【全知全能】になった俺がアイドルになって人生を謳歌していく   作:PL.2G

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大変お世話になっております。

非常にお見苦しい物ではありますが、何とか第1話が出来ました。

この後加筆修正やらなんやらあると思いますがご承知おきの程よろしくお願い致します。

前回のプロローグで主人公の名前を見て気づいた方も居ると思いますが
「一ノ瀬志希」が出て来ます。

志希Pの方々やファンの皆様におかれましては寛大な対応をして頂ければと思います。



第1話 - 兄と妹 Kishi To Shiki -

 さてさて、唐突ですが俺は今、宿泊していたホテルの部屋で帰り支度をしている。

 どうしても明後日までには家に帰らなければならない。その為チェックアウト時間が迫る今、取り急ぎ荷物をまとめているわけなのだが・・・

 

 ん?ふむふむ。

 明後日までに帰るのならば、別に今日チェックアウトする必要は無いだろうって?

 そうだね、その意見はごもっともだ。

 

 のんのん。

 

 俺は現在、仕事の為に米国(アメリカ)に来ている。

 強いて言うのなら、俺は今をトキメくトップアイドルですから?

 まあそれはそれで置いておいて・・・だ、さっきも少し話したが、明後日は俺のとある(・・・)お祝いで日本に帰らなければならない。そう、祝って貰うのだからこちらが出向くのは俺としては当然な話であって。で、チェックアウトの時間とか飛行機の離陸時間とか諸々あるわけなのです。

 

 で、早朝から帰り支度とか後片付けをしていた訳なのですが・・・、いざ後少しでチェックアウト出来るかなぁってタイミングで、ちょ~っとばかり面倒な問題が発生した。

 

 

 

「で、我が妹の志希(しき)よ。君は何故(なにゆえ)にココに居て、何故(なにゆえ)に俺のお気に入りのコートを頭から被ってじゃれているんだい?」

 

「クンカクンカクンカhshshs・・・」

 

 俺の話も聞かず、夢中で俺のコートとじゃれ合っている。

 何故こんな事になっているのか。語れば長く・・・ならないか。

 ものの数分前。正確には4分32秒前(現在経過中)に部屋のピンポン(死語)が鳴った。覗き穴から覗くとそこには妹の志希。部屋を開けたら目にも止まらぬ速さで今の状態に・・・

 

 ────────────────────

 

「おーい、志希ー?志ー希ー。志希ちゃーん?おーい?おーい聞いてー?」

 

 俺の言葉は尚も無視をされる。当の本人は未だベッドの上で俺のコートに我が身を包みながらコロコロと左右に転がりつつ、綺麗な御御足を交互にバタバタと、そう・・・バタ足を繰り広げていた。

 折角この俺がベッドメイクも終わらせて居たと言うのに・・・悪い子には躾ですね!!

 

「hshshshshshshshshs」バタバタバタバタッ

 

「( ^ω^)・・・そいっ」ガバッ!!

 

「にゃああああ~~~~~!?」

 

 コートを掴み、破れないように気を付けつつ勢い良く志希ごと持ち上げる。次の瞬間、志希はくるくるときりもみしながらコートから剥がれ落ちる。

 

「ぎゅんっ!?」

 

 ベッドに沈む志希は不思議な鳴き声を上げた。

 

「む~!!お兄様~!!志希ちゃんのコートを盗らないでよ~」

 

 すぐさま顔を上げ、頬を膨らましたかと思うと意味のわからない文句を言い出す。

 

「お!れ!の!コートだ!勝手に志希のにするんじゃありません!!」

 

 左手に掲げたコートに鋭い視線を向け、まるで猫のような俊敏な動きで俺の元まで来ると俺の胸に左手をつき、ピョンピョンと跳ねながら必死にコートに手を伸ばし騒ぎ始める。

 

「にゃははははっ。志っ希ちゃんのっピョン 物はっピョン 志っ希ちゃんのっピョンものっピョンピョン。おっ兄様のっピョン ものもっピョン 志っ希ちゃんのも~のな~のだ~!!ふふ~ん♪」

 

 コートを取る行動をピタリ止め、腰に手を当てふんぞり返る。「フンスッ」と鼻息が聞こえた。

 

「どこぞの小学生ガキ大将みたいな物言いはやめなさいっ。女の子でしょ!!」

 

 志希の頭に「ていっ」と超絶弱ーい手刀(チョップ)を入れる。

 

「いやんっ♡お兄様が虐めるぅ~ん♡」

 

 頬に手を当てクネクネと身を捩る。まるで土から出てきたミミズみたいだ。

 しかし、

 

「何ちょっと悦に浸ってんだよ。やめなさい」

 

「ご主人様に躾けて頂いた賜物ですわよ」

 

 声のトーンを突然低くし、凄く真面目な感じで答え始める。

 俺は「はぁ」と溜息を吐き、額に手をやる。

 

「キャラがおかしい。後、せめてもう少しだけで良いから自我を保ってくr「うんそれむり~♪」頼むから最後まで言わせてくれよ・・・それと誰がご主人様だっ!変な勘違いされちゃうでしょ!!」

 

「にゃはは~♪だいじょうぶだいじょうぶ。今日本語で喋ってるから聞こえててもきっと意味わかってないと思うような気がしなくも無いかな~」

 

 再度、溜息を吐く。

 

 この超絶お転婆っ娘はさっきも言った通り俺の妹で、『一ノ瀬(いちのせ) 志希(しき)』。

 ウェーブ掛かったクセのある猫ような質をした肩甲骨を隠す程度の長さの髪に割かし高めの身長、そして控えめに言っても容姿端麗(シスコン)。

 でもだがしかし少し割とちょっといやだいぶかなりやっぱり変な妹である。

 更に、妹と言っても実は血が繋がっていない。要するに義妹と言うヤツである。

 はいそこっ!!エロゲ設定乙とか言わない!!

 さて、妹の紹介を早々に切り上げて、俺の情報と環境について少し追加で説明したいと思う。

 

 

 俺は一ノ瀬家(志希の家族)の養子だ。

 事の発端は八年前。

 当時十一歳の時に両親はこの世を去った。詳細は語る必要性が全く無いので省かせてもらう。今後語る予定もつもりも無い。

 その後、俺の実の母親の実兄である一ノ瀬夫妻に俺は引き取られて今に至る。

 

 研究者であった現父(とう)さんは、幼少の頃から頭の良すぎる俺を気にかけてくれていた。もしも俺がアイドルになっていなかったならば、現父さんは、自分の勤める研究所(ラボ)に来て貰うつもりだったらしい。そりゃそうですよね。

 生まれながらにして【全知全能(チート)】ですし、幼少期は定番通りの【神童】扱いでしたしね、俺。

 とは言え・・・アイドルになった今でも時間があれば志希と共に現父さんの仕事の手伝いはさせて貰っている。

 

 そして何の因果か一ノ瀬夫妻の実子である志希も、中々どうして天才児。俗に言う与えられし者(ギフテッド)だった。

 俺と同じく幼少期から抜群の頭の良さを発揮しており、俺と出会うまでは世界に辟易しながら毎日毎日少しでも楽しい事を探しつつ、誰に縛られるでもなく自由奔放勝手気ままに生きて来たらしいのだ。

 因みにらしいと言うのは、この話の志希の真偽を、俺が汲み取れないからである。汲み取る方法も無くは無いが、正直したくないので却下だ。それに何より志希の言っている事なので俺は一切疑ってはいない。だから【らしい】を使うのも志希に失礼な話ではあるのだが、これも難しい問題であるので今は気にしないで居て欲しい。

 

 

 閑話休題

 

 

 志希とじゃれてる場合じゃない。さっさと支度を進めなければ終わるものも終わらない。自分の気合も入れ直しコートを畳み、バッグに入れ、次なる片付けに移る。

 

「ねぇねぇ、お兄様?」

 

 そこへ志希のゆったりとした柔らかい声で呼ばれ、ふと顔をそっちに向ける。

 すると真剣な面持ちでこちらを見ているじっと見つめる志希と目が合う。

 ジワリと嫌な汗が背中を伝う。そして察する(・・・)。それを悟られまいと俺は目線を荷物に移す。

 

「どうした?早く支度しなきゃならんから手短に頼む」

 

 間違いなくこの後に苦手なイベントが発生する。

 しかし苦手であるだけで別に嫌いではない。むしろ好きな部類のはずなのだが、やはりひどく苦手であるので避けて通りたくは思うのだ。

 

「わたくし──」

 

 はじまってしまった・・・

 

「──一ノ瀬志希は、お兄様こと一ノ瀬騎士を、心の底より愛しております」

 

 志希(いもうと)から(あに)に対する突然の告白(ラブコール)・・・

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 訪れる気まずい静寂が部屋を支配する・・・

 

「じー (ΦωΦ)」

 

 しかし、直ぐにそれを打ち破る志希。

 

「はぁ。また(・・)か」

 

 あからさまに大きく溜息を吐く。

 

「溜息吐くとかちょっっと失礼じゃな~いっかな~?」

 

 腕を組みわかりやすく機嫌を悪くする。しかし、そこに本気の雰囲気は無い。

 

「この状況で溜息吐かずに居られると思うか?」

 

 そう、『また』なのだ

 志希はとある時期から定期的に俺に告白をしてくるようになった。

 志希の意図・目的は?本当の想いは?

【全知全能】を持ってしても『わからない』。

 そう全く『わからない』のだ。

 

【全知全能】とは・・・知らない事は一つもなく、出来ない事は何もないということ。

 全てのことを知り尽くし、行える完全無欠の能力。

 

 だのに、だのにだ・・・

 

 判らない・分からない・解らない・ワカラナイ

 

 だが、しかし、それが、その、状態が、『楽しい』。

 判らなくて、分からなくて、解らない事が本当に『楽しくて』、非常に『嬉しくて』仕様がなく仕方がないのだ。

 

【全知全能】になった俺の、本当に数少ない楽しみ。今の俺が得られる最上位の楽しみの1つだ。俺には理解できない・知り得ない・認知出来ない、人の感情に触れる瞬間・相見える瞬間。俺は俺と言う生、それを最大限に感じる事が出来る瞬間がこれだった。

 

 俺は【全知全能】になって、新たに人生を歩み始め、世界に対し落胆し、物事全てに飽きを感じ、何もかもに辟易し、そして、それと共に自分の持つちょっとした感情とお別れすることとなった。

 褒められても出来て当然なのでこれっぽちも嬉しくない。

 他の人間に仲間外れにされようとも、奇異な目で見られようとも、中身は元々成人を優に超えた人間、怒りも無ければ呆れすらも覚えないし辛くも無ければ悲しくも無いし、そんな頃には痛む心なんてモノも既に擦り切れていた。

 そんな環境に身を投じて心身共に奥底まで疲れて果てていた俺は、数年で完全に感情を欠落させた。喜怒哀楽を享受出来なくなった。

 

 しかしそんな俺はいつからか他人の感情に興味を持ち始めた。この世界にはまだ俺にもわからない事がある事を知った。この世界にはもっと俺に出来ない事があることも知った。

 俺の生き甲斐が増えることに喜びを感じた。人生が色めき始めた瞬間だった。

 生きているって素晴らしいと思え始めた。これで良い、これで良い。

 そうこれでいいのd「おに~さま~っ!!」

 

「はっ∑( ゚д゚ )」

 

 どうやらトリップしていたらしい。志希の言葉で夢幻から現実に引き戻される。

 

「お兄様ってさ~ぁ?ちょいちょ~い私の事を変な子~変な子~って言ったりするけどさ~ぁ?お兄様も大概変な子だよね~?にゅっふっふっ~♪」

 

 にんまりと悪戯っぽく笑う。

 

「ぐぅ・・・すまん・・・」

 

 ぐぅの音は出た。

 

「にゃははは~♪まぁ?志希ちゃんが変な子なのは充分自覚してるし~?全然これっぽっちも気にしてないよ~ん♪そんな事よりホレホレ~♪答えを聞かせておくれよ。好青年っ!!」

 

「ほれっ♪ほれっ♪」と言いながら両手で下から掬うような動きを何度も何度も繰り返す。

 

「はいはい、俺も愛してますよー志希ー」

 

 頭を掻きながらとても簡素に簡潔に返答をする。これがいつも通りだ。

 

「にゃはは~♪いつも通り、心の全く籠っていない返答をどうもありがとう♪ところでお兄様。さっきから何してるの~?」

 

 不思議そうな顔をして、顎に人差し指を当て首を傾ける。

 

「は?」

 

 何を言っているのか良くわからなかった。ナニコレ楽しい。

 

「いやいや~♪志希ちゃんは~学校行くのが飽きちゃって~失踪したくなっちゃったから~『あっ!!そう言えばお兄様は仕事でこっちに来てるっ!!』って、思い出したから~、お兄様のプロデューサー?に~電話して~お兄様の居場所を聞いてみたら~なななななな~んとっ!!志希ちゃんの住んでる場所からすぐ近くるミラクルだったから志希ちゃんはここに居る訳なのだけど~?」

 

 淡々と語る天才少女。

 

「おっおう・・・説明ありがとう。それで、俺の予定をあいつ(・・・)に一切聞かずにここまで来た、と?」

 

 額に右手を当てる。

 

「そ~のと~り~っぶいっ♪」

 

 目を覆いたくなるくらい眩しい笑顔でピースサインをしてくる志希。まるで後光が差しているようだ。

 

「問題です。明後日は何の日でしょう?」

 

「明後日は~、十二月一〇日~・・・おおぅっ!!【全知全能の偶像(アイドル)】、またの名を【世界の騎士(ナイト)様】たる私のお兄様こと~、一ノ瀬騎士の誕生日っだ~っ!!それ以外何があるのか知らな~い!!ノーベル賞とかゼンゼンシラナ~イ」

 

「うん、そうだね。憶えててくれてありがとうね。でもねトンでも二つ名まで付けて説明してくれてね・・・本当にね。まじでお兄様は感謝感激雨霰でガチで泣きそうです・・・」

 

【全知全能の偶像(アイドル)

 

【世界の騎士(ナイト)様】

 

 このトンでも二つ名は俺の芸能界での通称。他にも【A と J(トランプナイト)】なんてのも極一部(・・・)で呼ばれたりしてた時もあったけどね。

 まぁ、【アイドル界のオーガ】だの【世紀末歌姫】なんて呼ばれてるアイドルも居るので、それに比べればまだましだろうかな、とは思う。と言うか女性に鬼だの悪魔だのは良くない気がするが・・・まぁ、人の事言えないかも知れないけども・・・

 

 そこはまぁまぁ置いておいて、実はこの二つ名は好きじゃない。だから呼ばれるのも好きじゃない。志希の事だから、わかってて敢えて言っているんだろうけれど・・・それにしても志希に言われると『他人』と言われているようで切なくなってくるから特にキライだ。

 

 閑話休題

 

「で、ソコまでわかってるならもう予想はつくだろう?天才少女」

 

「な~るほどね~、お兄様の誕生日(バースデー)かぁ・・・ふ~む」

 

 まるで一休さんみたいな感じで蟀谷に人差し指を当て目を瞑り、う~んと唸りだした。

 

「そう言うことだ。そんなわけだから片付けの邪魔をしないでくれ?あと1時間も無いんだから」

 

「じゃあ志希ちゃんも一緒に帰る~♪」

 

「は?」

 

 とても無邪気に、さも当然のようにさらりと間髪入れずに物凄い事を言い出した。俺の【全知全能】を持ってしても理解するのに時間を要してしまっていた。ナニコレ楽しい。

 

「それと~。私の分の帰りのチケットの手配をよろしくお願いしま~す。あ、あとあと~飛行機代もお兄様持ちでよろしく~てへぺろ~♪ぺろぺろ~♡」

 

 悪びれる様子もなく、やっぱり当たり前のように無邪気に言い放った。

 

「・・・・・・」

 

 言葉を失うとは正にこれだった。

 

「それにねお兄様。私にはお兄様の誕生日を祝わないって言う選択肢が無いのだよ?可愛い可愛い妹君のお願いなんだから聞いてくれるよねっ?ねっ?ねぇっ!?」

 

 フンフンと鼻を鳴らし、いつの間にか飛び乗っていたベッドの上で騒ぎ始める(志希)。それを見つめる俺の顔は、一瞬だが何故か(・・・)自然と口角が持ち上がったが、とある【能力(ちから)】でそれは阻止された。

 

「まったく・・・仕様がない妹だな。我儘を聞いてやるのも兄の努め・・・ってヤツか?」

 

 片付けを進めながらあきれた様に肩を竦める。

 

「違うよお兄様~?努めじゃなくて特権だよ特権~?こんな美少女な妹の我儘が聞けるなんて、特権以外の何ものでも無いよ~?業界ではご褒美だよ~?希少価値だよ~?超高値だよ~?」

 

「どこのどんな業界なんだよそれは!!でもまぁ、そうなのかもな・・・」

 

 そんな言葉を聞きつつ鼻で笑い、スマホを取り出すと席のキャンセル、次いで席の取り直し、そして関係者へ「最悪遅れるかもしれない」、と連絡をした。

 

「・・・・」

 

 連絡を終え、スマホをしまうと同時位に志希の方から何かが聞こえたが余りに小さく聞き取れなかった。

 

「なんか言った?」

 

「なんでもな~い」

 

 今日も今日とていつも通りだ。

 いや・・・昔よりはあきらかに良い日だ。

 




ここまで読んで頂き誠にありがとうございました。

前述致しましたが、この後何度も加筆修正が入るかと思われます。

文章や表現が別物に変わる可能性もございますのでご承知おきの程よろしくお願い致します。

※全体的に文章を修正致しました 2017/03/14
 全体的に文章を修正致しました 2019/04/16
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