リリカルなのはINNOCENT~CHASER~   作:つねまる

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 久々に投稿させてもらいます。ここまでは色々あって投稿しては消しての作業を繰り返してしまい、申し訳ありませんでした。
 今回の作品はかつて私が投稿していた作品を改変したものです。リアルの都合上、どうしても不定期になってしまうのですが、読んでいただけますと嬉しいです。
 一応完結は目指します(予定)


序章
プロローグ


 

 半年前。ある雨の夜。今にも崩れ落ちそうな研究所の中で、血まみれになって倒れている男と少年がいた。

 

「キョウヤ。逃げるんだ……」

「で、でも」

 

 そう言って一向に逃げようとしない少年の後ろには、不気味に笑う存在がいた。

 天使、女神の意匠が目立つ"それ"は、聞いているだけであれば美しい女性の薄笑いとしてとらえることができる。しかし今の青年と血まみれの男にとっては"悪魔の笑い声"にしか聞こえていなかった。

 理由は簡単。この存在こそ今の研究所の状況を作り出し、今まさに邪魔者である自分達を殺そうとしていたからである。

 

「逃げろ! お前だけでも逃げてくれ!」

「嫌だ! 父さんを置いて逃げたくないよ!」

 

 少年は父親を守るように立ちはだかり、手に持っていたバイクのマフラーを模した形状のベルト--マッハドライバー炎を腰に装着する。パネルを上げ、手に持っていた黒いバイクのような形をしたシグナルバイク--シグナルチェイサーを装填する。

 

『シグナルバイク!』

「よ、よせ! キョウヤ!」

 

 シグナルチェイサーを入れたパネルを拳で下げる。

 

『ライダー! チェイサー!』

 

 少年のまわりにタイヤのようなものが二つ現れ、身体に鎧のようなものが生成される。二つのタイヤは青年の胸の部分で前後に止まり、鎧のようなものと同時に身体へ装着され、戦士の姿へと変えた。

 身体は青みががった白がベースの紫と黒で、背中には大きなタイヤ上のものがあり、頭部には四本の角を彷彿させるアンテナとオレンジ色の複眼が形成されていた。所々に髑髏や左右非対称の意匠を持つ戦士--チェイサーへとその姿を変え、天使の姿をした悪魔へと駆け出した。

 

『はああああ』!!

 

 チェイサーへと変身した少年は右手で拳を作り、天使目掛けて殴りつけようと振り下ろす。

 その瞬間、天使とチェイサーとなった青年との間に爆風が起こった。

 それが引き金になり、激しい雨が降りしきる夜。崩れかけていた研究所が大きな爆発を引き起こした。引き起こされた爆炎は、激しく降り続いていた雨をもってしても、しばらく消えることはなかった。

 

 

 

--------

 

 

 

半年後。少年は目を覚ました。少年がいる場所はアパートの一室であり、ゆっくりと身体を起こすと今の状況を確認する。

 

「……夢、か」

 

 少年--四ノ宮きょうやは、半年前の出来事が、夢に出てきてしまったのである。

 自分の父親を殺そうした存在に対し、自分がその存在に戦いを挑んだこと。きょうやにとってあの出来事は、思い出したくない忌まわしき過去となっていた。きょうやはベッドから起き上がり、真っ先に冷蔵庫の方へと足を運ぶ。冷蔵庫の中から麦茶の入ったポットを取り出し、台所にあるコップをとってその中に麦茶を注ぎ込れ、一気に飲み干した。

 

「……はぁ」

 

 しばらく見ていなかった夢であるため、朝から憂鬱な気分になっていた。それでも何とか身体を動かし、今日から始まる新しい学校生活に向けて準備を始めた。

 現在きょうやがいるここは海鳴市と呼ばれる町であり、彼はそこのアパートの一室を借りて生活していた。きょうやが新しく通う学校は元女子高であり、今年から共学になったばかりの学校である。きょうや自身特に今となっては別に気にしてはいなかった。

 

 

 

 

一週間前---

 

 

「移動、ですか?」

 

 その日はある人物に呼び出され、きょうやは研究室に来ていた。

 

「そう! 実はね、とある街で復活した"ロイミュード"達が集結していることが分かったの」

「本当ですか、りんなさん」

 

 きょうやを呼び出した人物・追田(旧姓:沢上)りんなは研究の作業をしながら、今回呼び出した理由を話し出した。

 機械生命体・ロイミュードとはかつて仮面ライダーと呼ばれる存在の手によって全滅したのだが、半年前のきょうやが経験した事件を切っ掛けに、ロイミュード達の姿が確認されるようになった。それにより再び日本各地でロイミュードの存在が公にされたのである。

 きょうやは現在、二代目仮面ライダーチェイサーとして復活したロイミュード達の殲滅を行っているのだが、なかなか数を減らせていないのが現実であった(ちなみになぜきょうやがチェイサーになれるのかは未だに分かっておらず、これに関してはシグナルチェイサーの開発者であるりんなも首をかしげていた)。

 そんな中、復活したロイミュード達が海鳴市へと集結し、何かを始めようとしているとの情報がりんなのもとに入り、それを伝えようと呼び出したのである。

 

「じゃあ僕が今日呼ばれた理由って」

「そう。きょうちゃんには、海鳴市に行ってロイミュード達の動向を探ると同時に、奴らの殲滅をしてほしいの。それに……」

「まだ何か?」

 

 違和感を覚えたきょうやは気になってしまい、りんなに尋ねた。

 

「確証があるわけではないけど、海鳴市で確認されたロイミュード達の中に"天使の容姿"をした存在が確認されているの」

「……!?」

 

 それを聞いたきょうやの表情が一変する。

 

「まさかそれって……」

「えぇ。おそらく半年前の事件、あなたのお父さんを殺したロイミュードがまだ生きていた可能性が考えられるの」

「そんなはずは! あの時確かに僕が……」

「落ち着いて。さっきも言ったけど、まだ確証があるわけじゃないの。ひょっとしたらあの戦いの中でかろうじて生きていた可能性もあるし、別の個体であることも考えられるから……」

「つまり、それを調べるのも今回の目的という訳ですか?」

「そうとらえてもらってもいいわ。それで早速で悪いんだけど、今週末に海鳴市に行ってほしいの」

「……ずいぶん急ですね」

「急ぐに越したことはないし、それにもう手続きしちゃったんだよね~」

 

 そう言ってりんなが取り出したのは、転校手続きの用紙であった。

 

(はや!)

 

 内心驚きながらも、こういう人であることは知っているため、すんなりと受け入れることができた。

 りんなは半年前に起こった事件が影響で行き場をなくしたきょうやを引き取り、親代わりとして育ててくれた恩人である。歳はかなりいっているはずなのだが、どう見ても30代後半~40代にしか見えない(実際の年齢は旦那である現八郎以外知らないらしい)。ちなみに旦那である現八郎もきょうやのことを受け入れており、今では息子同然のように接してくれている。

 

「分かりました。じゃあ今週末に海鳴市へ向かいますね」

「うん! よろしくね。あ、ちなみにきょうちゃんが通う学校なんだけど……」

「何か問題でも?」

「いや問題があるわけじゃないんだけど、実はその学校」

 

 

「元"女子高"なんだよね~」

 

 

-----

 

 

(りんなさんのことだから何かあるとは思ったけど……)

 

 今日から通う学校、名前はエイトリアン・ガールズ・ハイスクール(略してエイトリアン・G・H)。名前からして女子高であることは明確であった。少子化の影響で今年から共学になったことに問題はないのだが、今年二年生であるきょうやにとっては、同学年で実質男子が一人も存在しない状況で生活することが決定事項になってしまった。ちなみになぜこの高校なのかというと、実はこの高校の校長とりんなさんが知りあいであったらしく、りんなさんの話を聞いた校長にぜひウチの高校に来てほしいとせがまれてしまったのが切っ掛けであった。

 実はこの高校、今年から共学になったのはいいが肝心の男子生徒を引き入れることができず、男子を少しでも獲得したかった校長にとっては大きな痛手を受けていた状態だったのである。一応生徒数は例年通りの人数を獲得できたのだが、例年減少してきてしまっており、これ以上は女子高として維持するのは厳しい状況になっているのが現状であった。

 校長としては、"男子がいる"前例がないため入ってくれる可能性は限りなく低い(多くてせいぜい5~6人くらい)と予想はしていたらしいが、(悪い意味で)予想以上の結果に終わってしまったことに頭を悩ませていた。男子がいる前例がないのなら、転校を考えている男子に声を掛け、共学化した自分の高校に入ってきてもらう案が出たが、今の時期に転校を考えている子がいるはずがないため廃案。しかもこの方法は多少無理矢理な部分が目立つため、あまり率先して行うものではないという意見も出た(しかしこうすることで男子がいる前例を作り、来年の男子生徒獲得の可能性を高めることができるという点では悪くない方法ではあるという意見も少なからず出ている)。

 来年はどうしようかと悩んでいた校長にとってりんなの連れ子であり男子であるきょうやの転校の話は、まさに棚から牡丹餅といっても過言ではなかったのである。

 この話を聞いたきょうやは当然無理だから別の高校にしてほしいと一度はりんなに掛け合ったが、既に転校が決まってしまっている上、そこの校長が自らきょうやのところへやってきてお願いをされてしまう事態に発展した。結果頼み事を簡単に断れないきょうやは了承することになってしまい、今に至るのである(もちろん正式な手続きと必要な試験を受け、その上で転校を認めてもらえている)。

 

(でも、ロイミュード達を放っておけないし、何より奴が生きてたら……)

 

 そう考えることで自身を納得させ、今日から始まる学校生活に向けて準備を進めていた。

 

「一応これは持って行った方がいいよね」

 

 そう言ってきょうやが両手に持っているのは、バイクのマフラーを模した形状のベルトである"マッハドライバー炎"と紫と銀で塗装された拳銃型のガジェット・ブレイクガンナーであった。それをカバンへと入れ、さらにシグナルチェイサーと黒のシフトカー・シフトプロトスピードを同じくカバンの中へと入れる。

 

「じゃあ、行ってくるね父さん」

 

 カバンを持ち、立てかけてある一枚の写真に向かってそう言うと、玄関のドアを開けて外へと出ていった。

 部屋の机の上にある写真立てのなかには、幼き頃のきょうやとその父親が写っていた。




 一話分の文字数はあまり多くしないようにします(せいぜい3000~4000字程度)。
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