【全知全能】になった俺がアイドルになって人生を謳歌していく   作:PL.2G

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平素より大変お世話になっております。

Sideストーリー第5弾です。

今回のお話は急展開となります。


私事ですが,この作品のUAが40000を越えてました。
最後に気に掛けてたのって確か10000の時だったと思われます。
20000とか30000の時の私は何も感じなかったんですかね?謎です。
しかし気が付いたら40000って…,物凄い数字ですね。
コレを見て震えました。

読んでくださっている皆様,
本当にありがとうございます。





Fifth Side Story ~ 人間万事塞翁が馬 ~

とある晴れた日。

俺はぶらぶらと食べ歩きをしていた。

 

「あのー、そこ行く殿方ー、少しお話がありましてー」

 

後方から、凄くのんびりとした可愛らしい声が聞こえてきた。

 

「はい?」

 

後ろを振り返ると誰も居ない・・・と言う事は無かった。

目線を下げると、大きなリボンが目に付いた。

更に目線を下げる、少し変わった和装に身を包んだ女の子が佇んでいた。

 

「えーと・・・キミが、今僕に声を掛けたのかな?」

 

その少女の目線と同じ高さまでしゃがみ込む。

目を合せると少女は口を開いた。

 

「【異端の者】・・・と言うのはそなたでしてー?」

 

「!!」

 

その言葉に驚いた。

【異端の者】

そうだな、俺は転生者・・・この世界の【異端の者】で違いない。

違いないが、この子は一体・・・

 

「あの・・・君は・・・?」

 

「これはこれは大変失礼いたしましてー。

 わたくし、姓は依田、名は芳乃と申すものでしてー。

 昔から依田の家は神和ぎや拝み屋の血筋と言われておりましてー」

 

神和ぎ、拝み屋・・・()の事か・・・

俺を【異端の者】と見抜けるあたりかなり実力ある家系なんだろう。

隠しても仕方ないし、正直に話しておくとしよう。

 

「きっと依田さんの言う【異端の者】で違いないと思います。それで・・・なにか御用ですか?」

 

内容次第では、逃げるか?

それともこの子の記憶をなんとか・・・いや、流石に手を掛けるのは・・・。

現状何とか出来てもきっとまた探し当てられてしまうだろうし・・・なにより俺はアイドルだ。

あっさり見つけられてしまう事に変わりない。

なんかしらの手立てを考えなきゃだめか・・・

こんな時に【半知半能(ちゅうとはんぱ)】なのが悔やまれる。

 

「はいー、ババ様より言伝を預かりましてー。こちらでお伝え致しましてー。

 『【力】の使い方は己が最も識るものと識れ。

  【全】が無ければ【一】を失い、【一】が無ければ【全】も無し』でしてー」

 

「・・・え?」

 

「では、確かにお伝え致しましたので、これにてー。ではまた(・・・・)

 

依田さんはそう言って頭を下げ、踵を返した。

 

俺はその場で立ち尽くしていた。

それだけなのか?

焦った俺が馬鹿みたいだった。

しかし・・・

俺は彼女の言葉を頭の中で反芻していた。

 

『【力】の使い方は己が最も識るものと識れ。

 【全】が無ければ【一】を失い、【一】が無ければ【全】も無し』

 

「己が最も識るものと識れ・・・ねぇ」

 

そのままの意味で、力の使い方は俺が最も理解しているって事だろうけど・・・

使えないんですよね・・・

 

それよりも気になるのは後半だ・・・

【全】と【一】?

【全】と【一】、か。

 

【全】は【全知全能】?

【一】は・・・【一】ぃ?

 

取敢えず、現状このままでは駄目だって事・・・なのかな・・・?

半知半能(ちゅうとはんぱ)】になってから考えることが多くなって非常に面倒だ。

じゃあ【全知全能】が楽だったかと言えば今までの人生を鑑みて楽ではない。

 

でも・・・小さい頃からいらないと思っていた【全知全能】だが、

いざ無くなると非常に不便で尚且つ生活が怖く感じる事がある。

普段から当たり前にあってそれが無くなった途端に不満と不安を募らせる。

それが人間ってモノだ。俺もまだまだ人間だったって事だな。

しかしだからと言って【半知半能(ちゅうとはんぱ)】が嫌かと言えばそんな事も無く、

現状以前よりも人生を謳歌できている分、こっちの方が良いなぁなんて思っているのも事実だ。

 

でもさっきの【巫】の少女・・・依田、芳乃さんだったか?

彼女の言葉を無視は出来ない。

【一】が何かは解らないが、【全】を失うって事は【半知半能(ちゅうとはんぱ)】ですら居られなくなるって事だろうと思う。

しかし現状あまり考えず(考える事は大嫌いだし)、その時になったら考える事にしよう、そうしよう。

さて、何を食べようかな・・・おや?あれは・・・

 

「依田さん?」

 

「またお会いしましてー」

 

何故逆方向に歩いて行った依田さんがここに居るのか分からないが、

一つ明確に分かる事があった。

 

「クレープ食べたいの?」

 

クレープ屋の前で立ち止まってじーっと見ていたからだ。

 

「でしてー・・・」

 

恥ずかしそうに頷く。

 

「お金は?」

 

「持ち歩いてないのでしてー」

 

何故だろうと思いもしたが、人それぞれだ。

 

「ならさっきの言伝のお礼に好きなの買ってあげますよ」

 

「それは・・・申し訳ないのでしてー」

 

なんとなく以前のみくちゃんの俺に対する態度を思い出し、

こう言った遠慮しがちな子は少し位強引にした方が良いかもしれないと思い立った。

なので・・・

 

「あぅ・・・恥ずかしいのでしてー・・・」

 

素早く依田さんの後に回り脇に手を入れ抱えあげた。

 

「さ、選んで選んで」

 

クレープ屋さんは自動車一体型の移動式店舗で、メニューは店の外に置いてある黒板とカウンター上のプラボード、

そしてカウンター内、店員後方の壁に貼ってある。

背が低めな彼女はメニューを全て見きれて居なかったのだろう。

 

抱え上げたお陰で見える景色が変わった。

故に後頭部だけ見てても分かるほどの『どれにしようか』と楽しそうに悩む様が手に取るようにわかる。

 

「あのー、どれでもいいのでしてー?」

 

「どれでもいいのですよー」

 

似たような感じで、出来うる限りの笑顔で返事をする。

 

「・・・」

 

無言で見つめられる。

 

「?」

 

「そなたにはー、そんな顔は似合わないのでしてー」

 

「え?」

 

笑顔を否定された。

 

「作るのでは無く、ありのままで良いのでしてー」

 

笑顔でそう言う依田さん。

 

「ありのままで・・・」

 

「あのー、これとーこれを・・・」

 

俺の思考を中断させるタイミングで注文をし始めた。

 

店員「はーい!ありがとうございまーす!」

 

「あ、じゃあ僕はコレとコレを・・・」

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

 

「ごちそうさまでしてー」

 

そう言った後、俺が手渡した550mlのペットボトルのお茶を両手で持ち、

コクコクと飲む。

 

何故か俺の膝の上で。

何故か俺の膝の上で。大事な(ry

クレープ屋さんが設置したであろうベンチに腰掛けたら、

「では失礼しましてー」とさも当り前のように膝に乗ってきたのだ。

「えっあのっ?」とあたふたするも、なんでこの人こんなおろおろしているのだろうみたいな顔されたので、もうどうにでもなれと今に至っている。

 

「満足してくれたなら何よりです」

 

依田さんはクレープ3つ、ペロッと平らげました。

見てて気持ちが良いくらいの食べっぷりでした。

あ、ちなみに俺は7つ食べました。

 

「して、そなたの名はー?」

 

ペットボトルから口を離した直後、質問が飛んできた。

 

「あぁ、そう言えば自己紹介がまだでしたね」

 

依田さんを膝に乗せたまま続ける。

依田さんは首をこちらに向けてきた。

 

「僕は一ノ瀬騎士って言います。もしかしたら聞いた事あるかもしれないね」

 

「・・・」

 

凄い訝しげな目でジーッと見られている。

疑われている?

試しに眼鏡を外してみる。

 

「っ!?」

 

ちょっと目が見開いた。

 

「おわかりいただけましたか?」

 

「ずっと何処かでお会いした事がある様な気がしてましてー」

 

ぱぁっと霧が晴れたように笑い出す依田さん。

どうやら依田さんは変装を見破れないタイプの人だったみたいだ。

見破れるタイプの人なのかと勝手に思い込んでいた。

認知は出来ていたみたいだったし、

でも【異端の者】を見破ったのは依田さんのお婆さまっぽいしな。

依田さん自身力はあるけどまだまだ成長途中なのかな?

等と考えていると、もそもそと依田さんが動く感じがした。

 

ギュッ

 

「ん?」

 

下を見る。

すると正面を向いて座っていた依田さんは、横向きで座っており、

そこから俺のシャツを握り、胸に顔を埋めて来ていた。

 

「あの・・・何を?」

 

「ふふ。わたくしの特別なおまじないでしてー」

 

くぐもった声でそう言った後、2・3度スーハーと呼吸をした後「ぷはっ」と大袈裟に息継ぎをし、満足げにぴょんっと膝から降りた。

少し志希っぽいなと思った。

 

「ふふふ。では、そろそろお暇しましてー。また、お会い致しましょうー。本日はごちそうさまでしてー」

 

そう言って深くお辞儀をし、鼻歌を奏でながらゆったりとその場を離れていった。

 

「不思議な子だったなぁ。『また』って事は会えると思っているんだろう。次に会う時が楽しみだな」

 

そう呟き、ベンチから立ち上がる。

クレープ屋で3つ、追加でお土産を買って帰路に着くのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「もしもしー」

 

『芳乃かぇ?』

 

「はいー」

 

『【異端の者】には会えたのかぇ?』

 

「はいー」

 

『全てを伝えたかぇ?』

 

「はいー」

 

『何かされなかったかぇ?』

 

「くれーぷをご馳走になりましてー」

 

『何?』

 

「お膝の上でーとてもとても心地良かったでしてー」

 

『そ・・・そうかぇ・・・。で、芳乃よ・・・【異端の者】とは何者ゾ?ワシの詠みでは伝えるべきと出たんじゃが、本当に伝えてよいモノだったのかぇ?』

 

「一ノ瀬騎士と、仰ってましてー。ババ様のお部屋に貼ってあるぽすたー為る掛け軸の御仁でしてー。きっと問題無いかと思いましてー」

 

『なっななななっなんじゃてーーーーーっ!!!???』

 

キーーーーーーーン

 

「ばっババ様・・・耳がキーンとしましてぇ・・・」

 

『まことか!?』

 

「うぅぅ・・・はいー・・・」

 

『芳乃!!引き続き【異端の者】に会いに行き、何とかして傍に居るのじゃ。よいかぇ!?なんとしてもじゃっ!!』

 

「はいー、わかりましてー」

 

『では、気を付けての。住処が決まったらまた連絡を頼むぇ』

 

「はいー」

 

ふぅ・・・すまほは苦手でしてー。

しかして、ババ様のお言いつけ通り、彼の御仁を探しに行きましてー。

ただ、やはりと言うべきか血は争えないのでしてー。

殿方の好み(・・・・・)は同じでしてー。

 

さてー今宵は何処で一晩明かしましてー・・・おや?

 

「くんくんくん、hshshs・・・

 ヘイヘイヘ~イ。そこの和服少女~、何故にお兄様の匂いを身体中から振りまいているのか・・・

 この志希ちゃんにご説明願いましょうか~?」

 

どうやら何とかなりそうでしてー。

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

「ただいま~♪」

 

志希が帰ってきた。

 

「おかえりぃっ!?えっ!?依田さんっ!?」

 

「にゃはは~、攫って来ました~♪」

 

「攫われてしまいましてー」

 

一体どう言う事だよ・・・

 

 




最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。

尻切れ蜻蛉ですが,これで良いのです。
手抜きとかでは無いです。
本当です。

よしのんの話し方が異常に難しいです。
一先ず『~でしてー』で統一する事とします。

来月中までには第9話とExストーリーを投稿したいと思っておりますが,
予定は未定です。

ではこのあたりで失礼致します。

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