【全知全能】になった俺がアイドルになって人生を謳歌していく   作:PL.2G

14 / 29
毎々お世話になっております。

前回,ひっそりと前書きに追加しましたが,
しばしの間【半知半能(ちゅうとはんぱ)】生活が続きます。
その方、ご承知おきの程よろしくお願い致します。




第6話 - 絢爛舞踏会 a Brilliant Ball -

「一ノ瀬さん入られましたぁー」

 

撮影現場をさっと一瞥し、すっと息を吸い込み声を発した。

 

「久し振りの現場なので、何かとお手数をお掛けすることになるかと思います。

 ですが一生懸命やらせて頂きますので、本日はどうぞよろしくお願い致します」

 

現場のスタッフ一同に聞こえるように大きな声で挨拶をする。

そして、今日ここに来るまでずっと気になっていた事を聞く事にした。

 

「因みに今日は何のための撮影なんですか?」

 

「え?一ノ瀬さん、聞いてないんですか?」

 

驚きを隠せないスタッフさん方。

 

「はい、如何せん8723(うち)の社長兼現Pは適当なヤツなもんでして・・・」

 

「そうなんですか・・・、今回は346プロと8723プロのコラボ企画がございまして・・・」

 

コラボ企画・・・英雄の野郎・・・こんなデカい話黙っていやがって、

ただじゃおかねぇ・・・

 

「そうなんですか、それは大変素晴らしいですね」

 

「で、その企画の宣材を今回は撮らさせていただく形になっております」

 

「わかりました。みなさんが納得行くまでやりましょう」

 

「それは私も入っていますか?」

 

後ろから非常に聞き覚えのある声がした。

 

「高垣さん入られましたー」

 

「い゛っ!?」

 

たk・・・楓さんも同じ仕事だったとは・・・

しかし、それもそうか・・・コラボ企画なんだ・・・

お互いの顔となるアイドルの2ショット・・・当然と言えば当然か・・・

 

「本日は宜しくお願い致します。よいしょ(・・・・)って感じで良いショ(・・・・)ットを撮りましょうね?ふふふ」

 

「は、ははっはっ・・・」

 

何とも言えない空気感・・・さすがです。

 

「騎士君も今日は宜しくお願いしますね」

 

無邪気な笑顔で俺にそう言った。

この人、さては知ってたな・・・

 

「t・・・楓さん今日仕事が同じって知ってましたね?

 なぜあの時教えてくれなかったんですか?・・・楓さんもお人が悪い」

 

「騎士君がちゃんと名前で呼んでくれないから、

 お姉さんは意地悪がしたくなったのです」

 

「子供ですか」

 

「子供ですよ、ふふ」

 

25歳児ここにあり、と言った感じだ。

25歳児と言うのはこの高垣楓を象徴する通称だ。

 

「ともかく、仕事で・・・楓さんと一緒なら心強い」

 

「私の名前呼ぶ前に言い澱むのそろそろやめませんか?」

 

「癖の様なものです。今日だけで大分成長して来てますから、むしろ褒めてください」

 

「あら、そうなんですね。よしよし、良くできました」

 

頭を撫でられた。

親以外で頭を撫でられるのは初めてかもしれない。

ちょっと心地よかった。

帰ったら志希にお願いしてみようか・・・止めよう。

嫌な予感しかしない。

しかしまだ撫でられている・・・

 

「あの・・・そろそろ恥ずかしいので・・・」

 

「あら、満更でも無さそうな表情だったものだから、

 つい気に入ってくれたものなのだと・・・」

 

しまった、顔に出てたのか・・・

事故後、表情を指摘される出来事が多くなった気がする。

【全知全能】で表情を作っていたから、能力が使えない今、

表情筋の制御が出来ないのか・・・?

もともとやっていた事だからそんな事はないと思うんだが・・・うーむ、わからん。

が、今はそんなこと気にしている場合ではない、仕事モードに切り替えなくては。

 

「取敢えず、嫌では無いですが、恥ずかしいのでもう止めてください」

 

「では、人目が気にならない所でなら良いのですね?言質取りましたよ?」

 

「そこまでは言ってないです、勝手に捏造しないでください」

 

「冗談ですよ、ふふふ。やっぱり、騎士君とのお話は楽しいですね。

 今夜の為に頑張りましょう」

 

「申し訳ないですが僕は今夜の為にではありませんが、頑張りましょう」

 

「んもう、もう少し話を合わせてくれてもいいのに、騎士君のケチんぼ」

 

他愛ない会話をし、楓さんに合わせながら撮影を熟していく。

写真撮影だけなので、そんなに難しい事では無く着々と進んで行った・・・

ような気がした。

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

久し振りの仕事なのだがやはりもともとやった事のある事なので、難なく出来る・・・

出来るが・・・

 

「騎士君、ちょっと写りの角度が良くない気がするのですが・・・」

 

「そうですね、もっと肩を引きましょう。あと、少し上からも数枚お願いできますか?」

 

「わかりました!」

 

入りの時にみなさんが納得いくまでと言ったが、一番納得いかないのは自分自身でした。

 

「では、15分休憩入りまーす」

    「おい、一ノ瀬さんと高垣さんの飲み物さっさと準備しろ!!」

 「6番フレーム手入れヨロシク」

「今の内にライト交換しとけ」

 

周りは休憩に入ったが、楓さんと俺はまだ構図に納得がいかず、打合せを続けていた。

 

「ここはもっと騎士君を前に出していった方が良いと思うの」

 

「いや、今回はコラボです。僕一人が主役って訳では無いので、

 やはり互いが互いを主張できる構図が良いと思うんです」

 

今回たった3種類の構図の写真を撮るだけなのだが、かれこれ3時間ほど撮影中だ。

しかもまだ1種類も終わっていない。

今日は楓さんも俺もこれしか仕事が入っていない為、写真撮影に専念している。

なるほど、19時以降ね・・・こうなる事は想定内って事か・・・

 

「あの・・・お話し中申し訳ありません・・・」

 

聞き覚えのある耳心地の良いバリトンボイスが後方から聞こえてきた。

 

「お疲れ様です。どうしました、武内さん」

 

楓さんが応答した。

 

「休憩中ですから問題ないですよ、僕たちがイレギュラーなだけです」

 

そして俺も続く。

 

「イレギュラーなのは騎士君だけです、私を巻き込まないでください」

 

「ええ~」

 

「あの・・・、やはり止めておきますか・・・?」

 

ほとほと困り果てたように、首に手を回して話す武内さん。

 

「あぁ、ごめんなさい。要件をお伺いしましょう」

 

「はい・・・、先ほどまで、別のブースで新人アイドルの宣材を撮っていたのですが、

 アイドル達(・・・・・)が是非お二人にご挨拶をしたい、と・・・」

 

なるほど、良くある話だ。

 

「今は休憩中ですし、今日は撮影だけですので問題ありませんよ、僕なんかで良ければぜひ」

 

「あら、【僕たち】、ですよ。武内さんのお話ではお二人、私も含まれてました」

 

「さすがに楓さんを『なんか』なんて言えませんよ」

 

「それは皮肉ですね」

 

「では、そこまで見学には来ていますので、こちらに呼んでしまいますね」

 

そう言って後ろを振り返り手招きをし始めた。

おおぅ、結構な人数が見学してたんだな。

しかし、個性的な子たちばかりだな・・・

良くこれだけの逸材を集められるものだ。

 

「ほっ・・・本物の騎士さんが・・・私の目の前にっ!!」

「ほっ・・・本物の騎士様が・・・私の目の前にっ!!」

「まっ・・・誠の偽り無き始祖が今・・・我のすぐ傍にっ!!」

 

三人の女の子達が三者三様の感想を言っている。

 

「わー本物のナイトさまだー。すっごーい。きゃはは」

 

セミロング?ショート?の快活そうな女の子が大きな声でそう言った。

 

「こら、みりあちゃん、騎士さんに失礼にゃ!!」

 

「はははは、大丈夫ですよ。もう慣れっこですから。」

 

「元気だね」と頭を撫でると「んふふ~♡」と言いながら気持ち良さそうに目を細める。まるで小動物でも撫でている気分だった。

 

 

   8X―・・・・・・・・

 

 

そんなこんなで休憩が1時間になったり、

アーニャちゃんと再会したり

美嘉ちゃんが失神したり、

黒歴史を再発させたりとそんな休憩時間でした。

 

「さて、じゃあ撮影の方を再開しましょうか」

 

「そうですね、今夜の為に納得のいく仕事をしましょう」

 

「ふふふ、そうですね」

 

どこか嬉しそうな楓さん。

 

「あのちょっとした思い付きなのですが、お姫様だっこで撮影とかどうでしょうか?」

 

楓さんの突然の発案。

 

「あぁ、良いですね。構図的に悪くないと思います。一ノ瀬さん・・・お願い、できますか?」

 

少し申し訳なさそうにお願いされた。

体力とか筋力的な不安でもあったのだろうか?

そうか、そう言えば俺って退院直後だった・・・

 

「はい、楓さんが大丈夫と言うのなら、僕は一向に構いませんよ。

 体調の方もさして問題ありません」

 

多少は衰えてはいるが、大体2t程度は持ち上げられる筋力はあったので、

楓さん一人を抱えるのなんて、紙を持つのと大差はない。

 

「では、お嬢様、お身体に触れさせて頂きますが、ご容赦くださいね」

 

「ええ、良くってよ」

 

楓さんの右側に立ち、自分の左手を楓さんの左肩へ添える。

その時点で楓さんは自分の両腕を俺の首に回してきた。

その状態で楓さんの背中側に右手を持っていき、

腿の辺りからスカートが捲れ無いように、

膝裏に滑らせつつ腕を掛け、負担が掛からないようにすっと持ち上げる。

 

「いやぁ、お二人がやると絵になりますねー」

 

スタッフが煽る。

 

「おおぉぉー」パチパチパチパチッ

 

離れて見ていたシンデレラプロジェクトの面々がなぜか拍手をしていた。

美嘉ちゃんはなぜか耳まで真っ赤になっているのが伺える。

蘭子ちゃんは大きな声で「我も、我も~!!」と言っている。

一体何が「我も」なのだろうか?

ふむ、お姫様抱っこと言っても結局ただ抱えあげただけ、

なぜここまで盛り上がるのか正直知らんが今は撮影に集中しよう。

 

「楓さん」

 

「ひゃいっ!?」

 

「?」

 

話し掛けたら素っ頓狂な声を上げる楓さん。

 

「どうしました?体制が辛い様ならいったん降ろしますが・・・」

 

「違います違います、大丈夫です、問題ないです、何でもないです、ハイ」

 

「?」

 

普段の楓さんからは想像できないほど取り乱している気がする。

正直、胸部や臀部には触れないように細心の注意を払っているつもりなので、

そこは問題ないと思っているのだが・・・

 

「これは・・・想像以上にクルものがありますね・・・」ボソッ

 

「え?なんて?」

 

「いえ、何でもありません。フゥ・・・そろそろ落ち着いてきました。

 さぁ、撮影にうつりましょう。」

 

「?」

 

まぁ、深く考えても仕方ない。

考えることは大っ嫌いだが【全知全能】が無くなって以降、

自分で考える事が非常に多くなった。

結果、考える事はもっと嫌いになった訳だが、その実、楽しくない訳では無い。

どっちつかず状態で今は生活している事になる訳で、

その状態を作り出している自分自身がちょっと嫌いになって来て居たりもする。

 

などと考えてしまっていた、これはイカン、負のスパイラルにはまってしまう・・・

 

「騎士君?どうかしました?」

 

「すみません、ちょっとぼーっとしてしまいました」

 

 

「ふふ、お揃いですね」

 

「そうですね。さて、そろそろ1種類目位終わらせないとスタッフに申し訳ないですから、

 スパートを掛けましょうか?」

 

「すぱーっと、ね?ふふ」

 

撮影は無事、19時の20分前に終了した。

 




最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

話の進むスピードがゆっくりで申し訳ありません。

短めですが,この辺りで失礼致します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。