リリカルなのはINNOCENT~CHASER~   作:つねまる

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 投稿が送れてしまい、申し訳ありませんでした。とある事情からネットが使えない状況に陥ってしまい、投稿したくてもできない状態でした。

 お詫びとして今回は2話一気に投稿します。遅れてしまい、本当に申しわけありませんでした。


第三話(前編)

 翌日。学園の屋上できょうやは先日のロイミュードのことをりんなに報告していた。

 

『そっか。情報は正しかったってことになるのね』

「はい。それで昨日早速一人被害者が出てしまいまして」

『その人は大丈夫?』

「外傷はないのですが、かなり怯えていました。一応家まで送ろうとしたんですが……」

『逃げられちゃったと』

「……はい」

『そっか。そうなると無事に帰れていると信じるしかないよね』

 

 りんなはそう言っているが、きょうやは浮かない表情をしていた。

先日バイクで女性を送ろうとしたのだが結構ですと突き放されるように言われてしまい、それ以上何も言わず逃げるように走り去られてしまったのである。この事があり、きょうやは何とも言えない気持ちになっていたのである。

 

『どうかした?』

 

 電話越しではあるが、きょうやの様子がおかしいと感じたりんなに聞かれ、我に返る。

 

「い、いえ。取りあえずこれからもロイミュード達が現れると思うので、引き続き調査していきますね」

『え、ええ。お願いね』

 

 そう言うときょうやは電話を切り、スマホをポケットにしまう。きょうやは一息ため息をついた後、屋上を後にした。

 

――――――――

 

 授業がすべて終わった放課後の時間帯。きょうやは学校の帰り道、一人商店街の方へ足を運んでいた。

平日ではあるがこの時間帯は人が多く、きょうやのような学生も少なからず見受けられていた。

 

(と、取りあえず。今まで生活してて必要だと感じたものを探さないと)

 

 きょうやは今の生活にだんだんと慣れてきており、足りない日用品の買出しに今回帰り道を利用してやってきたのである。

今日は金曜日であり、明日は休みであることもあってか段々と人の数が増えているように感じた。人ごみになりつつある道を歩き、手ごろな価格で買える店を探し始めた。

 

(あれ?)

 

 道を歩いているきょうやの視線の先には、見覚えのある人物がいた。視線の先には栗色のショートカットの少女と銀髪の女性がうつった。二人楽しく会話しているのが遠目で見て分かったが、女性の顔を見たきょうやの表情がこわばった。

 

(あ、あの人は!)

 

 視線の先にいた銀髪の女性は、先日きょうやが助けた人であった。

 

(そっか。あの後ちゃんと家族のところに帰れたんだ)

 

 それを見たきょうやはホッとした気分になり、朝から引っかかっていた気持ちが晴れているのが分かり、自分の買い物を済ませるべく再び歩き出した。

 

―――――――――

 

「もう大丈夫なんか。アインス」

「はい、もう大丈夫ですよ我が主。心配を掛けて申し訳ありませんでした」

「私は大丈夫やで。でも他のみんなも心配してると思うから、きちんと話しておいてな」

「分かりました」

 

 はやては先日アインスがただならぬ様子で帰ってきたことを疑問に思いながらもそのことには極力触れないようにしていた。

 先日の出来事は朝にも聞こうとしたのだが、その度アインスが恐怖の表情を浮かべるため、アインスを除いた家族で話し合った結果、このことには触れないようにしようとなったのである。

今日はアインスの気晴らしになればと考えたはやてが、買い物に連れ出したのである。買い物を終え、二人は一休みに少し広い公園のベンチに座っていた。

視線の先では小さな子供たちが滑り台などの遊具で遊ぶ姿が見え、活気にあふれていた。

 

「あの、主」

「ん~。なんや~?」

「今日は、ありがとうございました。私のために買い物につき合わせていただきまして……」

「別にええよ。少しは落ち着けた?」

「はい」

「そっか。それならよかったよ」

 

 それっきり会話が途絶えてしまうが、アインスがぽつりと昨日の出来事を話し始めた。

 

「昨日。いつものように学校に向かっている時に、その、怪物に出会いまして……」

「……怪物?」

「はい。それで…「すみません。ちょっといいですか?」

 

 アインスが話始めた時、一人の青年が声を掛けてきた。手にはスケッチブックを持っていることから美大の学生ではないかと思われる人物であった。

 

「すみません、急に声を掛けて。僕、この近くの美大に通っている学生なのですが、今お時間よろしいですか?」

 

 突然のことに戸惑いながらも、二人は了承することにした。

 

「ありがとうございます。実は大学の課題で人物デッサンの課題がでまして。よろしければお二人の今の状態を絵にさせてもらってもいいかなぁと思いまして」

「え? 私達が、ですか? しかし」

「ほう~。ええやんかアインス。私達がそれだけ魅力的やったってことや。一緒に被写体なろうや。気分転換にもなりそうやしね」

「は、はぁ~」

 

 はやてが意外にもノリノリであるため、渋々アインスも了承した。青年は早速と言わんばかりに道具を準備し、被写体である二人のデッサンを始める。

被写体であるため、なるべく動かないようにしていた二人なのだが、突然青年から話しかけられた。

 

「ところで先ほど、怪物がどうこうっていう話をしてませんでしたか?」

「えっ?」

「あ、すいません。盗み聞きするつもりはなかったのですが、聞こえてしまいまして……」

「あぁ、そうだったんですか」

 

 青年と話している中、二人はある違和感があった。それに気づいたはやては小声でアインスに話しかける。

 

「なぁアインス。なんかおかしくないか?」

「はい。私も変に感じていました。あれほど人がいたのに、私達とこの青年以外見当たりませんし、それに……」

「なんや?」

 

 

 

「私の気のせいかもしれませんが、この近くに美大なんてありましたっけ?」

 

 

 

 

 そんな疑問があった二人は改めて青年に視線を向けると、その様子がおかしいことに気がつく。

 

「な、なんか変やないか? あの人」

「た、確かに先ほどと違って何か様子が…「あの~」…は、はい!」

 

 とっさに声を掛けられて動揺したのか、アインスが大きな声で返事をしてしまう。

 

「さっきの怪物のことなのですが、ひょっとして」

 

 

 

 

 

 

『……こんな姿してませんでしたか?』

 

 

 

 

 

 

 

 そう言ったと同時に立ち上がると、ノイズのようなものが青年の身体を覆い尽くす。ノイズが無くなったと同時に現れたのは、蜘蛛の意匠をもつ異形・ロイミュードへと姿を変えた存在だった。

その姿を見たアインスの表情はこわばり、身体に震えが走った。

 

「あ、ああ……」

「あ、アインス。ど、どないしたん!」

 

 アインスの状態がただ事ではないことを感じたはやては、ロイミュードを見て、瞬時に判断することができた。

 

「ひょっとして。昨日アインスを襲ったんはあんたか!」

 

 はやては強気の姿勢を崩さず、ロイミュードに問いただす。

 

『いえ、私ではありませんよ。ですがここら辺で活動しているロイミュードと言えば私か先生くらいしか把握していません。ですので彼女を襲ったのは間違いなく先生でしょうね。あの人は気に入った被写体は絵の中に閉じ込めてコレクションにする趣味がありますから』

「な、なんやて!」

『本当なら先生に目をつけられたらただではすまないはずなのですが、まあいいでしょう』

 

 そう言ってロイミュードは二人にゆっくり近づいていく。

 

「わ、私達をどうするつもりや!」

『安心してください。悪いようにはしませんよ。私の絵になってもらうだけですから』

 

 ロイミュードは片手を上げて二人に近づいていく。はやてはアインスを護ろうと手を引っ張る。

 

「アインス! 逃げるで!」

「は、はい!」

 

 アインスはすぐさま立ち上がり、はやてとともに逃げ出そうとする。

 

「逃がしませんよ!」

 

 逃げようとする二人を捉えようとロイミュードは片手を挙げると、二人の身体の動きが止まってしまう。

 

「な、なんやこれ!」

『これでもう逃げられませんね』

 

 動かないわけではないが、止まって見えるほどのスローペースであった。しかしそんな状態でもはやてとアインスは何とか逃げ出そうと身体を動かす。

 

(か、身体が、重い。アインスは昨日これを受けて思うように逃げられへんかったのか)

 

 必死に身体を動かし、アインスとともに逃げようとはやては抗った。

 

『全く。あきらめが悪いですね!』

 

 そんな姿に嫌気が指したのか、ロイミュードははやての襟を掴み持ち上げることで動きを封じようとする。

 

「主!」

「は、はなせや! この化け物!」

 

 動きは遅いが、はやては必死に振り払おうと暴れ続けていた。そんな二人の状態をシフトカー・プロトスピードが見ており、すぐさま方向転換をして走っていった。

 

――――――――

 

「ふう、意外とたくさん買っちゃったな」

 

 きょうやは一人買い物を終え、両手にはパンパンに膨れ上がった袋を持っていた(ちなみに学校に持っていったカバンは脇にはさんでいる)。

 

「買い物も済んだし、早く帰って夕飯の準備でも……」

 

 そう言って歩き出そうとしたその時、踵に何かが何回も当たっている感覚があった。視線を下に向けると、先ほどから姿が見えていなかったプロトスピードの姿がそこにあった。

 

「ん? どうしたの?」

 

 疑問に思いながらも、人気のない道に入る。両手に持っていた荷物を地面におろし、カバンの中にあるブレイクガンナーを取り出すとプロトスピードを拾い上げ、ブレイクガンナーへと装填する。

 

『チューン。ドライブシステム!』

 

 音声が流れたと同時にプロトスピードのヘッドライト部が光り、小さな四角いモニターのようなものが現れる。

 プロトスピードには本来の性能の他、ブレイクガンナーに読み込ませることで、プロトスピード内にある記録を映像として見ることができる機能がりんなによって付与されていた。

きょうやはこれを使ってロイミュード達の動向を探らせているのだが、今日は何故か朝登校してから姿が見えていなかった。モニターに映っている映像を見たきょうやは表情を変えた。

 

「そんな! また襲われてる!」

 

 きょうやはすぐさま現場へ向かおうとするが、両手に持ったレジ袋を見て足を止めてしまう。

 

「あ! これどうしよう」

 

 どうしようか考えていると、ブレイクガンナーについていたプロトスピードが飛び出した。何をするのかと思って見ていると、プロトスピードが大きな袋を雪だるまのように背中に乗せたのである。

 持ち主であるきょうやは驚くが、プロトスピードはそのままきょうやのアパートの方向へと走っていってしまった。

 

(シフトカーって、あんな便利な機能があったんだ)

 

 シフトカーの隠された機能?に驚きながらも、きょうやはロイミュードがいる現場へと向かった。

 

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