い、男を両手で受け止めることに成功する。安全な場所へと向かい、男をその場に寝かせた。

 

『何者だ貴様』

 

 邪魔をされたことで機嫌を悪くしたロイミュードはチェイサーのそばへ降り立つ。

 

『名乗る気はない。これから倒される相手に……!』

 

 その一言を聞いたロイミュードの勘に障ったのかチェイサーに掴みかかろうと手を伸ばす。しかし掴まれる瞬間、チェイサーは振り返りざまに右のストレートをロイミュードの胸部に叩き込む。

 

『ぐはっ!』

 

 重い一撃を受けたロイミュードは、態勢を崩し後退してしまう。後退したロイミュード目掛けチェイサーは立て続けに膝蹴りを入れ、態勢を整える暇を与えずロイミュードを掴んで顔面に肘打ちを二発入れた。

 

『く、くそっ!』

 

 ロイミュードは反撃しようと腕を振るうが、チェイサーは簡単に弾き胸部に拳を入れる。めげずにチェイサーに拳を入れようとするが再び弾かれ強烈な蹴りを受けてしまった。

 戦いは倉庫の中に移るとチェイサーは反撃の隙を与えないよう腹部と顔面に拳を入れ、上段蹴りを入れる。ロイミュードの放つ拳を両手で受け止めるとその腕を掴んで引き寄せ、胸部に蹴りを入れた。

 

『がはっ!』

 

 蹴り飛ばされたロイミュードは壁に身体を打ち付け、倒れ込む。

 

『そ、そうか。お前が最近この街に出没している"仮面ライダー"か。だが俺を倒しても無駄だ』

『……どういうこと?』

 

 意味深なことを話すロイミュードに対し、チェイサーは疑問に思い問いかけた。

 

『もうじき起こる、第三のグローバルフリーズの前ではな!』

 

 そう言って指先から光弾を発射した。咄嗟のことにチェイサーは反応することができず、全弾直撃してしまい壁に打ち付けられひるんでしまう。

 ロイミュードはその隙をつきチェイサーの胸部に拳を入れ、追い打ちをかけるように爪によって装甲を引き裂くと、鮮血のように火花が飛び散った。

 さらに地面に叩きつけロイミュードは両手を合わせて拳を作り、何度もチェイサーの胸部に叩きつける。その後無理矢理立ち上がらせ、壁側に投げ飛ばし、チェイサーの身体を壁に叩きつけた。

 

『ぐっ!』

 

 そのままチェイサーの身体は地面へと叩きつけられ、その場でしばらく動けなくなってしまう。

 

『ハッ! 倒されるのはお前の方だったな』

 

 チェイサーはゆっくりと立ち上がり、再びロイミュードに対峙する。立ち上がったと同時にベルトのパネルを上げ、シグナルチェイサーを取り出しシフトプロトスピードを装填する。

 

『タイヤコウカ―ン! ハヤーイ!』

 

 ロイミュードはチェイサー目掛け、指先から光弾を発射する。

 

『トテモ! ハヤーイ!』

 

 チェイサーは光弾を両手で防ぎつつ、プロトスピードの力を使って高速移動の能力を駆使して一気にロイミュードとの距離を詰める。

 ロイミュードの腹部に一撃入れたのを機に、高速の動きをを利用し連続の拳打を浴びせる。最後に顔面に強烈な一撃を与え、ロイミュードを吹き飛ばした。

 

『ちっ!』

 

 ロイミュードはすぐに態勢を立て直し、コウモリの形をした翼を生やして逃走を図った。逃げようとするロイミュードに対し、チェイサーはシグナルチェイサーを再度装填しベルトについているボタンを押す。

 

 『ヒッサツ! フルスロットル! チェイサー!』

 

 ボタンを押したと同時にパネルを下げると、両足をそろえ大きく跳躍する。ロイミュードは必殺技を阻止しようと光弾を放つが、チェイサーには効いていなかった。

 

『ハッ!』

 

 チェイサーは空中で飛び蹴りの姿勢を取り、必殺技・チェイサーエンドを繰り出す。

 

『ぐああああ!!』

 

 ロイミュードの身体は爆散し、後から出てきた数字上のコアも破壊された。チェイサーは地面へと着地すると、パネルを上げてシグナルチェイサーを取り出した。

 

『オスカーレ』

 

 戦いを終えきょうやの姿に戻るが、その表情はあまりいいものではなかった。

 

「あのロイミュードが言ってた第三のグローバルフリーズって一体……」

 

 何か不吉なことが起こると感じたきょうやは、辺りを探し回る。

 

「あった」

 

 きょうやが探していたのは、以前監禁された朱乃を探し出すためにも使われたバイラルコアである。しかし前回のようにブレイクガンナーで倒したわけではないため、損傷が激しくこのままでは記憶データの復元は不可能であった。

 

「りんなさんにお願いして復元してもらおう。第三のグローバルフリーズについての情報があるかもしれない」

 

 きょうやはポケットからスマホを取り出し、りんなに連絡をした。

 

『もしもしきょうちゃん? どうかした?』

「あ、りんなさん。実は復元してほしいバイラルコアがありまして」

『復元? それはいいんだけど、何かあったの?』

「その、実は今回倒したロイミュードが奇妙なことを言ってて」

『奇妙なこと?』

「はい。"第三のグローバルフリーズ"って言ってたんですが、りんなさん心当たり…『第三のグローバルフリーズですって!!』…あ、ありませんか?」

 

 グローバルフリーズという単語を聞いたりんなが大声を上げた。それにビックリしたきょうやは反射的に耳に当てていたスマホを離してしまう。

 

「あ、あの、りんなさん?」

『きょうちゃん! 今の話は本当なの!?』

「は、はい。ロイミュードがそんなことを言っていました。そのグローバルフリーズって一体……」

『いいきょうちゃん。グローバルフリーズっていうのは日本全土と一部の都市部で重加速を起こして破壊活動をする、謂わばロイミュード達が引き起こす"テロ行為"よ』

「それってまさか……!」

『時間がないわ! 早くそのバイラルコアを送って。なるべく早く復元して情報を得たいから!』

「わ、分かりました!」

 

 電話を切った後、急いできょうやはバイラルコアをりんなの元へと送り届けるべく駆け出した。

 

―――――――

 

 その翌日。きょうやはいつものように八神堂でバイトをしていたが、心ここにあらずの状態であった。

 店番をしていてもボーっと何か考え事をしてしまっており、それを見ていたはやて達は少し心配になっていた。

 

「どないしたん? いつもより元気がないけど」

「えっ?」

 

 気になったはやてが声を掛けると、きょうやの意識は現実に引き戻される。

 

「大丈夫? なんか今日様子が変やけど」

「あ、いや、別に何でもないよ。あはは、ごめんねなんか……」

「本当に何ともないのかい? 時々怖い顔をしているから」

 

 はやてに続き、アインスもきょうやの状態をみて心配している様子であった。

 きょうやは二人の心配を和らげようとするが、以前のことがあるため、二人の表情は浮かばれなかった。

 

「まあきょうやくんがそう言うなら、私はもうなんも言わへんけど」

「ですが、主……」

 

 そんな話をしている中、きょうやの携帯が鳴る。すみませんと言ってきょうやは席をはずし、スマホの画面に視線を向ける。画面には電話番号しか書かれておらず、誰からの連絡か分からなかった。

 

「もしもし? 四ノ宮ですが」

 

 とりあえず電話に出てみると、聞いたことのある声が聞こえてきた。

 

『もしもしきょうやくん。久しぶりだね。僕のこと覚えてくれてるかな?』

「……ひょっとして、究さん?」

 

 電話の主・西城究(さいじょうきゅう)であった。

 彼はかつて仮面ライダーとともにロイミュード事件解決に貢献した人物であり、きょうやも昔はよく遊び相手になってくれていたことを覚えていた。

 

『いや~嬉しいよ覚えててくれて。こんな状況じゃなかったらゆっくり話したかったけど……』

「えぇ、そうですね。それで復元したバイラルコアの中には何が記録されていたんですか?」

 

 きょうやは以前送ったバイラルコアの復元が終わったと思い、本題に入ることにした。

 

『とりあえず要点だけを話すよ。まず単刀直入に言うけど、今回のグローバルフリーズは一回目と二回目のものに比べて規模はそれ程広くはないんだ。引き起こされる範囲は日本国のみと限定されている。まあそれでも発動されれば多大な被害が出ることは間違いないけど、そこまで脅威となるものではない。どちらかというと一回目のグローバルフリーズと同じタイプのものになっているよ』

「一体何が目的でグローバルフリーズを……」

『その目的は記録の損傷がひどくてうまく聞くことが出来なかったけど、一つ分かったことがある』

「何ですか?」

『日本を制圧することと、仮面ライダーの抹殺』

「……!?」

『奴らは世界各国を一度に襲うのではなく、一つの国を確実に制圧する方法に変えたんだ。その最初のターゲットとして日本を選んだ。理由としては君の、仮面ライダーの存在が大きい』

「僕の存在、ですか?」

『だが勘違いしないでほしい。あくまで奴らの本来の目的は人間の制圧だ。仮面ライダーの抹殺はグローバルフリーズを起こした際、自分たちの邪魔をしてき時のみだと考えられるから、そこまで心配しなくていいと思う』

「分かりました。ところでそのグローバルフリーズはいつ頃行われるんですか?」

 

 きょうやが一番気になっていたのは、グローバルフリーズがいつ行われるのかであった。

 

『……グローバルフリーズが行われるのは、"明後日の夜"だ』

「明後日って……!」

『ああ、もう時間がないんだ。これから僕とりんなさんは今から対抗手段について考えているところだよ。間に合うかは分からないけどね。グローバルフリーズをとめることは不可能だと思うから、シフトカー達を総動員してロイミュード達を撃退してもらうようにするよ。その時にはきょうやくん。君の力も借りたい』

「分かりました。やれる範囲でやってみます!」

『ありがとう。現状、日本で仮面ライダーとして戦えるのは君だけなんだ。こんなことに巻き込んでしまって申し訳ないけど……』

「大丈夫です。もう覚悟はあの日から出来てますから」

『ありがとう。でもくれぐれも無茶はしないでね』

「こちらこそありがとうございます究さん。ではまた」

 

 そう言ってきょうやはスマホの電話を切った。

 電話を切ったきょうやの視線には、無邪気に笑いあう八神家の人達が映っていた。

 




 ここで一つお知らせです。次の話を持って一旦一区切りとさせていただき、その次の話から漫画版のINNOCENTの内容を入れた展開にしていきます。
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