グレモリー家の次男   作:EGO

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Extra life 06 アブダクションをする側は楽しい

俺、シドウは一人、アザゼルを探して校舎を歩き回っていた。サボってばかりのあいつに物申したいからだ。とか言っている俺も仕事をロスヴァイセに任せて来ているんだがな。

なんて事を考えながら歩き回っていると、アザゼルをプールへと続く渡り廊下で発見した。あいつはどこにいくつもりなんだ?あの先にはプールと用具庫しかないと思うんだが……。

俺は気配を殺してアザゼルを尾行する。あいつはプールを横切るとまっすぐ用具庫に入っていった。本当に何してるんだあいつ。まぁ、逃げ道はないから助けるけどな。俺は用具庫のドアの隙間から中を覗きこみ、アザゼルを探すが見当たらない。あれ、中には入ったはずなんだが……。

俺はゆっくりと用具庫に入る。特に変化もなく、いつも通りに見えるが、何か違和感を感じる。俺は用具庫を隅から隅までじっくりと見る。ビート板の順番が変わっている気がするな……。色で覚えたんだが、誰かが弄ったか?何か気持ち悪いんだよな……。

という訳で順番を戻そうと棚の真ん中に当たるビート板に手をかけると……。

ガコンッ!

なぜかビート板が奥に沈んでいき、横の壁がスライドして大人一人分程の穴が開いた。これは、アザゼルの仕業だな。

俺は穴を覗きこみ先を確認する。長い階段が奥へと延びていた。あいつ、リアスの縄張りで何やってんだよ。

この事をリアスに伝えるべきか迷ったが、その隙に逃げられても困るので階段を降りて行くことにした。電気はきているようで階段はよく見える(悪魔だから暗くても問題はない)から踏み外すことはなかった。てか長っ!

しばらく降っていくと、ようやくドアが見えた。あの先にアザゼルがいるんだろう。とりあえず、リアスに説教してもらおう。これは、ちょっとやりすぎだ。

俺はそう思いながらドアを開ける。と思いきや自動ドアだったようで勝手に開いた。ここ、学校よりもハイテクじゃね?とりあえず入ってみるか。

で、入ってみたんだが……何かの整備場みたいになってるな。俺は二階に入ってきたようで、そのまま作業用と思われる廊下を進んでいき、軽く探検してみる。何かバカみたいにデカイロボがあるんだが……あれを作る資金はどこから?

俺は疑問を抱きながら再び階段を降りて一階部分に進む。すると今度はアダムスキー型のUFOが鎮座していた。まじで映画とかに出てくるやつだぞ、アザゼルの野郎仕事サボって何してるんだよ。

俺はそのUFOに近づくと、一ヶ所だけ穴が開いており、そこから中に続くと思われる階段が出ていた。アザゼルは中にいるのか?まぁ、入ればわかることか。一応ナイフを出現させて中に入る。内装は白を基調としているようだな。

ゆっくりと進んでいくと突然階段が引っ込み、穴も塞がってしまった。これは……つまり……発進?

俺が固まっていると本当に動きだしてしまったようで、上りのエレベーターに乗っているような浮遊感に襲われた。これは、もうどうしようもないな。

俺は深く溜め息を吐くと、UFOの中を進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

中に進んでいくと、鼻歌混じりにUFOの操縦桿を握るアザゼルを発見した。今何かやっても落ちるだけで俺も無事じゃ済まない訳だしな……どうするかな。

俺が対策を考えていると、アザゼルが振り向かずに言った。

「ようリッパー、おまえも乗り込んでたのか。気がつかなかったぜ」

「ああ、ロスヴァイセから『連れ戻してください』って言われたんでな。サボりすぎだ」

俺が言うと、アザゼルは笑った。

「そう言うなって。案外楽しいんだぜ?」

何て言いながらUFOを操縦するアザゼル。飛んでいるはずなのに案外揺れは感じない。これが『グリゴリクオリティー』てか?

俺はアザゼルの横に移動し、フロントガラスと思われるものから外を見る。結構高い高度を飛んでいるようだ。

「で、このままテスト飛行で終わりか?」

俺が訊くと、アザゼルは何かを思い付いたようだ。

「イッセーにでもイタズラするかな」

「おい、あいつは俺の未来の義弟なんだぞ。やらせると思うか?」

俺はアザゼルを睨みながらそう言うと、アザゼルは何かを指差した。

「もう遅い。イッセー発見!ビーム発射ぁ!」

「何!?」

俺が驚愕したときにはもう遅かった。ビームは放たれ、それはイッセーに直撃してしまっていた。イッセー、不意打ちだったとはいえ避けようぜ……。

俺はそう思うと同時にアザゼルにナイフを突きつけた。アザゼルは不敵な笑みを浮かべて言ってきた。

「いいのか?今俺を切ったらイッセーに何かあったら対応出来ないぞ?それに、おまえにこれを操縦出来るのか?」

アザゼルは俺を脅してきている。が……。

「まぁ、どうにかするさ」

俺はそう言ってナイフを持つ腕に力を入れ、アザゼルを斬ろうとする。アザゼルは素早く操縦桿を倒してUFOをほぼ垂直にすることで俺の態勢を崩させた!ここだからこそ出来る方法だな!壁に叩きつけられる俺を他所に、アザゼルは何かのスイッチを押して座席から立ち上がった。UFOの姿勢が安定していき、また水平に戻った。

俺は立ち上がりながらナイフの切っ先をアザゼルに向けた。

「やりすぎだ。いい加減にしろ」

「そう言うなって、たまにはいいだろ?」

誤魔化そうとするアザゼルに俺は言う。

「たまには?リアスたちから聞いてるぞ、色々やらかしてるんだって?」

「あら、知ってたのか」

「当たり前だ……」

俺とアザゼルは睨みあい、そして激突した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三十分程、俺とアザゼルは戦っていたんだが、やりにくい。ここだと下手なことをするだけで揺れるし、アザゼルがわざと揺らしてくるわで大技が出来ない。と言うよりは派手なことをしたら人間に見られかねない。さらにいたる所から砲台のようなものが出てきてアザゼルを援護してくるわで忙しい。

「テメェ!正々堂々と勝負しやがれ!」

「戦いにそんな精神いらないって言われた部下がいたっけな!」

コカビエルのことかぁぁ!そういえばそんな事を言ったっけな!

俺たちがそんな口論をしながら戦っていると、突然UFOが大きく揺れた!な、何だ!?

俺たちは一旦手を止めて、外の様子を探った。見るとゼノヴィアがデュランダルを構えていた。その横にはイリナと……段ボールってギャスパーか。その三人がこちらを見ていた。

「アザゼル、ちょっとヤバイぞ。逃げろ。大至急!」

「言われなくてもわかってるよ!」

アザゼルはそう言うと操縦席につき、操縦桿を動かし始めた。同時にゼノヴィアからの攻撃が飛んでくる!アザゼルはうまく避けるが、防戦一方ってのもな。

俺がそう思っていると、アザゼルが言ってきた。

「リッパー!そこの席につけ、砲台の操作装置だ!」

「あん?使ったこともないんだぞ!出来るか!」

「いいから!適当にやってみてくれ!」

「だぁぁぁぁぁ!わかったよ!やればいいんだろやればよ!」

俺は愚痴りながら席につき、適当に操作してみる。とりあえず押したがどうやら発射ボタンだったようで、ビームが放たれた。そのビームはまっすぐと段ボールの方へ……あっヤバっ。

ドオォォォン………。

段ボール、もといギャスパーは爆風に吹き飛ばされて宙を舞った。

アザゼルが俺に訊いてくる。

「どこで使い方を習った?」

「……説明書を読んだんだ」

俺はそう返すと同時に今まで以上の衝撃が俺たちを襲った!ゼノヴィアの一撃を食らったようだ。

UFOは少しずつ高度を落とし始めていた。これは、ダメなやつだな。

「リッパー!歯を食い縛れぇぇぇ!」

「だぁぁぁ!どうしてこうなるんだよぉぉぉぉぉぉ!」

アザゼルと俺の叫びも虚しく、UFOは撃墜されてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……に……ま?お…いさ」

う~ん?誰だ?

「お兄様!大丈夫ですか!」

俺は目を開けてその誰かを確認する。まぁ、俺をお兄様呼びするのはリアスだけだがな。

「リアスか?スマン、何がどうなった?」

俺は頭を押さえながら上体を起こす。あー、頭(いて)ぇぇぇぇ。

「アザゼルが作ったUFOをゼノヴィアが落としたんです。それで中を確認してみたら中にアザゼルとお兄様が……」

「あ~なるほど」

どうやら助かったようだ。いや~死ぬかと思った。

リアスは俺の無事を確かめると俺に言ってきた。

「詳しくはアザゼルから聞きます。イッセーに何をしたのかと、『ギャスパーになぜ攻撃したのか』を……じっくりと」

ギャスパー云々(うんぬん)は俺のせいなんだがな……今回はアザゼルのせいにしてしまおう。見ると黒焦げになった段ボールとギャスパーが倒れていた。ってイッセーには何があったんだよ。

「イッセーに何かあったのか?」

俺が単刀直入に言うと、リアスは少し悲しそうな声音になった。

「イッセーは、おかしくなってしまったんです」

「おかしくって、何があったんだ!」

俺がリアスに詰め寄っていると、そのイッセーの声が聞こえた。

「シドウ先生!ご無事で何よりです!」

こいつ、俺のことは『さん』呼びじゃなかったっけ?あれ、気のせい?

「イッセー、何かあったのか?」

「いいえ、『僕』は健康そのものです!」

うん、おかしい。何か色々とおかしいぞ。

俺はヒソヒソ声でリアスに訊いた。

「リアス、これは?」

「アザゼルの攻撃のせいで『真面目』になってしまったんです」

な、なるほど。真面目になったのか……。別に良くね?

「このままじゃダメなのか?」

「はい。もう元に戻すと決定しましたから」

「なるほどな。で、どうするんだ?」

「詳しくはアザゼルに訊くことにします」

リアスはそう言うとアザゼルの元へと走っていった。

「シドウさん、大丈夫でしたか?」

ロスヴァイセが俺を心配してくれたが、

「今はイッセーの方が重症だろ。どうにかしてやらないと」

「それもそうですね」

俺は少しだけ痛む頭を押さえながら歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、イッセーを直す方法というのが……。

『出してくれ!出してぇぇぇぇぇ!』

いつかに大量発生したドッペルゲンガーのスケベ部分をイッセーに投射するというものだ。イッセーはそのためのカプセルに放り込んだ。それにしても大丈夫なのか?

「で、大丈夫なのか?スケベが強くなったらそれはそれで大変だぞ?」

「大丈夫だって、俺を信じろ」

『無理です』

アザゼルの言葉に即答で俺を含めた全員が答えた。うん、無理だよな。

なんて事をしているうちに作業が済んだようで、カプセルが光始め、そして……。

ドッゴォォォォォォンッ!

大爆発した!……おいおい!

「何が俺を信じろだ!大爆発してんじゃねぇか!」

「あれ?おかしいな」

爆発のせいで部屋はめちゃくちゃだ。俺たちはとっさに隠れたから無事だが、本当に何なんだよ!

プシュー。

煙が晴れると音を立てながらカプセルが開いた。そして、そこにいたのは……。

「オパパパパ、オッパイィィィィィィンッ!」

絶叫をあげるイッセーだった!

『もっと壊れてるぅぅぅぅっ!?』

「今日は厄日だわ!」

リアスたちと俺の叫びが部屋に響いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、イッセーはいつも通りに戻っていた。リアスの胸に抱かれて一晩寝たら治ったそうだ。

最近リアスの胸がわからない……。

とりあえず、イッセーが元に戻って良かったよ。

 

 

 

 

 

 

 




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